鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

ゲートタワーMASA'S KITCHEN 「フカヒレの姿煮あんかけ土鍋ご飯」3400円

今日はお休みである

俺は精神的リフレッシュのために街へ繰り出した

午前中のリフレッシュ時間を終えランチタイムだ

先ほど話してたおかげで俺の頭の中はマサでいっぱいになった

ちなみに「ガストライク」のマサではない

中華料理屋のマサである

 

俺は名駅で飛び降りるとそのまま一目散にゲートタワーへと向かった

今日も名駅は人が少ない

名古屋バブルも終了かな

多分みんな飽きたんだろうな

味噌以外何もないし

2階へと上がった俺はトイレに駆け込む

これは「ビルの飲食店で食べる場合は先にトイレを済ませて置きなさい」という先祖代々伝わる家訓である

うちは落ちぶれた旧家の分家

色々とうるさいのである

まぁ俺の代で終わりだがな

 

一気にレストラン街まで駆け上がる俺

気持ち早足でマサの店へ急ぐ

前を歩くカップルが邪魔だ

番手についてかわそうかと思ったがやめておく

流石に大人気ない

俺は逸る気持ちを押し込めながらマサの店の暖簾をくぐった

だが実際に暖簾はない

相変わらず店はガラガラだ

「一人です」

カウンターでもよろしいかと聞かれた俺は「よろしいです」と回答

俺は奥のカウンターの1番端っこに案内された

これぞ池波正太郎的な場所

ひとり客は端が邪魔にならないのである

この時すでに俺の気持ちはほぼ固まっていた

「ラーメン・・・」

あさりラーメンか煮込み系にするかだが・・・

「ただいまフェアを開催してます」と出されたメニューが

「フ・カ・ヒ・レ」

実際に写真を目にすると先ほど諦めたはずの気持ちが再び蘇ってくる

「だめだ・・・」

我慢できない

先ほども我慢できなかったが今も我慢できない

俺はいつだって我慢できないのだ

今月は利益率の良い仕事をこなしたのでそこそこ稼いだ俺である

そのためのプチ打ち上げとして予算2000円までなら良いかと考えていたが

俺は注文した

「フカヒレの姿煮あんかけ土鍋ご飯」

やっちまった

3400円

完全に予算オーバー

しかし俺の頭の中では久しぶりにビールいくか?杏仁豆腐行っちゃうか?

などと迷っていた

まぁとりあえずは単品だ

後からおいおい考えれば良い

1400円オーバーか

ビールは高いし却下だな

杏仁は食後に考えよう

俺はワイングラスに注がれた水を飲んだ

f:id:sababou:20191024143743j:plain

前菜とスープ

f:id:sababou:20191024143802j:plain

すぐに前菜とスープが運ばれてきた


やはり前菜を目にするとビールが無性に飲みたくなる

俺は再考した

そのおかげで前菜の説明が半分しか頭に入らなかった

「豚肉のなんたらと干し貝柱?」

まぁいい

とりあえず食べてみよう

この店は何回めだろうか?

いつきても違う前菜が出てくるのがすごい

しかも毎回レベル高いしな

俺は細長いのから食べた

複雑な味だがさっぱりしてうまい

一体何をどうすればこの味になるのか全く想像がつかない

「うまいなぁ」

俺はちまちま食べた

そして豚肉である

もう見た目で良い豚だとわかる

「久しぶりの豚肉だな」

俺は豚を食べた

噛めば噛むほど豚の旨味が出てくる出てくる

やはりとても良い豚だ

とてもうまい

これであっさり系豚丼作ったらさぞかしうまいことだろう

「ああビールが飲みたい」

でも我慢我慢である

 

そしてついにアレが運ばれてきた

グツグツと音を立てながら

f:id:sababou:20191024144524j:plain

フカヒレの姿煮あんかけ土鍋ご飯3400円

もうねなんか凄いよ

色々とさ

 

カニまでジャムってるし

姿煮だよ姿煮

俺は思わずジョーズを想像した

俺は50年近く生きている

流石にフカヒレも何回か経験済みである

最初は痛かった

でも途中から気持ちよくなるみたいなわけはない

しかし俺が今まで食べてきたフカヒレは細かく切断されたものばかり

正直食べていてもどれがフカヒレなんだかよくわからない代物だった

それが今俺の目の前にはフカヒレそのままの姿が鎮座しているのだ

土鍋の中でグツグツと煮込まれて

withカニまで一緒だ

そして俺は思い出した

「確かフカヒレ自体には味がない」

そうなのだ

フカヒレは味がない

食感を楽しむのがフカヒレの醍醐味

そして栄養も満点

なんか滋養に良さそうだし

下半身もとんでもないことになるかもしれないな

暴れん坊将軍みたいにな

味が無いということは

フカヒレの味は料理人次第

つまり美味くなるか不味くなるかは料理人に委ねられるのだ

確かに俺が今まで食べたフカヒレでうまいと思ったのは一度だけ

20代の頃に東京で食べた中国料理15000円コースについてきたフカヒレのみである

後の細かく切断されたフカヒレは正直よくわからない

そんな印象のフカヒレ

しかしここはマサの台所

まずいわけが無い

そしてこの店のあんかけは既に経験済み

あんかけご飯にあんかけ焼きそば

俺は期待を膨らました

そして記憶の底に眠るあの味を思い出した

 

小鉢に取り分けてと

「熱々だな」

俺は慎重にフーフーしながら口の中にフカヒレご飯を放り込んだ

「あつっ、ハフハフはふはふ」

「な、なんだこれわ!」

おそらくあんかけ自体は今まで食べたものと同一

しかし美化されていると思われる俺の記憶の中の味より遥かにうまい

なんかいろんな旨味が凄いことになってる

中華食材の干し系オールスターなのかもしれないな

おそらくあんかけがうますぎて記憶に収まりきらなかったのだろう

「ヤバイほどうまいな」

3400円出してよかった

後悔は全く無い

むしろこのフカヒレ姿煮で3400円ならかなりお得なんじゃ無いかと

カニもいるし

前菜2品にスープも深い味で絶品だ

あんなうまい中華スープはそうそう飲めるものでは無い

あの中に麺をぶち込んで食べたあとで雑炊にしたいぐらいである

それでいて3400円

やっぱりマサは凄いな

肝心のフカヒレは「とろっプリッこりっ」

食感トリプルエース

しかしモビスターのようにはならない

ちゃんと融合しているのだ

「これが姿煮か」

フカヒレは一週間ほどかけて戻して下ごしらえするそうだしな

やはり手間暇かかってる分だけ高いのだろう

ただ最初にも述べたようにフカヒレ自体に味はない

あくまで食感と豊かな栄養

なのであんかけの味自体を楽しみたいなら普通のあんかけメニューで十分だ

ただ人生で1度は食べてみても損はないかな

なんせ3400円

少し何かを我慢すれば引き出せる金額である

徳井さんのように色々誤魔化す方法はあるしな

経費とか経費とか経費とか

この食感プライスレス

 

f:id:sababou:20191024150715j:plain

黒酢

半分ほど食べたあとで思い出した

黒酢の存在を

「途中で味を変えてお召し上がりください」的な黒酢

俺は取り分けたあんかけご飯に黒酢をふりかけた

そして食べた

「おぉおおおおおおおおおおおおおおおお」

いつだってマサは俺を驚かす

今回も予想を軽く超えてきた

黒酢が入ったあんかけご飯は味を変えた

あっさりとそれでいてコクが増す

まるで別物

一粒で2度美味しい

「こっちの方がうまいかも」

しかし取り分けたものを食べ終わる頃にはノーマルが恋しくなる

そしてまた今度は黒酢が恋しくなる

俺は交互に食べた

ノーマル、黒酢、ノーマル、黒酢

無限ループ

黒酢の配合も変えた

少し多めに

ああうまい

でもやはりラストはノーマルあんかけ

全ての基本である

 

「ごちそうさま」

 

 

俺は完食した

最後の米一粒まで綺麗に平らげた

なんせ米一粒の中には7人の神様がいるからな

そしてあんかけもできる限りスプーンで掬い平らげた

パンが欲しい

最後はパンで綺麗にあんかけを拭って食べたいな

 

満腹である

杏仁豆腐は入りそうにない

「残念だ」

俺はお隣さんの焼きそばをみた

焼きそばもいいなぁ

でもラーメン食べたいよなぁ

あまり人に教えたくないがここのラーメンは絶品だ

まぁ担々麺も麻婆もチャーハンもなんでも美味いんだけどな

 

 

でも思い切ってみて正解だった

いい冥土の土産ができた

でもまだ食べていなメニューもあるし

いつかはコース行きたいし

まだまだ死ぬわけにはいかんな