鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

2017年ブエルタ第12、13ステージ

2017年ブエルタ・ア・エスパーニャ

第12ステージ

雨も上がり暑い暑い、アンダルシアの夏

まずは海岸線を走り中盤あたりに1級山岳そして終盤に2級山岳をこなして下ってゴールな逃げステージである

雨のステージが続いたために体調を崩しリタイアする選手も多い

パウエルス、ジョージ・ベネット他数名

そんな中でアクアブルーのチームバスが放火されたそうだ

チームには恨みはないというが悪い奴がいるもんだ

一体なんの目的で放火したのか?

プロコンチなんて予算も厳しいだろうに・・・

放火の場合は各種保険はどんな扱いになるのだろうか?

車両や機材など

全額降りれば全て新品になるんだろうが

レースはこの日も大きな逃げ集団

14名の逃げだ

ほとんどのチームから逃げに乗ってきている

やはり逃げないとステージ勝利は厳しい

チームメイトが4人となったディメンションデータのオマール・フライレもようやく逃げに乗ってきた

2年連続山岳賞のブエルタ山男だ

どうやら今までは体調が優れなかったらしい

チーム内でリタイアが多いのは何かウイルス性のものが蔓延してるのだろうか?

確か以前スカイもチームごとブエルタから撤退になっている

全身黒づくめで悪の軍団のイメージが強かった時代だ

原因不明の病気がチーム内で蔓延してマッサージの人が亡くなってしまったそうだ

今は抗菌オタクとなってるので大丈夫だろうが

そんなスカイがこの日もレースをコントロールする

いつものように他にコントロールしたいチームも存在しない

レースは特別動きもなく逃げとのタイム差が7分まで開く

ブエルタ名物の牛の看板も登場

アンダルシアの夏を思い出す

そしてナスの漬物を思い出す

小さな一口サイズのナスをオリーブオイル、にんにくや唐辛子などと一緒に漬け込んだものだ

ナスのアサディジョ漬けというらしい

俺のベランダでは今年初めて鉢植えのオリーブが実をつけた

今年の秋に収穫して漬物する予定だが

オリーブもこの漬け方で良いのだろうか?

また後で調べてみないといかんな

そして今日は赤い花を衝動買いしてベランダに置いてある

やはりブエルタの季節になるとマイヨロホの赤が気になる

信号だってマイヨジョーヌからマイヨロホへと変わる

どうせなら青はやめてピンクにすればマリアローザマイヨジョーヌ、マイヨロホになるのにといつも思うのだが

ピンクと赤は見分けがつきにくいから無理だろうな

こんなどうでも良い話を書くほどレースは動かない

そしてそれは1級山岳へ入っても同じであった

下りでモルコフが飛び出すが吸収される

メイン集団との差も9分ぐらいまで開いていく

この日もステージと総合の二つの争いが始まる

ポイント賞と山岳賞争いも絡んでくると楽しみが増えるのだが

今年はあまり存在感がない

2級山岳が始まる

逃げの中からアタックが始まりようやく再びレースは動き出す

フライレ、ポランスキーロハス、マルチンスキーなど

その中からマルチンスキーが頂上手前で飛び出して独走に入る

追走集団も必死に追いかけるがどんどん離されていく

先頭のマルチンスキーは単独で2級山岳を超えてダウンヒル

一方9分遅れのメイン集団

元チームメイトであり自身のアシストでもあった偉大すぎる父を持つニコラス・ロッシュにコンタドールがウインクをする

攻撃開始のサインだ

コンタドールのウインクを受けてハートを撃ち抜かれたロッシュがアタックを仕掛ける

そしてコンタドールもそのアタックに続く

やはりこの日も動いてきたコンタドール

最後まで諦めない彼がレースを面白くする

スカイからも一人反応してチェックするが後続のチームメイトが続かない

どうやらフルームからは追わなくて良い指示が出たのかも知れない

解き放たれたコンタドールとロッシュ

あと1週間ほどで見納めとなる軽快なダンシング

観客も大興奮

興奮しすぎた観客を警備の人が突き飛ばす

道の転がる観客にサポートのバイクが突っ込んで転倒

コンタドールが動いたことで観客も運営もパニックだ

そんな中でスカイだけは冷静にコントロールしながら登りをこなしていく

やがてハイペースのコンタドールにロッシュがついていけなくなる

かつてのアシストのロッシュを置き去りにしたコンタドールを山頂で待っていたのが現在のアシストのトインズだ

コンタドールは昔の女を捨て新しい女のところへ

山頂で合体

繋がったままダウンヒル

勾配が緩く踏まないと進まない下り

アシストの存在は大きい

カメラが切り替わる

「ん?フルーム?」

フルームがバイク交換を求めている

いつものようにメカトラなのか?落車なのか?

どうやら落車みたいだ

フルームが自分のミスで転んだ場合は紳士協定は関係ない

メイン集団のライバル勢もフルームを待つことなく走り続ける

素早くスペアのバイクに跨り走り出すフルーム

カメラが切り替わる

「あっ!」

フルームが道に転がっている

再び落車だ

素早く起き上がり走り始める

どうやらバイクは壊れていないが間違いなく怪我はしているはず

そして間違いなく彼は焦っている

常に冷静にレースをコントロールしてきたスカイ

そのスカイの親分のフルームが赤い服を着たまま焦っている

完全にパニック状態である

やがてチームメイトと合流

全力でメイン集団への復帰を目指すが

コンタドールとは1分、メイン集団とも30秒の差がついている

そんなこともありすっかり忘れていた先頭のマルチンスキー

独走状態で余裕のゴール

今年のブエルタ2勝目を飾った

最後の最後までトインズを使い切りコンタドールが全力でゴールを目指す

コンタドールは先頭から7分25秒遅れでゴール

総合上位のいるメイン集団は7分47秒遅れ

パニック・フルームは8分07秒遅れでゴールした

失ったタイム20秒

この20秒が最後にどう響くのか?

たかが20秒だが、されど20秒なのだ

 

 

第13ステージ

ほぼ平坦ステージ

総合にとっては週末の戦いに備えての休息日ステージ

そして数少ないスプリンターのステージだ

とは言ってもブエルタの平坦ステージ

一癖も二癖も三癖もある

最後の最後でぴょこんと登っている

果たしてどれだけ登っているのか?

現地からのリポートもないのでわからない

その時が来るまでは

この日も暑いアンダルシアの夏

気温37度とか表示が出ている

選手も首元を氷で冷やしながら走る

こんな日は逃げも少ない

逃げは5名

しかしメンバーは逃げのスペシャリストばかりである

怒りのデヘントにデマルキ、グジャール、クールティユ、ヴィレッラ

メイン集団もそれほどタイム差を広げずに追走する

さすがにスプリントステージ

この日のコントロールクイックステップとロットNLユンボキャノンデールで構成される

そして前日に頑張ったオマール・フライレがリタイア

これでディメンションデータは3人となる

さぞかし寂しい夕食会なんだろうな

タイム差は2分ほどまで縮まるが逃げもメイン集団ものんびりと走ってるように見える

暑さのせいだろう

お互いにお互いを確認しながら逃げて追いかけてる

それでも残り20キロで逃げメンバーからも脱落者が出て

最後にはデヘントとデマルキの二人になる

とは言っても最強の逃げ屋の二人だ

メイン集団もうかうかしていると逃げ切られてしまう

やがて足を気にし出すデヘント

そしてついにデヘントも力尽きる

さすがにツールで1000キロ逃げただけにキツイんだろうな

先頭はデマルキ単独

残りのボトルの水を頭からぶっかけて最後の抵抗を見せるデマルキだったが残り7キロでアンダルシアの逃走劇は終わった

さすがにトレンティンで5勝目を目指すクイックステップが逃げは許さない

残り3キロ

結構登っている

なんとかついていくトレンティン

前方には総合系チームも上がってくる

数名がロングスパートを仕掛けるが決まらない

残り1キロ

アラフィリップがトレンティンを引く

このままアラフィリップでも勝てそうな気がするが彼の走りはアシストの走り

やはりエースはトレンティンだろう

残り300メートル

フルーム、ニバリなど総合勢も前をキープ

フルームが無線で何か話している

スカイのモズコンが飛び出した

スカイもステージを取りに来ている

しかし完璧にコントロールされた中から発射したトレンティンがこの日も強い

余裕すらあるような登りスプリントを制して個人で3勝目チームで5勝目となった

 

2位にはモズコン

このブエルタで知った選手だがTTも早く登りもこなせてスプリントもできる

これまたオールラウンダーな選手が出てきた

クラシックなんかも強いのだろうが

栗村氏と同じように俺たちの世代だと

名前からイメージするのはやはり

ロボコン0点」「うらら・・・」

ロボペチャに巨大な注射器で追いかけられそうなイメージなんだよな

 

この日は無事にこなせたフルーム

果たして怪我の影響は出るのか?

今日からがブエルタの本番である