鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

大名古屋でチキンソテー850円

今日は急遽予定が変更となり

俺は時間つぶしの為に東急ハンズをウロウロする事となったのだ

工具とか欲しいなぁと思うが実際に買っても使う事はほとんどない

今でも一応揃ってるし我慢我慢

でも見てるだけで楽しい

本当に欲しい物は東急ハンズといえども売っていない

なんか昔に比べたら品揃えも悪くなった気がするのは気のせいだろうか?

輸入工具など景気のいい時に買っておいて正解だった

一度買えば一生もの

その他いろんなものを見て回り11時少し前にに大名古屋ビルヂングへ侵入した

まずは地下を物色

相変わらず和菓子屋には行列ができている

本当に行列は勘弁して欲しい

中学校の修学旅行で行ったつくば万博の富士通館を思い出すからだ

俺はつくば万博では一番人気の富士通館だけにしぼり

整理券を貰う為に2時間半並んだ

そして整理券ゲット

しかし入場時間まではまだまだ時間がある

しかし万博での滞在時間は3時間しかない

呼び出しがかかる

「あとでヒッチハイクしてホテルに行くから、おまえらだけ先に行けや」

と先生に言う俺たち

激怒する先生

結局俺たちはつくば万博に行っておきながら行列に並んだだけで何一つ見る事が出来なかったのである

なので行列にはなるべく並ばないほうが良いと言うのが俺の持論である

俺たちが行列に並んだ先にあったものは無でしかなかった

まるで禅の修行なのである

そんな行列を横目に見て他の店を見て回る

蕎麦食べたいなぁと思うが1000円以上になるとなかなか手が出せない

結局はいつものように3階へと上がろうとしたその時である!

なんとエスカレーターにまで行列ができているではないか!!

「やれやれ、なんてことだ」

これでは3階へ上がれ無いではないか

そうなのだ大名古屋ビルヂングの開店時間が11時だという事を俺はこのとき初めて知ったのだ

田舎者の朝は早い

名古屋のくせに東京時間かよ

おそらく伊勢丹の差し金だな

俺は3分という時間を無駄に過ごす事となった

そして開店時間となった俺はさっそうとエスカレーターに乗り3階へと足を踏み入れたのだ

今日の俺の頭の中は大体決まっていた

しかも第3候補まで決まっていた

一路第一候補の博多料理の店へと向かった

俺はここのランチメニューの焼チャンポンが気になっていたのだ

メインとなるもつ鍋は2人からのご注文

まるでダンスのパートナーがいないために卒業パーティーに行けないアメリカ人のように孤独な俺はもつ鍋を食べさせてもらえないのである

いつもこうだ

どこへ行ってもお二人からになります

しかし俺は以前横浜のホテルに入っていた店でもつ鍋を食べた事がある

その時はかなり謙虚に「あの私は孤独なロンリーボーイなんですが、もしよろしければで良いのですが、もつ鍋を1人前だけ食べさえてもらえないでしょうか?」と店員に懇願したのだ

すると店員は「ちょっとお待ちください」と店長らしき人に相談

そしてOKがでたのである

「ユー!ヒトリデモOKデスドウゾ、モツナベ、メシアガルアルネ!!」と

言ったどうかは記憶が定かでは無いがとにかくOKがでたのである

で問題はこの時のもつ鍋である

通常は2人前からだ

なので鍋もそれなりの大きさなのである

そこに具材だけは1人前

そう大きな鍋に一人前の具材だとかなりみすぼらしいのである

「一人前のもつ鍋」・・・

それはまるで一杯のかけそば的な雰囲気を醸し出していたのだ

一人鍋が禁止されているのは

この何とも言えない敗北感を味合わせない為の店側の配慮なのである

でこの店ではお一人様にはもつ焼き定食みたいなメニューが用意されている

でも俺が食べたいのはホルモン焼きではなくあくまでもつ鍋だったのである

しかしそんなランチメニューの中でひときわ異彩を放つメニューが存在していたのだ

「焼チャンポン定食」

あえて博多でちゃんぽん

しかも焼チャンポンと言う聞き慣れないメニューが気になって仕方がなかったのだ

そんな俺がついに決心して店へと向かった

ランチメニューを見た俺

「な、な、なんてことだ!!」

見事にメニューから焼チャンポンが外されていたのだ

いつもこうなのだ

俺が頼みたいメニューは消滅して行く

おそらくほとんど注文されることはなかったのであろう

意気消沈した俺であったが直ぐにプランBへ移行した

今日の俺はいつもの優柔不断男ではないのだ

それはこの焼チャンポン消滅にも絡んでいた

おすすめランチメニューは店の前に大きく表示されている

しかし数合わせで作ったメニューは隅っこに小さく表示してあるだけ

そんな誰からも見向きもされないランチメニューに

俺はいつも自分を重ねてしまうのである

そこで俺がプランBとして用意しておいたのが

以前お好み焼きを食べた「神戸・六甲道ぎゅんた」の名古屋店限定チキンソテーランチ850円である

ここは鉄板焼きの店

神戸が名古屋に進出というといろいろヤバそうな感じだが

この店はそんな後ろめたい事は無く合法的に名古屋へと進出して来た

そしてこの鉄板焼きの店のランチメニューは肉などのお高いコースもあるがお好み焼きや焼きそばランチが1000円で楽しめるとあって大人気なのである

事実俺もお好み焼きを堪能させて頂いた

それはもうとても満足なランチであった

酒も九平次が置いてあり俺的には文句無しなのである

そんな俺が前回から気になっていたチキンソテーランチ850円なのだ

正直俺はうまいチキンソテーを食べた事が無い

そこそこ高い洋食屋に行けば食べられるのだろうが1000円以下で

しかも850円でチキンソテーを食べようと言うのだ

写真をみるとかなりうまそう

そして何より目の前の大きな鉄板で焼いてもらえるのだ

俺はいつものように店に入ると右手人差し指を天にかかげてアピールした

「一人です!」

そして俺はカウンターに腰掛けて注文したのだ

「チキンソテーと生ビール!」

周りの視線を感じる

ざわざわとした空気感も感じる

まるは食堂で海老フライを注文しなかったときのような雰囲気である

でも俺は負けない

どうどうとポケットからスマホを取り出していつものようにマンUの情報チェックにいそしんだのだ

ルーニー代表招集の時に泥酔」

もうダメだなこりゃ、大好きな選手だけどまったく危機感が無いではないか

そうこうしてうちに生ビールがやってきた

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やはり存在感がある

若かりし頃のルーニーもそうであったように

俺は思い出にふけりながら半分ほどこいつを飲んだのであった

すると次に例のスープが登場だ

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巷で話題沸騰中のコラーゲンたっぷり牛鶏薬膳スープである

俺は一口飲んだ

「う、うまいなぁ」

「でもなんかこないだと違うぞ」

俺はこっそりとスマホでメニューを確認した

どうやらこれは薬膳野菜スープかもしれない

まぁいい

美味しいのには変わりないさ

しかし相変わらずここのスープは熱々である

そして「ランチのスープには期待をするな!」と言う俺の持論をことごとく覆してくれるではないか

なかなかなもんである

目の前では次々にお好み焼きが焼かれて行く

厨房に置いてある皿には山盛りのキャベツが

あれはおそらく俺のチキンソテー

そして鉄板の上では軽快に焼かれる牛ハラミにまざって鳥らしき物も見える

俺のかな

俺のチキンかな

大きな鉄板はワクワクする

お好み焼きに焼きそばに牛はらみにチキンソテー

他人の分まで食べたくなってくる

俺は生ビールを一口分だけ残してチキンが焼き上がるのを待った

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ついに登場である

チキンソテーランチ850円

厳選した鶏を焼き上げ特性スパイシーソースを絡めたチキンソテー

とメニューには店の説明が書いてある

野菜高謄の中でも山盛りのキャベツがうれしい

さっそくチキンソテーと行きたい所だが

冷静に脂肪と糖の吸収を押さえる為にまずはキャベツから食べた

胃に優しい味がする

さすがキャベジンの元となった植物

しかし待ちきれない俺は次にチキンソテーを箸でつかみ取り一気にかぶりついたのである

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「おおぉおおおお!!」

「これは美味いぞ!!」

「外の皮はパリッと香ばしく焼かれていて中はとても柔らかでジューシー」

「しかも地鶏のような確かな弾力もある」

メニューには地鶏とはうたっていない

地鶏ならこれ見よがしに自慢げに書いてあるはず

なのでこれはブランド地鶏では無い

あくまで850円で提供出来る範囲の厳選された鶏肉なのだ

それなのにとてもおいしい

1000円以下の鶏料理では感じられない鶏の旨味がちゃんとあるのだ

何なんだろう?

素材の良さもあるのだろうが

やはり焼き方だろうか?

そしてソース

スパイシーな中にも甘さがある

これはいつか食べた味

おそらくお好み焼きのソースと辛味噌が混ぜてある

これがまた美味しいのだ

このソースだけごはんにかけても食べれるぞ

そのごはんがあの麦飯なのだ

お好み焼きのメニューだとここは麦とろが付いて来るのだ

その麦飯

これもまたチキンソテーに合う合う

このソースとの相性がいいのだろうか?

850円でこんなに満足しても良いのだろうか?

俺はとても幸せな気分になりお会計を済ませた

今度は焼きそばを食べよう

しかもソースと醤油と2種類ある

また俺を迷わせる気かよ、ぎゅんた

また来るからな

 

俺は気持よく店を後にした

 

その後でいつものように大名古屋の小さな本屋へ

ここは小さな店だがとにかくセレクトが良い

ご機嫌の俺は一冊買ってしまった

 

もの食う本 (ちくま文庫)

もの食う本 (ちくま文庫)

 

 食のエッセイである

先日買った森見登美彦氏の「夜行」はかなりの大傑作であった

今回も面白い本だといいなぁと

俺はひとり秋の空を眺めながら思うのであった