今日はとても蕎麦が食べたい気分
二日連続で鬼平を見たからかもしれない
できることなら一本うどんを食べたい所だが流石にアレ出す店は無い
なので蕎麦なのだ
エンディングのジプシーキングスのインスピレーションが流れる中
今宮神社の参道には蕎麦の屋台
毎回この場面で俺は蕎麦が食べたくなるのだ
そして今日の俺は朝から鬼平ロスになっていた
正確には中村吉右衛門ロスではあるが
もうあの声が鬼平として聞けないのかと思うと・・・
吉右衛門最後の急ぎ働きをする外道の前でのぶちぎれ
「火付盗賊改方長官長谷川平蔵であ〜る!歯向かう奴は一人残らずたったっ切らぁああああ!!」
28年間で一番気合いの入ったまさに鬼であった
そしてラストの五鐵で密偵と囲む軍鶏鍋
収録の時には涙をなんとかこらえた梶芽衣子であったが三浦浩一が泣いてしまい
やがて周りのスタッフも泣き出した現場を想像すると俺までもが涙が止まらなくなった
役宅や捕り物のシーンに佐嶋忠助こと高橋悦治さんと沢田小平次こと真田健一郎さんの姿も無い鬼平犯科帳
やっぱり寂しい
また新たなメンバーでと言う意見もあるであろうが
流石に中村吉右衛門の後では無理だ
マンチェスターUの監督がサー・アレックス・ファーガソン以降モウリーニョですらダメなのと同じであまりにも厳しい
そして周りを囲むメンバーも個性豊かなだけに代役も厳しいのだ
木村忠吾なんて尾美としのり以外に誰がやれるというのか?
45歳で鬼平を演じられる貫禄のある役者が俺は誰も思い浮かばない
中村吉右衛門ですら親父の松本白鸚のイメージが強いと平蔵を演じるのを5年間も拒んでいたぐらいだ
そしてその時に自らおまさ役を直訴した梶芽衣子
おまさの設定は36歳である
おまさの役も思い浮かばない
ましてや相模の彦十に大滝の五郎蔵親分、伊三次、小房の粂八
もう誰も彼も代役は浮かばないし
剣一筋に打ち込み小野派一刀流の免許皆伝でありながら年老いた母と二人暮らし
そんな沢田小平次
できるとこならスピンオフで沢田小平次の恋物語なんてのも見たかったが
原作に無い話は作れない
池波正太郎先生との約束なのだ
そんなことばかり今日の俺は考えていた
すると従兄弟からそばを食べに行かないかとお誘いが
どうやら近所にうまい蕎麦屋があるそうだ
しかも奢ってくれると言うではないか
ただし酒代は自腹であるが
朝から野良猫に向かって「貴様!火付盗賊改方と知っての事か!!」と言ってしまうほど鬼平気分であり江戸な気分であった俺にはもってこいの提案であった
俺たちは開店少し前にぶらぶらとその店まで歩き出したのだ
車が一台通れるぐらいの路地を抜けるとその店はあった
ひっそりと住宅街の中に隠れ隣には神社が
その店こそ名駅のミッドランドスクエアや中部国際空港にも支店を出している
紗羅餐 本店
だったのである
名前は知っていたが未だに食べた事は無い
開店少し前からどんどん車が駐車場へやってくる
仕方が無く10分ほど行列に並んだのだった
やがて開店
蕎麦屋にしては大きめな店内に入ると二階への階段が
おっさん二人ではあるが込み合う店内
流石にテーブル席には着かせてもらえずまるでカップル席かのようなカウンターへと案内された
窓からは隣の神社が見える
なかなかいい眺めである
俺はさっそくランチメニューを見た
だいたい2000円前後の価格帯だ
俺はまず二八か十割かの選択を迫られた
もちろん両方食べると言う手もあるが
結局俺は二八にした
江戸の基本である
それに桜えびのかき揚げ大と湯葉ジュレ掛けの掻き揚げセットを選んだ
生わさび付きで2050円
それにツマミとして蕎麦豆腐と焼味噌も追加した
酒は日本酒
まずは獺祭である確か3割9分
少し早い忘年会のスタートである
蕎麦豆腐
ほのかに蕎麦の香りがする大変上品なと豆腐、上には桜えびの刺身が!
焼味噌
中にはネギなどいろんなものが入ってるみたいだ、これも美味い!
どんどん酒が進み2杯目は岐阜の鯨波
これがまた安いのに大変美味かった、獺祭はハレの日に飲みたくなるが鯨波は毎日飲みたくなるようなお酒であった。次からはこれだなと俺は思った
そして湯葉のジュレ掛け
これもまたとても上品な味で名古屋ぽくなくとても俺の口には合うのだ
俺はワサビをすりすりしながらたまにワサビを摘んでは酒を楽しんだ
そして桜えびのかき揚げである
この店の名物と言われているだけにふわふわのサクサクである
桜えびの旨味もぎゅっと詰め込まれているこのかき揚げは塩で食べる
塩だけでも美味い、大変贅沢な時間である
そして〆の二八蕎麦
細めに切られたそばであるがつるつるシコシコ香りよし!腰もよし!のどごし抜群
ああ美味い
名古屋でこれほどの蕎麦が食べれるとは思わなかった
満腹でなければ追加で十割も行きたい所だが今日の所はこの辺りで勘弁しといてやるか
俺たちは会計を済ませた
二人で8000円
やっぱり美味い蕎麦は高い
レジにあった饅頭と和三盆のお菓子の試食を食べる
酒の後の甘い物がたまらない
この店は和洋スイーツ系も充実している
久しぶりに美味いそばを堪能した俺たちは
ほろ酔いでフラフラと岐路へ付いたのだった
そしてこれからの俺は京都人の密かな愉しみを見ながらのデパ地下で購入した美濃吉のお惣菜セットで晩酌である
いったい今日は何合酒を飲むのか?
しかし今から飲む酒は安酒
美味い酒が飲みたいなぁ
ちなみに火付盗賊改方で一番の酒豪は筆頭与力の佐嶋忠助である