鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

2018年ツール・ド・フランス 第17ステージ

2018年ツール第17ステージ

いよいよやってきた実験的な試み

超ショートステージ

その距離65キロに山岳コースをぎゅっと凝縮

しかも最後の超級登りゴールは全長16キロで平均勾配8・7パー

スタートも初の試みグリットスタート

モータースポーツなのでお馴染みのスタート方式だ

選手も見る側も何が起きるのか予想がつかないステージ

みんな様々な妄想を膨らます

「スカイは既に全員揃ってるのに何やってんだ小野田!」みたいなことを想像してしまう俺である

もう総合上位勢がスタートから全開でガンガン先行するみたいなサバイバルレース

そんなことを考えていたのだが・・・

中継が始まると決められたエリアを選手たちはのんびりサイクリングしている

まるで競馬場のパドック

どうやら彼らはウォーミングアップをしているらしい

やがて時間が来て全員集合

マイヨジョーヌを先頭に総合成績順に並んでいく

「ん?」

世界中の人が同じ気持ちだっただろう

「な、なんて狭い間隔なんだ・・・」

「これ意味あるのか?」

案の定スタートが切られるとみなさんのんびりとスタート

後ろからチームメイトも合流

逃げたい人だけがいつものように先行していく

早速初めから肩透かしグリットスタート

この先どうなるのか?

それも全長65キロの短い山岳ステージは未体験の厳しさだろう

スカートで言えば膝上30センチ級だな

もはやワカメちゃん状態

果たして数少ないスプリンターは残れるのか?

最初からデマールも遅れていく

とにかくスタート直後から登りが始まる

こんなキツイことはない

入念なウォーミングアップをしたとしても開始前ののんびりサイクリングで果たしてどこまで維持できるのか

とにかく登りと下しかないレースのスタートである

最初のアタックはカルメジャーヌ

もはや定番である

続いてマイカ、モレマ、バルベルデ、他多数

登れる逃げれる定番である

そしてこの中からアスタナのカンゲルトが単独先頭に出る

距離は短いが非常に厳しい一人旅だ

途中でコフィディスのエデが合流するも山頂付近で突き放し単独で通過

後ろからは山岳賞狙いのアラフィリップが追いかけてきた

連日の逃げ本当にご苦労さんである

先頭のカンゲルトを追走するのはアラフィリップ、デュラセック、ヘスス・エラダ

下りでアラフィリップとデュラセックはカンゲルトに追いついて先頭集団を形成する

追走集団はバルベルデやアダム・イェーツたちを含む集団

タイム差は1分程度

スカイがコントロールするメイン集団とは3分45秒まで広がる

どうやらスカイはステージには興味がなさそうだ

下手に攻撃すると自滅しかねないからな

そんな怖さがショートステージにはある

いつものように逃がしてもいいメンバーにだけ通行手形を発行すればいい

しかし他のチームはこのままスカイのケツにくっついていく訳には行かない

綺麗なお姉さんのケツならそれでもいいだろう

きっと何か得るものはあるはずだ

しかし相手は黄色い服と背中にシャチを背負った集団である

スポンサーからのプレッシャーを感じた各チームの監督がどんな無謀な命令を下すのか?それでも命令には従わなければならない

メイン集団ではアージェードゥーゼールとモビスターが仕掛ける

アシストを使いペースアップ

不発に終わろうとも行動だけは起こさなければならない

フランスの期待を背負うバルデにプレッシャーがかかる

モビスタは3人のエースでプレッシャーを分担

しかも陽気なスペイン人が二人

この辺りの差がどう出るのか

FDJのティボ・ピノーなんかはツールから逃げたぐらいだ

俺は現地で取材している辻啓氏のインスタのライブ中継を見ながらJスポーツも見るという忙しさ

テレビではサガン落車との情報

瞬間にインスタのライブ中継のコメント欄にもサガン落車の情報が飛び交う

そして生中継中の辻氏もインスタで情報を知る

遠く離れたフランスと日本が繋がってると感じた瞬間でもある

サガン落車

映像は出てこない

気になる怪我の具合

最終的には完走はしたが今日走れるかどうかは分からないみたいだ

それにしても珍しいサガンの落車

サガンといえどもコーナーを見誤るほど集中力が切れ疲弊していたのかもしれない

順調に山岳ポイントを獲得するアラフィリップ

ほぼ山岳賞を確定させる

下り区間でデュラセックが遅れて先頭はアラフィリップとカンゲルトに

いよいよ最後の超級山岳の山頂目指して登りに突入だ

しかし距離はまだ16キロ

長い長い山岳だ

直ぐにアラフィリップが遅れる

彼はすでにこの日の役目は終えた

もうお腹いっぱい

これ以上無理してまで山岳ポイントを取る必要もない

アラフィリップは遅れた

先頭はここまで来てもカンゲルト

追走からはバルベルデ、マイカ、ダニエル・マルティネス

前にバルベルデを置いた状態で後ろのメイン手段ではモビスタがペースアップ

これは明らかにバルベルデの前待ち作戦

メイン集団から誰かが飛び出すための布石だ

まずはDマーティンが仕掛ける

そしてついにこの男が動く

モビスタのエース、ナイロ・キンタナだ

以前なら徹底的にマークされる存在だが最近は影が薄いキンタナ

どこのステージだったか実況の人には「キンタマ」とまで言われてしまう始末

サッカーの「アルゼンチンチン」に匹敵する猥褻な言い間違いだ

すでに総合では4分ほど遅れているキンタナ

スカイはスルーした

この日のキンタナはいつもと違うキンタナ

とても良い時のキンタナである

粘り強いDマーティンを引き離し

バルベルデと合流

モビスタの前待ち作戦大成功である

ついでにマイカも引き連れてペースを上げる追走キンタナ集団

山頂まで残り10キロ

先頭のカンゲルトのタイム差は50秒

その1分後ろにDマーティンだ

メイン集団でも動きが出る

グリッチェが積極的にアタックを仕掛けるがすかさずフルームがチェック

やはり危険な男

簡単には逃がしてもらえない

すると今度はデュムランがアタック

スカイ以外で一番危険な男

今度はマイヨジョーヌ自らチェックした

どんどん小さくなるメイン集団

気がつくとエース級はGトーマス、フルーム、デュムラン、ログリッチェ、バルデ、ランダ、クライスヴァイク

彼らをスカイのアシストのポエルスとベルナルが献身的に引き続ける

この局面にきてまで仕事しまくってるアシストが残ってるという事実

そのうちの一人ベルナルはまだ若造だ

日本なら大学生と同じ年齢か

そしてバルデが何もできずに遅れた

チームメイトの献身的なペースアップはただ単にバルデ自身を苦しめただけだった

残り8キロ

先頭ではついにキンタナとマイカがカンゲルトを追い抜く

残り6キロでマイカも脱落

先頭はキンタナ単独だ

強い時のキンタナが戻ってきた

そのまま25秒後ろのDマーティンの追走を許すことなくステージ勝利

この時世界中の人はグリットスタートのことはすっかり忘れて久しぶりのキンタナの勝利に酔いしれたのだった

キンタナも見事だが相変わらずDマーテインの粘りは凄い

決して折れない心の持ち主

それがDマーティンだ

 

 

レースはメイン集団の争いへと切り替わる

スカイVSロットNLユンボ

今度はクライスヴァイクがアタック

しかしベルナルが抑える

その後もログリッチェが攻撃を仕掛けるロットNL

しかしスカイの牙城は崩せない

伊達に背中にシャチを背負ってるわけではない

「海を汚さないで」

そんなメッセージが込められているのだ

それでも諦めないロットNL

残り3キロでまたまたログリッチェがアタック

またまたベルナルに抑え込まれる

しかし今度は何かが違う

後方で下を向いてる男がやたらと苦しそうだ

ついにフルームが遅れた

ここをチャンスと見たデュムランとログリッチ

スカイを倒すべく最後の力を振り絞り攻撃に出る

しかしここで待ち受けていたのは真のラスボス

Gトーマスだ

圧倒的な強さでデュムランとログリッチェを引き離すGトーマス

5秒差をつけてゴールした

ペースアップに付いて行けずにずるずると下がるフルームをベルナルが介護に向かう

ベルナルに付き添われながら何とかゴールするフルーム

Gトーマスとのタイム差は2分31秒

完全にエース交代である

総合2位にはデュムランで1分59秒差

もはやTTでは挽回できないタイム差

果たしてこのままGトーマスが独走するのか?

それとも彼にも無情なあの日が訪れるのか?

とりあえず今日は平坦ステージ

総合はお休みである

 

 

今日の第18ステージ

スプリントステージだろうが

スプリンターが誰が残っているのか正直俺は知らない

みんなタイムアウトにならずに走れたのだろうか?

デマール、クリストフあたり

コロブレッリはさすがに大丈夫かな

デゲンコルブはどうだろう?

今日の予想は誰にするかな

サガンも落車したし

コルト・ニールセンかな

コルト・ニールセンで