鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

おでん屋のハンバーグランチ

今日は寒い

といっても関東ほどでは無いが

朝から何も食べていない腹ぺこな俺はキッテ名古屋へ向かった

今日は500円のランチの店で親子丼か鳥そぼろ丼でも食べようかと思っていたが

直前で仕事の電話が入った

来週からの仕事が決まった

気分を良くした俺は今日のランチの予算を一気に1000円まで引き上げたのだ

そしてビール代の予算は600円である

嵐山吉兆なんか小瓶で1000円ぐらいとる

さすがに一般の店ではそこまでぼったくらないが

通常は500円から600円が相場であろう

ランチの予算が1000円となればかなり選択の幅が広まる

今日は寒い

きしめんで980円のきしめんとミニ丼のセットもいいなぁと思ったが

きしめんはやはり熱田神宮の境内で食べるのが一番美味い

それも本格的な冬の寒い日に外で食べる宮きしめん限定である

あくまで寒い日に熱田神宮の森の中で食べるのが良いのだ

なので冷暖房完備のキッテ名古屋の地下の店に入るのを俺は躊躇してしまった

そんな俺は今年カキフライを食べていない事に気づきマ・メゾンの揚げ物屋を覗いてみた。予算的にはOKだが大きなカキフライが3個と書いてある

3個かぁ

1個を摘んでビールを飲み2個がおかずになる

いけるかな?

俺は悩んだ末に断念した

大きさがはっきりと分からないからだ

さてどうする?

早く決めないとサラリーマンの並が押し寄せてくる

そんな俺の目にふとハンバーグランチの看板が飛び込んで来た

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以前に入ろうとしたがランチメニューを見て止めた店である

ここは鶏だしおでんの店なのだ

それなのに昼は仕込みの関係だと思うがハンバーグ系のメニューのみなのだ

そのときの俺は完全におでん口になっていたのでこの後で大名古屋で味噌おでんを食べたのだが見事に後悔する事となった

その後で俺はこのランチの事を調べた

ハンバーグはどうやら鶏ハンバーグだそうだ

ネット上では中々好評だったのでいつかチャレンジしてみようと思っていた

そしてその日が今日なんだとその時の俺は確信したのだ

腹ぺこだったのである程度ガッツリと食べたい

そしておでんスープなる物を試してみたい

これが決め手だった

俺はいつものように右手人差し指を天高く掲げて店内に侵入した

テーブル席は満杯だ

俺はカウンターへと案内された

荷物をイスの下に置いた俺はハンバーグとチキン南蛮のセットと生ビールを注文した

しかしここで問題が発生する

生ビールがまだ準備出来ていないというのだ

俺はパニクった

ビ、ビールが飲めないのか?

ここは店を出るべきか?

しかしそこで店員のお姉さんが俺にある提案を持ちかけて来たのだ

「瓶ビールならご用意できますが」

俺は安堵した

瓶ビールの存在を心から喜んだ

瓶ビールで手酌しながら飲むのもたまには良いもんだ

高級店なんかは生が無くて瓶がメインだしな

俺は店員さんの提案を受け入れる事にしたのだ

「OK!君の提案を受け入れよう。最高の瓶ビールを一つ頼めるかな?」

これでビジネスの取引は成功だ

後は料理が来るまでスマホをいじくるだけである

すぐにビールが運ばれて来た

そしてその瓶ビールを見た俺は驚愕することとなったのである

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こ、これはサッポロのラガーじゃないか

文句無しだぜセニョリータ

湘南爆走族を彷彿させるような赤い星

かつて銀座の煉瓦亭で飲んだビールである

小津安二郎秋刀魚の味である

俺はもう無我夢中でコップに黄金に輝く液体を注ぎまるで自分が笠智衆になったかのように飲んだのだ

小津先生・・・

とても美味しいです

俺は今は亡き小津安二郎に思いを馳せたのだった

最近はサッポロのラガーの飲める店が増えて嬉しい

俺は平日の昼の格別なビールを楽しんだのだ

そんな俺の前に今度は鶏だしおでんスープが運ばれ来たのだ

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写真は後から撮影してるのでメイン料理が見切れているが

とりあえず鶏だしおでんスープである

店の説明によれば

タマネギをたっぷりと煮込んだ健康スープ

消化促進、二日酔い予防、疲労回復、動脈硬化予防、高血圧に効くらしい

俺はさっそく一口飲んだ

熱い!そして美味い!

あっさりとした中にもちゃんと鶏の旨味が出ているこれもまた上等なスープである

しかも写真では沈んで見えないが中には大量にわかめとタマネギが隠されているのだ

どうも最近は俺の持論である「ランチについてくるスープには期待するな」というのがくつがえされていく気がする

そして真打ち登場である

鬼平犯科帳で言えば突然「火盗」と書かれた提灯が大量に掲げられて

火付盗賊改方 長谷川平蔵であ〜る!神妙にいたせぃ!!」となる場面だ

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写真を見ると少ないなと思われる方も多いかもしれない

しかしこれは器がやたらと大きいのである

上に写ってるビールと比較してイメージしてもらえると分かりやすいかと思う

とにかく器がデカイ

俺はかなり衝撃を受けた

かつてここまで大きな皿で提供されるランチがあったであろうか?

俺はさっそく脂肪と糖の吸収を押さえる為にキャベツから食べた

うまいなぁ

やっぱりキャベツはうまい

次にミニトマトを一気にやっつけた俺はその下のナムルみたいなものを食べた

これはなんだか普通だな

後でごはんの上に乗っけて食べてやろう

しかしネットで見た物は確か生パスタのナポリタンだったはずだが?

大好きな物を一番後まで取っておくタイプの俺はここでようやくハンバーグを食べた

こりっとする食感が

これは軟骨だ

ネット上のレビューでもあったようにこれはハンバーグというより巨大なつくねと言った方が正しいかもしれない

俺はこれに期待していたのだ

そして俺の期待を裏切らない美味しさなのである

食感が楽しい

中にはキャベツなのかタマネギなのかなにやら野菜も混ぜてある

鶏肉オンリーではなくいろんな物が混ぜ込んであるみたいだ

そしてその上にかけられているデミグラスソースはこれもおでんスープをベースに作られたソース

これがまたあっさりとした和風デミグラスソースに仕上げられ鶏の巨大なつくねとの相性が抜群である

目の前ではしきりにおでんの仕込みが行なわれている

今俺が食べているハンバーグも焼かれた後でドボーンとおでんのスープの中に投入されて行く

焼いた後におでんとして煮込まれている鶏ハンバーグなのだ

そこに和風に仕上げられたデミグラスソースをたっぷりとかける

これはもう俺的には最高である

ちゃんとしたハンバーグを想像した人はがっかりするかもしれない

しかし下調べをして「つくねぽっい」という事前情報を仕入れておいた俺にはもう最高の鶏ハンバーグであった

そして次にチキン南蛮

ここのチキン南蛮は唐揚げに特性タルタルがかけてある

この唐揚げも美味い!

そしてタルタルもコクがあってうまいぞ!

これにサッポロラガーを合わせられる喜びに俺の心は震えたのだ

幸せだなぁ

ごはんを食べる事を忘れていた俺は先ほどのナムルみたいなのを全部ごはんの上に乗せて軽くかき混ぜた

そしてハンバーグ、チキン南蛮、ハンバーグ、チキン南蛮と交互に食べた

サッポロラガーをごくごく

あぁうまい!

ごはんは普通盛りで正解だ

隣のサラリーマンのおじさん達は大盛りにしてたが俺にはこのランチはボリュームがありすぎて既に満腹である

それもそのはず

普段の俺は朝で200キロカロリー昼に400キロカロリーしか食べないのだ

夜に1000キロカロリー食べてその日の運動した消費に合わせて晩酌のつまみを考えるのである

まぁ大抵は豆腐なのだが

そして今の季節は湯豆腐である

湯豆腐と言えば太宰治が家で飲む時の定番のつまみである

そんな俺なので最後の方は食べるのが辛かった

朝から何も食べていないのに

ごはんは小、中、大と選べる

女性の方は小でも良いかもしれない

最初にキャベツをよく噛んで食べる事で満腹感が得られるのではあるが

外食でこれをやると「さっさとメインの料理食べろや!冷めちまうだろうが!!」と思われるかもしれないので注意が必要である

でも俺はぶれない

今日もキャベツからむしゃむしゃと食べてやったのである

サッポロラガーも最後の一杯となった

残すは唐揚げが一個

俺は最後に残されたチキン南蛮を一気に口の中に放り込みゆっくりと味わった

そしてチキン南蛮の余韻が残ってるうちにすかさずサッポロラガーを一気に胃の中へと流し込んだのであった

嗚呼 満足だ

これで1019円プラス550円の消費税

なかなか良いランチだった

これなら年に数回は訪れても良いなと俺は思ったのだ

なんせサッポロのラガーである

できれば秋刀魚の塩焼きと鶏だしおでんで飲みたいなぁと

俺はこの急激に冷え込んだ秋の日にひとりキッテ名古屋の地下で思うのであった

 

俺は水を飲んだ

外にはサラリーマンの行列が

おっといけない

俺は慌てて会計をすませて退散した

その店はキッテ名古屋の地下空間に存在している

店の名前は「さもん」

 

「鶏だしおでん さもん」である