鯖棒亭日乗(下)

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ゲートタワー「MASA'S KITCHEN」平日限定15食 海老あんかけご飯1500円

今日は休みを取った

再び忙しくなる前に

渡したいものもあったので午前中に用事を済ませてきた

人にプレゼントしておきながら自分のも欲しくなる

今度買ってしまおう

アレをああして小鍋仕立てに

夢は膨らむのだ

食のことを考えてると腹が減る

そうでなくとも朝から・・何も食べていない・・・

「今日はがっつり行きたいな」

俺はいつものように名駅を目指した

電車から飛び降りると一路ゲートタワーを目指す

11時半

一分一秒を争う時間帯だ

12階に到着

「さて?どうする?」

この時の俺は迷っていた

ガッツリ行きたい

しかしガッツリ行くには不似合いなゲートタワー

それでも数店に目星をつけて回ることにした

キーワードは揚げ物、大盛り

しかし決められない

いつもの優柔不断が炸裂だ

全て食べたくなる

全店、全品食べたい

しかし物理的に無理だ

俺の頭でもそれぐらいのことは理解できる

そんな俺は前回迷いに迷ったものを思い出した

「まさ・・・」

俺の中でスクリューボールが再生される

でかい図体

やたらと豪快なフォーム

星野曰く「金田2世」

これは背番号34の左腕からきているそうだ

しかし結果が出ない

そんな彼を中日はアメリカへ送りだした

武者修行といえば聞こえがいいがこれで結果が出なければ首である

まさがまさに崖っぷちのアメリカはドジャース留学だ

そしてアメリカの地で転機が訪れる

ある人物との出会いがマサを変えた

スクリューボール

星野はビデオで送られてきたマサのスクリューボールを見て驚愕する

「な、なんて曲がるんだ・・・」

ほぼ戦力外だったマサは日本に帰国後中日のエースとなった

そんなことを思い出してしまう

あとは東邦ガスのCMとラジコンとザリガニとカブトムシとランボルギーニミウ

しかし俺が気になってる店はおそらく山本昌とは何の関係もない

俺がただ「まさ」という店名から勝手に思いを巡らせているだけである

店名は「MASA'S KITCHEN」

直訳すると「まさの台所」

店名だけでは何の料理か想像できない

思い浮かぶのはザリガニ料理ぐらいか

どうしてもザリガニを釣り上げてにっこりしている山本昌を想像してしまう

ランチメニューをみると

一押しは担々麺

他には麻婆やフカヒレ

どうやら中華みたいだな

正式には中国料理か

四川がメインなのかな?

HPによると

「伝統の技法を駆使し、洋のエッセンスを取り入れつつ、枠にとらわれない自在な中華の世界を表現しています。洗練された中華料理をコンセプトに、旬の素材の持ち味を最大限に引き出し、優しく繊細な味わい、時には大胆な味わいを一皿、一皿、心を込めて提供いたします」

とある。伝統を守りつつも新しい試みもする

面白いじゃないか、マサよ

基本優しく繊細にそして時には大胆に

まさに俺の攻め方と同じだ

俺は決めたのだ

そして以前から気になっていた「土鍋麻婆飯」が

俺は入り口で待ち構える店員さんに一人客だということを申し訳なさそうに告げた

店が空いてることもあるがカウンター、テーブル好きな方を選んでいいいということだ

「な、なんて太っ腹な・・」

通常ならカウンターの一番端に追いやられる一人客

俺はご好意に甘えることにした

「テーブルでお願いします」

二人掛けの席に俺は案内された

すかさずメニューと水が運ばれてくる

「どこやらの一つ星店とは大違いだな」

俺は注文した

「麻婆?」

俺は店員さんが広げたメニューを見て口ごもった

そこには外のメニューには出ていなかった二つのメニューが書かれていたからだ

平日限定15食

俺のブログを読んでる奇特な人ならお分りいただけると思うが

俺は限定という言葉に弱い

そしてその限定メニューは

海鮮あんかけ焼きそば

海老あんかけご飯

俺の頭の中から完全に土鍋麻婆が消し飛んだ

麻婆はいつでも食べられる

今ならまだ食べられるはずだ

焼きそばか?あんかけご飯か?

とにかく米が食べたかった俺はあんかけご飯にした

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すぐにビールと前菜2品が運ばれてきた

豚肉のトウチ炒めと干し豆腐の中華サラダ

基本牛や豚は食べない俺であるが決して嫌いなわけではない

彼らは人間に食べられるために生まれてくる

そんな牛や豚を食べるのが忍びないからである

そして俺の部屋にはとあるアメリカのアーティストの牛の親子のエッチングが飾ってある。その絵を毎日眺めてる俺

やはり母性のある動物を食べるのは罪悪感でいっぱいになる

それでも自分にあるルールを課している

積極的には食べないが知らずに注文したメニューの中に牛や豚が入っている場合は食べると。そしてその時は命の重さを感じながら食べるのだ

俺は久しぶりに豚肉を食べた

そして噛み締めた

「嗚呼・・なんてうまいんだ・・・」

豚さんもこれだけうまい料理にしてもらえて本望だろうな

俺はビールをぐびぐび飲んだ

前菜とはいえかなりレベル高いぞ

味皇のように口からビームを出しかけたじゃないか

落ち着け落ち着け

試合はまだ始まったばかりだ

俺はもう一品の干し豆腐を食べた

干し豆腐なんて初めて聞いた無知な俺である

これはヘルシーな一品だな

そしてとても繊細で優しい味がする

「これがマサの言ってたコンセプトか」

オープンキッチンとなってる厨房を見る

白い服を着た料理人たちが数人休む暇なく動いている

「どれがマサだ?」

俺は偉そうな人を探した

そして気づいた

「もしかしてマサの台所は東京にもあるんじゃないか?」と

「もしそうならココにマサはいない・・・」

しかししっかりとマサのレシピを受け継いだ料理人たちがいる

前菜がそれを証明してるではないか

俺は安心した

でもあの中にマサがいたらラッキーだな

俺は再びビールをぐびぐび飲んだ

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次にスープが運ばれてきた

熱々だ

中には白菜がこれでもかと入っている

あっさり系だがちゃんと旨味もある極上スープに仕上がっている

なんか中華と洋が融合したような味だ

そして胡椒のパンチが効き過ぎないレベルで効いている

これはワインにも合うようにとの事らしい

これもまたマサのコンセプト

中華の醍醐味でもある花椒、唐辛子なども控えめにするそうだ

 白菜の茹で加減が素晴らしい

ちゃんと食感が生きている

素朴だがとても繊細だ

そして優しい

まるで「そよ風」のようなスープだな

店に入る前は四川かと思ったが違うな

唐辛子などの刺激系も抑えるそうだし

これは益々麻婆や坦々が気になる

京都の中華も独特だが

これもまた独自の中国料理

今後どれだけ俺の舌を楽しませてくれるのか

俺はワクワクしてきた

心の中で孫悟空のようにワクワクした

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そしてメインの登場

大阪桐蔭なら根尾くんがバッターボックスに入ったところだ

「そうか、あんかけご飯というのはつまり・・中華飯」

そういうことか

中華飯か

俺の好物だが近年の町中華の激減によりなかなか食べれなくなった料理でもある

全国的には中華丼と言う方が正しいのかな

まぁこれは丼じゃないしな

確か中華丼というのも本場には存在しない料理の一つ

それだけに本格派の中華丼

期待大だな

レトルトなどの中華丼は正直まずい

それもクソまずいというレベルでまずい

あんかけの味ももちろん中の具材も最悪な調理がなされている

野菜炒めって以外と難しいからな

具材は見たところ

エビ、白菜、赤カブ、キクラゲ、しめじ、青菜

これらがたっぷりの餡にからめられてご飯の上にこれでもかと盛られている

最高だな

俺は早速一口食べた

「ん?ん?ん?、うまいぞうまいぞうまいぞ!!」

いい意味で予想を裏切られる

「なんだこれは・・」

口の中に入れた瞬間は濃厚な餡が切り込み隊として飛び込んでくる

しかしそのあとで波が引くようにさっと優しくあっさりな感じなるのだ

「初めてだな、この感じ」

「一体どんな仕掛けがあるのだろうか?」

最後にあっさり感が出てくるので次から次へと・・スプーンが止まらなくなる

そしてそれぞれの食材の食感がちゃんと生きている

エビはプリップリ、白菜はシャキシャキ、しめじなんかあの細いボディなのに弾力がスゴイ

火の通し方が絶妙なんだろうな

そしてこの最高の餡である

たまらんな

正直こんなうまい中華丼を食べたのは始めてだ

恐れ入った

これで俺のお気に入り店確定だな

また来させてもらおう

今度は坦々か麻婆か

そういえば先ほど店員さんがスイーツのメニューを置いていった

通常なら「なかなか商売熱心だな」と思うところだが

流石にこのハイレベルな中華丼を食べたあとである

どうしても期待してしまうのだ、中華スイーツに

「見せてもらおうじゃないか」

俺は杏仁豆腐を追加注文した

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白い宝石

杏仁豆腐

本来は薬膳料理

喘息や咳などの治療に用いられた

その頃とは材料自体がかわっているが稀に本物の杏仁豆腐を出す店もある

俺は杏仁豆腐を食べた

途端に口の中でとろけ、同時に濃厚な味が広がる

濃厚だがとて上品な甘さでもある

「正解だな」

俺は追加注文したことを心の底から喜んだ

俺は隣の席に着席した女子大生と思われし二人組に見せつけるかのように杏仁豆腐を食べた

スイーツおっさん

正直俺は本物の杏仁豆腐を食べたことがないので

どの味が杏仁なのかわからない

しかしこの杏仁豆腐は今まで食べたどの杏仁豆腐ともちがような気がする

通常よりアーモンド的な香りや味が広がってくる

果たしてこれがアーモンドエッセンスなのかは俺には分からない

なんせ本物の杏の種を食べたことがないからだ

でも何かが違う気がする

口の中に広がるのが香りだけでないからな

まぁとにかく美味いことには違いない

最高に美味い

そしてまた食べたい

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最後は暖かい台湾茶

このサービスが嬉しい

ごちそうさまでした

 

俺は支払いを済ませた

 

生ビール 750円

あんかけご飯 1500円

杏仁豆腐 390円

 

ビールが少々高いのが気になるが

仕方がないな

これだけのレベルの料理を食べさせてくれるのなら文句は言えまい

今気づいた

なんだ、東京の店は星持ってんだな

しかも9年連続で

ということは

来年出るミシュラン東海に・・・

今は正直空いているこの店

ランチ時でも満席になることはない

それが混みだすと・・・困るな・・

 

 

 

今日はデパ地下で「しら河」のうなぎ弁当を買った

国産うなぎ使用で1000円

果たして味はどうだろう?

楽しみである