鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

ロスタイムの9・35秒

案の定

手のひらを返したかのように日本代表を大絶賛の海外メディア

俺の予想通りである

海外メディアは良ければ褒めるし悪ければ貶すだけのこと

一々反応しても仕方が無いのである

日本のメディアは相変わらずレベルが低い

いい加減FIFAランクFIFAランク言うのやめたらどうだ?

だいたい意味なさすぎて誰も気にして無いだろうが

あと日本の文化なんだろうが中田さん以外の選手の批判はしないのだ

中田さんの場合はマスコミを敵に回したおかげでいつも批判されてきた

そのおかげで彼はサッカーはW杯しか見ないと言う人たちの間では評価が低いのである

みんなマスコミの言うこと信じちゃうからな

サッカーの場合はちゃんと自分の目で見て感じたことのみ信じたほうがいいのだ

 

それにしても今日の試合は凄かった

そして面白かった

俺は夜更かしは苦手だが早起きは得意なのである

そのため今日は朝の2時30分に起きて準備をしていたのだ

まずはトイレに行きゆっくりとコーヒーを飲む

一通りネットをチェックする

嗚呼、なんてことだメキシコが負けた

やはりブラジルは強いな

中継は2時45分から始まる

長友が天に向かって両手を掲げている

どうやら元気玉を集めているらしい

試合前は頭からっぽのほうがリラックスできていいだろう

俺なんか常にからっぽだ

それにしても長友と吉田麻也の存在は今の代表において大きい

攻撃陣はなんだかんだ言って次から次へと出てくる

ただ世界で戦えるDFは層が薄いかな

プレミアでガンガン戦えるDFがもっと増えてくると日本は強くなるだろう

ルカクあたり吹っ飛ばすぐらいの選手が欲しいな

「特注ユナイテッドカラーのロールスロイスなんか乗ってるんじゃねえよ」って感じで

試合開始から日本が攻める展開

いきなり香川がシュートを放つ

なかなか良い試合の入り方である

今から思えばアザールと香川

どこでこんなに差がついた

確かにアザールのほうが最初から評価は高かったが二人がともに戦いの場をプレミアに移した時はアザールより香川のほうがコスパ抜群の活躍をしてたのだが

しかも香川は本来のポジションにルーニーがいたので仕方がなくサイドをやらされていたのにな

今日の日本は一味違う

ちゃんと基本通りトライアングルを形成して試合してるのがよくわかる

特に左サイドの長友と乾に香川が俺も俺もと絡んでくる

そしてかなりベルギーを研究してきている

おそらく大量のワッフルを食べてチョコも食べたんだろうな

 

昨日俺はルカク吉田麻也が抑えると書いておいたが

本当に今日の吉田麻也は良い時の麻也だった

彼は調子が良い時は世界レベルの奴らを止めてるからな

伊達にプレミアで戦ってはいないのだ

再三チャンスを作られるも最後の最後で吉田が止める

そして川島が止めるのだ

ルカクなんて二人で囲んでもボールキープして振り向いてシュート売っちゃうからな

やはりロールスロイスに乗る男は違うのだ

そして俺はテレビに向かって叫んでしまう

「撃て!」

やはりどうしてもマンチェスターUの選手がボールを持つと無意識に応援してしまうのであった

こればかりは仕方がないな

まぁお互いに頑張れ

前半は0−0

これは日本のプラン通りだろう

このままで良い

このままで

 

試合はハーフタイム

俺はこの時間を利用して今日の弁当を作る

まぁ弁当と言っても予算は100円しかないので

焼きそばを作っただけである

具材は魚肉ソーセージのみ

上に目玉焼きをトッピングして最後にケチャップをぶちまけてやった

試合が終わるまで冷ましておこう

俺は二杯目のコーヒーを入れた

さぁ後半だ

選手交代はなし

当たり前だ

今日の日本は素晴らしい

後半開始直後にチャンスは訪れた

柴崎からスルーパスが出た

少々スピードの遅いスルーパスではあるが無事に原口まで到達

このあたり芝の長さが関係してるのか?

やたらと柴崎のパスはヘロヘロしてる

しかしやたらとパスが通るのだ

パスを受けた原口

元気よく走り出す

そしてフリーだ

GKクルトワと一対一

原口はフェイントをかけてゴールギリギリのところへシュートを放つ

クルトワの長い手の向こうをボールはすり抜けてゴールネットを揺らした

まさかの日本先制

いくら一対一とはいえ

相手はチェルシーの守護神

「あなたにもチェルシーあげたい」のチェルシーである

クルトワである

そうそう簡単にはゴールは割れない

しかし原口はフェイントによりわずか一瞬だけクルトワの反応を遅らせたのだった

素晴らしい原口のゴールである

シュートだけみれば世界トップレベルだな

これにはさすがのベルギーも焦りだす

そこを日本は見逃さない

今度は乾だ

得意の左サイドの切込みからシュート

強烈なミドルシュートが再びベルギーのゴールネットを揺らした

日本2点リード

まだ後半7分だ

しかも凄いシュート2本

まるで強豪国を見てるかのようだ今日の日本は

ただ問題なのはサッカーにおいて2−0というのは決してセーフティーリードでは無いということ

特に格下のチームが2点先制した場合は怒涛の反撃をくらい終わってみれば逆転負けなんてことはよくあるのだ

しかもまだ後半7分

かなり気を引き締めて行かないとやばい状況だ

ここで浮き足立ってはダメだ

しかし恐れていたベルギーの怒涛の反撃が始まってしまった

それでもギリギリのところで吉田麻也が抑えている

そしてベルギーは選手交代

フェライニとシャドリの投入だ

俺の予想通りフェライニが出てきた

彼は本来中盤の選手だがどうしても点が欲しいスクランブル状態の時はFWで起用される

アフロヘアから放たれるヘディングが得意な彼

モイーズファン・ハールも苦しい時にはフェライニを前線に置き

戦術アフロを発動するのだ

とにかくアフロ目指してボールを放り込め

しかし今回のベルギーはアフロ頭だけでは無い

高くて強いルカクドリブラーアザールもいる

そこに戦術アフロも追加されたのだ

赤い悪魔が本気を出してきたのである

後半24分

一体何が起きたのか?

ボールはゆっくりと川島の頭上を超えて飛んでいく

まるでスローモーションを見てるかのようだ

そしてボールはそのままゴールネットを揺らした

ベルギー1点差に詰める

まだ一点ある

そう言いたいところだが正直あと一点しか無いが本音である

2−0から2−1に追いついた場合

圧倒的に追いついたチームが勢いづく

日本はかなり不利な状況に追いやられた

そしてその5分後

俺の予想通りボールは頭5つ分ぐらい打点の高いフェライニのアフロヘアから日本のゴールへと叩き込まれた

ベルギー同点!!

しかもこの時俺は「よっしゃぁ!!」とガッツポーズまでしてしまった

フェライニマンチェスターUの選手である

そんな彼が同点ゴール

俺は思わず自分が日本人だということを忘れてフェライニのゴールに歓喜した

俺の頭はしばし混乱した

マンUか日本か

プレミアかW杯か

どうも赤いユニフォームがいかんな

同じ赤い悪魔って呼ばれてるし

ついに日本は同点に追いつかれた

しかしまだ同点だ

とりあえずはこのまま延長に

あわよくば勝ち越し点を

原口は足をつっている

ベンチでは本田が動き出す

後半36分

柴崎に変わり山口蛍

原口に変わって本田が投入された

この時間帯にきても香川の動きは悪くは無い

本田はそのまま原口のポジションに入る

お互いにギリギリのところを責め合う日本とベルギー

本田のFKも決まらない

試合はロスタイムへ突入

ロスタイムは4分

そして4分が経過

本田のコーナーキック

これが最後のチャンス

しかし本田のコーナーキックは難なくクルトワがキャッチ

クルトワは冷静に周りを見て

手でボールをピッチ上の選手に投げ渡した

パスを受けたのは今赤丸急上昇の注目株デブライネ

デブライネは一気にセンターサークル付近まで駆け上がり右サイドへ展開

慌てて戻る日本

ダメだ追いつけない

この試合初めて日本がパニクっている

右サイドに出されたパスをムニエが鋭いクロスをゴール前のルカク

ルカクシュートと思われたところルカクはそのボールをスルー

ルカクの背後にはシャドリがいた

シャドリの左足

その時間クルトワから僅かに

9・35秒

ロスタイム終了直前で無残にもゴールは日本のゴールへと突き刺さった

2−3

ベルギー逆転!!

もう残された時間は無い

試合再開と同時に試合終了のホイッスル

日本は負けた

最後の最後で9・35秒を防げなかった

ピッチ上に倒れこみ号泣する昌子

座り込み唖然とする香川にアザールが手を差し伸べる

これがW杯である

負けはしたがまさに今大会のベストゲーム

お互いにリスペクトを忘れない

そして歴代の日本代表戦でもTOP3には確実に入るだろう試合

大杉漣さんにも見せてあげたかったな

「蓮さん。日本負けたけどすげえ良い試合だったよ」と

 

マスコミは日本が世界に近づいたと騒いでいたが

逆に俺は世界との差を痛感した試合でもあった

西野監督も最後にぽつりと「何が足りないんでしょうね・・・」

日本はできることを全て出し尽くした

それで負けた

最後の最後に高速カウンターを受けて負けた

一体これからどうすれば良いのか?

この先日本がW杯でベスト8へ勝ち上がるには

これから4年

どんな強化がされるのか?

本田、香川、長谷部、長友、吉田麻也、岡崎

これらの後継者プラス何かが必要なのだ

足りないものはおそらくフィジカル

これはジーコも結論として言っていた

しかし遺伝子的にどうしようもない

そこを組織でカバーして戦ってきたが負けた

一体どうすれば良いのか?

とりあえずロールスロイスを買うとかアフロヘアにするとか

試せることはなんでもやらないとダメだろうな

 

お疲れ様

日本代表

ありがとう日本代表