鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

2017年ブエルタ第17ステージ

2017年ブエルタ・ア・エスパーニャ

第17ステージ

最大勾配28パーセントの壁を登るステージだ

前半はいたって平穏なステージ

中盤に2級山岳があり長い下りを終えると直ぐに1級山岳そして壁のある超級山岳を登ってゴールとなる

この日も逃げ切りを目指してレース開始からアタック合戦が繰り広げられる

総合順位の低い選手など逃していい選手かどうかをスカイが見極める

スカイとしてはステージ優勝にはさほど興味は無い

フルームが他のライバルから遅れさえしなければ任務完了となる

平坦基調の前半のコース

ハイスピードでレースは展開していく

逃げのメンバーは6人

逃げ切りにはちょうどいい人数だ

しかも実力者が勢ぞろい

選りすぐりの6人の逃げ集団

アレッサンドロ・デマルキ(BMC)
ダニエル・モレノ(モビスター)
マグナスコルト・ニールセン(オリカ・スコット)
ダヴィデ・ヴィレッラ(キャノンデール・ドラパック)
ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップフロアーズ)
ステファン・デニフル(アクアブルースポート)

1番総合成績が良く1番登れるのはダニエル・モレノ

山岳賞のため1ポイントでも多くポイントが欲しいヴィレッラ

最初は逃げ遅れたためにアラフィリップとともに飛び出して逃げ集団に加わった

スカイのコントロールで10分弱まで逃げとのタイム差は広がる

しかし残り距離からしても十分に射程圏内で収めている

前半は各チーム笑顔も見えたこのステージ

後半から徐々にレースは動き出す

逃げ集団が2級山岳に突入

予定通り山岳賞のヴィレッラがトップ通過

小さなことからコツコツと

一円貯金戦法である

その他山岳賞に興味がありそうなミゲルアンヘル・ロペスやマイカは山岳ステージを制することで一気にポイントを稼ぐ一攫千金戦法だ

メイン集団も2級山岳が近づくとアスタナやボーラにバーレーンなどペースアップを始める

一気に逃げとの差は縮まり始める

2級山岳から仕掛けたいのかもしれない

しかし2級山岳は頂上付近になると深い霧が立ち込める

この霧の中でのダウンヒルはあまりにも危険すぎる

そして道は狭くガードレールすらない

コースアウトしたらどこまで落ちるのか?

それさえも霧でわからない

逃げ集団、メイン集団それぞれ危険な霧の中のダウンヒルに突入

見てる方もヒヤヒヤ

何事もなければいいが

そんな中で辞めておけばいいのにニバリが飛び出す

登りではフルームに歯が立たないために下り仕掛けたいニバリ

しかしこの深い霧の中ではあまりにも危険だ

バイクカメラも必死だろう

中継ではヴィレッラが単独で移されている

先頭だと思っていたらどうやら霧のために安全マージンを取り逃げ集団から30秒ほど遅れて下っていたみたいだ

結局ヴィレッラはその後メイン集団へと吸収される

攻撃を仕掛けたニバリも差を広げることはできずに再びメイン集団へ

そんな中、マイカが遅れた

ボーラのアシストが麓で完全停止してマイカを待ち受ける

メイン集団までマイカを戻すために必死の追走が始まる

なんとか次の1級山岳までにマイカはメイン集団への復帰を果たした

1級山岳に入ると今度はチャベスが仕掛ける

しかも相棒にはアダムを引き連れている

ゼッケンを交換してしまえばサイモンだかアダムだがわからないのだろうが

アダムに引かれてチャベスが抜け出そうとするも

淡々とペースコントロールするスカイから逃げられない

スカイはスカイで何が何でもチャベスを捕まえたいわけでは無いみたいだが

結局チャベスたちは再びメイン集団に吸収された

パワーメータの数字が全てのスカイ

結果的に逃げを許さない

しかしオリカもまた諦めない

今度はジャック・ヘイグを引き連れて再びアダムが仕掛ける

途中でサイモンと入れ替わっていても誰も気づかないのだろうがゼッケンを信じるならアダムである

なんかここまでくるとどっちでも良いような気もする

キャプテン翼の立花兄弟のように

ヘイグには逃げメンバーから降りてきたコルト・ニールセンが合体

オリカ得意の前待ち作戦だ

アダムロケットを切り離し再びアシストというエンジンを得たヘイグが逃げ追走を開始した

勝負はいよいよ壁のある超級山岳

最大勾配28パーセント

ケルデルマンのギア比は前34の後32

まるで素人のおっさんギアである

あのトッププロたちが

そんなギアを用意しなければならないほどの壁なのだ

きつい勾配では足の差がもろに出る

結局ヘイグは先頭まで追いつけずに

逃げ集団からIAM解散に伴いアクアブルーに移籍したデニフルが単独になる

ワイルドカードでの出場となるアクアブルー

スポンサーの血圧も急上昇だ

メイン集団も最後の壁へと突入

トレックのパンタノが飛び出した

コンタドールアタックへの布石

まずは絶好調男ミゲルアンヘル・ロペスが飛び出す

これに反応したのがコンタドール

全盛期を彷彿とさせるダンシングでぐんぐん登っていく

この日もコンタドールがレースを面白くした

歯を食いしばる

ひたすらダンシング

この姿を見られるのもあとこの日を合わせてあと4日だ

コンタドールの勢いが止まらない

コンタドールのダンシングの前に絶好調ミゲルアンヘル・ロペスも脱落

コンタドールは次々と逃げから落ちてきた選手を吸収し吐き出した

一方スカイはアシスト陣も健在だ

しかしペースが上がらない

フルームはいつも通り下を向いている

いつもの通り調子が良いのか悪いのかよくわからない

しかし何かがおかしい

ついに来たか、バッドデイ

ペースが上がらないフルームを置き去りにするかのように他の総合ライバルも加速してスカイの呪縛から飛び出していく

まるで呪いが解けたかのように放たれる総合上位勢

ミゲルアンヘル・ロペス、ザッカリン、マイカ、ニバリ、チャベス、マイケル・ウッズ

ケルデルマンは遅れた

調子の悪さのためのおっさんギア比だったのか?

先頭のデニフルは全くペースが落ちない

追走のコンタドールとの差は僅かにしか縮まらない

フルームとニバリ集団だけが差を広げている

1番ペースが遅いのはフルームである

アシストのニエベがフルームを介護する

本来ならニバリ追走のためにフルームアタックが発動している距離だ

しかし動けないフルーム

この日のニエベは予定外の残業となった

フルームは前日の貯金あるとはいえ

記帳した通帳の残高とにらめっこしている状態だろう

まるで月末の俺を見ているかのようだ

追いつけるかコンタドール

人生をかけて逃げるデニフル

その差28秒

残り1キロからは登りはなくなる

フラムルージュまでにデニフルを捕らえないとコンタドールのバキューンは見られない

粘るデニフル

タイム差を保ったまま残り1キロフラムルージュを通過

コンタドールの激走を交わし

デニフルが生涯最大の勝利となるブエルタのステージ優勝を勝ち取った

バイクに伏せるデニフル

そして歓喜

29歳デニフル

グランツール勝利である

チームバスが放火されたことなどどうでもよくなるようなアクアブルーの勝利であった

2位はコンタドールで28秒遅れ

28秒か

残念だ

3位以下はミゲルアンヘル・ロペスチャベス、ザッカリン、マイカが同タイム。デニフルからは1分4秒遅れ

7位のニバリはさらに9秒遅れた

そして待てど待てど戻ってこないフルーム

結局前日のTTで得た貯金をかなり使い果たした

総合2位のニバリとの差は1分16秒まで縮まった

まだわからない

昨日のTTで出し切った影響をどこまで引きずるのか?

勾配のきつい区間で登れなくなっているフルーム

そこに付け入りたいニバリにコンタドール

復調できるかケルデルマン

地味に表彰台を狙うザッカリン

まだまだブエルタの山岳は続く