鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

名駅ゲートタワー「弐澤千」で鮎丼1500円

仕事が忙しい中

強引に休みを取った俺である

午前中に重要な用事を済ませた俺はいつものように名駅へと向かった

今日は朝から何も食べていない

家でシャバシャバの低脂肪乳とスタバで不味いコーヒーを飲んだだけである

場所代とはいえあのコーヒーをショートですら「多すぎるだろ!」ってぐらいの量を出されるのは正直辛い

半分飲んだところでぶちまけたくなる

半分、いらない。

さて昼時

どうしようか?

なんとなく俺はエスカレーターに乗ってしまう

こうなったらゲートタワーだな

俺は意気揚々とゲートタワーへと向かった

すっかりゲートタワーバブルも終わった感がする

今日も人は少ない

休日ゲートタワーは危険なんで近寄らない事にしている

俺は人ごみが嫌いなのだ

この地方の通勤電車は通路側がスカスカ状態で入口だけ鮨詰となる

俺はいつも強引に人ごみをかき分けて通路の真ん中まで行く

そんな中でも誰もがスマホから目を離さない

今日は足元に置いてあった若いサラリーマンのカバンを引っ掛けて引きずってしまった

まさかの足元に大きなカバン置きである

「チッ」と舌打ちされたが基本カバンは邪魔にならない場所に置くのがマナーだ

俺は舌打ちを無視した

もはや無法地帯だな

みんな自分のことしか考えていない

入口付近で痛い痛いと叫ぶ老人がいても誰も通路側に詰めようとはしない

スマホからも目をそらさない

いっその事電車内はスマホ禁止にすればいい

スマホはマナーモードにしてしまっておく

その掟を破った人は鍋でスマホをグツグツ煮込む刑に処すればいい

実行役は松居一代

話をゲートタワーに戻す

俺はいつものように上へ上へと向かう

12階までも通り過ぎて13階へ

この時にはすでに俺の心は決まっていた

今日は「鮎丼」

あゆ丼と言っても浜崎あゆみ丼ではない

清流に住む魚の鮎だ

そして鮎の旬はまさに今なのだ

俺は子供の頃から鮎を大量に食べてきた

しかも無料で

友達同士で川に潜っては大量に鮎をとる

川原で火を炊き塩焼きにする

一人20匹のノルマを課すがそれでも食べきれない鮎

正直安い養殖の鮎は油まみれで食べられない

安い弁当や会席などウナギ同様「無理して入れなくても」となるのである

ゴムのような臭いウナギ、油まみれな鮎の塩焼き

どちらもいらない

俺が向かったのは鰻屋である

多治見に本店を置く「弐澤千」

実はこの店、鰻と鮎の店なのだ

とは言ってもほとんどの客はひつまぶしを注文してる気がする

やはり観光客が多いのだろうな

観光客ぐらいしかひつまぶしは食べない

御膳系もうな丼ではなくひつまぶし

この辺り非常に残念である

いい加減ひつまぶし信仰はやめてほしい

俺がこの店を訪れるのは2回目である

前回は鶏の照り焼き丼を食べた

これはもう非常に満足

小鉢やサラダ、漬物、味噌汁と言った脇役たちも含めて非常にコスパの高い内容だ

そんな俺が今度は鮎丼を食べる

鰻屋でありながら未だに鰻を食べない俺である

貧乏なのもあるが

やはりたかが鰻で4000円5000円出すのには抵抗がある

俺は子供の頃に鰻も無料で食べ放題だったからだ

鮎と鰻

俺にとっては大好物だが金を出してまで食べるものではなかったのだ

とは言ってもやはり食べたい鰻

未だに俺は悩み続けている

鰻が値下がりすることはないだろう

しかし食べる勇気が出ない俺である

そんな俺が今日は鮎丼を選択した

理由は一つ

天丼が食べたかったのだ

そしてこの店のカウンターはガラガラだ

一人当たりのスペースも広い

こんなところもこの店を気に入っている理由である

俺は行列の出来る店が大嫌いなのだ

俺は一人だということを店員さんに告げた

そしてカウンターでも全然構わないということも告げた

ガラガラのカウンターに案内された俺は周りを見渡した

みんな3000円程度のものを食べてるみたいだ

すごいな

俺は感心した

しかし俺は鮎丼

1500円

これでも修繕中の清水の舞台から飛び降りるほどの気分である

「鮎丼と生ビールで」

生ビールは選択肢のある中から一番安い一番搾りにした

系列店で黒ビールカレー詐欺を行っていた麒麟麦酒だが致し方がない

俺はカバンの中から新iPadを取り出してNHK趣味の園芸Kindleで読んだ

最近忙しくてまともに園芸ができていない

やはり他人の植物はよく見えるものである

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今日は暑い

午前中にさっぱりしてきたはいえ一旦外に出ると汗だくになる

俺はつゆだくも汗だくもごめんだ

そんな俺の体を癒してくれるのがこの麦の恵みでもある黄金の液体

ただ問題なのは水分補給にならないということだろうか

アルコールは逆効果である

温度もちょうどいい

安い居酒屋系からすれば「ぬるすぎだろ」となるが

本来ビールの適温はこの程度である

ちゃんとした店ほど冷えすぎていないビールを出すのだ

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趣味の園芸を読みふけっていた俺に前に置かれた

これが鮎丼である

1500円

コスパは抜群だな

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鮎丼

要するに鮎の天丼であると思っていただいて良い

しかし鮎は3枚におろされ骨までもがパリパリに揚げられている

これはとても嬉しい

俺はエビフライのエビの尻尾が好きなように鮎の骨も非常に美味しくパリパリと頂いた

そして何よりカルシウムの宝庫

俺は少しだけ自分の骨が丈夫になった気がした

他の具材はシシトウ、赤ピーマンかパプリカかわからないが赤い奴、玉子、そしてミョウガ

ミョウガは豪華に2本入り

ミョウガ好きな俺は歓喜した

一本食べてもまだ一本あるぞ

天丼のタレは相変わらず少ない

しかしこれが絶妙な量なのである

白飯の味も鮎をはじめとする各種食材たちの味を決して殺さない絶妙な量なのだ

揚げ方も素晴らしい

当たり前だがちゃんと天ぷらになっている

しかしこの当たり前のことができていない店が多いのも事実だ

鮎の身を一口食べてみる

天ぷらでありながらもちゃんと鮎の味が分かる

そしてうまい

おそらく養殖だろうが脂は取り除いてあるんだろうな

俺は久しぶりに美味い天ぷらを美味い鮎を食べた

ここで一旦俺はサラダへと移行する

本来なら野菜から食べる俺だが

池波先生の「天ぷらは熱いうちに親の仇かのように食べろ」と言う格言がある

そのために最初にサラダに手をつけることを躊躇したのだ

とは言ってもこれは天丼

すでに熱々の時間帯は終わっている

そして忘れてならないのが玉子の存在

半熟玉子の天ぷらなのだ

これで完全に流れを変えることができる

後半開始15分

ご飯にとろーりと濃厚な玉子が流れ出す

少々強引なやり方ではあるが

半熟玉子の天ぷらは美味い

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サラダもランチとは思えないほどちゃんとしたサラダだ

とても鮮度が良くシャキシャキして甘い

なにやら黄色いのが乗っかってるがおそらくツールをイメージしてのことだろうと思いたい

緑のマイヨヴェールに赤は水玉山岳ジャージだな

俺はそんなサラダを平らげた

小鉢は野菜の炊いたん

関西風とはいかないがこの地方にしては優しく炊き上げられている

真っ黒になっていないのが好感を持てる

名古屋の夏といえば冬瓜だ

そして胡瓜と並ぶ夏野菜2TOPのナス

ミニミニトマトにとうもろこしと枝豆が脇を固める

まるで懐石の一品的な仕上がり

ランチでこんな手間のかかった小鉢が食べられるのはとても贅沢でもある

嗚呼、美味い

俺は生ビールを飲み干した

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そして忘れてならないのが日本人の心でもある味噌汁だ

ここの味噌汁はとても具だくさん、丁寧に作られていて美味い

正直、白飯にうなぎのタレを少々、あとは味噌汁と漬物

これだけで十分だ

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その漬物はこれまた嬉しい3種盛り

しかも奈良漬まで完備されている

この漬物もまたインターバルに、最後の締めに大活躍間違いなしだ

俺はこの素晴らしいランチを

鮎丼を堪能したのだった

 

 

俺の隣にお客さんが来た

彼もまた悩んだ末に「鮎丼」を注文した

俺は心の中で「決して君は間違ってはいない、だから自信を持って良いんだよ。君の選択は正しい」と彼に伝えた

さぁ味わうが良い

この素晴らしい鮎丼を

俺は会計を済ませて店の外へ出たのだった