鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

2017年ブエルタ第10、11ステージ

2017年ブエルタ・ア・エスパーニャ

第10ステージ

休息日明けの中級山岳ステージだ

休息することによりリズムを崩し体調を崩す選手もいたりするが果たして?

コースはとにかく後半の3級山岳と1級山岳

この二つの峠はほぼ繋がってるので長い一つの山岳だと考えても問題はない

とにかく逃げが決まりやすいステージ

そしてブエルタである

中継が始まると天気が悪そうだ

スペインといえども寒い

気温は20度ほどだろうか?

そしてこの日も大きな逃げ集団ができている

総勢18名

緑ジャージのトレンティン、デマルキ、LLサンチェス、ロハスなどなど

雨などで寒い日はハイペースでレースが進む

のんびり走ってると余計に寒いし早くレースを終えてホテルへ帰りたい

どうやら最初の2時間の平均速度は52キロらしい

そしてメイン集団はスカイがコントロールしてタイム差を5分ほどに抑えた

特別集団を分断したいわけでもないがスカイの引きでメイン集団は分断したりする

スカイ的にはツールに比べるとやや劣るアシスト陣とはいえライバルチームとの差がありすぎる気もする

そのために今回のブエルタ、営業引きのキャノンデール以外としては横風のクイックステップ、たまにバーレーンメリダが僅かな時間攻撃を仕掛けるに止まってる

逃げ集団が3級山岳に入るとレースは動き出す

ディメンションデータのヤンセファンレンズバーグがアタック

単独で3級山岳を追走集団に30秒差をつけて1級山岳へと突入

追走集団からは登れるスプリンターのロハスとLLサンチェスがアタックして先頭へ出る

そして気がつけば絶好調のトレンティンも追いついてくる

一方メイン集団は1級山岳の山頂まで5キロの地点でバーレーンがペースアップを始めて山頂手前でニバリがアタック

ダウンヒルが得意なニバリだが落車も多い

そしてこの日の下りはかなり危険だ

 

逃げ集団も下りに入るとロハスとトレンティンに絞られる

やはりスプリンターは下りが早いのだろう

頭のネジが二つ三つ飛んでないと集団スプリントなんてできない

最後の最後まで二人協調体制でゴールを目指す

僅かながらに牽制しながらゴール手前でトレンティンがロハスの番手に回る

ここからは登れるスプリンター同士のタイマンだ

しかしグングン加速するトレンティンに対してロハスが伸びない

どうやら足が残っていない見たいだ

今回ばかりは「待ってよトレンティン」ではなく「行ってよトレンティン」状態

そのままトレンティンがロハスを引き離して今年のブエルタ2勝目を飾った

そしてクイックステップ自体何勝目になるのだろうか?

調べてみた

4勝目だ

まさにクイックステップ祭りである

 

メイン集団ではニバリが危険な下りを攻めまくる

スカイは安全マージンを取りながらもニバリを追走

しかし下まで下りてみれば結局は一つの集団

ただ知らない間に偉大な父を持つニコラス・ロッシュが単独で飛び出していた

ロッシュは総合のライバルたちから29秒もの差を奪いゴール

チャベスと同タイム2位まで浮上してフルームとの差は36秒となった

ニバリとフルームの差は1分17秒だ

 

 

続いて第11ステージ

アンダルシアを見下ろす天文台へゴールするこの日のステージ

終盤に連続して1級、1級登りゴールだ

獲得標高は3490メートル

俺なら349メートルでも嫌になる

そして天気は雨

気温18度

前半の猛暑からの18度

体脂肪一桁の選手達にとって体調を崩しやすい嫌な雨である

ポッツォヴィーヴォはレースを去った

逃げは14名

結構いいメンバーが入っている

逃げグループで総合成績が一番いいアントンがフルームから5分54秒遅れなためにスカイは4分ほどでレースをコントロールする

さすがにアントンは危険だ

かつてブエルタ総合優勝目前にて落車リタイアしたアントンである

残り60キロ

オリカがメイン集団をコントロールし始める

3枚のカードを持つオリカ

誰で仕掛けるのか?

逃げとの差が40秒に縮まったところで攻撃開始

山頂まで残り10キロ

サイモン・イェーツが発射された

サイモンに続きアタプマも出る

サイモン&アタプマは先頭のバルデ、ヴィスコンティらに追いつく

スカイのコントロールに戻ったメイン集団との差は2分

最初の1級山岳の山頂をクリアする

下り区間で逃げのメンバーは実力者のバルデ、アタプマ、サイモン・イェーツに絞られる

バルデとアタプマの下りは早い

サイモンも続く

メイン集団まで2分45秒のマージンを持って最後の1級山岳に突入

あとは天文台目指して駆け上がるだけだが、ここでサイモンが脱落する

どこかでアダムと入れ替わるのか?

はたまたエースチャベス発射の布石か?

ただ単に足がなくなったのか?

最後の1級山岳入るとメイン集団もペースアップ

残り11キロ

この日もやはりこの男が仕掛けた

引退レースのコンタドール

そこにニバリがくらいつく

常に攻撃的な走りを見せてきた二人が仕掛けた

フルームはいつものように下を向いてはクネクネしている

やがてチャベスにデラクルスが遅れる

そして前日頑張りすぎた偉大すぎる父を持つニコラス・ロッシュも遅れた

ザッカリンは調子がいい

総合が動きそな気配が漂う

総合系の争いであっという間に先頭のバルデ、アタプマも飲み込まれてしまう

再び一つになった小さな小さな小さなメイン集団

フルーム、コンタドール、ニバリ、ケルデルマン、ザッカリン、ミゲルアンヘル・ロペス、ニエベ

この時点でもアシストのニエベを残すフルーム

下を向いてクネクネしてる姿が余計に不気味である

夜には満天の星空が見えるであろうカラル・アルト天文台

気温は9度

最後の力を振り絞り戦いが繰り広げられる

残り2キロ

ニバリがアタック

コンタドールが遅れた

ケルデルマン、ザッカリンも付いていけない

そしてニエベもお仕事終了だ

スカイは残業代をたっぷりと払ってあげてほしい

戦いはミゲルアンヘル・ロペス、フルーム、ニバリの3人に

絶妙なタイミングでミゲルアンヘル・ロペスが飛び出す

そしてフルーム、ニバリをグングン引き離して

そのまま14秒差をつけてゴール

自身初となるグランツールでのステージ優勝となった

23歳の新鋭ミゲルアンヘル・ロペス

コロンビア人である

 

ニバリはフルーム、ケルデルマンと同着ながらもステージ2位でボーナスタイム6秒をゲット

コンタドールとザッカリンは17秒差

デラクルスが1分遅れてチャベスは1分51秒もの差がついた

そして好調だったロッシュはなんと4分以上遅れ

完全に総合争いから脱落した

2017年アンダルシアの夏である