鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

2019ツール・ド・フランス第14ステージ

2019年ツール第14ステージ

いよいよ決戦の地 トゥールマレー峠

まずここで誰がふるい落とされるのか?

誰が生き残れるのか?ある程度の判断がつくであろう山岳ステージ

調子に悪い選手は確実に数分タイム差を失うステージである

 

タルブ〜トゥールマレー・バレージ

距離は111キロと短い

しかし獲得標高は3300メートル

山は3つ

4級1級超級山頂ゴール

スタート直後からアタック合戦が想像されるが

果たしてどうなる

 

 

やたらと長いパレードラン

前方に位置取る選手には緊張感が漂う

予定より8キロほど多めにパレードしたそうだ

そしてレーススタート

旗が振られレースが始まっても誰も飛び出さない

みんな警戒してお見合いしている

そして一人が飛び出すと一気に「俺も俺も」とアタックに入る

そんな中でニバリが勢いよく飛び出す

やはり狙っていたこの男

そのニバリにサガンが反応して追いつき

二人で先頭を逃げる

リクイガス時代のチームメイトな二人で仲も良い

なにやら話し合いながら走る

おそらくサガンは途中のスプリントポイントまでの予定

そのあたりの確認なんだろうな

 

集団とのタイム差は開きつつあるが流石に二人で逃げるのは無理がある

しかもこのままではニバリは途中で一人になる可能性が高い

「誰か来ないかな?誰か来ないかな?」

後ろを確認しつつ走る二人

後方からはこの逃げに飛び乗ろうと数名の選手が飛び出す

ニバリたちも追走の選手を待つべくペースを落とす

そして合流

17名の逃げ集団が形成された

 

ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーンメリダ
マテイ・モホリッチ(スロベニアバーレーンメリダ
イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)
マルコ・ハラー(オーストリア、カチューシャ・アルペシン)
ペテル・サガンスロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
アレクシ・ヴィエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール)
マチュー・ラダニュ(フランス、グルパマFDJ)
カルロス・ベローナ(スペイン、モビスター)
ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
セルジオルイス・エナオ(コロンビア、UAEチームエミレーツ
レナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ)
リリアン・カルメジャーヌ(フランス、トタルディレクトエネルジー
ロメン・シカール(フランス、トタルディレクトエネルジー
レイン・タラマエ(エストニアトタルディレクトエネルジー
ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)
エリー・ジェスベール(フランス、アルケア・サムシック)

 

山岳賞のウェレンス

カチューシャ総合エースのザッカリン

ニバリのとって頼もしいアシストのモホリッチ

クライマーのヴィエルモーズにセルジオエナオ

なんでもできちゃうベテランLLサンチェス

トタルは登れる3人

カルメジャーヌ、タラマエ、シカール

そしてフランス期待の哲学者マルタン

ニバリにとって非常に頼もしいメンバーが仲間に加わった

 

ここまでは俺の予想通りの展開

完全にニバリの勝ちパターン

しかしメイン集団はFDJがコントロール

どうやら今日は逃がしてもらえないらしい

タイム差も2分台しか開かない

それでも最初の1級を見てみないとまだわからない

逃げ集団も登れる選手だけに絞られてペースが上がる可能性もある

 

最初の1級山岳に入ると逃げ集団もバラバラになる

やがて精鋭8名に絞られて

山岳ポイント争いでニバリとウェレンスが飛び出しジェスベールもくらいつく

山岳ポイントはウェレンスがGET

下りに入る

 

一方メイン集団ではモビスタのコントロールに変わる

ついにやってきたモビスターの攻撃

これで完全に逃げの勝機は消滅した

アマドールの鬼引きでどんどん差を縮める

ここでバルデが早くも遅れる

そしてアダムも遅れてすかさず双子のサイモンが助けに入る

美しき兄弟愛

でもどっちがお兄ちゃんなのかはわからない

 

サガンはあえて逃げから落ちてメイン集団へと戻る

すでにメイン集団もかなり人数を減らしている

そしてサガンのライバルとなる選手はとっくに遅れている

これもまたサガンの作戦

一人前待ち作戦で中間スプリントポイント9位をGETした

 

 

逃げは再び8名に

ニバリ、ウェレンス、ジェスベール、カルメジャーヌ、シカール、ザカリン、ケムナ、サンチェス

しかし既に諦めモード

後ろからは相変わらずアマドールが引いている

もう誰も彼からは逃げられない

しかしここで最後の抵抗

フレンチバスク人のシカールが単独で飛び出し若干差を広げていよいよ超級山岳トゥールマレーへ

追い風なこともあり再びジェスベールがシカールに追いつき追い抜く

この二人は敢闘賞争いだ

 

メイン集団もトゥールマレーへ突入

タイム差は1分ぐらい

ジェスベールも吸収して最後は総合エースの力勝負だ

モビスターの引きがとにかくスゴイ

しかし皮肉なことにこのモビスターの攻撃で自分のチームのエースキンタナが遅れた

これにより慌ててモビスターは牽引をやめてキンタナの救出に向かう

この場面も俺の予想通り

キンタナはコロンビアの先輩ウランに続きチーム攻撃の犠牲となった

コロンビア革命記念日に踏んだり蹴ったりのキンタナである

 

 

ここでようやくコントロールがイネオスに変わる

今年はなかなか前でコントロールしようとしないイネオスがついに出てきた

そしてフランスチャンピオンのバルギルがアタック

イネオスはバルギルを見送る

 

どうもいつもと様子がおかしいイネオス

選手全員苦しそうだ

あのクワイトコウスキーですらかなり早い段階で遅れた

山で頼もしいポエルスも今年は調子が悪い

ペースが上がらないイネオス

徐々にライバルチームが気付き始める

「あれ?もしかしてGトーマス調子悪い?」

もはや隠しきれない

苦しい表情のGトーマス

アシストは苦しむGトーマスのために先頭に出てペースを落としていたのだ

これに気づいた各チーム

攻撃開始だ

 

アシストのゴデュを引き連れてピノがアタック!

奇しくも俺が眠気覚ましにと冷蔵庫から「森永ピノ」を出してきたところだ

今日も食べて応援

俺は備え付けのプラチックの楊枝を突き刺しピノを口の中に放り込んだ

一方遠く離れたフランスではピノがキレのいい走りを見せる

心と心が通じあった気がした

ピノ頑張れ!」

もはや俺はピノを食べながらピノを応援している

フランスの期待を背負いピノが走る

先行するのもまたフランス人期待のフランスチャンピオン。バルギル

マイヨジョーヌのアラフィリップもこの厳しい展開の中で踏ん張っている

フランス中が大興奮

山頂で待つマカロン大統領も大興奮

 

残り5キロでFDJコンビはバルギルを捕獲

小さな小さなメイン集団ではリッチーとマスが遅れた

苦しそうなイネオス

粘るアラフィリップ

ユンボも何気にアシストを残している

孤軍奮闘のブッフマンもちゃんとついてきている

14名となる逃げ集団

ここまでくるとエース同士の我慢比べだ

 

ユンボが先頭を引く

クライスヴァイクも苦しみながらも踏ん張っている

ここでフグルサングとウランが脱落

残り1キロ

ブッフマンのアタック

なんとGトーマスが遅れた・・・

やはり今日の彼は調子が悪かった

ベルナルはなんとか食らいつくもいつもの爆発的なキレはない

最後の戦いはピノ、クライスヴァイク、ベルナル、ブッフマン、アラフィリップに絞られる

最後の最後までアラフィリップが残っている

ピノがアタック

反応するアラフィリップ

ピノに譲るような動きも見せる

最後は急勾配

最後の力を振り絞り登る

ベルナル、ブッフマン、クライスヴァイクも追いつけない

 

最後は力でライバルをねじ伏せピノがステージ優勝

そして2位には6秒差でマイヨジョーヌのアラフィリップ

まさか彼がここまで登れるとは

お釈迦様なら知っていただろうが舎利弗は知らなかったかもしれないな

俺でも今日彼はGトーマスから30秒遅れると予想していた

しかし結果30秒遅れたのがGトーマスの方だった

 

終わったと思われたピノが再び優勝候補に復活

既に平坦区間でやらかしてるだけに流石に2回目は無いと思いたい

そして残るは大好きな山山山

カロン大統領も大興奮だな

これでより一層毛糸洗いにも自信が持てることだろう

 

 

 

総合が大きく動いた

1位 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ) 
2位 ゲラント・トーマス(チームイネオス) 0:02:02
3位 ステフェン・クライスヴァイク(ユンボ・ヴィズマ) 0:02:14
4位 エガン・ベルナル(チームイネオス) 0:03:00
5位 エマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ) 0:03:12
6位 ティボー・ピノ(グルパマFDJ)
7位 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーションファースト) 0:04:24
8位 ヤコブ・フルサング(アスタナ) 0:05:22
9位 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター) 0:05:27
10位 エンリク・マス(ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:05:38

 

 

マスは大きく順位を落としチームは完全にアラフィリップアシストになるだろう

しかし実質彼の山岳アシストはマスしかいない

これが今後どう影響するのか?

まさかのTTとトゥールマレーで貯金を増やしたアラフィリップ

Gトーマスとの差は2分2秒

何気にブッフマンが好調だしな

ベルナルは3分遅れ

ピノも3分ぐらいか

今年のイネオスは何かがおかしい

チームとしてほとんど仕事していないのにアシストが落ちていく

そしてついにバレてしまったGトーマスの調子

果たして1日だけの不調なのか?

去年は絶好調で一番登れたGトーマスだが俺の個人的なイメージではウィギンスタイプ

調子が良ければかなり登れるが超級山岳はクライマー系に1歩譲るイメージ

それでもチーム力に支えられて優勝候補筆頭なのは間違いない

他の部分では圧倒的に強い

その肝心なチーム力が今年は無い

これで今後の展開がかなり面白くなる

もはや予想は不可能

今日のステージでも2分3分簡単にひっくり返る可能性もある

今現在一番チーム力があるのはモビスター

しかし肝心のトリプルエースは全員順位を落としている

1番良いバルベルデすら5分オーバー

鍵はモビスターだな

今後ランダのステージに切り替えるのか?

おそらくバルベルデの総合成績にはこだわらないだろう

キンタナは来年移籍かな

 

そして全く読めないアラフィリップ

一体どこまで彼が守りきれるのか?

相変わらずピノは調子がいい

相棒のゴデュもいい働きをしてくれる

そこでノーマークのブッフマン

彼もまた孤独な戦いを強いられる

そして何気に良い位置につけてるクライスヴァイク

あとは未知数ベルナルだな

コンディション次第では上位選手の中でピノに次いで登れるはずだ

 

 

で、今日の第15ステージ予想

 

ピレネー最終ステージ

翌日は休息日

なので出し切っても良いステージ

コース全体に山が散りばめられている

今日もスプリントポイント超えてからが勝負か

一番のポイントは2つ目の1級山岳にボーナスポイントが

やはり総合が逃げを捉えてポイント取りに行かないとな

多分ここが今日のピノタイム

ちなみに今日は抹茶ピノを用意した

ここまで来ると誰が勝つかなんて体調次第だしな

イネオスのチーム全体が調子悪いだけに例年のようなコントロールができない

その分ライバルが攻撃できるようになっている

ベルナルにはGの救出命令はでなかったそうだ

Gが遅れたらそのまま行けとのこと

問題はアラフィリップ

普通に考えれば彼は今日は大きくタイムを落とす

でもいくら考えても無駄なのが今年の彼の走り

ますますわからない

 

わからないので直感しか無い

第15ステージの優勝予想はベルナルで