鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

道徳の授業「僕のお父さんは桃太郎というやつに殺されました」

きっかけは新聞広告だった

「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました」と鬼の子供目線のキャッチコピー

「もし桃太郎が鬼にも家族がいることを知ったら、どうしたいと思うだろう」

これを元に桃太郎の地元岡山県で道徳の授業が始まり全国へと広がりを見せてるそうだ

おそらく昔話で一番最初に思い出すのが「桃太郎」だろう

とある場所におじいさんとおばあさんが暮らしていて

おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川で洗濯するのが日課

ここで注意したいのがおじいさんは「芝刈り」ではなく「柴刈り」に行っていることだサッカー場、ゴルフ場、テニスコートなどに使用される「芝」ではなく

「柴」とは焚き木などに使う小枝のことである

おじいさんは毎日の煮炊きや暖をとるために山へ小枝ひろいに行くのだ

その間、おばさんは川で洗濯をすることになるのだが

その時に巨大な桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきた

その巨大な桃をあろうことか、おばあさんは拾い上げてしまうのだ

全ては愛するおじいさんに食べさせるために

どこから流れてきたのか?

いつから流れているのか?

ここで一つ目の犯罪行為が行われる

桃の窃盗

しかも普通では考えられないぐらいに巨大化したこの桃を食べようとするのだ

おそらく通常なら真ん中に包丁を入れることだろう

どのくらい切り込みを入れたのだろうか?

なんと中から男の赤ちゃんが飛び出してきた

桃の中に男の赤ちゃん

そこでなぜか二人は神様からの授かりものだと思い込んでしまう

子供のいなかった二人は自分たちの子供として育ててしまう

二つ目の犯罪である

結局桃の中にいた男の子は桃太郎と名付けられて無事成長するのだが

一つ間違えればおばさんは包丁で斬り殺してたかもしれない

成長した桃太郎は突然鬼退治を進言した

「ぼく、鬼ヶ島へ行って、わるい鬼を退治します」

鬼たちは近くの村から食料や財宝などを盗む盗賊である

この悪い鬼たちを桃太郎が退治するというのだ

ここで「退治」という言葉が問題になってくる

「退治」討ち滅ぼすことである

人とはいえなぜ最初から殺すことが前提なのか?

捕まえて裁判を行いそれ相当の罰を与えるという選択肢はなかったのか?

どんな理由でさえ殺人ではなく殺鬼はだめだ

仏教的には完全にアウト

鬼は地獄にいる

我々は死んだら地獄に落ちる

そこでより一層ひどい目に合わされるのだ

「お前、俺の仲間殺しただろ!」と

桃太郎はおばあさん手作りのきびだんごで犬、猿、キジを買収

一緒に戦いに参加させる

「きびだんご食わしてやったんだからちゃんと働けや!」とばかりに戦わせる

結局、桃太郎は刀で鬼たちを切りつけ暴力と恐怖で鬼たちを降参させることに成功

鬼たちが村人から盗んだ財宝を奪い取り持ち帰る桃太郎

村人たちへ返すのかと思いやちゃっかりネコババ

自宅へ持ち帰ってしまう

そして村人たちのお宝は桃太郎一家の生活費となった

 

一体誰が悪いのか?

拾った桃を自分のものにしたおばあさん

村を荒らした鬼?

傭兵となった犬、猿、キジ?

問答無用で鬼を殺戮して窃盗までやり遂げた桃太郎?

鬼から強奪した元々は村人たちの財産だったお宝をネコババした桃太郎一家

こんな物語だから道徳の題材としてはもってこいなんだな

子供たちの間では

「やっぱり退治するしかなかった」

「家族がいると分かれば、村に帰ろうと思うはず」という声が出たそうだ