今日の俺はボストン旅行
しかしいつものようにアメリカ本土ではなく名古屋市の金山である
閉館まで232日となった名古屋ボストン美術館
今日からラスト展示企画第一弾の「ボストン美術館の至宝展」が始まるのだ
すでに東京など全国各地で同様の美術展は開催されてきた
俺もテレビ番組ですでにチェック済みである
「ぶらぶら美術・博物館」だ
ラストを飾るにふさわしいボストンオールスター名古屋に集結
これはもう見逃すわけにはいかない
一番の注目は何と言っても英一蝶の巨大涅槃図
痛みが激しかったために本家ボストン美術館ですら一回しか展示されたことがない幻の収蔵品
つまり世界中でも実際に見たことのある人は僅かしかいないのだ
そんな涅槃図が完全修復され日本にやってきたのである
まぁ多分これからは展示しまくりだろう
確か修復には住友財団が援助したはず
ボストンとしては「しめしめ」と言ったところだろうか
そのおかげでラストの展示の最大の目玉ができたのである
とにかくオールスターだけに今回の展示はあらゆる分野からセレクトして持ち込まれている
エジプトの財宝
中国美術
日本美術
ヨーロッパ美術
アメリカ美術
写真、板画
現代美術
ボストニアンと呼ばれる人々が収集して寄贈したお宝達
その中にはあの日本美術の救世主フェノロサも名を連ねている
俺は9時45分に金山総合駅に到着した
まずはトイレに入り小便をする
ここの小便器も隣から丸見え系の便器である
トイレを済ませた俺は腹ごしらえ
朝は家に食パンが1枚だけあったので山椒ふりかけとからしマヨを塗ってトーストにして食べてきた
しかしこれだけでは130キロカロリー程度しかない
「もう少しカロリーが欲しいな」
そう思った俺は金山駅の構内にある小さな小さなパン屋へ向かった
まぁ改札の前にあるわけだが
ここのパンは全てが美味しそうである
サンドイッチ系にも惹かれるがお値段が300円台と少々お高い上にカロリーオーバーとなってしまう
俺は今月末に検査を控えている
この検査の結果が芳しくなければ俺に新しい持病が加わり薬がさらに増やされることになる
そうならないためにも我慢我慢
とにかくこの餓鬼道に落ちた人みたいな腹をなんとかしなければならないのだ
俺は焼きたてパンの方に目をやった
一押しと書いてある
値段も180円
俺は名前は忘れたがドイツのくるみがたっぷり入ったパンを買った
ボストン美術館に入る前に食べなくては
俺は一口食べた
ほんのり甘いパン
とても美味しい
くるみもいっぱいで気をつけないとポロポロ落ちてしまう
俺はとても満足してボストン美術館へ向かった
美術館の開館までまだ10分ほどある
いつもなら俺が一番乗りだがさすがに今日は10人ほどいる
しかし観光客が多いのか?一見さんが多いのか?入り口前には一人しか並んでいない
その後ろに俺が並ぶと途端に動き出す人達
俺の後ろに行列ができた
なんか申し訳ないな
でもそこまで人は多くない
そして美術館の人の挨拶とともに開門
エスカレーターが動き出した
俺は100円割引を使ってチケットを購入
入館した
まずはチラシと作品リストを確保してファイルケースに収める
先日買った信三郎帆布のカバンに収める
今日は折り曲げなくて済む
さすがにお釈迦様の絵が書かれたものを二つに折るのは忍びない
最初はエジプト美術が並ぶ
ピラミッドから発掘してきた物たちだ
とてもワクワクする
そして感動
子供の頃どれほど憧れたことか
一度は行ってみたいエジプトのピラミッド
しかしお金が無い、治安も悪いので無理だな
そこでせめてお宝だけでも拝見と行きたい
ツタンカーメンの頭部像
テレビで見たあの扉もあるぞ
動物を形どった壺とかすごいな
最初からクライマックスじゃないか
俺は前菜から堪能した
否これは前菜というより八寸だな
次は中国美術
大徳寺が改修費用捻出のために泣く泣く手放した羅漢図や龍の巻物が圧巻だ
書もかっこいい字だ
俺は頭の中で書の書き方をシミュレーションした
力を入れるところ抜くとろ
ハネに払いに止め
ダメだとても面白い
自分がとてもつもなく上手くなった気がしてきた
次は日本美術
そして英一蝶の屏風
江戸時代のそれぞれの季節の行事が描かれていて何時間見ていていても飽きないほど楽しい
「おっ!あそこに誕生仏が」
「子供達が覗いてるな」
「あの人達は一体何をやってるんだ?」
江戸の生活がとても面白く興味深いのだ
そしてついにやってきた巨大涅槃図
さすがに圧巻である
中央にはお釈迦様が横になっている
つまり涅槃図とはお釈迦様が入滅した時の絵なのだ
お釈迦様が亡くなり様々な菩薩に羅漢さんや動物たちが悲嘆しているのだ
「あれはアーナンダ・・・」
向かって左下には気絶している人がいる
お釈迦様の最後の旅に付き添ったアーナンダである
彼は悲しみのあまり気絶してしまったのだ
お釈迦様は「私が死んでも悲しむのでは無い」とおっしゃったのに・・・
あの山盛りのご飯を持った老人は純陀・・・
彼が捧げた供物によりお釈迦様は食中毒になり死んだ・・・
しかしお釈迦様は覚悟の上で食べたのだ
「食べてはいけません」とアーナンダが忠告したにも関わらずお釈迦様は食べた
そしてお釈迦様はアーナンダに言ったのだ
「私は純陀の食事によって寿命を迎えることができた。臨終の前に食事を捧げることは最も尊い行いなのだ」と・・・
お釈迦様が入滅したあとで「お前のせいで!」と純陀が避難されないように、純陀を思いやる慈しみの心と、死は厭うべきではないという仏教の教えが表現されていると言う
お釈迦様はとても穏やかな顔で入滅されている
右手を枕にして寝ているだけのようにも見える
それほど死とは安らかなものなのだろう
輪廻からの解脱
お釈迦様は北を向いて入滅された
それは北という方角がとても良いとされているからだ
そのため死んだ人はお釈迦様にあやかって北枕で寝かせられる
しかしどこでどう間違ったのか?
死者と同じ北枕で寝るのは縁起が悪いとされてしまった
本当はその逆であるのに
ちなみに俺はずっと北枕で寝ている
このように仏教の教えを勘違いして現代に伝わっていることは多いのだ
しかしすごいな涅槃図
欲しいなぁ
部屋に飾りたいなぁ
ポストカードで我慢だな
でもお金がなくて小さいのしか買えなかった
今度大きいの買い直そう
その他日本美術では喜多川歌麿の美人画や河鍋 暁斎が所有していた酒井抱一の花魁図も見逃せない
吉原の花魁なんか当時のファッションリーダーだからな
彼女が着ている着物は当時の最先端のものなのだ
しかし興味なさそうにスルーしていく人、多数確認
「もったいないお化けが出るな」
これだからボストン美術館は閉館となるのかもしれない
今日だって初日の日曜日だっていうのにガラガラだ
まぁそのおかげでじっくりと鑑賞できるのだが
名古屋からまた一つ美術館が無くなるのはやはり残念でならない
場所も良いのに
なんで客入らない?
浮世絵なんか良いのあるぜボストンは
いつも人少ないのにな
外人さんも来てたけど外人さんなんかワクワクして鑑賞してたのに
ミュージアムショップでダリの溶けた時計を見て「ダリダリ」言いながらグッズいっぱい買ってたな
日本の次はヨーロッパ
フランス絵画である
そしてゴッホとモネである
やはりこの辺りが一番人気
しかしゴッホはヒマワリじゃないのでほとんど人だかりはできていない
時間帯によっては独り占めできたぐらいだ
ゴッホの2作品を前にして
ゴッホのお友達である
それだけに名作と言われるこの2枚の作品
じっくり堪能した後で振り返ると・・・
「振り返ればモネがいる」
ゴッホの対面にはモネなのだ
「睡蓮」
なんて贅沢な・・・
モネは4枚
くぼ地のひなげし畑も素晴らしい
「部屋に飾りてぇ」
そして睡蓮である
「これも部屋に飾りてぇ」
植物野郎の夢かもしれないな
さすがにゴッホ、モネではないが俺の部屋にも相当なお宝は展示してあるのだ
見慣れた缶詰が買いてあるだけだがな
でも花が欲しかったなぁ
個人的に静物画にはあまり興味をそそられない俺である
しかしさすがにボストン所蔵の静物画は一味違う
なんかも静物画でありながら動きがあるし
みずみずしい果物の香りまで漂ってきそうだ
ギュスターヴ・クールべのタチアオイも良いなぁ欲しいなぁ
ルノワールもさすがにうまいな
綺麗だなぁ
俺は何回も何回もゴッホとモネを見直してから別れを告げ次のコーナーへ
アメリカンドリーム
アメリカ絵画だ
この辺りはさっぱりわからない
「上手だな」と思ったり当時のアメリカが見れたりするのは面白かった
一番良かったのはここでも植物画だな
ジョージア・オキーフの「グレーの上のカラー・リリー」
これは欲しいと思った
買えないけどな
多分アラーキーも好きなんじゃないかな
性的なイメージでもある
次は版画、写真
エッチングは割と好きで俺自身も一枚所有している
リロイ・ニーマンの牛の親子を
派手なイメージのニーマンだがモノクロのエッチングは珍しい
そして渋い
30年ほど前に一目惚れして購入
部屋に飾ってある
まぁ俺の部屋の話は良いとして
正直作者は知らない人ばかり
俺が無知なだけではあるが
でもこのウィンスロー・ホーマーやエドワード・ホッパーのエッチングは素晴らしい
写真も数枚展示してある
その中で一枚だけかなり気に入ったものがあった
アンセル・アダムスという人らしいが森の木を撮影したやつ
俺もこの手の写真は得意としていて写真でありながら木のざわめきや風の音や匂いなど写し込んでしまうのだが
さすがの俺も「負けたな」と思った一枚であった
やはり世界は広い
最後が現代美術
今回はウォーホルも2枚展示してある
ジャッキーの色違いが2枚並べて展示
とても小さな作品だがやはりウォーホルは別格だな
ウォーホルの場合は多数の作品をどう展示するかでもイメージが変わるのだが
今回の2枚展示も良いもんだ
俺はウォーホル大好きだしな
俺の原点でもある
「アカ、ミドリ、アオ、グンジョウイロ・キレイ」
とにかくカッコイイ
それで良いと俺は思うのだ
現代美術で一番気に入ったのがイギリス人の作品
デイヴィット・ホックニーの「ギャロービー・ヒル」
ド派手なポップアート
丘の上から眺めた風景
これはポストカードも買った
あとは日本からも村上隆が1枚
正直よくわからない
今回のボストン美術館の至宝展
かなり良い
様々なジャンルが見られるのも非常に面白い
7月までやってるし
また行きたいな
ガラガラだし
おそらくこれほどの展示で客が入らないのは名古屋ぐらいだろうな
本当におかしな土地だ
さて時は12時半
俺は腹ペコである
しかしどこに行っても行列行列
俺はアスナル金山へと移動
某沖縄料理の店を覗いた
並んでる人は一人だけなのでここで食べることにした
沖縄風焼きそば
どうやらナポリタンみたいな焼きそばらしい
しかし待てど待てど順番はこない
15分ぐらいしてようやく俺の前の人が席に案内された
すると次から押し寄せてくる新たな客
待合室は満員になった
すでにテーブルについてる人を見ていても一向に料理は運ばれてこない
そして次から次へと会計を済ませて出て行く客
席はかなり空いているのに一向に呼ばれない
若いスタッフはのんびりと働いている
結局30分以上待たされて俺の後からきた客が俺より先に案内された
周りにいる人みんな「こちらの方の方が先ですよ」と言ったのにもかかわらずだ
俺は何も言わずに店を出た
俺は一階に降りた
多分空いているであろう店が一階にはあるからだ
芋蔵BAR GIRI
九州料理と焼酎がメインの店だ
俺の予想通り席は空いていた
これがランチメニュー
この店は値段は安いが味は結構いけるのだ
ただ少々量が少ない
しかしダイエット中の俺にはそんなことは無問題である
俺は名古屋だとここでしか食べられないようなメニューに決めた
「九州産漬けカツオとキビナゴの山かけ丼」と生中
ちなみに小ビールは100円とかなり安い
小ビールを4杯ぐらい頼んでやろうと思ったが中にしておいた
多分一杯限定で100円であろう
生ビールはすぐに運ばれてきた
幸いにもここはWi-Fiが飛んでいる
俺はのんびりとビールを飲みながらインスタを開始した
あらかじめ朝に撮影しておいた写真を投稿してみる
すかさず「いいね「いいね」「いいね」
挨拶いいねとは分かっているが嬉しいものである
気がつくと俺より後から来た人たちは皆料理が運ばれている
俺のビールは残りわずかだ
俺の料理は一体いつ来るのか?
ようやく登場
この時すでに1時半過ぎ
もう限界である
お腹と背中がくっついている
写真ではカツオやキビナゴが少ないように見えるがちゃんと山芋の下に隠れている
俺は攪拌して
わさびを塗り塗りした
さぁ食うぞ
カツオは思った以上に臭みがなくうまい
この辺りで食べるカツオとしてはなかなか美味いと思う
ただ本場には敵わないが
キビナゴは初めて食べるがかなり美味い
小さな小さな魚だがなかなか身がしまってて歯ごたえもある
初めて食べたが
「美味いぞ」
まぁ腹ペコだったしな
俺は無我夢中でガツガツ食べた
できることならカツオをつまんで酒を飲みたかった
しかしもうそんな些細なことはどうでもいい
俺はとにかく腹ペコなんだ
そして沖縄料理の店で食べなくて本当に良かったと心から思ったのであった
合計 約1400円
ごちそうさまでした
昨日は羽生が勝って羽生が負けるという
ややこしく歴史的な日だったが
今日はなかなかいい休日
でもボストン美術館が無くなるのはやはり寂しいな
俺結構通ってたからなぁ
まぁ閉館までまだ日にちはある
あと2〜3回は行きたいな