鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

うぐいす張りは経年劣化で鳴るようになた可能性があるらしい

京都の二条城などで有名なうぐいす張り

廊下を歩くと床板から「きゅっきゅっ」と音が聞こえてくる

この音がうぐいすに聞こえるのかどうかは判断が分かれるところだが

俺の中のうぐいすの鳴き声は「ホーホケキョ」である

浄土宗総本山の知恩院なんかは「法(ホー)聞けよ(ケキョ)」と強引な語呂合わせとしているが

俺が思うにうぐいすは仏教徒ではないし浄土宗でもないだろう

奴らは自由だ

人間のように宗教に頼らなくても生きていけるのだろう

その知恩院もうぐいす張りで有名なお寺である

御影堂から集会堂、大方丈、小方丈に至る廊下は、全長550メートル

静かに歩こうとすればするほど音がなるという

俺が小学生の頃はうぐいす張りは「泥棒よけ」だと先生から教えられた

正確には「忍び返し」というらしいが

忍者などの侵入を知らせる防犯装置がうぐいす張りである

昔のセコムであり赤外線センサーだな

城やお寺の門にでも「うぐいす張り」と書いた看板を立てかけておけば多少は防犯装置の役目をしたかもしれない

現在でいう警備会社のステッカーのように

当時の長嶋監督みたいな人物が「うぐいす張りしてますか?」と宣伝すれば効果は絶大だろう

そんなうぐいす張りだがどうやら最初は音がなっていなかった可能性があるという

知恩院ではうぐいす張りの修理をしたところ音が鳴らなくなり

今まで鳴っていなかった廊下が老朽化によって鳴り始めたそうだ

つまり床下の釘が緩んだことで再びうぐいす張りが復活したというのだ

これが本当なら最初は防犯装置ではなかったことになる

いつの時代に誰がどこでうぐいす張りのことを言い出したのかは分からないが

「床板張りましたけど音が消えないんすよ」

「どうしましょう?親方」

「そんなもんあれだ」

「歩くと音がなるってことは泥棒よけにバッチリじゃねえか」

「そうだろうヤス」

「はい親方」

「しかも何かうぐいすの鳴き声にも似てるしな」

「これはあえてこうしてあるんだってことにしとけばいいのさ」

「さすが親方!」

「そうと決まったら飯にするべ」

このように防犯装置としてのうぐいすの鳴き声ってことにしとけば風流だということになったのかもしれない

でもうぐいす張りの廊下っていっぱいあるんだよなぁ

たまたま知恩院だけがそうだったのか?

でも構造的には同じ「目かすがい」を使用してるんだろうし

この目かすがいをしっかり固定しとくと音は鳴らないそうだ

知恩院の廊下は2011年の修理でうぐいす張りが鳴らなくなった

しかしうぐいす張りではないはずの阿弥陀堂が再建から100年経って鳴るようになってしまった

再建時の手抜き工事なのか?

それとも本当に経年劣化でうぐいす張りになるのか?

でも床下の写真見てると完全に音が出るように仕掛けが作ってあるような気がするのだが・・・

最近よくありがちな知識のない記者が書いた記事なのか?

築100年以上の建物で経年劣化できしむ床ってあんな音しなかった記憶があるが

明らかに意図的に金具を擦らせて出してるような気がする

ネットで調べた構造の説明書き見てても理にかなってるしな

個人的にはやっぱり昔から言われてたことの方が正しいような気がする

多分知恩院では鳴るように修繕できなかったのでは?

そして再建された阿弥陀堂も本来は新築当初から鳴るはずだったのが100年経ってようやく鳴るようになったのでは?

俺の結論としては、うぐいす張りは「忍び返し」で正解だと思う

うちの廊下は江戸末期の古民家からもらってきたケヤキの板が貼ってあるのだが築40年ほどで多少床板が動くようになったが音なんかしないしな

やはりあの音は意図的だろうな