昭和44年10月の放送開始から約48年間CMを提供してきた東芝だったが経営状況の悪化から来年の3月、サザエさんのCMを撤退となった
サザエさんといえば日本国民なら誰もが見たことのあるアニメ番組
子供が小さい頃には日曜日の夕方に家族揃って見るような番組である
そのためサザエさんのCMによる東芝の家電製品の宣伝効果は大きかったそうである
家電といえば今は大型店やネット通販で購入するのが一般的ではあるが、俺の子供の頃は町の電気屋さんだった
それぞれ取り扱ってるメーカーは一つで、松下なら松下、東芝なら東芝の製品しか買えなかった
うちが付き合ってた家電屋さんは同級生の家
その店は東芝を扱っていた
そのためにうちの中は東芝製で溢れていたのだ
まぁ特別東芝で問題があったわけではないが、ただ一つビデオがベータだったことが不便であった
友達は皆VHS
いくらベータが高画質だと言っても数で攻勢をかけてくるVHSに勝ち目はなくベータは惨敗した
未だに物置の中に当時のテープが残っている
当時は友達にNHKのBSで放送されていたツール・ド・フランスを録画してくれと頼まれたものであるが友達の家はVHSであったために録画はしてやれなかった
1番安いビデオデッキでも確か15万ぐらいしてたはずである
当時バブルな事もあり俺の家では比較的早くビデオやBSが導入されたのである
映画などのビデオレンタル店もほとんどなかった時代
当時のビデオソフトは1本18000円ぐらいしておりレンタル料金は1割の1800円とかだった
競合店もなく小さな個人店だったがすぐに潰れた
今では信じられないような時代である
電化製品を買うにも店には商品はほとんど置いてなくてカタログを見て注文する
届くまでには日にちもかかり商品が届くまでワクワクしたものである
それが今ではネットでほぼ何でも買えて直ぐに届く
しかもポイントまでつくし
全く便利になったものだ
そしていつしか友達の家では電化製品は買わなくなってしまったのであった
悪いなぁと思いつつもやはり価格と他メーカーのものが買えるというのは非常に魅力的であった
思えばスーパーだって俺が子供の頃は今みたいに大型駐車場完備の大型店なんてなかった
小さな小さな店ばかりであった
薬局もそうだな
みんな家族経営の店ばかりだった
それが気づけば大手チェーン店ばかりの世の中に
そして奴隷のように働かされるバイトにパート
本当に豊かになったと言えるのだろうか?
なんか何にもなかった子供の頃の方が楽しかったような気がする
ザ・ベストテンが始まるとテレビの前に置いたカセットデッキでヒット歌を録音するのである
そんな時に限って親の声が紛れ込んでしまうのだ
カセットデッキもオートリバースがでた時は驚いた
「一体どんな仕組みなんだ」と毎日のように凝視していた
そしてWデッキでダビングも簡単になった
友達に借りた浜田省吾をダビングしようとして間違えてセットしてしまい
無音状態のテープを流して友達から借りた浜田省吾のテープの方にダビングして録音を消してしまった事もあった
慌ててレンタル店へ駆け込んで録音し直したのも今となっていい思い出だ
本物は高すぎて買ってもらえないのでディスカウントストアの広告にでていた偽物ウォークマンを買ってもらった
それは本物より一回りも二回りも大きく重たかった
それでも毎日のように外に持ち出しては音楽を聞いていた
そしてCMの猿のものまねをした
あの頃はスマホなんて便利なものをほとんどの人が持つようになるなんて想像すらつかなかったな
そしていつの間にか俺はサザエさんを見なくなり
家屋団欒の時間も無くなったのだった