鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

名古屋ゲートタワー「ラ・ボデガ」魚介のパエリア 1490円

W台風

昭和世代なら誰もが思い出す仮面ライダーV3

仮面ライダー1号の技と仮面ライダー2号の力を受け継いだ仮面ライダーV3

誰もが憧れたスーパーヒーローである

俺なんか高校生の頃まで本気で仮面ライダーになりたかった

ちょうど仮面ライダーBlackのオーディションがあることを知り受ける気満々だったが

応募条件の「自動2輪免許」を持っていなくて泣く泣く断念した

そんなWタイフーンならぬW台風に備えて

朝から鉢を片手に右往左往する人も多いかと思われる

うちの地方は夜からが本番かな

なので午前中はお出かけしてきたのだ

用事をすました俺はいつものように中央線に飛び乗る

今日はマジで飛び乗るという表現が近いかもしれない

階段を歩いてるとホームに電車が滑り込んできたからだ

周りの女子が一斉に走り出す

釣られて俺も走り出す

30代の頃まではサッカーをやってたとはいえ久しぶりに走る俺

すでにアラフィフの領域に突入している

見た目だけなら60歳に見られたこともある俺である

靴はおろしたてのノースフェイスのトレッキングシューズ

まるで空中浮遊してるかのようなふわふわの靴である

しかし小走りに走る俺の膝に異変が起こる

俺は膝を軽く痛めた

情けない・・・

軽くジョギング程度の走りで膝を壊すとは

俺は軽くびっこを引きながら電車に乗った

車内ではやたらと外人さんが多い

しかも80リッタークラスのバックパック

明らかに山男で山女である

俺は街を歩くだけなのにコロンビアとノースフェイスに身を包んでることが恥ずかしくなった

まるで平坦山男である

おそらく長野からの帰りだろう

みなさん完全に疲労しまくっている

台風前に下山できたことに安堵しているのかも知れないな

 

俺はゲートタワーへ向かった

W台風だというのにゲートタワーはそこそこ人がいる

こんなところでのんびり飯を食べてても良いのだろうか?

まぁそれは俺も同じことだが

俺は特に何も考えずにフロアを一人クリテした

12階13階

どんどん増えるお客さん

焦った俺は男らしく店を決めることにした

これがデートだったら優柔不断認定されて「早く決めろやハゲ」と彼女を怒らす場面だからな

まぁ俺の人生において今後彼女というものができることはおそらくないのでその点に関しては安心ではあるが

「なんでこんな人生になってしまったのか?」

相変わらず過去を振り返る俺であった

そんな俺が決断した店はパエリアの店である

理由はただ一つ

8月25日にマラガで開幕するブエルタ・ア・エスパーニャ

グランツールと呼ばれるサイクルロードレース

3週間を戦うレースの最後を飾るスペイン一周である

要するにブエルタ開幕前にスペイン気分を味わっておこうという魂胆だ

ちょうど良い具合に店も空いている

俺はラ・ボデガのカウンターへと案内された

すかさず注文

魚介のパエリアランチと生ビール

ランチには無料でソフトドリンクもつくが水派の俺は丁重にお断りした

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生ビールがやってきた

俺はワインのことはよく知らないのでスペインでもビールだ

でもJスポーツの解説の人たちが口を揃えて言うことに

「スペインでオリーブをつまみながら飲むビールは最高にうまい」

やはりビールだな

ワインなんか頼んだら気取ってグラスをグルングルン回しかねない

でもナスの酢漬けも食べたいな

アンダルシアだよな

トニーの奴がしくじるんだよな

そして第3倉庫に8時半

スペインぽくカウンターにはタイルが貼られている

しかしこのタイルが少々高さがずれている

これはダメだな

本当に日本の職人も下手くそになったもんだ

俺は生ビールのグラスがカタカタするのが気になりながらビールを飲んだ

遠いアンダルシアを思い浮かべながら

と言っても俺はアンダルシアには行ったことがない

あくまでテレビで見た記憶だけである

そしてその記憶の中のアンダルシアの空は青色ではなく紫色であった

まぁ昔からブエルタを見てる人ならわかるだろうが

ちょっと前までのブエルタ中継は色が変だった

そして空は紫色だった

 

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厨房からやたらと「ガチャンガチャン」音がする中でサラダが運ばれてきた

リンゴにオリーブにマッシュルーム、カチカチの生ハムみたいなものもあるぞ

あとスギナみたいなのも入ってる

明らかに雑草にしか見えないな

除草剤でも散布したくなる

生ハムみたいなのはマジでカチカチだ

でも旨味が凝縮されてるな

さすが干すと肉も魚も美味くなる

リンゴがシャキシャキだ

俺はリンゴ見ると無性にハチミツをたらしたくなる

西城秀樹さん

今頃は阿弥陀さまのところにいるのかな?

確か浄土真宗だった気がする

サラダはうまい

塩とオイルのシンプルな味付けがいい

しかしこの味の深みは

やはりいろんな食材が入ってるからだろうな

スギナみたいなやつも癖がなくうまい

このサラダはマジでうまいな

丼いっぱい食べたい

 

しばし待たされる

やはりパエリアは時間がかかるな

スペインの炊き込み御飯だからな

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そして登場

魚介のパエリア

やはり基本は魚介だよな

むちゃくちゃ美味そうだ

レモンはわかるが何故マヨ?

川崎麻世をリスペクトしてのことか?

それとも冷やし中華にマヨをつける名古屋人へのあてつけだろうか?

「お前らマヨ好きなんだろ?なんなら味噌もつけてやろうか?」的な感じかもしれない

まぁいい

とりあえずマヨは保留だ

この黒い貝がムール貝なのかな?

俺は貝事情には詳しくない

小さいのがしじみで大きいのがアサリでもっと大きいのがハマグリで最強がホタテ

そのぐらいの知識しかない

ホタテの貝殻は女性が股間を隠すイメージ

あとは子供の頃に盗み見た親父が持ってたエロ漫画の女性の股間部分がアワビになっていたな

牡蠣は海のミルク

そのぐらいだな俺の貝に関する知識は

ここで俺はあることに気づく

俺は47年間の人生で一度も本格的なパエリアを食べたことがないのだ

一度だけスーパーのパエリア弁当を食べたことがあるがあれはおそらくパエリア風の元で作られているだけだろう

昔から食べたいと思っていたパエリア

何故今まで食べてこなかったのか?

その理由はただ一つ

「食べ方がわからない」

魚介は殻ごと炊き込まれている

一体この殻は取り除くのか?そのまま食べるのか?

義務教育を受けてきた俺でもわからない

学校では教えてくれなかった気がする

なんでこんな肝心なことを学校で教えないのか?

分数の割り算よりよほど生活に必要なことなのに

俺は困った

貝はいいとして

問題はエビとカニ

見たところエビの殻は取れるようになってる気がするが

殻をとるとありえないぐらい小さな実しか残らない

そして俺はエビの尻尾好きでもある

エビフライの尻尾は必ず食べる派なのだ

ちなみにエビの塩焼きも殻までバリバリ食べる

要するに箸があればなんの問題もなく殻から身を取り除くことができる

しかし俺に用意されたアイテムは

スプーン、フォーク、ギザギザなナイフ

隣のおっさんを盗み見る

席が離れているため詳しいことは分からないがフォークで食べてるみたいだ

俺の中でフォークで米を食べるなど到底ありえないこと

俺流のテーブルマナーに反するのだ

なんで隙間があるフォークで米を食べなければいけないのか?

一体誰が最初に始めたのか?

全く持って理解不能である

しかもフォークの背に料理を乗せて食べる人がいるが

そんなことするなら最初からスプーン使えよ

どうせならスガキヤのラーメンフォークでいいだろ

と俺はいつも思うのだった

「さぁどうする?」

殻を外すべきか?そのままバリバリ行くべきか?

俺はとりあえずエビの頭を外した

「おぉ、中の味噌がいい感じになってるぞ」

俺は決断した

そのままバリバリいくことを

俺は周りを気にすることなく殻ごとバリバリ食べた

予想通り中には小さな身があるだけだ

濃厚なエビ味噌が絡んで殻がうまい

そもそも食べられるものを残して捨てるという行為は仏教においてご法度である

野菜くずだってきんぴらにして美味しく食べるのが命を頂くということ

魚だってそうだ

殻が食べられるんなら殻までちゃんと食べてやるのがエビに対する供養ともなる

テーブルマナー?

そんなものは糞食らえだ

マナーより命の大切さ命の重さを考えながら食べるべきである

ここはスペインではない

仏教国、日本なのだ

ふと俺はレモンの存在に気づいた

なんとなく魚介の上に軽くレモンを絞ってみた

そしてスプーンで黄色いご飯を食べる

魚介の味が染みてうまいぞ

俺は他のパエリアを食べたことがないので比較はできないが

このパエリアはうまい

ただもっとうまいパエリアもあるのかもしれない

まぁとにかく今日が初体験である

パエリア記念日だな

さてカニである

これも殻ごといけるのか?

俺は恐る恐るカニにかぶりついた

「バリバリ」

なんとか食べれるな

まるで沢蟹の唐揚げみたいだ

俺はカニもバリバリ食べた

各種貝はあらかじめフォークで身を取り出して殻を端っこに寄せておいた

あとは黄色いご飯をワシワシ食べるだけだ

俺は無我夢中で食べた

そこで今度はマヨの存在に気づく

とりあえずマヨをご飯につけてみる

「これではマヨラーじゃないか」

俺は最後の最後までマヨの存在意義がわからないままパエリアを食べた

球漫画のドカベン山田太郎のおじいさんは「たった一粒の米粒の中にも7人神様がいるから一粒たりとも米を残してはいけない」と言った

パエリアにはありとあらゆる物に米粒がへばりついている

だめだこれでは最後の一粒まで食べられない・・・

山田のじっちゃん

神様ごめんなさい

 

 

俺は店を後にした

やはりスペイン人には日本の神道や仏教のことはわからないみたいだな

 

 

 

俺はそのあとで大名古屋ビルヂングのとある店で国産の竹の菜箸を買った

以前知り合いの子にプレゼントしたものだが自分でも欲しくなったのだ

そして一冊の本を買った

 

大原千鶴の和食 からだにやさしい日本のごはん

大原千鶴の和食 からだにやさしい日本のごはん

 

 とてもわかりやすく簡単に和食を作れる気がする本だ

大原さんの口癖は「めんどくさいでしょ」

それだけに簡単に作れるように書いてある本でもある

ちなみに俺の作る料理は見た目は悪いが味も悪い