鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

号泣キッテル

2017年ツール・ド・フランス第2ステージ

ドイツのデュッセルドルフからベルギーのリエージュを目指す平坦ステージ

この日からラインレースが始まる

まずは市内をパレードラン

すごい数の観客だ

プチイベントを終えてレーススタート

最初のアタックで逃げが決まる

今日は4級山岳が2つ取れば山岳ジャージゲットだけに山岳賞目当てで逃げたい選手が多いかと思われたが、あっさり4人の逃げが決まる

キャノンデールのタイラー・フィニー、ワンティのオフルド、フォルトゥネオ・オスカロのピション、デイレクトネナジーのトマ・ボダ

最高級の血統を持つタイラー・フィニー

選手生命も危ぶまれるほどの怪我だったがだいぶ復調してきてるみたいだ

最初の4級山岳をフィニーが取り

これでこの日の山岳賞を確定させた

この時点でフィニーの仕事はほぼ終了だが逃げれるところまで逃げる模様

レースは何が起こるか分からないからだ

他の3人はカテゴリーが下のプロコンチネンタルチーム

とにかく逃げに乗ればずっとTVに映してもらえてスポンサーへのアピールにもなる

サイクルロードレースのチームはほぼスポンサー名がそのままチーム名になる

観客などからお金が取れずに放映権料の分配もないロードレースのチームは収入のほとんどがスポンサー料である

そのためにとにかくジャージにプリントされたスポンサー名をアピールしまくる必要があるのだ

今後も契約更新をしてもらうために

逃げに乗れば確実に世界中に放映されてスポンサーも大喜びなのである

しかしトップカテゴリーのワールドツアーのチームは勝つことでスポンサーへアピールしなければならない

そのために勝つチャンスの多いスプリンターは重宝する

今回もほとんどのチームがスプリンターを連れてきている

こんな日は逃げはまず容認されない

レースは最初から3分差ほどでプロトンにコントロールされる

この日のステージ勝利を狙いたいチームがみんなで協力して先頭を引く

逃げているのではなく逃がされているだけなのだ

そのため平坦コースでは特別何かが起こるわけでなく淡々とレースは進んでいく

そして雨が降り出す

いつでも本気を出せば逃げを捕まえられるタイム差のままレースは進んだ

しかし残り30キロ地点のロータリーで事件は起こった

突然先頭付近のカチューシャの選手が濡れた路面で滑ると、後続も止まりきれず集団落車発生

その中にはスカイの選手が多数含まれる

マイヨジョーヌのゲラント・トーマスにフルームも巻き込まれた

その横ではAG2Rのバルデたちもいる

BMCの選手がしきりに後方を見ている、おそらくリッチーポートも転んだ

フルームはすかさずチームメイトのバイクを借りて再スタート

近年紳士協定が無視されてきたが流石にこの日はボーラ・ハンスグローエやロット・ソウダルが集団のペースを落として落車した選手は集団復帰を果たした

すかさずチームカーを呼び自分のバイクへと乗り換えるフルーム

何とか事なき得た

昨日に引き続き落車で勝負が決まるのは見たくない

過去にはライバルのトラブルに乗じての知らないふりアタックが勝敗を決めた事も多い

コンタドールとかニバリとかヴォクレールとか若い頃のローランは途中で引き戻されて説教されてたな

弱虫ペダルでは山頂付近で天才クライマー真波のチェーンが外れたにもかかわらず

相手のトラブルに付け入る事なく

努力の凡人パーマ先輩はカッコをつけながら真波を待った

「ティータイムしてただけだと」

凡人のパーマ先輩が生涯最高に輝く瞬間だったのに、彼は真波を待った

これがサイクルロードレースの美学でもある

メイン集団は再び一つの大きな塊となり逃げを捉えようとする

落車の影響で逃げきりの可能性が僅かながらに見えた来たが、雨で濡れた路面なかなか攻める走りができない

それでも最後まで粘るオフルドとフィニー

オフルドは敢闘賞を獲得した

これで逃げの二人は仲良く表彰台にも登れる

残り15キロでタイム差40秒

残り10キロでタイム差50秒

若干広がるもスプリント狙いのチームが多いだけに十分に射程圏内だ

昔なら突然アダムハンセンが飛び出して逃げきりなんてシーンも想像されたが

この日のハンセンはグライペルのために集団を引いた

残り5キロでタイム差30秒

残り1キロを示すアーチ、フラムルージュで逃げはプロトンに吸収された

ここからは各チームトレインを組んでスプリンターを発車させるだけ

ロットソウダルとボーラの戦い

クイックステップはトレイン崩壊か

新城の仕事もここでスプリンターのコルブレッリをいい位置で発車させる事である

各チームエーススプリンターが入り乱れた中でサガンが先頭へ出てしまい仕方がなくスプリント開始

ブアニは進路を塞がれる

グライペル、フェルネウェーヘン、サガン、デマール、コルブレッリが横に並んでのスプリント

大外からカヴェンディッシュが迫り来るもいまひとつ伸びがない

 

最後はスプリンター同士の力勝負

その中から抜け出したのが世界最速スプリンターのキッテルだ

頭一つ抜け出すと後続をぐんぐん離して勝利をつかんだ

2位はデマール

ゴール後にバイクの横に座り込み両手で顔を覆い肩を震わすキッテル

何度も何度も勝利してきた世界最速スプリンターが泣いている

ドイツはドーピングスキャンダルによりファンは離れ長い間ツールの中継すらされなかった

そして近年のドイツ人選手の活躍により今年再びツールがドイツスタート

そのステージで勝ったドイツ人のキッテル

様々な思いがあったのだろう

彼は号泣した

 

 

惜しいな

俺の予想

ブアニが進路を塞がれるところも当てたが相手はデマールではなかった

そしてクイックステップトレインが崩壊するのも予測してたのだが

デマールではなく勝ったのはキッテル

完全に力で勝ちきったキッテル

やはり強いな

そして出身のドイツからチームの本拠地のベルギーへゴール

結局は勝つべき男が勝ったって事だな

 

今日は小さい山がぽこぽこあっての最後3級登りゴール

サガンや登れるスプリンターとパンチャーの争いだな

今日もクイックステップ祭りと予想

ジルベールとトレンティンの2枚看板

調子のいい方が勝負する展開

対抗 サガン

大穴 新城

本命はマッテオ・トレンティン

 

ゴール前で引き離されるサガンが一言

「待ってよ!トレンティン」