鯖棒亭日乗(下)

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4店のみ継承された洋食「ミヤビヤ」

日本には不思議な洋食がある

先日もテレビで特集されてたし、ネットニュースの記事にもなっている

どこかに仕掛け人がいるのだろうか?

日本で4店のみ継承された幻の洋食

いずれの店舗も創業100周年越え

そして東海3県に集中しているのだ

いつどこで継承されたのか?

名前の由来は?

どの店舗もよくわからないと言うこの料理

「ミヤビヤ」である

炒めた鶏肉とタマネギにトマトケチャップとデミグラスソースを少々

浅い皿にドーナツ状に盛りつけ、くぼみに生卵を落とし、蒸し器で2、3分。完成

とにかくケチャップベースの素朴な味で卵を混ぜ合わせるとまろやかになる

どこかで食べたような気もするが初めての味である

俺がこの「ミヤビヤ」なる料理を食べたのは数年前

名古屋市円頓寺商店街にある勝利亭だ

勝利亭の名前の由来は日露戦争に日本が勝利したことから

そのことからもわかるように歴史のある洋食屋である

メニューはいたって王道系の町の洋食屋

安くてボリュームたっぷりでどれを食べても美味しい

そしてこの店のトマトソースをヒントにカゴメのトマトケチャップは開発されたと言うすごい店なのだ

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実に味わい深い店構え

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これが「ミヤビヤ」である

ミヤビヤには鶏と海老があり俺が食べたのはエビミヤビヤ

昔のことなんで詳細な味は忘れたがとにかく美味かったのは覚えている

卵を絡めてご飯に乗せてわしわし食べる

もうたまらない

そんなミヤビヤである

他にミヤビヤを出す店は

同じ愛知県の武豊町の享楽亭

岐阜市のあじろ亭

三重県津市の中津軒

それぞれ蒸した卵か目玉焼きか若干の違いはあるが

ほぼ同じ料理として日本で4店舗だけ存在しているのだ

そしておそらく世界でも4店舗だろう

勝利亭の初代は神戸開港間もない頃に神戸オリエンタルホテルで修行

その時に外国人シェフから教わったとの情報もある

中津軒の創業者は東京の精養軒で修行したと言う

一体この料理のルーツはどこにあるのか?

未だに解明されていないのだ

そんな中で有力な説を唱えるのが香川大名誉教授で精神科医石川元
さん

もともと名古屋出身でおふくろの味だったミヤビヤを出す洋食店があるということを知り研究し始めたというが

「ん?おふくろの味?」

つまり昔は家庭でも作られてたと言うことなのか?

ますますわからない

石川さんによると1990年代にフランスの古書店でフランス料理の古いレシピ本で、ルーツとみられる料理を発見する

その料理は「マイヤベーア
マイヤベーア」とは、19世紀のフランスで活躍したユダヤ系ドイツ人作曲家・ジャコモ・マイヤベーア(1791~1864)

「Meyerbeer(マイヤベーア)」をローマ字読みして「ミヤビヤ」となったのでは?というのだ

マイヤベーヤの方はオーブンで皿焼きした卵の上に、焼いた羊の腎臓を付け合わせ、トリュフを使ったペリグー・ソースをかけたものでミヤビヤとは、卵と具材の位置がひっくり返っているそうだ

それが日本で反転してミヤビアになったのか?

マイヤベーヤをベースに賄い料理として簡単に作れるように開発されたのか?

石川さんの次男でオックスフォード大で考古学を研究している健さん情報では

マイヤベーア風はアメリカ発祥

有名店のシェフで、人名を冠した料理を多く生み出したフランス人、シャルル・ラノフェール(1836~99)の考案

19世紀末にニューヨークのホテルの朝食メニューだった記録も発見

その後、フランスやドイツのほか、東海地方にも伝わったのでは?と考察した

そして日本でのミヤビヤの発祥は名古屋市伏見の広小路に在った洋食店だという

その洋食店とは勝利亭に暖簾分けした元祖勝利亭ではないかと

 

そんなミヤビヤを出す創業100年越えの老舗洋食店たち

どの店も店主は高齢で後継者はいない

いずれ消滅して幻の料理となってしまうのだろうか?

その前にもう一度食べておきたい

そんな料理

「ミヤビヤ」である

 

nagoya.j47.jp