2019年ツール第18ステージ
いよいよ最終決戦の地アルプス3連戦が始まる
スタート直後に3級をこなし標高2000メートル越えの1級超級超級と続く
最後は下ってゴールなところが僅かに残された主催者の良心だろう
イゾアール、ガリビエと連なる超級山岳
ツールではおなじみの峠である
アンブラン〜ヴァロワール
距離は200キロで獲得標高4700メートル
200キロの距離はちょうど琵琶湖一周
しかし琵琶湖は平坦
このアルプス200キロを4700メートルも登ってしまうなんて
やはり彼らは化物である
今年最難関のステージが始まる
スタート直後から激しいアタック合戦でレースはハイペースで進んでいく
しきりにサガン、ルツェンコらが仕掛けるがなかなか決まらない
結局はそのままの勢いで3級山岳へと突入
やがてメイン集団が二つに割れて前方の集団33名が逃げ集団となった
逃げ33名
ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
カルロス・ベローナ(スペイン、モビスター)
ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール)
グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム)
サイモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)
セルジュ・パウェルス(ベルギー、CCCチーム)
アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)
ゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ)
アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)
ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)
クリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ミッチェルトン・スコット)
マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)
アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーションファースト)
ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル)
ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル)
レナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ)
ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)
ピエールリュック・ペリション(フランス、コフィディス)
ステファヌ・ロセット(フランス、コフィディス)
マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)
ディラン・ファンバーレ(オランダ、チームイネオス)
マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、ドゥクーニンク・クイックステップ)
アムントグレンダール・ヤンセン(ノルウェー、ユンボ・ヴィズマ)
セルジオルイス・エナオ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ)
マチュー・ラダニュ(フランス、グルパマFDJ)
アマエル・モワナール(フランス、アルケア・サムシック)
ポール・ウルスラン(フランス、トタル・ディレクトエネルジー)
キンタナが総合タイムで9分半遅れ
このタイム差を目安にメイン集団はコントロールすることになる
注目選手としては予想通りバルデがアシストを従えて逃げに乗ってきた
その他総合エース級が数名入ってきた
アダム、ウッズ、バルデ、キンタナ
珍しくイネオスもファンバーレを逃げに乗せてきた
やはり今年は攻撃を仕掛ける側のイネオスである
1級山岳の山頂ではウェレンスとバルデが山岳争い
ウエレンスがトップ通過でなんとか踏ん張る
8分近くあるメイン集団との差
下りでアルントが抜け出してヴァンアーベルマート、ベルナールが追走
後続の追走集団から2分差をつけて超級山岳イゾアールへ突入
追走集団では徐々に登れるメンバーに絞られていく
一方メイン集団はモビスタがコントロール開始でどんどんペースアップする
やはり今日も攻撃を仕掛けてきたモビスタ
逃げにはキンタナ、アマドール、ベローナを乗せてきている
ランダのための前待ちなのか?
メイン集団は5分差まで縮めてイゾアールに突入した
逃げ集団はバルデ、カルーゾ、キンタナら登れる選手が抜け出すも後続も合流
やがて9名の逃げ集団へと
アダム・イェーツ、バルデ、カルーゾ、キンタナ、ウッズ、ルツェンコ、パウェルス、ベルナール、ケムナ
メイン集団もモビスターのペースアップでどんどん選手をふるい落としていく
その数20名ほど
リケーゼも逃げから落ちてきてアラフィリップのために最後の一仕事をする
先頭の9名に後続からウェレンスたちが追いつき16名へと再び増殖
減ったり増えたりを繰り返しながら山岳をこなし
アダム、バルデ、ルツェンコ、キンタナ、ウッズ、カルーゾで山頂を越え下へ突入
後続は牽制も入りどんどんタイム差が広がる
こうなるとなんともならない
もはや先頭に復帰することも困難になる
そしてそのままガリビエ峠へと突入
メインとの差は4分58秒
メイン集団はイネオスがコントロールを開始する
ここから怒涛の追い上げか?と思われたがタイム差はさほど縮まらない
タイム差は5分差で推移する
メイン集団ではアラフィリップがかなりきつそうな表情を見せている
残り28キロ
先頭からアダムが遅れる
これで先頭は
バルデ、カルーゾ、ルツェンコ、キンタナ、ウッズ
メイン集団との差は4分30秒
残り27キロ
ルツェンコがペースアップ
すかさずキンタナがチェックに入る
どうやら今日のキンタナは一味違う
残り26キロ
ウッズが仕掛けるもカウンターでキンタナがアタック
全盛期を彷彿とするキレキレアタックでバルデらを突き放す
バルデたちはお見合い中
「本日はお日柄もよろしいようで」
毎回のことながらこうなると先頭との差は広がるばかり
見てる俺以上に選手たちもわかってるはず
それでも牽制しなければならない
誰も動けない
「あとは若い人達で・・・」
23秒
ベテランとなったキンタナはどんどん差を広げ始めた
一方メイン集団では相変わらずイネオスがコントロール
そして相変わらず縮まらないタイム差
本来メイン集団は共同作業でハイペースを維持してアラフィリップを落とさなければならない場面
それでもまだ動かない
イネオスはのんびりとコントロール
その時を待っているのか?それともGの調子が悪いのか?
残り25キロ
先頭からカルーゾが遅れた
追走はバルデとルツェンコの二人
しかしレース開始から積極に動いてきたルツェンコには先頭を引く力は残されていない
仕切りに後ろを向き
「引けよバカ」とバルデが叫ぶ
ついこないだもネチネチとバルデから小言を言われ続けたルツェンコ
本格的にバルデが嫌いになるかもしれない
残り23キロ
イネオストレインからポエルスが遅れる
対して仕事してない気もするが
明日からに備えてのことかもしれない
ここでカメラがアラフィリップを捉える
さっきは苦しそうだったアラフィリップがやたらと元気に見える
ヴォクレール同様この男はわからない
ガリビエ山頂
バルデらに1分以上差をつけてキンタナが越えていく
あとは下るだけだ
ステージ優勝が半分見えてきた
メイン集団ではベルナルがアタック
どうやらGからゴーサインが出た
「かき回してこい!」
これまたキレキレのベルナル
すかさずバルベルデがチェックに入るも追走は断念する
このまま付いていくのは危険だと感じたのかもしれない
Gとしてはこのベルナルの動きにピノたちライバル勢がつられて欲しかったのかもしれない
自分はライバルのケツを眺めながら付いていけばいい
そしてペースアップすることで長い登りが苦手なアラフィリップが苦しくなる
そんな意味もあるベルナルのアタックなんだろうがこの時はライバルは誰も動かなかった
あえてGマークなのか?単に動けなかったのか?
先頭ではキンタナ
メイン集団からはベルナル
このアルプス標高2000メートルの地でコロンビア祭り開始である
「祭りだ、祭りだ」
俺の頭の中でサブちゃんが歌いだす
残り19キロ
バルデがついにお荷物ルツェンコを切り離す
しかし時すでに遅し
キンタナとの差は1分40秒
一方メイン集団はキンタナと6分
キンタナも総合ジャンプアップのチャンスである
それでもイネオスはペースアッップしない
そしてスローペースなのにライバル勢も動かない
おそらく主催者の良心でもある下ってゴール
これが影響していることだろう
動くべきところは明日だと感じてるのかもしれない
コロンビア祭りでとにかくベルナルは絶好調だ
相変わらずサブちゃんもノリノリで歌っている
そんな中でついにこの男が動いた
Gトーマス
通称G
Gを一人見たら100人いると思え
Gトーマスがアタックした
すかさずピノがチェックに入る
さすがに期間限定でミニオンパッケージになってるだけのことはある
この攻撃でアラフィリップは一番後方へと追いやられる
そしてジワジワと遅れ始めた・・・
フランス中から悲鳴が聞こえている
アラフィリップだけを残してメイン集団は下に突入した
残り12キロ
先頭キンタナとバルデの差は下りでも縮まらず1分37秒
一方メイン集団
アラフィリップが遅れて下りに入る
ダウンヒルが得意なアラフィリップ
ここから怒涛の追い上げを見せる
攻めまくるアラフィリップ
どんどんGとの差を縮めていく
そしてついにGを捉えた
そのまま一気にG集団の先頭まで出て抜け出す
視聴率50パーセント越えのフランス大興奮だ
残り5キロ
キンタナとバルデは1分30秒
メイン集団は再び一つになり休戦協定
「安全第一、今日はこのままで行きましょう」
みんなで仲良くゴールを目指す
残り2・5キロ
突然の雨
エースとしての信頼を取り戻すためにキンタナは走る
残り1キロ
フラムルージュ通過
大きく両手を広げ
天を指差しゴール
クイーンステージを復活のキンタナが制した
表彰台では村長選挙で当選したかのような満面の笑顔
メダルをかじるパフォーマンスを見せるほどご機嫌だった
総合でも一気に7位にジャンプアップ
8位のランダから再びエースの座を取り戻したキンタナであった
爆走ベルナルも総合で2位に
彼もまた3位のGトーマスより上にきた
マイヨジョーヌのアラフィリップとの差は1分30秒
Gとは5秒
クライスヴァイク、ピノ、ブッフマンもすぐ後ろに控えている
この日をダメージなく守りきったことでアラフィリップのマイヨジョーヌも可能性が出てきた
本当に今年のツールは面白い
そしてついに山岳賞はウェレンスからバルデへ
西川きよし作戦として「小さなことからコツコツと」ツール序盤から地味にポイントを積み重ねてきたウェレンス
終盤に来て一気にバルデに山岳ジャージを強奪される
世の中理不尽なものである
今日の第19ステージ予想
126キロのショートステージで最初からワチャワチャな展開が予想される
しかも登りつつ3級2級3級とこなして超級でボーナスポイント
そこから1級を登ってゴール
最後が1級とはいえ山頂ゴール
確実に総合も動くことだろう
調子のいいものだけが残れるステージである
おそらく今回こそ総合がボーナスポイントを取りに来る
そこで動くのが誰なのか?
イネオスは動けるのか?
ドゥクーニンクもユンボも動けない
FDJゴデュピノコンビか?それともベルナルか?
ベルナル動かしておいしいところをGがかっさらうか?
正直イネオスはベルナルエースの方が勝てるような気もするが
でも翌日は超級山頂ゴール
勝負は最後までお預けかな?
なんせみんな疲れている
そして予想だが
難しいな
キンタナの復調もある
ランダも怖い
そしてピノ
ベルナル、G
フランス的には最後の平坦区間2キロでアラフィリップか
でもそうなるとGが有利でもある
全てはGの調子次第
手前の超級で山岳狙いのバルデがペースアップ
これによりGはアラフィリップとクライスヴァイクと共に遅れる気もする
下りで追いついて再び1級で遅れる
そこでベルナルにGOサイン
第19ステージはベルナルで
そして20ステージもベルナルで
しかし数秒でマイヨジョーヌはアラフィリップ
そんな展開が望ましいかな?
そうなるとピノが不憫か
まぁとにかく19ステージはベルナルだな