鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

吸い込まれる、俺

生きてた・・・

 

正直もうダメかと思った

でもなんとか無事帰還

今までの自転車人生で一番やばかったな

 

 

今日から3連休な俺

明日ちょい山に行くため今日はいつものホームコースを軽く流すことに

朝食を食べてエネルギーに変わるまでの間に自転車の点検整備

バナナを低脂肪乳で流し込んでさぁ出発だ

補給食は無印で半額で投げ売りされてたドーナッツ

油が気になるがまぁいいだろう

なんせ賞味期限が迫っている

今日は風もなく気温もちょうどいい

軽く汗を掻く程度だな

でもすっかりウインドブレーカーは必須になった

考えてみればもう11月だしな

ついこないだまで暑い暑いと言ってた気もするが

気温が低くなると体が温まるのも遅い

焦らずにのんびりと

心拍も130までに抑えて山へ向かう

「今日もダンプが多いな」

俺のホームコースは途中に採石場があるためにダンプが多い

あとは工場へ向かう大型トラック

そして年末になりどこかで土木工事してるのかいつもよりダンプが多いのだ

前から暴走族がバイクで走ってくる

「30年前もこんな改造だったが令和になっても変わらないんだな」

暴走族のちょい小太り金髪くんはどうやら右折したいらしい

しかし律儀にも俺がノロノロと通過するのを待っていてくれた

暴走族嫌いの俺ではあるが流石に感謝の気持ちを表してやった

俺が通りすぎるとちょい小太り金髪くんはエンジンをふかしながら農道へ消えていった

ただそこには爆音だけがいつまでも鳴り響いていた

いつもの勾配4パーの緩い坂を登り道の駅でトイレ休憩

そこそこ汗もかいたのでハイポトニックのスポーツドリンクを購入してちびちび飲む

隼乗りがドヤ顔で闊歩している

ユーノスに乗ったおっさんが駐車場に停車した後で空ぶかし

そして彼もまたドヤ顔で降りてきた

いつもと変わらない休日の道の駅の光景だ

それぞれのおっさんが対抗意識を燃やすのである

みんなタバコを吸っている

俺の方に煙が漂ってくる

俺はわざと大げさに煙を手で振り払う

令和になってもタバコ吸う奴がいるんだな

あんなに高価なのに

ようやくスポーツドリンクを飲み干した俺は無印で半額で投げ売りされてた賞味期限が迫ってきているドーナッツを食べた

ちょいパサパサ系だがシンプルな味で好感が持てる

心配してた脂っこさは皆無だ

これなら帰りに胃もたれを起こすことも無いだろう

「さて帰るか」

俺は勾配4パーのちょい坂を降った

軽くペダルを回す

今日はやけに交通量が多い

さっきからひっきりなしに対向車線を車が走る

「紅葉ジーズンにはまだ早いのにな」

そんな俺は後方から気配を感じた

「ダンプだ」

「ダンプがくる」

後ろを見なくともエンジン音などで分かるのだが

一応「あなたの存在に気付いてますよ」アピールもかねて後方確認

やはりダンプだ

この道はセンターラインもあり道幅も広い

大抵ダンプや大型トラックは十分余裕を見て追い越してくれる

しかしこの時はいつもと違うプレッシャーを感じた

対向車はどんどんきていている

今この状況で俺を追い越すとなるとセンターラインをはみ出さないで追い越すことになる

そうなると必然的に俺のスレスレをダンプが走ることに

俺は集中力を高め下った

平坦なら止まることもできるが下りである

とにかく左端をまっすぐ走るのみ

どんどんダンプが近づいてくる

前方にはコーナーも迫ってくる

最悪なのはコーナーで抜かされること

少しでも膨らめば接触しかねない

ダンプもその前抜かそうと考えたのだろう

ついに俺の横にダンプの頭が見えた

かなり近い

「ヤバイ」

ロードバイクは低速だとかえって不安定になる

それでも若干スピードを落とし次に襲ってくる事態に備えた

欧米では自転車を抜かす時には必ず1・5メートル離れて抜かすのがルールだ

これはなんらかの原因で自転車が転倒しても轢き殺すことのない距離である

日本でも近年自転車教会みたいなところがキャンペーンをしてたが基本日本人は自転車が大嫌い

ネット上では自転車の人が交通事故で亡くなるたびにザマァ見ろと喜ぶ声も多い

みんな自分勝手

中国化

それが今の日本人だ

だから欧米のような自転車への配慮もない

日本のママチャリは非常に優秀だ

安定感

メンテしないでも壊れない

そんなこともありほとんどの日本人は自転車を舐めている

しかし本来自転車というものは非常に不安定な乗り物

風が吹くだけでも車体はぶれる

ちょっと接触すれば転倒

道に落ちてるゴミ、砂、落ち葉

道路の亀裂、穴、轍

マンホール、排水溝などなど

様々なものが自転車を転倒させようとする

そして大型トラックやダンプなどは自転車と接触しなくとも自転車を転倒させる危険があるのだ

俺の横に並ぶダンプ

すぐ横に大きな前輪が回っている

俺の自転車が風圧でぶれる

そして前輪が通過した頃だろうかスーと俺の体が自転車ごとダンプに吸い込まれていくのだ

「来たな」

この事態に俺は身構えていた

しかしどんどんダンプへと体が吸い込まれていく

「マジでヤバイ」

「転ぶな転ぶな」

「真っ直ぐ真っ直ぐ」

とにかく必死に逆方向へ体を倒しバランスをとる

しかしまるでピンクローターかのように小刻みにブルブルとなる

吸い込まれる力が予想以上に強いのだ

すぐ横にはダンプの大きな後輪

「後少し後少し」

俺はさらにブレーキをかけて減速、空気の流れから逃れることに成功した

と、思ったのも束の間

「第2波だ」

さらに後方からダンプの気配が

おそらく後ろで今の光景を見ていたのだろう

ダンプは減速して俺の後方で待機

対向車がいない時に安全な距離を離れて俺を追い抜かしてくれた

 

久しぶりに命の危険MAXだったな

流石にあそこで転んだらぺしゃんこだ

性別も判断できないぐらいにな

今頃閻魔様と対面してたかもしれない

 

 

明日は日曜日

ダンプおやすみ

安全日

楽しみだな

心配なのはクマだけだな

なんかどんどんクマが人里に出没してるしな

実際にクマップ見ると出てるんだよな

山のどこかにはいるんだろうな