2020年奈良と京都の旅08
ついに最終日である
朝4時に目が覚めた俺
天気予報をチェック
複数のサイトでチェックする
午後から雨の予報
一つだけ朝から雨の予報
「まぁ降っても小雨だろ」
などと俺は楽観視していた
「午後から雨となると昼飯を食べて帰るか」
俺は京都で寿司が食べたかったが
とりあえず今日はプランFを発動させる予定
午前中に秋篠寺と西大寺を回ってしまおう
飯はそのあとで考える
奈良で食べるか京都で食べるか
シャワーを浴びる
奈良ホテルの良いところは風呂とトイレスペースが広い
フジタだと便器に座った時に直ぐ目の前にドアがある
で、用を足してお尻を拭こうと腰を浮かした時にドアノブに頭をぶつけるのだ
「痛てぇ・・・」
痛みもあるがそれよりも朝から下半身丸出しで俺はいったい何をやってんだと虚しくなる
奈良ホテルの場合は十分なスペースがあるのでそんな事故は起きないので安心だ
朝食は6時半から
いつもなら茶粥定食だが
今日は朝食ビュッフェが半額になるのでお言葉に甘えることにする
しかし正直なところ俺は食べ放題制度が大嫌いなのだ
若い頃は確かに食べ放題制度は非常に魅力的なものだった
しかし歳をとると明らかに食べる量が減る
そして旅の時に朝から食べすぎるとランチが食べられなくなる
せっかく旅に来て「昼はあそこで食べよう」と楽しみにして
開店15分前に店の前に来たのに満腹で食欲が皆無という状況になるからだ
それなら「無理して食べるなよハゲ」と思われる方もいるだろうが
食べ放題、朝食ビュッフェには魔物が住んでいるのだ
「あれも食べたい、これも食べたい」
「元取らないと」
「満腹だけどまだ元取れてないし」
結果的に動けないほど食べてしまうのだ
それでもまぁほとんどの場合は元は取れていないだろう
それが朝食ビュッフェなのだ
これはファミレスのドリンクバーにも言えること
俺は店長から聞いたことがあるが原液が濃縮タイプのため10杯20杯飲んだ程度では店は痛くも痒くもない
その事実を知ってからドリンクバーも避けている
店のカモにはなりたくないからだ
時間が来た
朝食会場へと向かう
俺は2番目
椅子に座り
お好きなものをご自由にお取りくださいと
この時に本来ならまず大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせることが重要だ
その上で料理全体をチェック
そして頭の中でメニューを組み立てる
野菜、魚、肉、卵、炭水化物、汁物などなど
しかし大量の料理を目の前にして冷静でいられるほど俺は人間ができていない
無我夢中で皿を取り一番手前の料理を見る
最初はサラダコーナー
野菜大好きな俺
普段はほぼ野菜だけ食べてると言っても過言ではない
以前は常識をはるかに超える量の野菜を朝食ビュッフェでは食べていた
今回は奈良ホテルということもあり常識の範囲内にとどめておく
「ようやく野菜が食べられるよ」
俺はワクワクしながら葉物を皿に乗せ海藻を乗せる
大好きなポテサラはちょい多め
でもこれは炭水化物だよな
ごぼうサラダもあるよ
食物繊維だよ
ドレッシングは数種類あるが奈良の食材を使用したドレッシングをかけた
正直どんな味かはわからない
「うぉマリネだ」
「サーモンだよ」
俺はサーモンマリネも皿に乗せた
これでまず一皿目完了
一旦自分のテーブルへと運ぶ
次の皿を手に取る
オムレツはシェフが目の前で焼いてくれるシステム
「オムレツは後のお楽しみだな」
俺は次に炭水化物を目指した
とりあえずパンをチェック
バタートーストもいいが・・・
「奈良漬ピザ?」
薄焼きでとても美味そうだ
俺は二切れGETした
本当は全部取りたかったが流石に大人気ないので辞めておいた
「フレンチトーストもいいな」
「ハッシュドポテト」
あとは卵か
「ん?」
「し、しまった・・・」
俺はすっかり和食の存在を忘れていた
和食大好きな俺
無意識にだし巻き卵を取る
「ブリの照り焼き」
「胡麻豆腐」
「筑前煮」
「梅干し」
「奈良漬」
もうこうなると手が付けられない
和洋折衷糞食らえ
「ああ茶粥もあるよ」
「もうどうすんだよコレ・・・全部食べたいじゃないか」
「落ち着け落ち着け」
まずは食べてから
俺は再び自分のテーブルへと皿を置いた
俺はひとまず気持ちを落ち着かせた
炭水化物要員として奈良漬ピザとフレンチトーストは押さえてある
しかし俺は日本人
やはり米がないと落ち着かない
俺はご飯を取りに行った
ついでに味噌汁も・・・
「ん?」
「飛鳥鍋があるよ」
以前ホテルフジタの朝食ビュッフェで食べたことがある
「やはり奈良に来たら奈良のものを食べないとな」
俺は味噌汁の代わりに飛鳥鍋をGETした
先ほどの皿から和食系を移動させて和食プレートを完成させた
「いいぞいいぞ」
とりあえず食べよう
後の事はそれから考える
俺はサラダから食べた
まるで虫のように食べた
俺は草食男子である
やはりサラダはうまい
ドレッシングも予想以上の美味さだ
そしてピザを箸でつかむ
奈良漬である必要があるのかどうか微妙だが美味い
ついでにフレンチトーストも箸でつかむ
「やはり箸は万能だな」
フレンチトーストも美味いよ
ポテトサラダ
芋祭りだな
ポテサラも茶碗いっぱい食べたいが我慢我慢
ごぼうサラダも美味いなぁ
そしてサーモンのマリネ
全てがうまい
俺はあっという間に洋食プレートを平らげた
ゆっくり食べてると満腹中枢が刺激されて限界が早くなるからだ
次に和食プレートだ
白飯は少なめで良いのに貧乏性のため多めに茶碗によそってしまった
「何やってんだよ、俺・・・」
上には野菜ふりかけをトッピングした
飛鳥鍋を食べる
良い出汁出てる
「うまいなぁ」
大好きな筑前煮にブリの照り焼き
「幸せだなぁ」
そして胡麻豆腐に卵焼き
奈良漬も梅干しも毎年のことながら美味い
しかしこの時すでに俺は満腹である
オムレツが食べたい・・・
もっともっといろんなものが食べたい
でも体が動かない
動けない
「悔しい・・・」
俺はとても悔しかった
目の前に大量の料理が並んでいるのに・・食べられない・・・
俺は最後の力を振り絞り立ち上がる
「なんとかコーヒーだけでも・・・」
コーヒーはマシーンで淹れる
俺はコーヒーを飲みながらもオムレツコーナーばかり見ていた
時折待機してるシェフと目があう
「食べたい」
でも動けない
コレだから朝食ビュッフェは大嫌いなんだ
悔しくて悔しくて仕方がないからな
結局これ以上は食べられなかった
半額の1900円を支払い部屋へと戻った
俺はまだ半額だから良いけど
定価だと3872円
客層は明らかに高齢者が多い
おそらく俺より食べる量も少ない
それで4000円
「これ奈良ホテルウハウハなんじゃないのかな?」
流石に4000円分は食べられない
特別高級食材があるわけじゃないし
手間は料理人の給料に含まれてるしな
しかも良い修行にもなる
でも客としては決まった量の物を出して欲しいな
ご飯と漬物はおかわり自由で
予想通り満腹で動けなくなった俺はテレビを見ながら部屋でくつろぐ
当分動けそうにもない
正直このまま11時までくつろいで家に帰ろうかと思いもした
そんな思いをふり切るために俺はコーヒーを淹れた
自分に喝を淹れたかったからだ
備え付けのポットでハンドドリップする
抽出温度もアバウト
ドリップもアバウト
たまにはこんなコーヒーも良い
出来上がったコーヒーは意外と悪くはない
少なくともスタバの10倍美味い
テレビの天気予報でも雨は午後からと言っている
俺は無意識に女子アナの胸を凝視する
本能であり煩悩
こればかりはどうしようもない
荷物をまとめる
やはり今年も重い
もはや酒など買って帰れる余裕は無い
予算は予定通り進行中
部屋を出た俺はエレベーターへと向かう
昨日の中国人の部屋あたりのドアが開いたままになっている
エレベーターのドアが開くといつも冷静沈着なホテルマン二人が慌ただしく飛び出てきた
「何かあったかな?」
気になるが野次馬になる訳にもいかない
午前9時
俺はチェックアウトした
外に出る
「雨だ・・・」
すでに雨が降っていた
アウトドアウェアに身を包み全身撥水仕様の俺はフードを被り歩き出した
しかしだんだん雨脚が強くなる
俺はついにカバンの中から傘を取り出すことを決断する
スノーピークの折りたたみ傘
「ついにこいつを使う時が来たか・・・」
俺は傘を差し商店街へと逃げ込んだ
ここまで来れば近鉄奈良駅までは安泰だ
西大寺までの切符を購入
改札を抜けホームへ
そのまま電車に乗り西大寺駅で降りた
「とりあえずトイレトイレ」
人間、半世紀近く生きているとトイレも近くなる
早め早めのトイレは大事である
「とりあえず西大寺だな」
今日のルートは秋篠寺から西大寺だが
ルート上まず西大寺へ向かうのがわかりやすい
そこから歴史の道が整備されているからだ
俺は西大寺へ向かった
西大寺は駅から近い
しかし雨がどんどん激しくなってくる
「2年前か・・・」
2年前も俺は奈良を旅していた
最終日に法隆寺へと向かった俺
あの時も雨だった
そして今あの時と同じように俺の頭の中で氷雨が流れている
「傘がないわけじゃ無いけれど帰りたく無い・・・」
俺は正直迷っていた
寒い、とにかく雨に濡れて寒い
帰りたい
でも帰りたく無い
いったい俺はどうすれば?
とにかく西大寺だ
西大寺に到着
歴史の道を記した道標がある
「行くしか無いな」
俺はプランFを強行することとなった
こういった道標が俺の道案内をしてくれる
写真を撮りながら歩くと余計に俺の体は濡れた
カメラは防塵防滴仕様なので多少の雨なら大丈夫
しかし俺の体は大丈夫ではなかった
間違えてアパートの敷地内に入る
どうやらこちらの細い石畳が正式な道
昔は田園地帯だったというが今は住宅街
しかし観光客の通り道となってるために雨戸を閉めてる家が多い
ようやく見えてきた
隣には神社がある
これは神仏習合の名残
明治までは同じ敷地内だったと想像される
駅から15分ぐらいだろうか?
ようやく到着
秋篠寺
名前からわかるように皇室の秋篠宮家の由来になったお寺である
一時浄土宗の時代もあったそうだが現代ではどの宗派にも属していない
この寺だけに唯一現存する「伎芸天」が有名
俺もこの伎芸天を見に来たのだ
門をくぐると一気に雰囲気が変わる
鬱蒼と生い茂る木々
苔むす庭
良い感じだ
昔はかなり大きなお寺だった頃の名残
礎石が残されている
このお寺もまた火災で消失
そして明治の廃仏毀釈の波に飲まれる
これが本堂で国宝だ
中に入ると雨なのに数人観光客がいた
ご本尊は薬師如来で重文
そしてご本尊を守護する十二神将
お釈迦様からバトンを受け現代を守る地蔵菩薩も重文
帝釈天も重文
そして伎芸天も重文
須弥壇に横並びになった仏たち
とても見事だ
まずご本尊にお参り
さぁ鑑賞だ
奈良の仏像はどこ行っても素晴らしい
たとえ国宝でも重文でなくても素晴らしい
噂の伎芸天
日本で唯一現存する仏像
主に芸能などの信仰を集める
実物を見ると写真で見る以上に美しい
そして中性的で艶かしい
「吹っ切れた氷川きよし的だな」
でも高齢者は相当ショックを受けたみたいだったな
この伎芸天の色気の正体は頭部と身体の時代の違い
つまり後で頭と体を繋ぎ合わせている
その時に意図したのか?偶然なのかは分からないが
わずかに頭の向きが体とずれているのだ
この身体の微妙なひねりと少し前に出た左足
これらが絶妙なバランス感となり妖艶美となっている
実物を見るとかなり
「美しい・・・」
ふくよかな身体
思わず釘付けになる
本当に見事だ
雨の中、寒さに震え歩いてきた甲斐があった
女性は常に痩せたい痩せたいと言うがある程度の肉がないとダメだな
鶏ガラでは色気がない
伎芸天
どうやらシヴァ神の髪の生え際から誕生したらしい
しかし降三世明王に踏まれちゃってるからね
しかも奥さんまで一緒に踏まれちゃってるからね
これは「あなたたちは仏教徒になりなさい」って言われてるのである
で、仏教でのシヴァ神は大国主とフュージョンして大黒天になった
俺は一通り参拝した
一人旅の女性が愛染明王に真剣にお参りしている
現代では恋愛の仏としての意味合いを持つが
本来は理趣経の教えから派生した仏様らしい
SEXのことが書かれていて解釈を間違えると非常に危険なお経である
いろいろと解釈が難しいが一言で言えば性欲を仏心に変換するってことかな
相当難しいよな
大元堂
大元帥明王像を安置する
6月6日のみ公開
最後にもう一度本堂へ向けて礼拝
俺は伎芸天のお守りを購入してお寺を後にした
再び雨の中を西大寺まで歩く
雨は本降りだ
それだけにどうしても行きたかった
帰り道なのでお寺までは行くのだが
いかんせんもう限界だ
寒い、とにかく寒い
俺はプランFを半分に縮小
京都駅へと向かった
昼の12時
しかし朝食ビュッフェのおかげで全く腹が減っていない
「もう帰ろう」
俺は決断を下した
俺は伊勢丹の地下へ潜り
とり松のばらずしを購入
ついでにパンを一個
京都の人気パン屋が集まってるコーナーがあったからだ
俺は鴨の燻製を使ったパンを買った
店の名前は忘れた
パンは帰りの電車内で食べた
とても美味しかった
やはり京都のパンはレベルが高い
そして値段も味相応に高い
琵琶湖線に揺られる
彦根手前で電車が急停車
後続の電車が異音を聞いて停止信号を発信させたそうだ
最初から座るつもりのない俺はのんびりと歩く
そして帰宅
俺の正月休みも終わった
総括してみると
最終日が雨で残念であったが秋篠寺だけでも回れたのはよかった
また天気の良い日に来いってことだろうな
初日の唐招提寺
最終日の秋篠寺
今回は数を絞りのんびりと鑑賞
そしてどのお寺も素晴らしいお寺だった
岩船寺では具体的な檀家の数も聞いた
正直あの数で国宝、重文を維持して生活するのはかなり大変だろう
そしておそらくこの先檀家の数は減る一方で増えることはない
どんどん貧しくなる日本
日本人の仏教離れ
これらの貴重な文化財をどうやって守っていくのだろうか?
そのために少しでもこのブログが貢献できれば良いのだが
食と酒
1日目
釜飯
春鹿 超辛口
2日目
各種パン
とろろそば
TABI Coffee Roaster
奈良ホテル「花菊」
風の森 露葉風 純米大吟醸
風の森 ALPHA TYPE1
デュワーズ25年
3日目
奈良ホテル 朝食ビュッフェ
京都でパン
とり松 ばらずし
今回も美味しいもの食べて美味い酒も飲めた
相変わらず俺は良い旅をする
自画自賛だな
今回の旅のテーマ
「初奈良、初京都」THE極楽 お迎えが来るその時
来年もまた良い旅ができますように
それではまた
完