鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

なんでも鑑定団の国宝級曜変天目にちょっと待った!

「どう見てもまがい物」

昨年12月20日の放送で話題を呼んだ国宝級の曜変天目茶碗に異を唱える人物が出て来た

例の曜変天目茶碗はなんでも鑑定団にて中島乃助氏が「曜変天目に間違いございません」と太鼓判を押した国宝級の茶碗

「茶碗の中に宇宙が見える」と言われるまるで宇宙に輝く星のような模様が出ている茶碗である

その鑑定結果に異論を唱える人物とは愛知県瀬戸市在住の陶芸家・九代目長江惣吉氏である

長江氏は曜変天目の美しさに心を惹かれて親子2代に渡って曜変天目茶碗の再現に挑んでいる人物だ

その様子はNHKの番組でも放送されて確か俺も見たような気がする

長江氏はこれまでに中国へ28回赴き現地の研究者と交流を重ね、おそらく日本では誰よりも曜変天目を知り尽くしていると思われる

その長江氏のコメントが

「番組を見ていて思わず絶句しました。どう見ても中国の商店街で売っているまがい物にしか見えなかった」と言うのだ

長江氏が偽物だと判断した最大の理由が光彩だそうだ

曜変天目茶碗は鉄分などを原料とする釉薬をかけて焼かれる

最大の特徴は茶碗の内側に広がる鮮やかな光彩であり光と見る角度によって輝き方がガラリと変わるのである

その肝心の輝きが無い・・・と言うことらしい

本物は釉薬に天然の材料が使われて焼き方により色合いが変化してブラックオパールのような鮮やかな光彩になるという

しかし例の曜変天目と鑑定された茶碗にはその輝きが無い・・・

変幻する光彩ではなく単に赤や緑、青などの釉薬がそのまま発色したように見えて東洋的な味わいに書けるというのだ

長江氏が推測するには18世紀以降に作られた物で陶磁器釉薬用絵具スピネル顔料で発色させたものの可能性が高いという

さらに器の外側に雲のような模様が出ているのも不可解だと言うのだ

本物には外側にはほとんど模様が出ない・・・

このような茶碗は中国の福建省で大量生産されて2000円から3000円で購入できるそうだ

確かに俺が先日京都に言った時に曜変天目と表記されたぐい吞みを見かけた

数千円だった記憶がある

しかしそれはそれほど心を惹かれるような器ではなかった

これらのような曜変天目のよくできたコピー品なのだろうか?

そして長江氏の他にも中国陶磁考古学・陶磁史の世界的権威で沖縄県立芸術大学教授の森達也氏も「実物を見ていないのでその点は不正確ですが、映像を見た限りでは本物である可能性は低い」と話している

さらに器の裏に記された「供御」の文字

番組内では将軍が使う陶器に彫られる文字と説明があったそうだが、この文字は中国で彫られるもので日本に伝わって来た器で彫られたものは見たことが無いという

たしかに中島氏以外は実物を見ていない

TV画面を通しての鑑賞でしかない

裏の文字に関しても例外があるのかもしれない

果たしてあの茶碗は本物の曜変天目茶碗なのだろうか?

現存する曜変天目が少なすぎてデータが不足しているのも事実であろう

まだまだこれから各方面で議論を呼びそうである

 

俺なんかは曜変天目だと感じた物がその人にとっての曜変天目だと思う

なのでどっちでもいいじゃないかと

将来的に重文や国宝認定されるとなるとちゃんとした基準が必要なのだろうが

良いと思った物は良いのだ

白州正子さんもそうであったように

結局は芸術品なんてそんなもんなんだと俺は思うのだ