鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

2019ツール・ド・フランス第7ステージ

2019年ツール第7ステージ

前日のヴォージュ山脈での超ハードなレースをこなし中央山塊へと移動するほぼ平坦ステージ

ルフォールシャロン・シュル・ソーヌ
距離は230キロと、ちと長い

そして平坦といえども獲得標高は2500メートル

山は前半にぽこぽこあるだけなので確実にスプリントステージ

そして選手の誰もが「休みたい」と願っているステージ

昨日の疲れ、明日からの戦い

総合を狙うチームは完全におやすみレース

しかしスプリンターチームにとっては貴重なスプリントステージ

ここで勝つためにスプリンターを雇いツールに連れてきてるのだ

当然休めない・・・

でも各チーム考えてることは同じ

「ゴール前にあるスプリントポイントまでは休もうぜ」

休むと言ってもホテルの部屋で寝ているわけにはいかない

なんせ中央山塊まで移動しなければならない

そこで考えられるのが少人数の逃げ

二人から三人程度が理想か

さすがに一人逃げだと泳がす方もすぐに捕まえすぎてしまう

ジロでは初山選手が一人で逃げたが

あれもまた逃がされたステージである

まぁ少人数ならある程度タイム差つけてもそれほど力を使うことなく捕まえられる

しかも協力してくれるチームもたくさんある

こんな日に逃げるのは目立ってなんぼのプロコンチチームがおきまりのパターン

放送が始まるとレースは前日の俺の予想通りのスローペースな展開になっていた

 

この日もファーストアタックで逃げは決まる

逃げは2名

まさに理想的だ

 

ヨアン・オフルド(フランス、ワンティ・グループゴベール)
ステファヌ・ロセット(フランス、コフィディス

 

今年からツールを見始めた人もすでに名前は覚えたであろうこの二人

実はお友達同志

そんな仲良しコンビ

230キロ逃走劇の始まりである

 

レースはとにかくスローペース

メイン集団が本気で追ってこないのは分かってるので逃げも全力は出さない

さすがに230キロ全力で逃げるのは無理だ

最後まで逃げ切れるペース配分でぼちぼちと逃げる

平均時速35キロ

そこそこ早い日本の自転車が趣味なアマチュア並みの巡航スピード

でもツールに出る選手たちにとってはのんびりサイクリング程度

おやつを食べながら談笑してゴールを目指す

 

見てる方も何も起こらないのは分かっている

こういった日はとにかく眠たい

こっちだって睡眠時間4時間で頑張っている

コーヒーを飲んでカフェイン補給

そして禁断の酒に手を出す

あくまで飲みすぎないようにちびちびと

ダバディさんの日本語はトルシエジャパンの頃となんら変わらない

正直たまに聞き取れないこともある

永井さんの話も賞味期限切れが多い

やはり現場から離れて時間が立ちすぎている

見てる方も集中が切れるが

選手たちもリラックスしすぎて集中が切れる

こんな時はなんでもないところで落車も起きる

どうやらTJが転んだらしい

 

メイン集団はこの日スプリントに参加したいチームがコントロールをする

ドゥクーニンク、ユンボ、ボーラ、バーレーン、ロット他

それぞれ自慢の機関車役を先頭に送り込みチームの垣根を越えてレースをコントロールをする

デヘント、マルティン、アスグリーン他

わかりやすく言えば名古屋市日泰寺

日泰寺にはタイからプレゼントされた仏舎利というお釈迦様の骨が祀られている

その仏舎利を守るために宗派を超えて日本仏教界共同で運営してる寺が「日泰寺」なのだ

お寺の名前の「日泰寺

日本とタイの友好のお寺から「にったいじ」となった

そして最寄りの駅は「覚王山

つまり「覚りの王」

これはお釈迦様を表しているのだ

 

 

放送開始から何時間経過しただろうか?

実況解説の話もあまり頭には入ってこない

ひたすら綺麗な景色を眺め歴史の重さを感じる

タイム差は2分をキープ

そしてようやく残り33キロのスプリントポイント

ここで若干動きが出るが流石に今日は最後がスプリンターたちの見せ所

みんな足を使うことなく形式的にスプリント争いして通過する

 

気がつくと何故かAG2Rが先頭でペースアップ

「何故彼らが引いている?」

スプリンターなど連れてないはずだが?

どうやら後方でDマーティン、キンタナ、ファンアールトが取り残されている

スプリントポイントを過ぎても活性化した集団のペースが落ちなかったために

後方でおしっこしてた人たちが取り残されたのだ

さすがにこれは紳士協定に反する

ルール上は問題ないが

スポーツマンとして失格だ

こういった時はメイン集団はペースを落として遅れた選手を待つ

緊急事態にモビスターのアシスト陣がキンタナを救出に向かう

メイン集団がペースを落としたこともあり無事再合流でことなきを得た

 

 

先頭の二人はまだ逃げている

通常なら残り10キロぐらいまでは逃すだろう

徐々にペースをあげて逃げを吸収する準備に入る

実に200キロ以上逃げてきたお友達同士の二人

 

「そろそろだな」

「あぁ、ようやくプロトンのお出ましだ」

「今日はお前と一緒に逃げれて楽しかったぜ」

「で、ここで相談だが」

「ん?なんだ?」

「俺はここで落ちるからお前一人で逃げろ」

「敢闘賞はお前にやるよ」

「いいのか?」

「ああ、その代わりツールが終わったら飯でも奢れよな」

「よし!たん熊で谷崎潤一郎がいつも座ってた席を予約しておいてやる」

「ハモもつけろよな」

「鮎の背越しもつけてやるぜ」

「それは楽しみだ」

「じゃぁ頑張れよ」

「お互いにな」

 

 

いつものようにこれは俺の妄想である

ロセットは集団に吸収

敢闘賞目指して単独逃げとなったオフルドも残り13キロで吸収された

完全に作戦通りのレース展開

ここからようやくレースが始まる

 

スプリントチーム、危険回避のチームが入り乱れて位置取り合戦勃発

道幅広い場所ではトレインがチームの数だけできる

やがてコースは狭くクネクネと

再びカオスなメイン集団

残り1・6キロ

ここが最終コーナー

あとは長い長い直線だ

この日も後ろ髪を軽快になびかせてボーラのオスが先頭に出る

スロバキアの田舎からイタリアに出てきたサガン

当時は丸坊主で朴訥なイメージ

表彰台では何をしていいのかわからずオロオロ

部屋にこもりゲームばかりしてたサガンを教育役として見守り育ててきたオス

一旦は袂を分けた二人だが再び同じチームで走ることに

誰もが認めるトップ選手に成長したサガンを再びアシストできる喜び

「俺の後ろ髪目指してついてこい!」

そしてこの日も完璧なトレインを組んできたドゥクーニンク・クイックステップ

一チームだけ特急だ

残り500

ランパールト切り離し

残り300

モルコフ切り離し

残り200

最終発射台のリケーゼからエーススプリンター、ヴィヴィアーニ発射!

番手にはサガン

そしてサガンの後ろにユアン

しかしヴィヴィアーニが全く伸びない

すぐにスプリントやめてしまうヴィヴィアーニ

一体何があった?

あれだけアシストが完璧な展開を作ってくれたのに

レースはサガンユアン、そして復活のフルーネウェーフェンの争いに

サガンも伸びない

ユアンかフルーネウェーフェンか?

お互いにハンドルを投げる・・・

 

 

僅差で勝ったのはフルーネウェーフェン

大本命スプリンターがようやく1勝

どうやら落車の影響はもう心配ないみたいだ

そして気になるヴィヴィアーニ

彼の前輪が最後の最後でパンクしていたという

これもまたロードレースである

 

 

確実にヴィヴィアーニの勝ちパターンで俺の予想も当たるはずだったのだが

まぁ終わったことは仕方がない

予想が当たったところで美女から祝福のキスがあるわけでもないしな

気持ちを切り替えて第8ステージの予想

中央山塊

全体に散りばめられた山山山山山山山

2級山岳といえども連続する山岳は選手の足と心を削るには十分だ

そして例のボーナスポイント設定

山岳賞狙いが逃げてくるだろうが

やはりここはアラフィリップコース

マイヨジョーヌ奪還に向けてチッコーネとの戦いに

総合争いが勃発するとエースを守るのか?自分のマイヨジョーヌを守るのか?

葛藤することになるチッコーネ

あくまで彼はリッチーのアシストである

しかしアラフィリップはエースだ

いつでも自由に動けてチームメイトはアシストをしてくれる

今日の第8ステージの予想はアラフィリップで

 

 

 

今日は朝のうちに2時間ロードバイクで走ってきたが

やはりツール期間中に走るのは気分がもり上がる

今日の俺の設定はアラフィリップ

やたらとオーバーアクションで路面に落ちていた空き缶を避けてやったぜ

そして振り幅の大きいガシガシダンシング

大きく振りすぎてバランスを崩しかけたが

 

夜が楽しみだな