鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

1秒差ボドナール、1秒差バルデ

 2017年ツール・ド・フランス第20ステージ

総合系の最終決戦

マルセイユでの個人タイムトライアルだ

距離は22・5キロ

後半にぽこっとコブがあるがほぼ平坦なコース

勾配はあるが距離が短い

特別にバイク交換するようなコースでもない

山岳系よりもTTスペシャリストが活躍するコースだ

後半に現れるコブの頂上には教会があるそうだ

ノートルダム・ド・ラ・ガルド教会で標高116メートル

ノートルダムというのはマリアのことみたいだ

そんなマリア様が見守る中での最終決戦

マルセイユサッカー場からスタートしてゴールする

天気は快晴で風もほとんどない

まさにTT日和である

総合順位が1番下の選手から順番に出走する

最初はスカイのルーク・ロウだ

総合順位は最下位だがツールでの彼の働きは誰もが知るところである

自分が仕事する場面できっちり仕事をこなし、後は翌日に備えて体力温存でのんびりゴール

その結果が最下位である

まずはキャノンデールテイラー・フィニーのタイムが基準となる

怪我の影響もあるが本来ならTTのスペシャリストである

そのフィニーのタイムを大きく上回ってきたのがボーラのボドナール

サガンのアシスト

サガン兄弟と常にチームを共にし、サガンと同じレースを走る

サガンにとってなくてはならないアシストだ

去年のツールではサガン、フルーム、トーマスと共に抜け出してサガンが逃げ切り勝利

サガンが「あいつは早い」というだけあって

自分のために本気で走ったボドナールは暫定一位のタイムを叩き出した

そのあとに登場するのが現TT世界チャンピオンのトニー・マルティン

カチューシャとしてもどうしても欲しいツールでの1勝

新スポンサーはドイツのアルペシン

そしてスポンサーと共に移籍してきたのがドイツ人のトニー・マルティン

そしてドイツスタートの今年のツール

何が何でも勝たなければならない

しかしマルティンのタイムは思ったほど伸びない

中間でもボドナールより遅い

結果マルティンは14秒遅れの4位に終わった

その後オリカのインピーなども好タイムを叩き出すが

ボドナールには届かない

そして大歓声の中、今年のツールで引退のヴォクレールが登場

彼がツールからいなくなるのは寂しい

フランス中がメルシーヴォクレール

感謝の気持ちを伝える

ボドナールのタイムに限りなく迫ったのが同じポーランド人のクウィアトコウスキー

そして彼はポーランドのTTチャンピオンだ

第一計測ではボドナールより6秒速く走る

続くコブのてっぺんの中間計測では1秒リード

しかし最後の区間でタイムを落としてボドナールから1秒差の2位となった

連日のフルームへの献身的なアシストとしての働きを考えたら実質は彼がトップなのかもしれないな

山岳では完全停止するまでアシストしてのこのタイム

やはりサガン同様すごい選手だ

途中でフランスのサッカー選手パパンが紹介される

懐かしいパパン

今はコフィディスのアンバサダーをやってるらしい

 

サッカーだと俺はキング・カントナが好きになり、そしてトヨタカップでのプラティニ

あの頃はフランス好きだった俺

体操服の短パンはアディダスが流行る中で一人ルコックを履いていた

そんなことを思い出すパパン

ACミラン時代しか知らないが、その前はマルセイユだったんだな

誰もボドナールのタイムを上回れない

レースは総合上位の争いに突入する

コンタドールが登場

かなり気合の入った表情だ

彼もツールは今年が最後だと言われている

そのコンタドールが中間計測では驚きのクウィアトコウスキーと同タイム

まるで全盛期のコンタドールを思わせるかのような走りだ

3週間のコンディション維持は難しいがポイントポイントでは活躍できる力がまだ残っている

コンタドールは21秒遅れの総合6位でゴール

バルギルを交わして総合成績を9位まであげた

そのバルギルは終始笑顔のリラックスムードで最後のTTを楽しんだ

彼にとっては山岳賞が何よりも嬉しいお土産だ

新人賞争いはサイモン・イェーツがマインティーズと同タイムゴール

歴史的快挙の双子での2年連続ツール新人賞を確定させた

去年はアダム今年はサイモン

すごい双子だ

いよいよ総合4位のランダがスタート

TTはあまり得意ではないランダだが、なかなかいい走りをする

51秒遅れの15位だ

あとは表彰台を目指してウラン、バルデのタイムを待つのみ

ウランがスタート

総合系の中では比較的TTは早い

元同僚のフルームもウランをよく知ってるだけに実質のライバルはウランだと考えている

しかしさすがにフルームを脅かすほどの走りは無理だ

だが総合2位は目の前

沿道のフランス人はウランに対して「ゆっくり走れ」と

しかしそうはいかない

コロンビア旋風の先駆者ウラン先輩は表彰台2位に向けて走った

最後のコーナー

ややスピードオーバーだ

危ない!!

左足を外してバランスをとりバイクをフェンスにぶつけながらもリカバリー成功

リッチーの落車の時に続いて神業リカバリ

なんとか総合2位を手中に収めた

残すはバルデとフルーム

大歓声で送り出されたバルデだったが様子がおかしい

マリア様のコブの登りでリズム良くダンシングができない

なんか変な汗も出ている

かなり調子が悪そうだ

フランス人としてのプレッシャーなのか?

体調不良なのか?

バルデのタイムが全く伸びない

これではフランス国営放送もフルームの中間計測を表示できない

フランス人のわずかな希望を打ち砕いてしまうからだ

それでも大声援の中で必死に走るバルデ

後ろには黄色い姿が

フルームがどんどんせまってくる

ランダとのタイム差を考えた場合に2分遅れでスタートしたフルームに抜かれたら4位転落

限界を超えた走りでサッカー場へと戻ってくるバルデ

しかしその背後の光の中黄色い姿が

ランダとのタイム差が微妙だ

5.4、3、2、

ま、守った!

1秒差でランダを交わして3位キープ

ギリギリのところで表彰台を確定させた

その差1秒

明日のゴールで総走行距離3540キロ

その差1秒

たったの1秒でランダは表彰台を逃した

 

フルームは危なげない走りで6秒差のステージ3位

安堵の表情で4回目のマイヨジョーヌを確定させた

あとは明日シャンゼリゼを走り抜けるのみである

 

総合の争いは終わった

マイヨジョーヌ フルーム

2位      ウラン 54秒

3位      バルデ2分20秒

終わってみれば1分2分の差に

やはり今回のようなTTの少ないツールでもクライマー系がフルームを倒すのは難しいのだろうか?

唯一対抗できるのはデュムランなのかもしれない

 

そしてステージ勝利はボドナール

同国のTTチャンピオン、クウィアトコウスキーとの差は1秒

ボーラにとっても嬉しい1勝

そしておそらく1番喜んでいるのはサガン

献身的なアシストの彼に対して去年逃げた時にサガンはボドナールにステージ優勝を譲るはずだった

しかしフルームがアタックしたために仕方がなく自分がステージをとってしまった

それがこの日ボドナールは自身の力でステージを勝ち取ったのだ

 

総合の戦いは終わった

しかしまだパリ、シャンゼリゼが残っている

世界中のスプリンターが夢見る舞台

誰もがここで勝つことを目標に頑張っている

最後のスプリント勝負

前半はいつものようにパレードラン

お互いをたたえ合いながらパリまでサイクリングする

パリに入ると一矢報いたい小集団の逃げが発生する

かつて別府選手もシャンゼリゼで逃げて敢闘賞を獲得した

しかしシャンゼリゼでは簡単には逃してはもらえない

残されたスプリンターチームが逃げを吸収して最後のスプリント勝負へ

最後は各チームトレインができるはず

トレインといえばロットソウダルでグライペル

勝って終わりたいサンウェブの緑マシューズ

怪我してるけどクリストフ

もう1勝欲しいディメンションデータのボアッソンハーゲン

今年のツールで最速スピード出したロットNLユンボのフルウェネーフェン

デマールはいなくなったけどコフィディスのブアニ

UAEのベン・スイフトもヴィヴィアーニ移籍前に結果を残したい。エーススプリンターは俺なんだと

そして新城所属のバーレーンメリダのコロブレッリ

コロブレッリが遅れた場合は新城がスプリントする可能性も十分にある

なんせ初出場のツールで集団スプリント5位に入っている

フラムルージュ過ぎて最終コーナー直前からのベンナーティのロングスプリントなんて見てみたい

しかし各スプリントチームがそれを許さない

誰が勝つのか?

僅差のスプリント勝負

そして再びシャンゼリゼで吠えるゴリラ

優勝 グライペル

2位 マシューズ

3位 ボアッソンハーゲン

 

これが今年最後の予想