鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

鳥取県民困惑「価値がわからない」県がウォーホル作品3億円で購入

「価値がわからない・・・」

鳥取県民が困惑してるそうだ

それもそのはず

3億円と言う大金を注ぎ込んでアメリカの洗剤を含んだタワシの箱「ブリロの箱」を5点購入してしまった

当然税金である

なんでこんな暴挙に出たのか?

2025年に県立美術館がオープンするそうで

その目玉として「ブリロの箱」

しかし「価値がわからないと」急遽住民説明会を開く事態に

まぁ所詮タワシだしな

 

で、このタワシの箱

なんで3億円もするのか?

あのポップアート界の巨匠アンディ・ウォーホルの作品だからである

ちょうど今京都で回顧展を開催中で俺も先日行ってきたが

彼の作品自体はどこかで目にしたこともあるはず

ユニクロとかユニクロとか

で、彼は世界的にも超有名人で美術史的にも重要人物

現代アートではデュシャンに次ぐ立ち位置だな

まぁそんなデュシャンの作品を購入してもウォーホル以上に「困惑」するのだろうが

なんせ普通の便器が作品になってるからね

要するに現代アートは「わからない」

俺もわからない

 

で、ブリロの箱

これはウォーホルでも初期作品となる

ここからウォーホルのポップアートが始まったと言っても過言ではない重要な作品

大量生産、大量消費をアートにした作品である

「日常の中にもアートはある」そんな感じで

日本で起こった「民藝ブーム」にも似てるね

普段使ってる茶碗を見て

「これ良いんじゃね?」と始まったのが民藝

ウォーホルの場合はそれが「タワシの箱」であり「トマトスープの缶詰」であった

ウォーホル好きならブリロは有名

京都でもウォーホル自身が製作した本物かどうかは知らないが展示されていた

今回の鳥取の奴でもウォーホルが手がけた1964年製は1個しかないみたいで

その他の4点はウォーホルの死後1990年に生前の企画展に関わっていた関係者が製作したもので

一応ウォーホルの許可はあるそうだ

これは他の作品でもあることで

これも含めてウォーホルであるが

そこを理解するのは難しいだろう

で、本物が1点6831万円

公式レプリカ的なやつが各5578万円

そんなに値段が違わないところがアレだな

有名なシルクスクリーンなんかも後期は監修ウォーホルで

摺ってる人はお仲間の人だったり

それでもウォーホルの作品となる

本人が「いいよ」って言うかどうかで値段が跳ね上がる

 

で、何故ブリロ?

これは「都会の美術館にないものを」

どうやら国内ではブリロの箱は収蔵されてないとか

確かに個展の時もボストンとかピッツバーグの美術館とかから持ってきてるイメージだしな

地方の

しかも鳥取県としては目玉に押したい気持ちはわかる

「東京にないものを」

「スタバでは一番最後にされたしな」

アンディ・ウォーホル

かなりのビッグネーム

全国からの集客が・・・

そんな夢を見たのだろう

おそらく担当者はウォーホルが好きすぎて現実が見えてなかったのかもしれない

ブリロは難しい

展示方法も含めてブリロ

「なぜ1個でなく5個なのか?」と批判されたそうだが

ウォーホル好きならわかるが

たった5個でも展示は厳しい

当時の展示を見るとものすごい数のブリロが積み上げられている

これはキャンベルやマリリン、フラワーなども同様で

ウォーホルは同じシリーズの数を揃えてなんぼ的なところがある

京都ではキャンベルが9枚並べて展示されてたが

それでも「物足りない・・」感はある

そしてブリロ

日本人には全く馴染みがない

しかもこれがウォーホルの作品だと目玉として訴えるのには知名度が低い

一般人は知らない

そこも批判されてるポイントみたいだな

まぁ当然だと思うよ

ウォーホル作品は油絵のような重厚さがない

ここも理解させるのに苦労するだろうね

だからウォーホルに手を出しちゃダメなんだよ

予算的に3億で有名作品は厳しいのだろうが

個人的には浮世絵を掻き集めた方が良かったんじゃないかなとも思うが

他には無い超有名作品

やはりこれが欲しかったのだろう

ただあまりにも難しいものを買ってしまったと

 

アートは作家の死後30年で価値が確定するそうだが

ウォーホルは今後値が下がる可能性は低い

なので持っていて損はないはず

そんなウォーホルも一時期下がった時があって

それがバブル崩壊直後

これはバブルが異常だったので日本でも売れまくってポーンって価格が上がって

それでもキャンベルなどは一作品につき250部あるので

それほど高価ではなく

当時はラッセン、ヒロヤマガタあたりの作品とそれほど変わらない値段で取引されてたが流通量自体が少なくタイミングが合わないと購入できなかった

で、30年後

ラッセンやヒロヤマガタは価値が10分の一ぐらいに下がってる

しかしウォーホルはアゲアゲである

歴史的背景を見れば上がる理由は明らかだが

それでも「ラッセンが好き」な人はいるわけで

自分が好きならそれでいい

それがアートでもある

ただ「ブリロの箱」見たさに客が殺到するのか?

これだろうな

問題は

鳥取なら

植田正治の方が呼べるかな?

写真だから人気ないかな?

個人的に大好きな写真家だが

福山雅治がアピールすればなんとか

 

そうか

ブリロナ理由がもう一つ

7000万以下だと県議会の承認が必要ないんだな

なのでブリロをコツコツと1点づつ購入

バレないようにバレないように

でも5点ではやはり厳しいかな

せめて50個は欲しいね

50個あれば

「おおおおお、ブリロ」ってなるかな

結局はウォーホルの展示は難しい

少ない作品数では見せ方が難しい

これに尽きる

 

1点で見せたいなら

今、京都で展示されてる

「舞妓」だね