鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

2020ツール・ド・フランス、ポガチャル大逆転ほぼマイヨジョーヌ確定

しかしこんなことってあるんだな

ポガチャルが言うように「これがロードレース」なんだろう

 

コロナ禍の中で開催されたツール・ド・フランス

果たしてパリまでレースは続行されるのか?

観客はマスクも付けずに「アレアレ」「ベンガベンガ

スタッフからは数名コロナ感染が出たが幸いにも感染した選手はいなかった

そして総合争い最終決戦

第20ステージ個人TT

総合1位はログリッチ

2位のポガチャルまでは57秒

ほぼ1分

今までに個人TTでの大逆転劇は何回かあったが

それは挑む相手がTT苦手な場合ばかり

今回総合1位のログリッチはTTのスペシャリスト

まだ無名だった頃に突然TTで優勝した

「誰だ誰だ」

「元スキージャンプのジュニア世界チャンピオンみたいだ」

スキージャンプからロードレースに転向して数年後の出来事である

そしてログリッチブエルタを制した

今回のステージもNTTのAI以外はみんなログラステージ優勝予想

ツールが始まる前にポガチャルのマイヨジョーヌを予想した俺でさえログリッチを予想していたぐらいだ

そのぐらいログリッチは万全に見えていた

レースが始まる

前半から中盤にかけてカバニャがトップタイム

流石「 クレアモント・フェランのTGV」の異名を持つ男

今朝俺は自転車で走ってきたのだが

その時までに見た録画分ではまだカバニャがトップタイムだった

そのために今朝の俺は「 クレアモント・フェランのTGV」のイメージだったほどである

2時間で50キロほど走り帰宅

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ステージも後半に突入

いよいよファンアールトの登場だ

ベルギーチャンピオンジャージがやたらとカッコイイ

そしてカバニャのタイムを軽く上回ってきた

TGVより速いとは・・・」

そして同僚のドュムラン登場

彼もまたTTスペシャリストであり元TT世界チャンピオンでありジロの総合優勝者である

ログラとWエースとも言われていた

ツールの前半こそ調子が悪かったが徐々に調子を上げてきたデュムラン

元同僚で元全日本チャンピオンの土井ちゃんのお友達でもある

そしてデュムランが同僚ファンアールトのタイムを上回りトップタイムを叩き出した

さらに今日はリッチーがやたらと速い

表彰台も見えてきたリッチーである

そして今日の主役の二人

ポガチャルとログリッチもスタート

誰もが57秒は無理と思っていた

しかしハイペースで走るポガチャルにログラとのタイム差は徐々に詰まりだす

しかしまだ「どうせ前半抑えて後半の急勾配で爆発だろ」

などとまだポガチャルを信じられない俺がいた

レースが進むとタイム差はどんどん詰まり始める

57秒あったマージンが

40秒30秒20秒と縮まっていく

何かがおかしい

しかしログリッチもそれほど悪いタイムでは無い

とにかくポガチャルが速すぎるのだ

今回注目の自転車交換も冷静にこなすポガチャル

あとは急勾配を登り切るだけだが

まだこの時も俺は前半飛ばし過ぎで失速するんじゃ無いかと思っていた

山に入ってもハイペースを刻むポガチャル

逆にペースが上がらないログラ

ついにタイム差はマイナスからプラスへと変わる

57秒あったマージンが消滅した

この時にログラにはタイムが知らされていたみたいだ

一度追い越されるとどんどんタイム差は広がりだす

グリッチには既に諦めが出ていた

 

ゴール手前の勾配20%の急勾配を駆け上がるポガチャル

モニターを見つめるデュムランとファンアールト

まさか彼らがこの最終ステージでこんな表情を見せるとは誰が想像できただろうか

暫定トップのデュムランをも上回る驚異的なスピードで駆け上がってくるポガチャル

デュムランに1分21秒の大差を付けて見事ステージ優勝

そしてマイヨジョーヌをほぼ確定させた

ステージ3位にはリッチー

彼もまた総合3位を奪取

自身初となるツールの表彰台である

 

最後ログリッチがゴールへ駆け上がる

突然カメラを構える辻啓さんの顔が世界配信で大写しに

驚いた

思わず「辻!」と叫んでしまう

ハナコも驚いた事だろう

グリッチは5位でゴール

ポガチャルからは1分56秒遅れ

世界中の誰もがマイヨジョーヌ確定かと思っていたが

終わってみれば57秒のマージンは無くなりさらに1分追加されていた

座り込み項垂れるログリッチ

デュムランが声を掛けるも

反応すらできない

ようやく勝利インタビューを受けるポガチャルに駆け寄りお互いの健闘を称えあう

しかし先輩であるログリッチに声を掛けることができないポガチャル

後輩としてツライ場面でもある

 

 

しかしまだ信じられないな

去年はピノのリタイアの場面で泣いた俺だが

今回はポガチャルのTTで泣いたな

勝利を確信して両手で顔を覆うポガチャル

まだ21歳である

しかも万全のアシストに守られた同郷の偉大な先輩ログリッチに勝った

ポガチャルは山岳アシストのアルとフォルモロを速い段階で失い

常に一人で戦ってきた

3周目に入りデラクルスが復調してアシストするも

ユンボには到底叶わない

そんなチーム事情で個の力で奪い取った総合優勝

マイヨジョーヌ

こんな話、映画、小説、漫画で描いたとしてもあまりにも嘘臭くなる話

そんな奇跡みたいなドラマが現実に起きてしまう

それがロードレースでありツールなのである

 

ポガチャルと抱き合ってグータッチしてた頭ツルツルのチームスタッフ

あの人がUAEのトップ

俺のインスタをフォローしてくれている

その縁もあり俺はポガチャルを応援していた

でもやっぱり今でも信じられないな

 

 

そしてリッチーの表彰台

これも多分泣いちゃうね

サクソバンク時代にジロで頭角を現したリッチー

やがてスカイに移籍してフルームにおやつをデリバリー

エース待遇でトレックへ移籍するも落車続きで結果が出せない

そんなリッチーも35歳

今年は子供が生まれるもコロナで出産には立ち会えない

そんな彼にリッチーの奥さんは

「ツールに行きなさい。あなたの仕事をしてきなさい」と送り出す

エースとしてツールを走るのはこれが最後かもしれない

そんな気持ちもあったのだろう

今年のリッチーにはかつての強さが戻ってきていた

そして彼の奥さんはこうも言った

「もしTVをつけてプロトンの最後尾にいるようなことがあったら怒るからね」と

 

 

ツールはまだ終わってはいない

今日はパリシャンゼリゼでのスプリントステージである

厳しい山岳を頑張って超えて来たスプリンターたちのレース

世界中のスプリンターが憧れる地だな

レース前半はパレードランとなる

選手同士お互いに健闘を称え合う

最終日では総合のタイム差がつくようなレースにはならないので暗黙の了解で総合争いは第20ステージまでとなっている

これがルールにはないツールの伝統でもある

そのためにまだポガチャルのマイヨジョーヌは「ほぼ決定」なのである

明日シャンゼリゼでのゴールラインを通過して初めてマイヨジョーヌが確定するのである

この前半のパレードランが俺は大好きだ

選手はもちろん

見てる方も寝不足と戦いながらだしな

「今年もパリまで来たんだな」と実感できるのである

セーヌ川を渡りパリの周回コースに入るとレース開始

厳しい山岳を超えてきた選手も最後はスプリント勝負となる

石畳で登り基調のシャンゼリゼ通り

今年は誰だろう?

トレイン勝負

ログラの事もあるしファンアールトがチャレンジしてくるかな?

ユンボもこのままでは終われないだろう

去年の勝者ユアン

そして意地のサガン

でもやっぱりサム・ベネットだな

ただ前回アラフィリップがトレインを引き過ぎて崩壊したからな

その辺り程々にしとかないと

 

今日のシャンゼリゼサム・ベネット