鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

2020年 奈良・京都の旅 04

2020年奈良と京都の旅

 

いよいよ2日目のスタート

朝4時に起きた俺

ワクワクが止まらない

しばしぼっとする

とりあえずシャワーを浴びる

完璧に目が覚める

自販機で缶コーヒーを購入して飲んだ

相変わらずマズイ

次に荷物の整理をして本を読む

例の自転車小説だが読みだすと面白い

そして無性に走りたくなる

5時になる

一応時刻は調べてある

あまり早く出ても現地に早く着きすぎてしまう

どうせお寺は9時からだ

「もう少しのんびりしても良いかな」

俺は9時11分発の急行バスに狙いを定めた

13番のりば 浄瑠璃寺行き

この時間なら1日乗車券もGETできる

そしてのんびりとコーヒーとパンを食べることもできるだろう

今日の旅先は「当尾」

住所的には京都になる

京都府木津川市加茂

しかし通ってるバスは奈良交通

そのことからも生活圏は奈良になるのかもしれないな

近鉄奈良駅からバスで30分ぐらいだろうか

目的地は浄瑠璃寺岩船寺

この2カ所を回る予定

この二つのお寺は少し離れている

距離にして1キロ程度か

バスでも結ばれているが歩くのもまた良し

 

テレビをつける

中東情勢が気になる

ゴーンは正直どうでも良い

乃木坂の白石なんとかって子がグループ卒業とか

年齢的にも限界だろうな

でもソロでやっていけるのかな?

モデルと女優業だということだが

事実上モデルとタレント業になるのだろう

まぁ仕事がうまくいかないのなら

俺の嫁にでもなれば良い

 

今日から世間では仕事始め

でも俺はまだ休み

まぁアレだ

要するに暇なのだ

好きな時に休む

これがフリーの特権でもある

しかし特権はこれだけだな

朝8時

チェックアウト

とりあえず近鉄奈良駅のコインロッカーに荷物を預ける

あと1時間ちょい

フリータイムの開始だ

まずはバス乗場の確認

13番13番

欧米なら発狂する数字だぞ

インバウンドとか言ってるなら少しは気を使えば良いのに

俺は案内板を見た

しかし13番がない

探せど探せどない

こっちにも反対側にも

もう一度確認

「あった・・・」

13番だけ離れた場所に追いやられていた

離れ小島だな

やはり確認しといて正解だった

バス停はOK

あとはバスの案内所

俺は駅前をブラブラした

すぐに発見

高齢者がたむろってる

定期観光バス狙いかな?

案内所が始まるのは8時半

多分ここで1日券が買えるだろう

俺は商店街へ向かった

途中には老舗感溢れるパン屋がある

シャトードール

あとで気づいたのだが2階にカフェがある

そんなこと知らずに俺はお持ち帰りして店の前のベンチで食べたのだが

正直クリームパンが食べたかった

でも無かった

大仏あんぱんが気になるが今はあんぱん気分ではない

それにしても大仏プリンとか大仏あんぱんとか螺髪まんじゅうとか奈良は購買欲をそそるネーミングの商品を出してくる

俺は大仏という響きに弱いのだ

でも果たして「螺髪」をどれだけの人が知ってるのだろうか?

ちなみに「らほつ」と読む

これは大仏のパンチパーマの部分を指す

おでこの部分にある千昌夫のホクロみたいなのが「白毫」

読み方は「びゃくごう」

あれはホクロでなく長い毛がくるくる巻かれてあの形になっている

覚えておくと何か良いことがあるかもしれない

とりあえず2個購入

2つとも惣菜系

確かバゲット系と明太子クリーム

一個食べて一個はキープ

山の中で食べる予定だ

 

「コーヒーが飲みたいな」

できればハンドドリップが良いが贅沢は言えない

 

とりあえずブラブラ歩く

案内所が開いたのでバスの一日券を購入

500円だ

「パン一個で足りるかな?」

今日はそこそこ歩くことになる

「もう一個腹の中に放り込んでいくか」

俺はバス案内所近くにパン屋があったことを思い出した

「リトルマーメイド」

パンを買えばコーヒーも安くなる

俺は迷わずに店へと突入した

ここでもクリームパンを探すが無い

そしてここにも大仏あんぱんが

しかし200円超え

俺には手が出ない

俺は丸いフランスパンのサンドイッチを購入

コーヒーも注文して30分ほど過ごした

コーヒーのお代わりも確か無料

サービスは良い

バス停も近いしな

 

一応余裕を見て10分前に店を出る

人生何が起きるかわからない

信号を考慮しても徒歩3分もあればバス停までたどり着けるが

いきなり刺されたり銃で撃たれたりするかもしれない

腹を押さえ自分の血を見て「なんじゃこりゃぁああああああ」と叫ぶ時間が欲しい

そして「俺まだ死にたくねえよ」と倒れる時間が欲しい

そんな不慮の事故に備えて俺は早めに店を出た

基本30分前の30分前行動な俺

今回は流石に目的地が近いので5分前の5分前行動で10分前だ

バス停に着く

バスに乗る前に仕事の段取りを済ませておく

関係各所に電話電話

これでOK

今日の業務は終了

あとは旅をエンジョイするだけだ

バスが来た

バスは浄瑠璃寺に向けて出発した

 

奈良は駅から少し離れるだけで山になる

コンビニすら無い僻地へと突入

自転車で走るには面白そうな道だが

バスが来たら逃げ場が無い

やがて本格的な峠道へと入るとバスは浄瑠璃寺に到着した

ここが終点である

バス停の前には駐車場の案内所と自販機が立ち並ぶ

その隣には焼き物の店

そして道路を挟んだ向かい側から岩船寺方面のコミニュティバスが出る

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ここから浄瑠璃寺はすぐだ

岩船寺までは1キロちょい

俺の予定としてはまずバスで岩船寺

そこから山を歩いてこの場所に戻り浄瑠璃寺

これには理由がある

岩船寺からだと山道が下りになるからである

行きのバスには10人ほど乗っていたがここでみんな別行動

岩船寺行きのバスに乗ったのは二人だけだった

乗り換えのバスが来るまで11分

気分は路線バス旅

俺は焼き物の店を覗いた

なかなか面白い商品が所狭しと並んでいる

この店だけで30分は時間がつぶせるな

そんな俺の目に飛び込んだのが小さな小さな狸の焼き物

迷わず購入

信楽だな

スカーレットだな

 

そしてバスが来る

俺は岩船寺を目指した

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岩船寺前に到着

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観光案内チェック

「余裕だな」

しかし俺はこの時見落としていた

50分コースと20分コースがあることを

50分コースを歩いてるつもりが実は20分コース

これにより俺は大幅に時間を持て余すこととなるのだが

それはまた別のお話である

 

とりあえず岩船寺へ向かう

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なにやら石棺みたいなのが

どうやらこれは昔のお坊さんのお風呂

昔はこの辺りに39坊の坊舎があったそうな

かなりの人数のお坊さんがこの地で修行してたことになる

 

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山門が見えてきた

真言律宗岩船寺

紫陽花の名所として名を馳せてるという

お寺の歴史を読んで見ると実に興味深い

この辺り最初は平城京の外郭浄土として興福寺東大寺にいた高僧や修行僧の隠棲の地となったそうな

「偉いお坊さん大集合してたんだな」

このお寺もまた行基さん絡み

その他だと空海空海の甥っ子の智泉大徳

きっかけは聖武天皇の夢なのか

それで行基がまず阿弥陀堂を建立したそうだ

次に空海たちが報恩院を作ってこれが岩船寺の元となる

その後も嵯峨天皇とか出てくるし

何回も焼けているが家康や秀忠にも助けらている

もともとは興福寺傘下

しかし廃仏毀釈興福寺から切り離されたのかな?

明治に岩船寺無人の寺となる

その後に西大寺傘下に入り真言律宗の寺となったみたいである

 

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境内に入るとまず三重塔が目に入る

岩船寺はこの三重塔が有名なのだ

「実に美しい」

もともと空海とも関係が深いんだよな

どうやら今回もまた呼ばれちゃったな俺

お大師さんに

 

とりあえず本堂へお参り

中に入る

ご本尊の阿弥陀如来に圧倒される

「なんて素晴らしいお姿・・・」

俺の守護本尊は阿弥陀様だしな

「おん あみりたていせい からうん」

俺は阿弥陀様の真言を唱えた

阿弥陀如来は藤原初期で重文

丈六と呼ばれる大きさで高さ約3メートルである

阿弥陀様を守護するのは四天王

それぞれ須弥壇の四隅で阿弥陀様を警護する

国宝や重文ではないが素晴らしい四天王である

俺はしばし魅了された

 その他重文の普賢菩薩騎象像

これは普賢菩薩さんの乗り物の象さん

昔の乗用車だな

空海の甥っ子のデザイン

デザイン指導は空海だと言われている

そして隅鬼

これは三重塔の四隅の垂木を支えるユーモラスな木彫

とても可愛い

俺はこの隅鬼をモチーフにしたお守りを購入した

そしてちょうどこの時期は秘仏ご開帳

それはそれは素晴らしい仏像たちにワクワクしながら鑑賞した

如意輪観音、弁財天など

その他十二神将 、壁には仏様の絵が書かれている

本堂の中には俺と徳島県から来たという老夫婦

老夫婦はいろんな質問を住職に尋ねる

ご住職も丁寧にわかりやすく説明する

俺も横で話を聞いてみる

どうやってこんな大きな仏像をお堂の中に入れたのか?

各宗派の教えの違い

そして真言律宗の考え方

俺自身独自の仏教感を持っている

ベースは真言宗

そこに良いものは全部取り入れる

日本酒で言えば田酒の酒蔵だな

了承を得た上で良いものはパクる

これは日本酒業界全体のため

「みんなで美味い酒醸して行こうぜ」的な思い

俺の考えも同じこと

同じ仏教

良いものは取り入れて「仏教界を盛り上げていこうぜ」って事

真言律宗もベースは真言宗

要するに真言宗の中の一派

高野山とか東寺派とかその中の一つ

奈良に来ると結構真言律宗のお寺は回る俺

他の宗派に比べると戒律重視だけにちゃんとしたお寺が多い印象だな

住職の話の中で即身成仏が出て来た

「人は死んで仏になるのではなく生きながら仏になるのです」

これは俺も普段から目標にしてる事

よくミイラになる事と勘違いされるが

あれは即身仏

あくまで生きてる状態で悟りを開く事が即身成仏

目指すところはお釈迦様

やはり真言律宗って真言宗なんだよな

 

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これも重文

十三重石塔

ブラタモリでもおなじみ花崗岩で作られている

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本堂の外観

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ここの鐘は自由に付いて良いとの事

ただし生かされてる事に感謝してつく事が大事である

感謝感謝

ゴーン

レバノンなう

 

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少し登ると休憩所がある

お寺おなじみのカメヤマローソクのベンチ

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なにやら上に何かがあるみたいだ

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登ってみる

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ここが頂上

この石だな

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貝吹岩

昔々この辺りは寺塔39坊の広壮を誇った

その頃に大勢のお坊さんに集合をかけるためにこの場所から法螺貝を「ブォーブォー」と吹いたそうな

「集合!!」

って感じだな

 

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眺めは最高だ

「集合!!」

 

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これが阿字池

永遠の象徴

つまり極楽浄土を表現している

ご本尊が阿弥陀様だしな

これもまた今回の旅のサブテーマに含まれる

そして電車の中で思った事

「中年の一人旅は極楽浄土を目指す」

 

 

俺は岩船寺を後にした

 

 

 

05に続く