鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

名駅ひさだ家で穴子天丼、一本揚げ

ツールが終わって7月も後半だ

しかしこの日は朝から曇りで蒸し暑さはあるものの比較的過ごしやすい

とはいえ外を歩けば汗が吹き出てくる

昔昔に京都のよーじやで購入したハンドタオルが部屋の奥底から発掘されたので最近よく使っている

当時は男がハンドタオルなんてやわなものを持ち歩くことが恥ずかしくて、新品のまま奥深くへと仕舞い込まれていたものだ

タオルでありながら顔の脂も除去してくれる優れもの

しかしおっさんの脂は相当手強いもので吹いても拭いても脂が染み出してくるのだ

そんな脂まみれの俺であった

そして昼飯の時間である

こうなったらとことん脂まみれになることを選択した俺は以前から気になっていた天丼を食べることにした

電話がかかってきた

どうやら8月3日は予定が入ってしまった

仕方がない

でも悪くない仕事だ

俺はこれで決心がついた

予算より百円オーバーだったあれを食べることに決めたのだ

今が旬の穴子

やはり魚は旬の時に食べるのがいい

鯖寿司など旬の外れた時期のものも、それはそれであっさりとして夏にはこれがまたいいのであるが

穴子を食べるなら今がいい

ちょうど土用の丑もあったことだし

細長い魚は何かと気になるのだ

そして早いところ鱧も食べておかないと旬を逃す

とは言っても鱧は秋に再び美味しさを取り戻すのでそれほど心配は必要はない

ちなみに穴子も鱧もウナギ目

大きな大きなくくりで言えば同じウナギなのだ

みんな細長いしな

穴子の場合は旬の季節はそれほど脂は乗っていない

しかしさっぱりとした味が好まれるために6月から8月が旬とされている

その一方で脂至上主義の方々も存在する

その時は10月から12月が脂ノリノリでこちらが旬だと主張する人々も存在する

要するに旬なんてものは自分が食べて美味いと思った時が旬である

穴子もサバも

脂ノリノリがいい人も脂少なめさっぱり系が好きな人も存在するのだ

一つの魚で2度おいしいと思えば両方の時期に食べ比べてみるのも面白い

さすがに「つな八」などの天ぷら屋で食べるほど羽ぶりは良くない

安く穴子天が食べれる店は名駅の地下街にもあるが、通常メニューではないため仕入れがあった時しかメニューに乗らない

俺はまだ1回しか穴子天定食に遭遇していない

そこで俺は常時穴子天丼がメニューにある店に決めた

JR名古屋駅の広小路口にあるキュイジーヌマルシェ内の「ひさだ家、名古屋」である

以前に選べる松花堂弁当を食べたところだ

JR東海が運営するこの店はリーズナブルな値段ながら何を食べても安定感抜群である

特別な日に食べる料理ではなく毎日食べたくなるような味付けだ

この店のレギュラーメニューとして穴子天丼、一本揚げは存在している

しかしこの店に来ると選べる松花堂弁当が食べたくなる

そして店先にはカレーライス復活の文字が

カレーもいいな

だが今日の俺は穴子を食べるためにやってきたのだ

この店のいいところは座席の幅に余裕があり、隣の人と干渉しないことである

名駅の店でも違うエリアだと、ぎゅうぎゅう詰めで一人でも多く客を入れようとする守銭奴スタイルの店が多い

こういった店はガラガラの時でないと食べるのを躊躇してしまう

よほど美味ければ別であるが

俺は二人掛けのテーブルに案内された

優雅にソファーに腰を落とした俺はすぐに注文した

メニューを見てしまうと心変わりが発生する可能性があったからだ

穴子天丼と生ビール」

生ビールは黒ラベルと恵比寿がある

この日も俺は恵比寿にした

なんかその方がめでたい気がしたからだ

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暑いに夏には生ビール

しかし店内はエアコン完備で俺には寒いぐらいだ

そしてその中で飲む生ビールはそれほど美味しくはない

これは真夏の宿命

やはりビールは炎天下で飲みたい

俺は冬の料亭で八寸をつまみに瓶ビールを飲むかのようにゆっくりとゆっくりと生ビールを飲みながら天ぷらが揚がるのを待った

隣のテーブルではサラリーマンのおじさん二人組

松花堂がメニューの中から好きなものを4つも選べることに衝撃を受けていた

「4つも!」「4つも!」

よほどのことがなければ同じ言葉を2回は繰り返さない

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俺は目の前の天丼を見た

穴子天丼、一本揚げ

ギリギリだがはみ出している

衣を除けばかなり際どい

しかし紛れもなく丼からはみ出しているのだ

ご飯は比較的良心的な量が入っている

エビフライで有名な某店の天丼は衝撃を受けるほどのご飯の少なさだったが

穴子の他には海苔、大葉、かぼちゃ、ナス、レンコン

小鉢にはきゅうりとキノコの和え物だ

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この小鉢も決して付け合わせでなく場面によってはエースを張れるほどの味付けである

この辺りの安定感はさすがだ

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俺は穴子天丼を一口食べた

あっさりとした穴子

脂のノリ具合がちょうどいい

それだけによく噛まないと味がすぐに消え去ってしまう

タレはかかってはいるが少なめだ

そのためにタレがかかってない部分はダイレクトに穴子の味が感じられる

でもここに塩を振ることができたら俺はどんなに幸せだろうか

フランス、ヒマラヤ、沖縄

どの塩にしようか?

しかし俺のマイ塩は家に置いてある

俺は生ビールを飲んだ

かぼちゃの天ぷらは美味い

かぼちゃだけはスーパーのふにゃふにゃ天ぷらでも美味い

まるで天ぷらになるべく生まれてきた野菜だな

他の天ぷらは値段で言えばコスパ抜群の味

さすがに天ぷら屋と比べてはかわいそうだ

値段が全く違うしな

約千円なら、よは満足じゃ

しかし、どうにもこうにも箸で食べにくい天丼である

天ぷら部分は箸

ご飯はスプーン

非常にめんどくさい

この辺りもっとガツガツ食べたいな

箸のみで

 

穴子天丼 一本揚げ 1100円

エビス生ビール   560円

合計        1660円

ごちそうさまでした

 

 

ツールが終わった寂しさから俺は一冊の本を購入した

 

ガーデン

ガーデン

 

 ガーデン

森見氏の夜行以来の単行本の購入だ

簡単に言えば植物男子のお話

本来モテモテなんだが植物を偏愛して生身の女性に興味は持てない話

俺の場合は植物も女も二刀流

しかし全くモテナイという問題を抱えているが

同じ植物男子というか植物おっさん

ちょっと気になる話である