鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

船越英一郎が教えたかった紅葉

船越英一郎の京都の極み2時間SPを見た

2時間ドラマの帝王の異名をもつ彼はやはり2時間枠がよく似合う

今回は祇園の老舗料亭鳥居本が実家の田畑智子さんと京都の旅へ

まずは田畑さんおすすめの紅葉スポット四条大橋からの眺め

俺も大好きな眺めである

一銭洋食を経て田畑家御用達の広東料理の店へ

地元の人じゃないと分からないようなかなりディープな場所

そしてむちゃくちゃ美味そうな広東料理

鳥の蒸し焼き、春巻き、唐揚げ、焼きそば

どれも船越英一郎の目をうるうるさせるほどの料理だった

流石に老舗料亭の一家が足しげく通う店であり田畑さんの父親がやたら注文を出しオリジナル料理を作らせる店

こんな店で船越英一郎と酒を飲んでみたいもんだ

その後二人が向かったのは紅葉の定番永観堂

ここには珍しい見返り阿弥陀様がいらっしゃる

俺も紅葉の季節を始め四季折々訪れている

俺の大好きな散歩コースで地下鉄の蹴上駅で下りてインクライン南禅寺永観堂哲学の道法然院銀閣寺の黄金コースだ

そして二人は高級料亭に麩を納めている麩嘉で麩まんじゅうを食べる

あれは絶品だ

叡山電車に揺られて貴船神社

俺には嫌な思い出がある貴船神社だがさすがに紅葉は美しい

そして川床のある料理旅館右源太で3種類の味の変化を楽しめる三色鍋だ

これがなんといきなりスッポン鍋から始まるのだ

なんて贅沢な鍋

スッポンの出汁が出た所で投入されるのがイノシシ

ちなみに俺はイノシシ年である

イノシシが投入されスッポン鍋からボタン鍋

しかしただのボタン鍋ではないスッポンの旨味が凝縮されたボタン鍋なのだ

そして最後は京野菜がたっぷり投入され野菜鍋に変化

流石京都である

通常なら脇役である野菜が最後の主役

しかもスッポンとイノシシの旨味をたっぷり吸い込んだ野菜なのだ

これはもう不味い訳が無い

そんな3変化の鍋だがやはり〆は雑炊である

こんなもの食べたら他の雑炊が食べられなくなるんじゃないかと思うが

あいにく俺は食べていない

あくまで食べたのは船越英一郎ご一行様なのである

ここで1日目は終了で翌日の2日目となる

二日目は船越英一郎おすすめの紅葉スポットを巡る

まず二人が訪れた場所はこれまた定番の嵐山

おそらく京都でも1番人気の場所

なんだ船越、結局嵐山かよ!と思わせたところで彼の口から出た言葉が

「天空のお寺」「絶景」

このキーワードで俺は全てを理解した

この番組が放送される前のブログで俺が紅葉のおすすめとして書いた場所である

やるな英一郎め

俺と船越英一郎がシンクロした瞬間である

船越ご一行は渡し船に乗った

流石にあの道をショートカットする気だな

そして二人は石段を上る

田畑智子さんがかなりへばってる

ここは車が走れるような道はいっさい無い山寺だ

女優だろうと石段を上るしか無い

しかしその先にある物は確かな絶景なのだ

そしてそこにはお寺と絶景しかない

俺が思うにはおそらく船越英一郎はこの場所を訪れるのはこの時が初めてであろう

あまりにもディープな嵐山だ

最近は外人用のガイドブックで紹介されてるそうで外人が増えてるみたいだが

昔はある作家さんのファンが訪れるだけの寺だった

こんな場所にプライベートで彼が訪れたことがあるとは考えにくいのである

でもいい

そんな千光寺であるが入山料は400円

このお寺は有名な仏像がある訳でもない

それなのに400円

この値段を高いと思う人もいるであろう

しかし長い間このお寺はお金が無くて改修工事もまま成らなかったのだ

この入山料の400円はお布施と考えれば決して高くは無い

むしろ絶景を見させてくれるだけありがたい

そしてこのお寺になんとか観光客を呼び寄せいと考えたのが

このお寺さんの友達であったミステリー作家の北森鴻さんである

俺は北森さんの本が大好きだ

全部読んでいる

 

邪馬台: 蓮丈那智フィールドファイルIV (新潮文庫)

邪馬台: 蓮丈那智フィールドファイルIV (新潮文庫)

 

 

凶笑面―蓮丈那智フィールドファイル〈1〉 (新潮文庫)

凶笑面―蓮丈那智フィールドファイル〈1〉 (新潮文庫)

 

 

 

 

狐罠 (講談社文庫)

狐罠 (講談社文庫)

 

 

 

狐闇 (講談社文庫)

狐闇 (講談社文庫)

 

 

とくに民俗学ミステリーの蓮丈那智シリーズ

古物を扱う旗師・冬狐のシリーズ他多数

とにかく面白いミステリーを書く人だった

そんな彼がこのお寺の為に書き残した本が裏京都シリーズ

かつて京都を騒がせた怪盗・有馬次郎はひょんなことから嵐山・大悲閣の寺男として働くことになる。培った裏の技能を駆使し、洞察力に優れた住職や、みやこ新聞の記者・折原けい達と寺に舞い込む様々な事件を解決していく物語だ

 

ぶぶ漬け伝説の謎―裏(マイナー)京都ミステリー (光文社文庫)

ぶぶ漬け伝説の謎―裏(マイナー)京都ミステリー (光文社文庫)

 

 

 

支那そば館の謎 裏京都ミステリー (光文社文庫)

支那そば館の謎 裏京都ミステリー (光文社文庫)

 

 この2冊である

北森さんの本にしてはドタバタな喜劇調な作品

これはたぶん多くの人が読みやすいように配慮されたんだと思う

そしてこの本を読んだ人達が嵐山 大悲閣 千光寺へと訪れていたのだ

お寺にはノートが置かれそこには北森鴻さんへのメッセージが書かれている

北森鴻さんは48歳にして亡くなられたのだ

まだまだこれからだったのに残念でならない

そんな北森さんを忍んで訪れる人が多いお寺だった

それが今や外人観光客にも広まった

そして今回俺が知るかぎりでは初めてTVで紹介された

小さな小さなお寺なんであまり多くの人が殺到すると大変な事になるが訪れる人が増えて極楽浄土で北森鴻さんも喜んでいると思う

 

そんな嵐山 大悲閣 千光寺の写真を

 

ちなみに季節は真夏である

台風が過ぎ去った翌日だ

 

渡月橋を渡り桂川の右岸を上流へ1キロ

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こんな道が続いて行く

この辺りで船越さんたちは船を降りた

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ここがお寺の入口

ここから石段を登る事になる

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途中には松尾芭蕉の句碑がある

かつてかれもこの場所を訪れている

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つづらおりの階段を登って行く

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このお寺のパンフレットは全て手書きの手作りだった

とても暖かみのあるパンフレッットとありがたい言葉たち

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頭上注意!!

頭をぶつけないように赤い布が垂らしてある

ここまでくればもう一息

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山門が見えて来た

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鐘は自由に突く事が出来る

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そしていよいよお寺が見えてくる

この時はまだ修復前

こんなボロボロの本堂だったのだ

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そしてこれがお寺からの眺めである

まさに絶景

遠くに京都の町が見える

超広角レンズで撮ってるので町が遠く見えるが

実際の眺めはもう少し町が近く大きく見える

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この時はこの眺めを独り占めだった

お参りをしてのんびりとこの寺での時間を過ごしたのだった

そして俺は小さな達磨のお守りを購入して下山した

ちなみにこのお守りはお寺を預かっていた人でも知らないぐらいに買う人がいなかったみたいだが今もあるのだろうか?

訪れた人は是非購入してあげて欲しい

見れば欲しくなるはずだ

 

その後の船越英一郎天龍寺の塔頭へ

そして湯豆腐

俺が初めて京都で食べた湯豆腐も嵐山だった

 

この先のお話はまた次の機会にでも

 

嵐山 大悲閣 千光寺から眺める絶景な紅葉

これこそが船越英一郎が俺たちに教えたかった紅葉

そして京都だった

 

ちなみにこのお寺は夏目漱石谷崎潤一郎の小説にも登場する

たぶん彼らもこの絶景を見たはずだと

俺は信じたい

 

京都慕情  武田カオリ


「京都慕情」 エンディングテーマ [本上まなみ for Special Edition 2016]【HD】