2019年 奈良と京都の旅 05
いよいよ二日目に突入である
午前5時
俺はいつものように起床した
睡眠時間は5時間ぐらいだろうか
実はすでに3時ぐらいに目が覚めていた
奈良では夜中に起きると山の方から鹿らしき鳴き声がする
まぁその鳴き声が気になって眠れないのである
それでも気がつくと眠りについてるわけで
再び5時に起きたのだ
シャワーを浴びて歯を磨き顔を洗う
東大寺と思われし方向を向いて心の中で般若心経を唱える
そうやって俺の朝は始まった
6時になりテレビをつける
今日は月曜日か
世間では今日から仕事始めだな
俺は旅の途中、まだまだ働く気はない
俺はいつものように何となく女子アナの胸の膨らみを眺めた
朝食は7時からだ
今日の予定は運慶のデビュー作となる大日如来に会いに円成寺へ向かう
バスの時間は9時11分
ゆっくりできそうだ
6時半
荷物のパッキングを始める
使わないものはバックパックへ
すぐに取り出したいカメラや御朱印帳やメモ帳などはショルダーへ
お土産はトートへ押し込んだ
荷物は近鉄奈良駅のコインロッカーへ預けておく予定
6時50分
俺は朝食会場へ向かった
廊下には天皇陛下のお写真が並んでいる
「そうか俺は陛下がかつて歩かれた絨毯の上を歩いてるんだな」
陛下も同じ場所で茶粥を召し上がられたのだろうか?
それとも部屋で召し上がれたのだろうか?
そんなことを考えていると朝食の準備が整ったのであった
朝食は2851円
一泊朝食付きで1万1600円な俺
そう考えると非常にお得な宿泊だな
しかもダブルだしな
俺は窓際の席へと案内された
そういえば去年も同じ場所だったな
すぐに朝食は運ばれてくる
茶粥定食
奈良では1200年前から茶粥が食べられてきた
今は観光用だろうが
奈良ホテルの茶粥は香り高い緑茶で焚かれている
それがうまさの秘訣なのかもしれないな
俺が美味いと思った茶粥は奈良ホテルだけである
そしておかわり自由である
朝食のメニューは
焼魚
焚合
小鉢(二種)
御味噌汁
大和の茶がゆ
香の物
その他 梅干し、塩昆布食べ放題
バスを一本遅らせてでものんびりと食べたい朝食である
小鉢は胡麻豆腐とひじき
どちらも俺の大好物である
ついでに言うと焚き合わせも鮭の塩焼きも卵焼きも大根おろしも各種漬物も味噌汁も大好きだ
嬉しいな朝からこんな食事が食べれるなんて
夜がこれでも十分なぐらいである
鮭はふっくらと焼かれている
俺はどうして魚を焼きすぎる傾向がある
どこまで火を通せばいいのかいまいち把握できていないのである
卵焼きもちゃんと焼かれてある
当たり前のことだが
最近はこんなあたり前のことすら出来ずに焼いてあるものを買ってくるところも多いからな
俺は茶粥に梅干しと塩こぶを投入し食べた
「あぁ・・・優しい。なんて優しいんだ」
「俺の胃が喜んでいる。とても喜んでいるのだ」
「このために俺は前日呑んだくれたようなもんだ」
やはり茶粥を美味しくいただくには前日に飲みすぎなぐらい呑んだ方がいい
俺は一気にさらさらと茶粥を食べ終えておかわりを注文した
奈良と言えば奈良漬
奈良ホテルオリジナルの奈良漬はとても食べやすい奈良漬
売店でも買える
胡麻豆腐も美味いなぁ
一方で最澄は奈良仏教と対立した
野菜の炊き合わせも卵焼きもひじきも優しい
とにかく優しい
朝だな
素晴らしい朝だ
俺は朝食をもう存分堪能して部屋へと戻った
バスの時間まではまだ2時間ほどある
俺はとりあえずブログで旅の途中経過を報告した
世界中で一人ぐらいは見てくれるかもしれないからだ
カメラの設定をチェック
俺の愛機
オリンパスOM-D E-M5
レンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
雨でも大丈夫な頼もしいやつ
これでも小型軽量な部類
スナップにはもってこいの相棒だ
最新機種なんか既にオーバースペックだしな
修理不能になるまで使ってやるぜ
と言いつつ1年ぶりに引っ張り出してきた
普段はすっかりアイフォンXでしか撮らない俺である
デジタル時代
要するにカメラなんか何でもいいのである
俺はくつろいだ
そして8時半
機は熟した
「いざ出陣じゃ」
俺はブォーブォーと心の中で口ずさみながら部屋を出た
無題に広すぎた部屋を出た
フロントでチェックアウト
昨日の晩飯代も一緒に精算だ
ドアマンが開けてくれたドアをくぐり階段を降りて猿沢池を超えて
東向商店街へ
そのまままっすぐ抜ければ近鉄奈良駅である
改札からはスーツを着た人たちが一斉に飛び出してくる
みんな仕事である
その一方で大きな荷物を抱えてベンチに座ってる外人さんもちらほら
彼らはまだまだ旅の途中
そんな俺も旅の途中
俺はコインロッカーに必要のない荷物を預けてトイレを済まし
カフェに入った
ドリップコーヒーを注文
おそらく近鉄が経営してるカフェチェーンだろうな
当然だがスタバより美味い
そのカフェでバスの時間を待った
バスが来る10分前
俺は再びトイレを済ませてバス停へ
やがてほぼ時間通りにバスが到着
バスに乗った
乗客は俺を含めて3人
これ赤字路線だな
バスは民家もない山の中を延々と走り続けた
そして何故か途中にあるバス停
一体誰が利用するのだろうか?
俺は安易に考えていた
奈良の中心地からバスの30分がどれほどの山奥に入るのかを考えていなかった
バスは人気のない場所をどんどん走る
途中にバス停はあるもの乗り降りする人はいない
俺はあえて円成寺の詳しい情報は入れていない
それはお寺についた後で何か発見があると楽しくなるからだ
降りるべきバス停は当然調べてある
忍辱山(にんにくせん)
正式名称は忍辱山 円成寺となる
そしてこの忍辱山バス停の一つ前が円成寺口バス停
車内アナウンスでも注意が流れるが
ここで降りたら大澤誉志幸になる
きっと誰もが途方にくれるだろう
いよいよバスは円成寺口を通過した
俺は静かに降車ボタンを押した
運慶に会いに行くために
06に続く