鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

2019ツール・ド・フランス第11ステージ

2019年ツール第11ステージ

休息日明けのピレネーへの移動するスプリントステージ

アルビ〜トゥールーズ
距離は167キロで獲得標高1800メートル

山岳も前半に3級4級とあるだけで最後はやや下り基調のスプリントステージ

休息日は体のリズムが変わるために体調を崩しやすい

ここで山岳が設定されてると数分遅れる可能性もある

今年はスプリントステージで距離も短い

例年になく厳しかった前半だけに総合争いの選手たちも一安心といったところか

ピレネー突入前のつかの間の休息ステージである

とは言ってもまた横風が吹かないとも言えない

適度に集中も保ちゴールを目指す

そしてスプリンターにとっては貴重なスプリントステージ

ここで勝たなければどこで勝つ?

常に勝利だけを求められるスプリンターのプレッシャーは計り知れない

 

逃げは4名

集団にとっても比較的コントロールしやすい理想的な人数である

 

リリアン・カルメジャーヌ(フランス、トタルディレクトエネルジー
アイメ・デヘント(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)
アントニー・ペレス(フランス、コフィディス
ステファヌ・ロセット(フランス、コフィディス

 

ヴォクレールの後継者カルメジャーヌが逃げてきた

それもそのはずスタート地点は彼の地元

そしてゴール地点はペレスの地元

故郷に錦を飾る逃げである

そしてワンティからはデヘント

あの世界最強逃げ屋と同じ名前であることから間違えられやすいが

チーム事情もあるだろうが彼も比較的逃げる

いつの日か「違う方のデヘント」を返上したいだろう

 

レースはツールでおなじみのひまわり畑を走り抜ける

うちの近所でも今年は小さな小さなひまわり畑が出現していてプチツール・ド・フランス気分を味わっている

とにかくひまわりと言えばツールかアントニオ猪木

アントンナッツと呼ばれるひまわりの種を子供の頃食べたものである

 

逃げとのタイム差は2分台でコントロール

中間スプリントポイントはヴィヴィアーニがGET

後半に入ると横風情報が入ってくる

「今日もやるのか?」

しかしみんなが警戒してる時は分断は起きにくい

よほど強い風じゃないと破壊できない

この日は思ったほど強くは風が吹かなかった

 

残り31キロ

落車発生

キンタナとリッチーが巻き込まれている

怪我はないようだが

相変わらずリッチーは運が悪い

そしてモビスターもトリプルエースの筆頭キンタナが遅れた

チームメイトが必死に集団へと引き上げてなんとか無事集団復帰を果たす

モビスターも事実上キンタナの単独エース状態だけに彼が遅れるのは避けたい

落車のダメージが大きかったテルプストラはリタイア

チッコーネも集団から大きく遅れた

 

残り10キロ

そろそろ逃げを捕まえたいメイン集団ではあるがなかなか捕まえきれない

微妙なタイム差で推移する

逃げからデヘントが単独で飛び出す

なにやらご立腹なペレス

もう一人のデヘントの単独逃げになっても差は縮まらない

かなりいいペースで逃げている

集団も本気で踏み始めている

徐々に差は縮まり

残り4キロで逃げを吸収

下り基調なこともありかなりハイスピードでスプリントへの位置取り開始である

勝負どころは最終コーナー

ここでどの位置にいられるかが勝敗を分ける

残り2キロの最終コーナーを抜ける

ここからはとにかく真っ直ぐだ

ユンボがトレインを作っている

こうなるとライバルスプリンターはユンボ列車にタダ乗りするしかない

勝手に連結して引っ張ってもらうのだ

残り1キロ フラムルージュ通過

時速65キロ以上の高速列車が駆け抜ける

残り200

最終発射台のテウニッセンから解き放たれるフルーネウェーフェン

番手からユアンも発射

そしてヴィヴィーアーニ

横からサガンが迫り来る

勝負はフルーネウェーフェンとユアンに絞られる

ポケットロケットと称される低い姿勢

ユアンが伸びてくる

「どっちだ?どっちだ?」

両者ハンドルを投げる

僅かにユアンか?

 

写真判定

「勝者ユアン!」

「いやぁああああああああああああああああああ」

雄叫びをあげるユアン

チームメイトとガッチリ抱き合い

そして涙が・・・

 

「ようやく勝てた・・・」

 

ずっと夢に見てきたツール・ド・フランスでのステージ勝利

これまで何度となく勝負に絡み僅かなところで負けてきた

しかし今日は10センチ

10センチの差でユアンがツール初優勝を果たした

 

表彰台でも涙が・・・

身長165センチ

小さな体のどこにあのパワーが潜んでいるのか?

最後は若干向かい風

まさにパワー勝負のスプリントでユアンが勝ちきった

 

 

 

勝敗を分けた10センチ

 

167キロという道のりを走る間に消耗した足

そして最後の位置取りとスプリント開始のタイミング

これでスプリント勝負は決まる

何でもない小さなことの積み重ねが最後の10センチに出たのだ

 

 

今日の第12ステージ

いよいよ舞台はピレネー

まずは軽いジャブ的な山岳ステージ

とは言っても後半に1級が2つ

そして例のボーナスポイント

逃げが決まりやすいステージだが

逃げ切り予想してもどうせ当たらない

そしてここから動かないでどうする?フランス勢

ピノとバルデ

ツールはまだ半分ではなくもう半分である

風邪をひいたときは早め早めのパブロン

ツールも同じ

今から動かないと磐石なイネオスは崩せない

たとえ3秒でもいい

西川きよし作戦

「小さなことからコツコツと・・・」

とにかく白いフレームのサングラス男との差を詰めなければならない

でも最後は下ってゴール

こうなるとピノはちょい不利

克服したとは言えスペシャリストでもない

ここはバルデの方が得意分野

でもバルデが勝つことが想像できない

フランス人二人が総合を動かすが

結局もう一人のフランス人

マイヨジョーヌ男アラフィリップが下りで爆走してステージ優勝だな

 

今日の第12ステージ予想はアラフィリップで