鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

タイガーマスク

俺が子供の頃のヒーローだったタイガーマスク

アニメ版ももちろん好きだったのだが

ある日突然TVのプロレス中継に登場した本物の初代タイガーマスク

中の人は佐山聡なのだが

この初代タイガーマスクのドキュメンタリー番組が先日放送された

当時は知る事の出来なかった情報

タイガーは会社の為、格闘家としての神様であり社長の猪木の為にタイガーマスクとして戦っていた

しかし本当は派手なアクションのみ要求されるタイガーマスクとしてではなく格闘家として戦いたかったのだ

子供の頃はかなり長い事見てたような気がするが実際は2年ぐらいしか活動してなかったのにも驚いた

やはり子供の頃と大人では時間の感じ方がだいぶ違うみたいである

それにしてもむちゃくちゃかっこよかった

当時の映像も流れていたが今見てもワクワクする

クラスの誰もがタイガーになりたがった時代である

休み時間になればローリングソバットの練習をしたり机の上から友達に向かってダイブしたりしたのだ

タイガーは入場するとまずトップロープにまたがり右手人差し指を上げてリングに下りる。俺が飲食店に入る時に店員さんに「一人です」と伝える為のポーズはこれが原点なのである。当時大人気だった漫画「プロレススーパースター列伝」にタイガーは自分が一番だという事でこのポーズをしていた書いてあった記憶がある

それからずっと俺はこのポーズをアレンジして真似ているのだ

昔はとにかくスゴイプロレスブームだった

猪木の新日本プロレスジャイアント馬場全日本プロレス

この2強の頃や新日から独立した七色のスープレックスを持つ男。前田日明UWF

この頃までが俺の中ではプロレスブームであった

その後いろんな団体が出来てわけがわからなくなって見るのを辞めてしまった

子供の頃はとにかく地元にプロレスが来るのが楽しみで仕方が無かった

そしていつも友達と見に行っていた

俺が当時見た試合はタイガーマスクVS小林邦明だった

小林邦明はタイガーの先輩で自分より強くて人気のタイガーが憎くて試合になるといつもタイガーのマスクを剥がそうとしていたのだ

俺たちは当時小林邦明が大嫌いだった

俺たちのタイガーに何をするんだ!って必死にヤジを飛ばしていた

タイガーマスクが出るのはセミファイナルぐらいだろうか

ファイナルはもちろんアントニオ猪木である

その時の第一試合がドン荒川VS髙田延彦であった

今ではすっかりタレントになってしまったが当時の髙田延彦はまだまだ駆け出しの新人だったのだ。そしてそんな前座に出るレスラーにはサインをもらいやすいのである

そして俺たちは持参した色紙にサインをしてもらったのだ

ドン荒川のサインを

俺たちは狂喜乱舞した

「すげえドン荒川だぁ!」と

そのサインが今どこにあるかは定かでは無いが

今思えば高田に貰っておけばよかったなぁと少し後悔している

しかしその後で俺たちは生涯決して忘れる事のできない出来事に遭遇したのである

俺たちは売店でアントンナッツ(ひまわりのたね)を買ってむしゃむしゃ食べていたのだ。すると向こうの方から小走りなアニマル浜口がやってくるではないか!

そしてそのままアニマル浜口はトイレの中へ

俺たちも当然トイレの中へ入った

急いで個室に駆け込んで行ったアニマルを目撃した俺たちは当然の事ながら

そのドアを蹴り出したのだ

「こらアニマル!」

「弱いくせにうんこしてんじゃねえぞ!」

「くせえんだよコラ!!」

とか言いながらみんなでケラケラ笑いながらアニマル浜口が入る個室のドアを蹴り続けたのだ

やがて個室から水の流れる音がしたかと思うといきなりドアが開いた

「誰だ!コラぁ!!」

「殺すぞコラぁ!!」

ブチ切れてたアニマル浜口である

俺たちは一目散に逃げ出した

これが決して忘れる事のできない思い出である

このアニマル浜口もすっかりタレントになってしまった

しかしあの時はマジで怖かった

本当に殺されるかと思ったのであった

そんなプロレスの思い出

タイガーマスクの思い出

ブラックタイガーにダイナマイトキッド

そしてなんとあのタイガーマスク最大のライバルであったダイナマイトキッドが番組に登場したのだ

引退前のみちのくプロレスへの来日時もかなり弱々しくなっていた

すでにダイナマイトキッドの体はぼろぼろであった

ステロイドの過剰摂取

そしてあんなに強かったダイナマイトキッドが今では脳卒中の後遺症で動けない体になっていた。そんな彼にタイガーのメッセージが

もうこの辺りで俺は涙が出て来て止まらなくなった

お互いが認め合った最強のライバル

できることならもう一度試合を見たかった

ガンバレダイナマイトキッド!

当時の俺は決してあなたを応援することはなかったが

今は心の底から言える

頑張って欲しいと

 

タイガーが語っていたのだが未だにおじさんから話しかけれてそのおじさんが話ながら感激のあまり泣き出すというのだ

それくらい当時の子供にとってタイガーマスクは本物のヒーローだった

猪木や馬場ではたぶん涙はでないであろう

やはりタイガーマスクじゃないとダメなのだ

どのくらい俺たちがタイガーが好きだったのか言葉ではうまく説明出来ない

あの衝撃

リングに上がるとボクサーのように軽やかにステップを踏んで相手に一発ローリングソバット

とにかくカッコ良くてすげえ強くて

アニメの中から抜け出して来た本物のヒーロー

初代タイガーマスク

佐山聡

 

今の子供達のヒーローって誰なんだろうな?

これほどまでに日本中の子供達が熱狂したヒーローっていたのだろうか?

やっぱり昭和っておもしろかったなぁ