鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

名駅ゲートタワー「なかめのてっぺん」あじフライ膳950円

とある木曜日のことである

俺は急な予定変更により呆然と名駅に立ち尽くしていた

まだ10時である

さてどうする?

せっかく街まで出てきたんだから昼飯でも食べて帰るか

そう思った俺はゲートタワーへと向かった

今日こそはゲートタワーでランチを食べてやろうという考えだ

下調べはしていない

果たしてどんな店が軒を連ねているのか?

俺はひとまず本屋へと向かった

巨大な三省堂である

さすがに平日だとほとんど人はいない

俺はこの巨大な本屋を独り占めした気分で本を物色した

これだけの品揃え

欲しい本もありすぎて困るぐらいだ

しかし俺には金がない

万感の思いで諦めて行く本たち

静かな場所でのんびりと全部読むことができたらどんなに幸せだろうか

今は7月

とりあえずはツールが終わって仕事がひと段落する10月まで読書はお預けである

そうやって考えると人生長いようで短い

あっという間に1年が過ぎていく

時は10時半

俺は上へ上へと登った

ビックカメラユニクロと通り過ぎていく

それにしても日本全国どこへ行こうが同じ店ばかりである

俺は12階にたどり着いた

お隣の高島屋と合体して巨大なレストラン街を形成している

フロアは12階13階

まずは一通りランチメニューをチェックすることにした

予算は1000円以下

4つ足禁止

これが俺のランチに課せられたルールである

しかし予算に関して数百円オーバーは要相談で増額される場合も多々ある

そして相談相手は俺の中のもう一人の俺である

それにしても早くも行列ができている店がある

ミート矢澤、たいめいけん

並んでいるのは女性ばかり

観光客なのか?昨日の残り物をつめた愛のない愛妻弁当を夫に食べさせて自分たちは豪華ランチを楽しもうというのだろうか?

俺が注目していた野菜料理の店も既に女性のみの行列ができている

さすがにこの列におっさんが紛れ込んだら変質者として通報されかねない

一応メニューを見てみた

かなり強気な価格設定

ダメだな

やはりここはある程度裕福な人たちのための店のようだ

俺のような貧乏人にはとてもじゃないが手が出せない価格設定の店が多い

確か店で働く人も時給がかなり良かったんだよな

結局1000円以下で食べれる物はほとんどない

4つ足禁止となると魚、鶏、野菜となる

鶏でも1200円オーバーとかになってくる

野菜料理になると無農薬だとか言い張ってぼったくり価格になる

しかし俺には既に目をつけておいた店があった

海鮮炉端系の居酒屋だ

屋号は「なかめのてっぺん」

店の前にはランチメニューの立て看板

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一番人気はぜいたく丼1580円

とてもぜいたくだ

俺には無理

鯛茶漬けはリーズナブルな価格

そして何と言ってもその隣に書いてある1000円以下のメニューが非常に魅力的なのだ

あじフライ

あこう鯛の西京焼き

金華沖鯖干物

チキン南蛮

三河豚肩ロース味噌焼き

三河豚は4つ足で1000円オーバーとなるので却下だが

俺は迷った

そして決断した

先週に引き続いてあじフライだと

なんと言っても境港と書いてある

非常に魅力的である

しかもこれらには全てに小鉢、茶碗蒸し、味噌汁、ご飯、漬物がつく

そしてご飯はおかわり自由だ

店の前には椅子が置いてある

どうやらこの椅子に座って待ちやがれってことみたいだ

そしてどうやら俺が一番乗りみたいだ

店員さんがメニューを渡してきた

これ見て先に決めとけよハゲってことらしい

見るまでもなく俺の心は決まっているのだが俺は一応迷うフリをした

次第に人が増えてくる

「これうまそうじゃね?」「ここでいいじゃん」

そんな会話が聞こえてくる

とてもイライラする話し方だ、我慢我慢

店員さんがメニューを引き取りに来た

「あじフライ膳と生ビールで」

早速カウンターへと案内された

手持ち無沙汰な俺はスマホをいじくりまわした

なかめのてっぺん検索検索

あっという間に俺のスマホは情報を調べて画面に表示させた

芸能人とか出てくるがこれなんだろう?

調べてみた

どうやら東京の中目黒の本店は芸能人と遭遇する確率が高いことで有名な店だそうだ

その店が名古屋に進出

そして今の段階では他の店より空いている

やはり名古屋では魚系は弱い

みんな4つ足に夢中だ

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机に上には様々な調味料がある

古式梅蜜

2段仕込み醤油

すだちポン酢

生梅

中濃ソース

七味唐辛子

これは迷うな

俺はあじフライに何をかけるか想像を巡らせた

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生ビールが運ばれてきた

確かキリンのはずだ

そしてこの店はビールの注ぎ方にも気を使ってるらしい

俺は早速一口飲んだ

ちょうどいい冷え具合

一番ビールを引き立たせる温度である

よくありがちなのは冷やしすぎた生ビール

あれはダメだ

炎天下の中でキンキンに冷えたものを最初だけ飲むならまだいいのだが

エアコン完備の店内でキンキン生ビールは最悪である

そんなビールを出す店は料理もイマイチな場合が多い

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そしてついに登場

境港のあじフライ膳 950円

大きなあじフライが2匹網の上に鎮座している

そして肉厚だ

小鉢に茶碗蒸し

かなりコスパは良さそうだ

なかなかこの辺りでこの値段でこれだけのあじフライには出会えない

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あじフライの脇を固めるのは名アシストのキャベツにレモン

そしてマヨとからしと言うスペシャリストたち

タルタルがないのが残念だが

まぁいい

豊富な調味料たちが俺を待っている

あじフライ

王道は醤油とソースのWエースである

キンタナとバルベルデ

アルとフグルサング

フルームとゲラントトーマス

そしていつも俺たちを悩ませるのである

魚には醤油がよく似合う

しかしフライにはソースもよく似合う

マヨなんて飛び技もいい感じだが

俺はまず王道の醤油を選択した

2段仕込み醤油を半分たらしたのだ

まずは一口

サクッ!

「おおお、こ、これは!!」

なんという肉厚なあじフライだろうか

そしてちゃんとアジの味が感じられる

これも肉厚だからこそなせる技

安い価格帯のアジフライだとただ単にサクサクフライで

これなら白身魚でも同じだなと思わせるようなものも少なくはない

しかしこれは境港のアジである

さすがとしか言いようがないアジフライだ

次に俺はレモンを絞った

そして俺がチョイスしたのは生梅

これは梅が香る醤油なのだ

ほんのり爽やかな梅の酸味とレモンの酸味

夏にはとてもよく似合う組み合わせである

俺は一口食べて

油を忘れさせるかのような爽やかな瀬戸内と紀州の風が俺の口の中を吹き抜けていく

幸せだなぁ

ただそれだけである

ここでキャベツをもりもり

とても胃に優しい

次に俺はマヨを少しつけて醤油マヨ

そして醤油マヨwithからしなど試してみた

どれも一口で抑えるには惜しい組み合わせ

さらに七味トッピングなんてものもある

一体アジフライはどれだけ俺たちを悩ませればいいのか

最低4匹は必要だな

すだちポン酢は次回に回して

次はもう一つの王道ソースを選択することにした

この店に置いてあるのは中濃ソースだ

俺は残りの1匹のアジフライに中濃ソースをかけた

「し、しまったかけすぎた・・・」

悔やんでもソースは除去できない

とりあえず食べてみよう

「うっ!」

とても濃厚な中濃ソース

ソースが甘すぎて肝心のアジの味が壊滅的状況に追いやられてしまった

これはソースが濃すぎる

そしてかけすぎた

これは失敗だ

ソースはソースでもウスターとコーミソースを揃えてほしい

この二つを揃えた上での中濃だ

いいアクセントになるはず

そしてそれらのソースを調合するための小皿も用意してほしい

俺は気を取り直してマヨやからしをつけた

さらに悪化した

こうなってはもう手遅れである

名古屋の味噌カツや味噌串カツも同じだが

中濃ソースには他のものを受け付けない強い個性がある

いきなり個性を受け入れるのは非常に難しい

この辺り店は検討の余地が必要だな

 

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これが小鉢

なかなかいい味付けで満足の一品

油の後の口直しには最適である

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そして茶碗蒸し

サイズはとても小さい

しかしその大きさからは想像もできないぐらい具沢山

食べ応え抜群である

そして卵の素材の良さが感じられる

しかしそれだけに出汁の旨味が薄い

俺が関西の茶碗蒸しに慣れすぎたのか?こんなものなのか?

俺には茶碗蒸しというよりも甘くないたまごプリンというイメージであった

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赤だしはシジミ汁である

これは嬉しい

俺は早速飲んでみた

「ん?」しじみの出汁がほとんど出ていない

俺はがっかりした

やはりコスト的に家で作るようにはいかないのかな

まぁ赤味噌系の味噌汁は難しい

俺はほとんど満足のいくものを飲んだことがない

味噌汁自体大変に奥の深い料理であることを俺は京都の志る幸で学んだ

しかしランチの味噌汁としては十分に合格点である

名古屋で味噌汁がうまいと思ったのは中村孝明の店かな

出汁と味噌のバランスが絶妙で

あそこの味噌汁は美味かった

 

今回のアジフライ膳

トータルでは非常に満足

できればタルタルと普通のソースを揃えてくれれば完璧だ

タルタルはチキン南蛮のがあるはずだしな

名古屋でアジフライを食べるのならここにしておけってぐらい気に入った

今度は鯖かな?あこう鯛かな?

でも一度はぜいたく丼も行ってみたい

当店ナンバーワン

しかし指名料は無料だ