鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

虹男サガンさいたま制覇

今年もやって来たサイクルロードレースシーズン最後を飾るビッグレース

ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム2016である

早い物で今年で4回目の開催となる

ヨーロッパの選手はシーズンオフなのでイベント的なレースだと思われがちではあるが

主催者のASO曰く「事実上のツール・ド・フランス第22ステージである」

と豪語する世界で唯一ツールの名を冠したクリテリウムなのだ

それだけに普段は限界まで体を絞っている選手もスプリントに備えて肉体改造

少々脂肪分をつけての来日なのである

毎年豪華メンバーが来日してくれるが今年は何とツールの4賞ジャージが勢揃いした

マイヨジョーヌのフルームはもちろん

ポイントのサガン、山岳のマイカ、新人のアダム・イェーツに加えて最速スプリンターのキッテルも来日である

そして日本人としては新城選手と別府選手がスペシャルチームを結成して挑む

前日はいつものようにファンとの交流会

羽織袴で登場の選手達

日本人よりもサガンのほうがサムライみたいでかっこよかった

やはり和服は体格が良く無いと似合わない

イベントではひな人形のコスプレをやらされたり餅つきを楽しんだりしたみたいだ

そしていよいよ本番である

今年も大勢の観客が詰めかけた

雰囲気はまるでパリのシャンゼリゼだと思い込みたいがやっぱりさいたま

しかし主催がASOだけあってスタッフはみんな現地からやってきた

カメラもバイクも車もシュコダである

そして今回はなんとあの悪魔おじさんまで来日

レース中は悪魔お姉さん達といっしょに飛び跳ねていた

 

レースがスタートするといつものように日本のチームが飛び出して逃げグループを作る

やはり最初だけは日本人に華を持たせようと言う空気感である

プロトンは新城が先頭を引く

今回のエースはどうやら日本のミスタークリテリウムの別府みたいだ

ご存知別府3兄弟の末っ子である

ちなみに愛三工業の監督は別府3兄弟の次男

実況解説でおなじみの長男の始も会場に来ているのだろうか?

お祭りムードでレースが進む中山岳ポイントスプリント争いが勃発する

スプリントが欲しいキッテル山岳が欲しいバルデを含む5人の逃げが形成された

その中には日本の窪木も入った

一回目のスプリントポイントではキッテルが貫禄勝ち2位には窪木が入る

山岳が欲しいバルデであるができるならスプリントもとってしまいたい

俺が以前書いたようにさいたまではクライマーとトップスプリンターがスプリント勝負出来るレースである。そして俺の予想通りこの後ではキッテルとバルデのハンドル投げまで行なわれたのである

山岳ではバルデがポイントを重ねて行く

途中で自転車芸人の安田大サーカスの団長のインタビューが入るも見事なまでに滑る

選手達は滑って落車しなければいいが

激しいスプリント争いを繰り広げていたキッテルとバルデであるが途中からバルデが単独アタックで一人逃げ

後続との差を37秒まで広げた

そして山岳ポイントを重ねて行くバルデ

おそらく世界で一番短い山岳コース

おそらく世界で一番標高の低い山岳ポイントを制してバルデが山岳賞をほぼ確定させるとそれまで空気を読んでいたプロトンがいよいよ動き出す

新城が別府を従えて先頭を引く

そして別府に先頭が変わると一気にバルデとの差はつまり集団に吸収となった

ここからが本番である

残り17キロ

別府が渾身のアタック!

これに新城とヴィエルモーズが乗り3人の逃げを作る

流石にこれは拙いとプロトンもペースアップして追走に入る

そしてキッテルはスプリントポイントでほとんど足を使う事無く余裕のポイント賞を確定させた

流石世界最速スプリンターである

残り9キロ

3人の逃げから新城がうまくきっかっけを作り別府を発射!

その後で新城はヴィエルモーズの押さえに入る

ジャージは違うが今日だけは同じチームで走る新城と別府

果たしてヴィエルモーズは知っていたのだろうか?

やがて新城達は集団に吸収

するとバルデが山岳を確定させる為に再びアタックをかける

すると今度はマイカもツール山岳賞ジャージの意地を見せる

ツールさながらの熱い山岳バトルが繰り広げられ見事にバルデが山岳賞を確定させた

残り5キロ

なんとここまで沈黙だったマイヨジョーヌのクリスフルームが下りでアタック

ツールさながらのスーパーダウンヒルを見せるがいかんせん下りが短すぎる

そのためにポイント賞とヨーロッパチャンピオンと世界チャンピオンのサガンと新人賞のアダム・イェーツに追いつかれてしまう

そこに何と全日本チャンピオン地元ブリヂストンアンカーの初山翔も加わり4人の逃げが出来た

追走のプロトンはもはや体力の限界なのかなかなか追いついて来ない

別府はいつのまにか吸収

逃げる4人

マイヨジョーヌに新人賞にポイント賞に全日本チャンピオン

スプリンタークライマー入り交じったスゴイ豪華メンバーである

まさにこれがさいたまクリテリウム

ここまできたら脚質なんて関係ないのである

ただ単に人気者が勝つ!

それだけである

そして4人は最後のさいたまスーパーアリーナへと入る

ここでスプリントでは分が悪いアダム・イェーツが早めのアタック

すかさずフルームが反応

そのフルームの番手には初山が

そしてフラムルージュを通過

おそらくさいたま以外では見る事ができないフルームの全力スプリント!!

食い下がる初山

しかしサガンがぐんぐん迫ってくる

いつものようなキレが無いサガンであるが見事にスプリントを制して

この事実上のツール・ド・フランス第22ステージであると言い張る

さいたまクリテリウム2016を制した

 

そして2位にはなんと全日本チャンピオンの初山翔選手

3位はマイヨジョーヌのクリスフルームであった

フルームを押さえてのまさかの総合2位の初山選手見事な走りであった

 

今回のクリテのテーマは「絆」と「かつてない」である

別府、新城が見せた日本人選手の絆

そして日本人が2位に入賞という「かつてない」

終わってみれば見事なシナリオとなった

そして敢闘賞には別府選手が選ばれた

 

 

1位 ペーター・サガンスロバキア、ティンコフ)
2位 初山翔(ブリヂストン・アンカー
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

ポイント賞
マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ

山岳賞
ロメン・バルデ(フランス、AG2R

新人賞
アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)

敢闘賞
別府史之(トレックセガフレード

ポイントレース 結果
1位 新城幸也(ランプレ・メリダ

 

見事なまでに役者のそろい踏みとなった今年のさいたまクリテリウム

やはりポディウムガールはイタリアでもフランスでもスペインでもなく

日本人が一番キレイだなと俺は思った

祝福のキスが無いのが選手は残念であろうが

そして明日からは日本のどこかで旅を楽しむ世界のトッププロに出会えるかもしれない

おもいっきり日本を満喫してまた来年俺たちを楽しませてほしい

 

 

そしてこれが本当に最後のお仕事のイノーさん

お疲れさまです