鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

忘年会「紗羅餐」桜海老の掻き揚げと十割蕎麦と九平次別誂

今日からおやすみ

なので今日は今年最後の体のメンテ

今月はギックリ腰をやったこともあり他もカッチカチ

このままでは新年を迎えられない

なので筋肉を揉み、破壊

あとは人間の再生能力に委ねるのだ

かつて森本レオ石原真理子に言った言葉

「委ねてごらん」

処女キラーの異名を持つ彼の殺し文句だな

 

俺はいろんな人から飯を奢ってもらえる

これも俺の日々の行いが良いからである

今日の親戚との忘年会もおごりである

俺は一銭足りとも出さなくて良いのだ

遠慮を知らない俺

ありがたくご厚意に甘えることにした

場所はいつもの店

「紗羅餐」

ちなみに「サラザン」と読む

これはフランス語で蕎麦と言う意味なのである

いつものように某名鉄の駅からてくてく歩く

かつて大塚家具があった場所を通りすぎ新幹線の方へと

公園が見えてくる

前には神社が

そしてその隣が紗羅餐である

開店15分前

一番乗りだ

表に出してあるメニューを見る

何やら見慣れたマークが

某タイヤ屋のマーク

どうやらミシュランプレートを獲得したみたいだ

自分のお気に入りの店がミシュランに掲載されるほど残念なことはない

でもそれほど混んでないので良しとしよう

予約なしでも入れるしな

ミシュランプレートとはミシュランの基準を満たした料理らしい

「勝手に基準なんか作るなよ」

一体あのタイヤ屋は何様のつもりなのだろうか?

 

待つこと15分

さほど行列は伸びない

やがて開店

階段を上ったところが入り口だ

ちなみに一階では蕎麦が打たれてる

ガラス越しにその風景がみられるのだ

この店はそば打ち職人の育成にも力を入れているのである

 

カウンターへと案内された

早速酒のメニューを見る

「うぉおおおおおおおおおおお」

俺は驚いた

以前訪れた時とはガラッと酒のメニューが変わっている

そして俺の目に一番に飛び込んできたのが・・・あの・・九平次なのだ

九平次があるぞ!」

俺は思わず大きな声を出した

「しかも別誂」

そうなのだ九平次のフラッグシップとも言える

醸し人九平次 純米大吟醸 別誂」

お値段はグラスで1120円

俺は遠慮なしに注文した

本日は特別メニューになっている

ピンとくるランチがなかったので単品で攻めることに

とりあえず「いぶりがっこ」だな

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醸し人九平次 純米大吟醸 別誂

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いぶりがっこと赤カブ

「紅葉が添えられてるよ」

いぶりがっこ

いわゆる大根の燻製

大根を燻製にしてから塩と麹に漬け込む

秋田名物である

チーズなんかとよく合わせられる一品だが

今回は赤カブとコンビを組んだ

乾杯を済ませた俺はまず九平次の香りを愉しむ

ワイングラス推奨の酒だけに香りがすごい

「うわぁ、すごいよコレ」

俺はワクワクしながら口の中に九平次を放り込む

途端に広がる豊満な・・・否、芳醇な・・・

「な、なんだコレは・・・」

目の前にフランスの風景が浮かぶ

ブルゴーニュか?」「シャンパーニュか?」

あの丘陵地帯を駆け上がるプロトン

「思い出すなぁ ツール・ド・フランス

なんで酒米である山田錦の酒を飲んでフランスが思い浮かぶのか?

この九平次は飲んでみればわかるが

日本酒の概念を覆される酒である

それもそのはず実際に蔵人はフランスに渡りブルゴーニュでワイン作りも学んでいる

そこで得た経験と知識

コレが日本酒の底力

否、まだ底じゃないな

日本酒はもっともっと美味くなる

ここ名古屋で

緑区大高で

「そうか」

よく考えたら九平次の酒蔵ってここから近いんだよな

名古屋って全然日本酒のイメージないけど

世界最高峰の酒があるのだ

フランス人も驚いた醸し人九平次

わざわざフランスの3星レストランに行かずとも飲めちゃう幸せ

九平次を表現する時に使われる言葉が

口の中に急速に広がる甘みと旨味

後にはすっきりとした酸味が爽やかな余韻を残す

とにかくむちゃくちゃフルーティー

例えるならライチ

それでいて澄んだ湧き水かのようにスッーと飲めてしまう

おそらく日本酒が苦手な人も飲めてしまう

それだけに危険だな

飲み過ぎ注意

とにかくこの酒は美味いのだ

全てが絶妙なバランスで醸されている

ありがとう九平次さん

俺は今とても幸せです

 

俺は紅葉の葉をどかした

いぶりがっこを一切れ口の中に投入

よく噛みしめる

コリコリコリコリコリコリ

抜群の歯ごたえと口の中に広がる燻された煙の残り香

「美味いねぇ」

俺は日本人でよかったとあらためて実感した

噛み終わるとすかさず九平次

「もうねコレもアレだな」

「なんつうのかな、最高よ最高」

そして赤カブ

この赤カブも絶妙な酸味がバランスよく漬け込まれている

どうやら自家製

赤かぶ検事もびっくりな美味さ

食べさせてあげたいなぁ

 

次は桜海老かき揚

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桜海老の掻き揚げ

前回も食べたが

今回も注文

やはりこの店に来たら食べたい一品

桜海老も国産は減少してるそうだしな

先日も産地偽造のニュースが

食べられるうちに食べとかないとな

「サクっ」

軽い、軽すぎる食感

そして衣はあっさり、桜海老は濃厚な海老海老海老

一体この小さな体のどこにこんな旨味が隠されているのか?

「さくっ」「さくっ」

コレもまたたまらない美味さ

九平次にも当然「あうあう」

「まいうー」

どうもこないだまで「石ちゃんのSAKE旅」を見ていたもので思わず出てしまう

なんか軽いので軽くなくなってしまう

でも口の中にはちゃんと桜海老の余韻が残される

その余韻が冷めないうちに九平次九平次

本当に幸せだ

ありがとう駿河湾

 

ここで2杯目

酒のメニューを眺める

「さて次は何にするかな?」

九平次のヒューマンもあるんだな」

でも次回のお楽しみ

飲み比べもいいが今度はどっしり系が良いかな

「紗羅餐?」

店の名を冠した大吟醸

アル添だな

正月用にと佐々木酒造の聚楽台大吟醸を購入した俺

密かに大吟醸ブームが到来中

店の名を冠してると言うことは・・・おそらく・・

「蕎麦にあう酒をお手頃価格で」

と言う注文でどこかの酒蔵に醸してもらったと想像

注文した

 

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紗羅餐 大吟醸

片口も俺好みである

実に持ちやすい

そして渋い

なんか「蕎麦食うぞ」って感じがする

お猪口に注いで

グイッと

「やはりな」

俺の予想通りの味だ

ちゃんと腰は据えてるんだが気がつくと風のように消えてしまう

ただただ甘い余韻だけを残して

「良い酒だ」

そして次に注文したのが牡蠣の天麩羅

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牡蠣の天麩羅

レモンを軽く絞り

「いただきます」

「うわぁ、とんでもなくジューシー」

俺が今まで食べたどんな牡蠣よりジューシー

「海の旨味が凄いことになってるぞ」

フライでなく天麩羅

「こんなに美味かったんだな」

油の旨味が牡蠣の旨味とギュッと抱き合ってるよ

こんなに濃厚なのにあっさり

矛盾してるがとにかく濃厚であっさりなのだ

出てくるもの出てくるものがとことん美味い

 

さてラスト

やはり蕎麦

今回は十割を選択

消費税は一割だが蕎麦は十割

十割蕎麦はちゃんとした店で食べないとな

ちゃんとした店だからこそ食べらる十割蕎麦

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十割蕎麦

結構なボリュームである

コレはとてもありがたい

俺は大吟醸を口に含んでからそばを啜った

独特な食感

そして口の中に広がる蕎麦のかほり

香りではなくあえて「かほり」と書かせてもらおう

モチモチっとして

噛むとプチッと切れて

蕎麦がふわっと

「ああ美味い」

「しみじみと美味い」

そして大吟醸

しっかりと100パーセントの蕎麦を受け止めてくれる

やはり下半身がしっかりしてるからこそこの十割蕎麦を受け止められる

「正解だな」

香りと香りぶつかり合うことなくお互いに融合する

まるで翼くんと若林くん

「がっちりキャッチ」

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

「良い締めくくりだな」

「タダでこんな美味い酒と美味い蕎麦が食えた」

「やはり真面目に生きていると良いことがあるもんだ」

「ちゃんとお地蔵さんは見ていてくれるのさ」

弥勒菩薩へとタスキを繋ぐその日まで」

 

 

いぶりがっこと赤カブ     500円

醸し人九平次純米大吟醸別誂  1120円

桜海老の掻き揚げ       590円

紗羅餐 大吟醸        750円

牡蠣の天婦羅         850円

十割蕎麦           950円

 

 

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