鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

あじフライを大曽根駅で

とある平日の日

俺は名古屋市大曽根という場所にいた

ある用事を済ませるためだが

予定の時間が2時間半ほど空いたので時間を潰すことにした

どこか公園みたいな場所で読書でもしようと思い

近くに徳川園があることを思い出したのだ

徳川美術館も併設されている徳川園

いわゆる昔の大名屋敷である

1695年に造営された尾張藩2代藩主徳川光友の隠居所の大曽根御屋敷跡

大名屋敷らしく池泉回遊式庭園が今も残されている

街中に今でも残る静かな緑溢れる庭園

入場料は300円だ

ドトールで粘るよりは徳川園の方が有意義な時間を過ごせる

我ながらなかなか良いアイデアである

ただ残念なことにこの庭は空襲で丸焼けになっている

その後、昭和によくありがちな古いものを大切にしない風潮により

ただの公園として整備された

そして平成17年再び大名庭園として再整備されたのだ

そのためにどこか新しさも感じる大名庭園となっている

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庭園には巨大な池「龍仙湖」がある

その周りをのんびりと散策

平日とはいえ人はほとんどいない

おじいさんが一人ベンチに腰掛けているだけだ

その後5〜6人の老人の団体客が訪れた

俺が滞在した1時間に限ればそれだけであった

俺は紅葉や松などの剪定を見ながら池泉回遊した

ブクブクと太った色取り取りの鯉たちが仕切りに口をパクパクさせている

今度生まれ変わるのならここの鯉になりたいな

と、俺は思った

個人所有の小さな池でなく、この巨大な池で餌も毎日ちゃんと貰えて天敵もいない

好き勝手に泳ぎまわり人間を見つけては口をパクパクさせればいいのだ

しかしこの大きな庭

維持費ってすごいんだろうな

隠居屋敷か

やはり徳川の力は相当なものだったみたいだ

こんなに大きな隠居屋敷はいらないが、静かな場所に俺もこじんまりとした平屋の建物と茶室と小さな庭を完備した隠居屋敷が欲しいものである

仮にこれだけの敷地があったら日本庭園ではなく雑木ガーデンにしてMTBのコースを作りたいな

ちょうどいい具合に高低差もある

そんなことを妄想しながら俺は徳川園で一番涼しい場所、大曽根の滝へと向かった

どうやらこの大曽根の滝とやらは木曽山脈をイメージして作られたそうだ

そんな説明を聞かされても俺にはさっぱり木曽山脈には見えない

そしてここから流れる渓流が木曽三川だそうだ

やがて木曽三川は伊勢湾へ流れ込む

そんなリアル自然をリスペクトして再現した徳川園なのだ

俺は腰掛けた

大曽根の滝の前に設置してあるベンチに

そして、しばし読書に勤しんだ

マイナスイオンが俺を優しく包み込む

俺は時間が経つのも忘れて平松洋子さんのエッセイを読んだ

「あじフライを有楽町で」

時は11時だ

朝から何も食べていなかった俺は腹ペコであった

昼からの予定の前に腹ごしらえでもするかな?

俺は徳川園を後にした

併設の土産売り場でしばし足止め

ここは面白いものがいっぱいあって目移りしてしまう

しかし俺には余計な出費をする予算などない

俺は店を物色しつつ大曽根駅へと向かった

やはり11時半オープンの店が多い

結局俺は大曽根駅まで歩いてきてしまった

まぁいい

このあと予定を考えると駅にいた方が何かと都合がいい

俺は駅舎に併設されている飲食店を回った

ここもまだ開店前の店が多い

スガキヤは以前ヒドイ目に合ったからパスだな

そんな俺の目に飛び込んできたのが「かどや大曽根

どうやら名鉄が運営している居酒屋みたいだ

そして名古屋にしては珍しく昼から飲める貴重な店

食事系はラーメン、うどん、きしめんがメインとなるが

これに揚げ物を合わせた麺定食が620円で提供される

名古屋にしてはかなりリーズナブルな値段設定である

その他、おでんや串カツに土手など一品ものも昼からOK

俺は迷うことなく暖簾をくぐった

最初は麺定にする予定だった

俺は一応店内のおすすめメニューを見た「あじフライ200円」

即決だ

まずはあじフライで一杯だな

そしてそのあとで麺

ラーメンも捨てがたいが

ここは「山形だしうどん」これでいこう

よくわからんが山形を感じるいいチャンスだ

俺は単品としてあじフライ、山形だしうどん、生ビールを注文した

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早速ビールが運ばれてきた

このあとの予定まで残り45分

俺は歩き疲れた体に午後からの活力を与えるためにビールを飲んだ

やはりこれである

ここから俺の1日は始まる

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庭を見て読書して生ビール

先ほど読んでいて食べたくて仕方がなかったあじフライ

なんという黄金コース

まるでツールのクイーンステージではないか

俺は平日の昼間に揚げたて熱々のあじフライで生ビールを飲むという至福な時間を堪能した

もっとゆっくり飲みたいが、いかんせんこのあとの予定が詰まっている

俺はハフハフしながらソースをたっぷりと染み込ませたあじフライを堪能した

揚げたて熱々でサックサクだ

俺は急ぎ早に生ビールを飲み干した

厨房ではうどんが茹でられている

先ほどから「とろろ」との声が聞こえてくる

俺の想像では、さぞかし出汁を効かせたうどんと言うイメージで注文した

山形だしうどん

しかし出てきたのは冷やしとろろうどんであった

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「山形だしうどんね」と渡されたそのうどんは明らかに、冷やしとろろうどん

山形ではとろろのことを「だし」と言うのだろうか?

この上に乗ってる緑はなんだろう?

俺はとにかく混ぜ混ぜしてうどんを食べた

かなりコシのあるうどん

麺は讃岐系だ

実は俺はコシのありすぎるうどんは、あまり好きではない

最近では博多うどんがマイブーム

そして京都で食べる柔らかめなうどんが好きなのだ

でもこれはこれでうまいな

何よりも600円だしな

俺はちゅるちゅると冷やしとろろうどんを食べた

汁もあっさり系で一滴残さず飲み干した

ごちそうさま

合計1280円

名古屋としては安いな

カロリー的にもちょうどいい組み合わせ

俺は比較的満足して店を後にした

値段が値段だけに特別うまいというワケではない

しかし毎日のように立ち寄っては一杯飲みたくなるような

そんな店だった

また来よう

時間をチェック

次の予定は12時20分

急がねば

 

午後からの用事を済ませた俺は電車の中でスマホをいじくりまわした

山形で言う「だし」

調べてみた

どうやらあの緑が「だし」みたいだ

だし汁のことではなく、茄子・きゅうり・茗荷・紫蘇・オクラなどの夏野菜や香味野菜を生のまま細かく(5mm程度)刻んで醤油を絡めて冷やし、ごはんにかけて食べたりそのままお茶請けにしたりする山形の郷土料理

これが「だし」である

俺は全てを理解した

これは俺が好きなやつじゃないか

また一つ勉強になった

讃岐でなく稲庭あたりで作ったらうまそうだな

そしてその時には「だし」はたっぷりと欲しい

とろろはあってもいいが少なめだな

あくまで夏野菜を楽しみたい

酸っぱい梅干しのトッピングもありだな

それか大原の酸っぱいしば漬けを刻んだやつとか

どこかで食べれないかな?

やはり自分で作るしかないか