2019年 奈良と京都の旅04
十輪院を出て奈良まち散策を楽しむ俺である
とは言ってもバックパック背負ったおっさん一人旅
とても入れそうにない店ばかり
振り向いた瞬間に店の商品をバックパックアタックしかねないからだ
俺は外からだけ眺めた
どうせ買うものはない
すでにお土産はGET済み
あとは奈良ホテルでオレンジケーキと適当なところで奈良漬を購入するだけだ
しかしいかんせんコーヒーは飲みたい
そこそこカロリー消費もしてるのでおやつも食べたい
俺は奈良ホテルへの道すがらそんなことを考えていた
奈良ホテルへは近道を通ることが多い
猿沢池を抜けて商店街へ
ちょうど「とらや」と言う和菓子屋さんの角を曲がれば奈良ホテルである
和洋菓子「とらや」
地元で人気な和菓子屋さんだろう
そんな雰囲気を醸し出している
和菓子メインだが洋菓子も少々ラインナップ
俺は部屋で食べようと何か買うことに
「どれもうまそうだ」
ワッフルが気になる俺
一番目につく場所に陳列してある
おそらく地元民に人気なのかもしれない
値段的にも手ごろだしな
「粒あんとカスタード」
2個買いしたいところだがカロリーが・・・
俺は迷った
俺はとてもカスタードが食べたかった
しかし減っているのは粒あん
おそらく粒あんの方が人気商品・・・
そもそもワッフルは洋である
俺のイメージでは自転車とビールとチョコが有名な国ベルギーが思い浮かぶ
その一方で粒あんは完全に和である
外人からしたら豆を甘く煮るなんてありえないらしい
でも俺は基本あんこ好き
そして先日、映画「あん」を見たばかり
どら焼き食べたいと思ってたのを思い出した
そしてこの粒あんワッフルは和洋折衷
俺は決めた粒あんに
奈良ホテルは高台に建っている
最上階の5階がロビーとややこしい
そして道からは階段を登らなければならい
階段をえっちら登る
みなさん玄関前で記念撮影
これもクラッシックホテルならではの光景だろうな
去年に引き続き耐震工事はまだ続いてるみたいである
俺は玄関を入りフロントへ
時間は4時
やはりチェックイン客で少々混み合っている
すぐにホテルの人が来て
「こちらでお待ちください」とソファへ案内してくれる
ソファに座り懐かしくホテル内を眺めていると
再び声をかけられカウンターへ
今回で2回目の利用となる
「いつもありがとうございます」
と最初の一言
すっかり常連客扱いでとても気分がいい
俺は住所氏名などかじかんだ手で記入した
ついでにJRホテルの会員にもなった
「それではお部屋を案内します」と突然現れた綺麗なお姉さん
非常に背が高い
靴をみるとペッタンコな靴である
おそらく俺より背が高い
まるでモデルさんみたいだな
「荷物をお持ちしましょうか?」
俺の辞書には女性に荷物を持たせるという言葉はないので丁重にお断りした
部屋は新館の1階
ここなら一泊1万円程度で泊まれるからだ
エレベーターでお姉さんと一緒に1階へと降りた
奈良ホテルにはいたるところに絵画が
ちょっとした美術館である
ちなみに俺のお気に入りは一階のお土産屋付近にある仏塔の拓本である
作者は不明だが
「これ欲しいなぁ」といつも眺めている
お姉さんが案内してくれた部屋はダブルである
俺が予約したのはシングル
連休明けのこの時期は一番暇な時
なのでサービスで空いてるダブルの部屋をシングル価格で提供してくれたのだ
無駄に広い部屋
すごいな
こんな部屋を1万円で泊まれるなんて
しかもビジネスホテルみたいに隣の部屋のおっさんの屁の音とか聞かなくて済むしな
窓から見える風景は去年と同じ
奈良の街並みは見えないが俺はこちらの方が好きだな
水が無料
これはありがたい
俺はとても水が好きだ
コーヒーは相変わらず有料だ
でもそこそこ美味いんだろうな、ドリップだし
「どっこいしょ」
俺は椅子に腰掛けた
足を伸ばしてもう片方の椅子の上に乗せる
「オットマン気分だな」
俺は早くもダブルの恩恵を受けたのだった
しかし今回はこのスノーピークの折り畳みカバンが大活躍
買っておいてよかったとつくづく思う
これとお土産袋専用として無印の折り畳みトートも活用
軽くて丈夫で大変重宝した
やはりバックパックに全てを詰め込んでしまうと肩が凝る
ここはショルダーにカメラや御朱印帳など普段使うものだけを分散することで肩こりを回避できるのだ
ペットボトルの水もさっと取り出せるしな
ただクッション性が皆無なんでカメラを入れて地面や机の上に置く時は慎重に行わなければならない
なんか最近スノーピークにはまりつつある
お値段は少々お高いが機能性は抜群だ
お値段以上ニトリは実質お値段程度だが
スノーピークも値段に見合った性能はある
買って損はないな
やはりバックパックに詰めるのはすぐに使用しない着替えと夢だけでいい
俺は先ほどの購入した粒あんワッフルの存在を思い出した
晩飯まではまだ2時間以上ある
おやつタイムである
俺は無料の水を開封して一口口に含んだ
「ありがてぇ、ありがてぇ」
俺は両手で包み込むようにペットボトルを掴んで水を飲んだ
粒あんワッフルを包んであるビニールを慎重に剥がしていく
「ごむたいな」
「いいじゃないかちょっとぐらい」
などと一人で会話してる自分が虚しい
全て取り去ると直ぐに俺は口の中に粒あんワッフルを押し込んだ
柔らかな食感が俺を幸せにする
中に詰め込まれた粒あん
やはり美味い
工場で生産された粒あんとは違う
なんせ俺は映画「あん」を鑑賞済みだ
やはり和菓子屋さんが手間暇かけて作るあんは美味い
糖分を補給した俺の体からどんどん疲れが取れていく
そして頭も冴えてくる
毛だけは再生しないがな
再び俺は無料の水を一口口に含んだのだった
夕食までの時間俺はブログを更新した
部屋にはWi-Fiが飛んでいる
ほんとう便利な世の中になったものだな
どうせ誰も読まないような旅の途中経過を書き記したのだった
6時20分
そろそろ始動だな
予約時間は30分
俺は部屋を出てちゃんとロックがかかってるがドアをガチャガチャ
大丈夫だ
俺は廊下を歩きエレベーターに飛び乗った
奈良ホテルのエレベーターはボタンを押せば直ぐに扉が開く
「もしかして俺専用?」かと思わせるような速さである
そして即座に俺を最上階の五階へと運んでくれる
エレベーターから降り立つと目の前が日本料理「花菊」である
前回と同じく今回も予約させていただいた
うまかったからなぁ
コスパも抜群だ
「予約してある〇〇です」俺は名前を告げた
「どうぞこちらへ」
案内された座席は去年と同じ
窓際の特等席
夜景を眺めながらのんびりと食事できる
これも早めの予約のおかげだろう
ただ残念なことは夜景を見て綺麗とつぶやく彼女に
「君の方が綺麗だよ」と言えないところだろうか
おっさんの一人旅は妄想旅でもある
五日までは正月メニュー
今日から一月の通常メニューとなる
1万円の「白鳳会席」である
これに追加料金で白飯をふぐ雑炊にグレードアップ
「飲み物は」「日本酒」「純米」「冷やか常温」
勧められるままに京都の純米吟醸の「祝」にした
めでたいな
直ぐに料理が運ばれきた
先付 新竹の子と若布のゼリー寄せ 海老 木の芽
まるで宝石箱だな
さすが五感で楽しませると豪語するだけのことはある
食べるのがもったいないぐらい
もはや芸術作品だな
しかし俺は腹ペコである
箸で食べたいところだがスプーンが添えられていると言うことはスプーンで食えといううことらしい
俺はスープーンですくった
芸術的なゼリー寄せは無残にも崩れ落ちた
ゼリーと新竹の子とエビを口の中に放り込む
「あぁああああ・・・」
ぎゅっと旨味が凝縮されたゼリー寄せ
たまらない
一緒に運ばれてきた純米吟醸「祝」を一口飲んだ
これまた美味い酒だな
ちょうどいい万能型
これが京都の酒米「祝」の美味さか
料理を引き立てつつも自分自身のアピールも忘れない
今日はよろしく頼む
俺は酒に挨拶をした
続いて
前菜 烏賊雲丹和え 数の子味噌漬け 花山椒
大和伝統野菜筒井れんこんと黒豆田舎煮 針生姜
黒豆が真っ黒に写ってしまった
まぁ今更仕方がない
俺はまず今年まだ食べていない数の子から手をつけた
コリッコリ
ほのかに味噌の味が
一手間かけるだけでこんなに変わるんだな
美味いよ
丼ぶりいっぱい食べたいな
しかしこの一口がちょうどいい
これでいい
財布的にも
続いてウニ
ウニも久しく食べてないな
イカは好きだ
しかし最近は北朝鮮が横取りしちゃうからな
韓国もグルだし
あの問題はどうなるんだろう?
徴用工とか
どんどん毟り取られるよな
でもこのイカは美味い
これをつまみながらちびちび飲みたいなぁ
でもどんどん料理きちゃうしな
ここが会席のつらいところ
レンコンもシャキシャキ
黒豆うめえ
良い素材のものを丁寧に炊くとこんなにうまくなるんだな
去年も感動したが
これならおせちで黒豆が残ることもないだろう
でも写真が真っ黒だな
吸物 清汁仕立
吸物 清汁仕立 ふぐ新蒸 焼餅 焼餅
来たよ吸物
これぞ和食の真髄
美味い吸物ってなかなか食べれないからな
地元で5000円程度の料理出す店なんか永谷園との差がわからんしな
俺は一口飲んだ
「あぁ、幸せだ」
俺は日本人に生まれてきたことに感謝した
出汁文化
すごいな
誰が最初に思いついたのか知らんが
こんな澄んだ汁がこんなにまで旨味が凝縮されてるなんて外人さんはびっくりだろ
中に入れられた具材はふぐ新蒸
もう手間暇かけすぎ
でも美味いなぁ
これも丼いっぱい食べたいな
正月に散々食べた餅だが餅は大好きだ
ボリュームたっぷりな椀を楽しんだ俺である
身も心もポカポカである
造里 お造り三種盛り
鯛、カンパチ、マグロ
去年も驚いたのだが何故奈良でこれほど美味い刺身が食べられるのか?
鯛、マグロはある程度熟成させた方が美味いのだが
カンパチのような脂ノリノリ系は内陸部で食べるとただひたすら気持ち悪いだけ
しかしここ花菊のカンパチは新鮮そのもの
瀬戸内の島で食べたカンパチより美味いぐらいだ
何でだろう?
ずっと考えているのだが何でこんなにあっさりと魚の旨味だけ味わえるのだろうか?
不思議だな
すくすくぽんのふしぎダネコーナーでもやってくれないしな
調べてみた
カンパチも一晩寝かせた方が良いらしい
カンパチは寝かせてもコリコリ食感が残るのだそうだ
と言うことは俺が普段食べてるカンパチは一晩どころか数日眠りについてるのかもしれないな
鯛はもう最高だな
もちプリとコリコリが完璧に融合している
甘くて美味い
昆布で締めてあるのかな?
名古屋の某人気鯛茶漬け店は養殖鯛で旨味もないもたもた食感だったが
美味い鯛は本当に美味いんだよなぁ
そしてマグロの赤身
もうね赤身大好きな俺としては最高だな
トロなんかいらない
赤身の真髄を見た感じだ
焼物 あわび鱈の白子風味焼き 金柑 はじかみ
アワビは大好きだ
見た目もエロいしな
白子風ということは擬似的な白子なんだろうな
なんかホワイトソースぽくてうまかったなぁ
はじかみも3本ぐらい食べたい気分だ
非常に優しいはじかみ
アワビと金柑の間を見事に取り持ってくれる
金柑は金柑でデザート感覚だな
そしてきました
俺はてっきり干し柿は添えられてるものだとばかり思っていたが
何度目をゴシゴシこすっても干し柿が見えない
ちょこんと乗ってるのは山葵
まるでおっぱいだな
干し柿の姿が見えないということは隠れてると言うこと
俺はひと思いに慈姑饅頭をぶった切った
すると予想通り中にわずかに赤いものが見える
入ってなければないで「忘れてましたって」ことになるしな
当然中に入っている
俺は一口食べた
「ああぁあああああ・・・もう・・・ダメ・・あぁ〜ん・・」
なんか悶えてしまう
美味いなぁ
慈姑饅頭なんて滅多に食べれないしな
「今日の日替わり定食は慈姑饅頭です」なんてこともない
でも食べたいよなぁ
月一ぐらいで食べたいよなぁ
干し柿は一個フルで食べるのには甘すぎだが
こうやって隠し味的に使うのはありだな
良い仕事してるよ
ここでも五感で楽しませてもらった
この餡もできればパンで拭って食べたいぐらいだ
濃厚なものが続いた後はさっぱりと行きたいところ
小鉢 紅白膾 塩麹 サーモン ゆず
漢字で書くと見慣れないが「なます」である
お口の中が胃の中がさっぱりとなる
これも日本酒ちびちび行きたいが次の料理はすぐに運ばれてくる
ここで流れを止めるわけにもいかない
既に俺の食べるペースに合わせて厨房は動いているからだ
煮物 糸よりの煮付け 大根 青味 木の芽
イトヨリの煮付け
イトヨリか
名前は聞いたことがあるが実際に食べるのは初めてだな
ブリ大根ならぬイトヨリ大根
要するに魚と大根は相性が良いということだな
「これも美味いなぁ」
「白飯というより熱燗行きたい気分」
家庭だと白飯系になりがちな煮付けだが料理屋だと違うんだよなぁ
酒なんだよなぁ
俺、美味い煮魚が食べたかったんだよなぁ
大根も完璧な炊き加減
たん熊なんかでも高いコースだと高級食材になってしまうが安いコースだとブリ大根が出てくる
俺正直カニやらふぐよりブリ大根の方が食べたいんだよな
やはり根が貧乏なんだろうな
酢物 大和肉鶏酒蒸し 白姫海老柴煮 酢蓮根 ごぼう 印元 胡麻酢
さぁラストスパート
酢の物である
とは言っても非常にボリュームのある酢の物
ちゃんと食べる酢の物となっている
大和肉鶏にエビ
脇を固めるのがレンコン、ごぼうの根菜コンビ
根菜切断機
萬平さんも生き生きしている
彩りとしてバランサーとしてインゲンが添えられる
噛めば噛むほど旨味が口に中に広がる大和肉鶏
俺は飢えていた
動物性蛋白質に
そして胡麻酢の優しさが根菜どもを包み込む
最後はインゲンで〆た
最後はアップグレードしたふぐ雑炊
先ほどふぐよりブリ大根の方が良いと告白した俺だが
雑炊は別だ
要するに出汁が出てればそれで良い
ふぐやカニの身など雑炊のためにあると言っても過言ではないのだ
添えられる漬物
今年は騙されないぞ梅干しではなく赤こんにゃく
俺はフーフーしながらふぐ雑炊を食べた
想像してたよりも優しい味付けだな
それだけにふぐの出汁がちゃんと感じられる
ちゃんとふぐを食べてる感じがする
良い最後だ
正直白飯好きな俺は迷った
白飯を味噌汁と漬物だけで頂くのは最高の贅沢だからだ
本当に美味い白飯
本当に美味い味噌汁
本当に美味い漬物
こんなの揃ったら他には何もいらない
しかしそこをあえて追加料金を支払ってまでふぐ雑炊にした俺
満足じゃ
余は満足じゃ
宝石 デザート
そしてデザート
メロン、いちご、ゆずのムースケーキ
まずはゆずのムーズケーキを
「もうなんかさ全てが美味すぎるよ」
贅沢な夜だなぁ
君にメロンメロン
そして最後の最後いちごを一口で食べたのであった
ごちそうさま
今年もうまかったなぁ
デザートのケーキもっと食べたいなぁ
終わっちゃったか
また来年
食べれるといいな
また1年頑張ろう
一旦部屋に戻った俺はブログを更新
そしてバーへ繰り出す
再びカウンターへ腰掛ける俺
去年飲んでうまかった生薬の入った大和茶のモスコミュールを注文
大和当帰のモスコミュールである
当帰とはセリ科の多年草
奈良で栽培されたものがもっとも高品質だと言う
食事の後に最高だな
グビグビ飲みたいのを我慢
俺は明日の下調べをするためにスマホを起動させた
俺は明日行く予定の円成寺のバスの時刻表を調べた
「荷物を預けたいから近鉄奈良駅からだな」
「検索検索」
「ん?」
「ちょ、まてよ!」
「マジか?」
「これはマズイな・・・」
動揺した俺は2杯目を注文
ワイルドターキーの13年
ターキー大好きな俺だが
しばらく飲んでいない
なぜなら飲み過ぎてしまうからだ
最初にバーボンを飲み始めたのはかっこつけたかったから
バーのカウンターに座り
「マスターいつもの」
そう言わずともさっとターキーを出してくれるマスター
ターキーは13年ではく8年だ
そんな憧れからだな
バーボンデビューは
バーボンは美味い
ターキーは美味い
13年は美味い
それでも俺は8年が好き
なんかその方が通ぶれる気がするからだ
基本だしな
俺は明日の問題など忘れてターキー13年を楽しんだ
そして我に帰り
明日の下調べ
なんと円成寺行きのバスは2時間に一本しかない
始発は7時38分
奈良ホテルの朝食は7時から
のんびり食べてたら到底間に合わない
でもあの朝飯も絶品だ
慌てて茶粥を流し込んで口の中を火傷したくもない
俺は一本遅らせることに
時間は9時11分だ
到着はだいたい10時か
1時間拝観して12時台には戻ってこれるかな
そして京都に移動して志る幸へ
「ん〜ギリギリだな」
2時半には大原へ向かいたい
明日のことは明日だな
俺は気を取り直してターキー13年を飲み干した
そして宿泊者10パーオフ券を出してお会計をすませると
一人誰もいない部屋へと戻ったのであった
05へ続く