2017年ツール・ド・フランス第15ステージ
中央山塊を走る中級山岳
そして明日は2回目の休息日である
日本人にとっても海の日だ
スタートして直ぐにやってくる1級山岳
連続して3級もこなしてからスプリントポイント
しばらく下り基調を走り1級4級と連続で登って下ってゴール
今年のツール絶好の逃げ切りステージだ
同時に山岳を決めたいバルギル
キッテルとのポイント争いにおいて僅かでも可能性がある限り諦めないで出来る限りのことをやりたいマシューズ
当然逃げてステージ勝利したい選手
そして総合争いと新人賞争い同時に5つの争いが繰り広げられる
レースが始まると一斉に逃げたい選手が飛び出していく
その中にはトニーマルティンやバルギルの姿も
しかし直ぐに1級山岳がやってくるためにまだ逃げ切りメンバーは確定されない状態
マルティンが逃げグループをガンガン引く
カチューシャは2名逃げに送り込んでいる
後方からはトレックがガンガン引いて迫ってくる
コンタドールは再び攻撃を仕掛けるのだろうか?
先頭は10人ほどで最初の1級山岳に突入
差は1分30秒
バルギルの無茶なペースについていけない選手たちが遅れる
先はまだまだ長い今は自分たちのペースで登ればいい
そのバルギルの異常なハイペースに付いていったのは
バルギル、セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
ディラン・ファンバーレ(オランダ、キャノンデール・ドラパック)
まず先頭で逃げグループを形成する
とにかく最低限のノルマとして最初の1級山岳だけでもトップ通過したいバルギル
かなりのハイペースで登っていき山頂を一位通過した
この一級山岳で後方のメイン集団からアタックが始まる
バウケ・モレンマ(オランダ、トレック・セガフレード)
ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼール)
ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)
ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)
マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)など23名が追走グループを形成
やはり中間スプリントポイントそして最後まで逃げ切りたいマシューズがこの日も逃げに入った
追走の23人は60キロ地点で先頭と合流
28人の巨大な逃げ集団となる
メイン集団はスカイがコントロール
メイン集団は意図的に少しづつ逃げとの差を広げていく
逃げのメンバーで1番総合順位が上なのはBMCのカルーゾ、フルームから11分26秒遅れの14位だ
そのために10分程度なら逃しても問題はない
たとえカルーゾがマイヨジョーヌを獲得しても今後フルームの敵になる可能性は低い
そしてBMCは逃げにデマルキ、ロッシュ、モワナールと4人の選手を送り込むことに成功している
切るカードがありすぎてチームにしては嬉しい悩みだ
中間スプリントではマシューズが予定通り一位通過
キッテルとの差を20ポイント詰めていく
サンウェブもバルギル、マシューズ、ゲシュケと3人逃げメンバーに送り込んでいる
タイム差は7分残り66キロ
ここで隙をついてスルスルっと、ごく自然にトニー・マルティンが逃げメンバーから抜け出す
一瞬「ん?」といった感じの逃げメンバー
気がついたときにはすでに遅い
現タイムトライアル世界チャンピオン
決して逃してはいけない男である
とにかく単独で走らせたら世界一の選手だ
慌ててBMCが捕まえようとするもどんどん差を広げるマルティンであった
TTポジションを取り淡々と重いギアを踏み続けるトニーマルティン
こうなったらいくら人数を揃えようが平坦で彼を捕まえるのは難しい
追走集団から1分30秒差をつけて独走する
そしてメイン集団からのタイム差は9分30秒だ
すっかり独走するマルティンに釘付けである
2つ目の一級山岳に突入
残り40キロあたり
画面がメイン集団に切り替わる
「ん?」
先頭をAG2Rがガンガン引き倒している
いつの間にスカイの前に出た?
「ん?」
黄色い男が遅れている
間違いなくフルームだ
一体何が起きた?
どうやらフルームはメカトラみたいだ
道幅が狭いためにチームカーが上がってこれない
仕方がなくアシストからホイールを貰い再スタート
しかしAG2Rはまだガンガン引いている
詳細がよくわからなない
どうやら先にAG2Rがペースアップした後でタイミング悪くフルームにメカトラが発生したみたいだ
スポーク切れだと言うが
新品のデュラエースだろうに、怖いな
だがこれならライバルたちは別にフルームを待つ必要はない
絶体絶命なフルーム、40秒まで離される
だが律儀にもバルデやアルなどのライバルは攻撃を仕掛けない
なんとか追いつくフルームだが
アシストを失った
残るアシストはランダのみだ
そしてこのハイペースな展開にキンタナが遅れる
やはり調子もまだ日替わりみたいだ
先頭のマルティン
さすがに1級山岳にはいるとペースを落として追走集団に吸収される
HTC時代の総合もいけるかのような登りを期待してたが厳しかったみたいだ
先頭にはバルギルとパウエルスが出る
そしてバルギルが今日2つ目の1級山岳山頂を一位通過
これで山岳賞はほぼ確定させる
あとはできる事ならもう一回ステージも欲しい
ペースアップをしたメイン集団は7分差で追いかける
地元のバルデがアタックを仕掛けるが決まらない
沿道にはバルデの応援団がフルームへ向けてブーイングの嵐
やはりブイーングは不快になるが俺も子供の頃はナゴヤ球場でしきりに巨人の江川に向けて野次を飛ばしていた
結局メイン集団は何事もなく、みんなで仲良く山頂を通過する
逃げの先頭は相変わらずバルギルとパウエルスだ
ここからのバルギルは必死に先頭を走る必要はない
後続を待ってみんなでローテションした方が得策だ
2人に追走集団が追いついて再び合流
同じ目的を持つ仲間たち
ここまではチームを超えて協力してきたがそろそろ最後の勝負に向けての騙し合い、静かな戦いが始まる
残り29キロ
モレンマが下りを使ってアタック
そのまま最後の4級山岳を単独で登り独走態勢に入る
追走との差は18秒
まだまだ勝負はわからない
追走メンバーはバルギル、ログリッチェ、ウリッシ、ギャロパン
エース級の選手が揃っている
追いつかれたらウリッシ、ギャロパンに持って行かれる可能性が高い
とにかく逃げるしかない
しかしなかなかうまく回らない追走集団
徐々に追走の中でも牽制が始まる
スプリントで不利なバルギルなどローテーションを飛ばし始める
少しでも最後の勝負のために足を残しておきたいからだ
結果的に先頭のモレンマとの差は縮まらなくなる
残り10キロ、タイム差20秒
コースはアップダウンが続く向かい風
だがモレンマは力強く走り続ける
そのまま19秒の差をキープしたモレンマが余裕の独走勝利
かつてツール総合の表彰台も期待されてた男が
ツール・ド・フランス初ステージ優勝となった
ゴール後彼は「単独で走り続ける時間は永遠に感じたよ」と感慨深げに語った
残るはキンタナ以外の総合系勢揃いのメイン集団
4級山岳でサイモン・イェーツが仕掛けるが決まらない
そして総合6位のDマーティンがあったくを仕掛ける
これは見事に成功して独走態勢に入る
すると前方で逃げていたメンバーとDマーティンが合流
チームもみんなバラバラだが幸いにも総合争いをしているチームの選手は含まれていない
通常ならDマーティンの後ろを金魚の糞のようにくっついていく場面だが
なんとみんなDマーティンの協力をして先頭を引いてくれるのだ
違うチームの選手たちに助けられたDマーティンはライバルたちから13秒リードでゴールした
その他の総合系は仲良くゴールへと向かう
最後にフルームが意地の全力スプリント
6分25秒差の同タイムゴールで勝負はアルプスへと持ち越されることになった
総合4位までのタイム差が29秒
かなり接戦な今年のツール
今日は体調を崩しやすい休息日
果たしてどうなるアルプス最終決戦
休息日明けの第16ステージ
距離は165キロと比較的短い
前半に3級4級があって後半はほぼ平坦
おそらくスプリント勝負
今年はいつもより登れるキッテルが遅れるようなステージでもない
やっぱり優勝はキッテル
でもマシューズが勝った方が今後のマイヨヴェール争いは面白くなる
でもやっぱりキッテルには叶わない
優勝キッテル
2位マシューズ
3位ボアッソンハーゲン