鯖棒亭日乗(下)

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2019年 奈良と京都の旅 07

2019年 奈良と京都の旅 07

二日目午後

いよいよ京都への大移動を開始だ

俺はバスに乗り近鉄奈良駅を目指した

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やがてバスは近鉄奈良駅に到着

俺はコインロッカーから荷物を出してそのまま近鉄へと飛び乗った

ぐんぐん走る近鉄

平城宮のど真ん中を突っ切っていく

「しかしでかいな」

「一度訪れてみたいと思いつつ何もないしな」

「妄想フルパワーでいかないと」

そのためには歴史の勉強が必要だ

さてこの後どうするか?

時間があれば宇治平等院へ立ち寄りたかったがまず無理

極楽の旅において平等院は外せないスポットである

しかしあえて今回は断念する

昼飯は食べた

とりあえず今日は先に大原入りしよう

奈良の里山から京都の里山へ大移動

そして極楽浄土から極楽浄土への大移動でもあるのだ

しば漬けが有名な大原

天台宗の隠れ里でもあり極楽浄土へもっとも近い場所とも称される

大原三千院

俺は今からその大原まで向かおうというのだ

通常ならゆっくり旅ができる二日目をあえて移動に使ってしまう

ここに今回の旅の計画の慌ただしさが垣間見れる

本来なら京都で昼飯を食べる予定だったがバスの空き時間に焼きそば定食

まぁアレはアレでありなんだが

そのために一気に大原まで移動ということになってしまったのである

京都駅からもそこそこ時間がかかかる上に奈良から大移動

乗ってる電車は国際会館まで行くみたいだが

アナウンスで地下鉄の切符が必要とほざいている

俺は京都までの切符しか持っていない

「なんかわけわからんな」

「乗り越しとか払えばいいのかな?」

俺は無難に京都駅で降りることにした

ちょうどいい具合に大原行きのバスが出るからだ

俺は京都駅に到着

素早くトイレを済まして駅前のバス停へ小走りで向かう

時計を見る

発車時刻ちょうどだ

俺はアップルウォッチの画面をスライドさせてアナログ時計に変更

これで秒がわかる

15秒

バス停には外人の女性が一人佇んでいる

「間に合った」

俺は確信した

バス停到着

30秒

しかし待てど待てどバスは来ない

3分経過

「遅れてるのかな?」

「でもここが始発なんじゃないかな?」

その時である

俺の前方

ちょうど京都タワーの下だ

反対車線を大原行きのバスが四条方面へ向けて走っていくではないか

そして目と目があう運転手と俺

明らかに運転手も「しまった!」と言う顔をしている

どうやら若干早くバスは出発してしまったみたいである

俺と外人さんは30分間寒空にさらされたのだった

俺は後悔した

「やはり国際会館まで・・・」

「トイレをあと30秒早く済ませれば・・・」

おっさんになるとトイレが長くなる

もう大丈夫だろうと言う安易な気持ちが大惨事を引き起こす

念には念を入れて待つ

最後のひと滴まで待つのだ

せめて俺があと10歳若ければ間に合ってたのかもしれないな・・・

仕方がない

ここから動くのも危険だ

なんせ大荷物

今更地下に潜る気もさらさらない

俺は外人さんと30分待った

外人さんは同じ番号の市営バスが来るたびにそのバスを追いかけたが

俺たちが乗るのは17系

京都バスの17系なのだ

どうやら番号で覚えてるみたいだ

教えてあげたいがあいにく俺は英語はしゃべれない

「ギブミーチョコレート」程度の語学力しかない

やがてバス停に人が集まりだす

そしてバスが到着

しかし運転手はバスを締め切って休憩タイム

「イライラしちゃいかん」

俺は心の中で般若心経をリピートした

やがて戻ってきた運転手

やっとバスに乗れる

その喜びで俺はいっぱいだった

しかしその喜びもつかの間

四条河原町あたりで老人の団体が一気に乗り込んできたのだ

俺は隣の座席に置いてあった荷物を積み上げて膝の上に乗せる

荷物は3つ

完全に俺の顔も隠れている

呼吸が苦しい

油断すると荷物が崩壊する

そして重い・・・

これなら背負って立ってた方がマシだが狭いバスの車内今更無理だ

俺はとにかくこの人たちが早く降りてくれることを望んだ

しかし一向に降りない

結局はそこそこ山の中まで降りなかった

当然他の座席は空いている

俺は迷った

「あちらの席へ移動してもらえませんか?」と言おうかどうしようか?

しかし相手はお年寄りだ

移動中に転んではいけない

結局ガラガラの車内

俺の座席だけ二人がけとなった

大原直前でようやく俺は荷物地獄から解放されて安堵した

 

バスは大原へ到着

「懐かしいな」

俺は今までの人生で何度も大原を訪れている

それはしば漬けが大好きだからだ

しば漬けが食べたくなると大原までやってくる

やはり乳酸発酵した本物は格別だ

「確か、宿は寂光院方面」

俺はバス停から歩き出した

数年ぶりだがちゃんと覚えている

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そして昔はなかったカフェもオープンしている

俺はとりあえず荷物を降ろしたかった

そのために宿へと急いだ

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「看板が出ている」

まっすぐ行くと寂光院だが今回は多分行く暇がないだろう

交差点を左に曲がると宿は直ぐそばにあった

旅荘 茶谷

とてもリーズナブルな値段で料理もうまい

軍鶏のすき焼きが名物

実は軍鶏も野菜も自家製なんだそうだ

俺は早速チェックイン

2階へと案内された

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窓から見える風景

「随分と遠くまで来たもんだな」

建物自体は古いが部屋はリフォーム済みでとても綺麗だ

すでに風呂は湧いているという

俺は早速旅の疲れを癒しに風呂に入った

風呂はリフォームされたばかりでとても綺麗だ

人工温泉でぶくぶくも出ている

俺はきちんと体を洗い

湯船に浸かった

浴槽はそれほど大きくはないが一人なら十分な広さだ

俺は足を伸ばしてぶくぶくが出るところに腰を当てた

「あぁ、極楽極楽・・・」

俺は思いかけずにここでも極楽浄土を体感したのだった

風呂から出た俺は部屋で途中経過をブログにて更新

ちゃんとワイファイも飛んでいる

それから数時間のんびりと部屋で過ごした

見仏記を読み

明日の予定を立てる

帰りのバスは11時1分だな

朝一で回ればなんとかなるだろう

すると部屋に内線電話の音が響き渡る

どうやら夕食の準備が整ったそうだ

俺は食堂へと急いだ

料理は2組分用意してある

俺はテレビの前の席に座りすき焼きができるのを待った

まずは軍鶏の肉を見せてくれる

素人でもわかるぐらい新鮮でいい軍鶏だ

さすがに軍鶏の卸をやってるだけのことはある

「こんな軍鶏料理屋で食べたらすげえ高いぞ」

まずは油を鉄鍋に引く

そし軍鶏を焼いていくのだ

これぞ関西式すき焼き

まさに「焼く」なのだ

ある程度軍鶏が焼けると今度は鶏ガラスープを大量に打ち込み

砂糖醤油で味を整える

あとは待つだけである

そしてすき焼きができるまでの間に天ぷら、胡麻豆腐を楽しむのだ

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天ぷらもサクサクでうまい

胡麻豆腐もさすが天台宗の隠れ里だけにうまい

京都は漬物とか細かなものまで手抜きがないのがいい

これが東海地方なら大量生産された漬物らしきものが出るだけである

そして軍鶏から頂く

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程よい歯ごたえと独特の甘みが美味い!!

肉の味が濃厚だな

これはいい軍鶏だぞ

そしてこの量

これで一人前である

おそらく通常の2倍・・・

俺は食べても減らない軍鶏のすき焼きを楽しんだ

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ビールについで日本酒も追加

「ああ幸せだ」

「こんな美味い軍鶏のすき焼きでのんびり酒を飲む」

「まさに極楽浄土だな」

すると俺の前に蕎麦が置かれる

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「もう食べられない」

そしておひつの中には手つかずの白飯も眠っている

それでも俺は蕎麦を食べた

「蕎麦も美味いなぁ」

満腹なのに完食してしまった

そして残りのすき焼きをあてに俺はちびちび酒を楽しんだのだった

 

 

「ごちそうさま」

 

 

俺は満腹状態で部屋に戻り

布団を敷いて

すぐに寝転んだのだった

 

 

08へ続く