鯖棒亭日乗(下)

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2019年 奈良と京都の旅 03

2019年 奈良と京都の旅03

東大寺を後にした俺はならまちを目指した

目的は十輪院

恥ずかしながら俺は今回初めて十輪院なるお寺の存在を知った

きっかけは電子書籍で購入した奈良のガイド本

ならまちのページを見ていた時に目に飛び込んできたのだ

元興寺にほど近い場所

昔の奈良の中心地である

今でも古い町家が残り女子が喜びそうなカフェや雑貨屋さんが軒を連ねる場所である

元興寺を中心にお寺も多数

特に福智院はでっかいお地蔵さんがご本尊

圧巻である

俺の中での奈良駅周辺でこれだけは見ておけリストにも入っている

ちなみに今回の十輪院もリスト入りすることとなったが

なんせ初訪問だけにこの時はまだ未知のお寺であった

ちなみに現在のこれだけは見ておけリストは

東大寺南大門

東大寺戒壇

東大寺法華堂

東大寺ミュージアム

興福寺国宝館

薬師寺

白毫寺

元興寺

福智院

そして十輪院

この先まだ増える可能性は大

まだまだ訪れてないお寺もあるからだ

 

俺は先にホテルに荷物を預けようか?迷いながらもそのまま「ならまち」入りした

元興寺にたどり着く

ここも良いお寺だ

なんせ日本最古のお寺

もともとは飛鳥寺だったのだが平城京内に移転してきたのだ

支店みたいなものなのかな

ならまち支店

飛鳥寺もあっちで残ってるしな

蘇我馬子が建立

歴史で習った時はツボにはまりゲラゲラ笑った蘇我馬子

馬子と言う響きが無性に面白かった

当時は無茶苦茶巨大な元興寺

今回俺が目指してる十輪院もかつては元興寺の境内だったのだ

その頃の礎石は今でも見れる場所がいくつか残っている

さすがに礎石を見にくる人はあまりいないが

礎石を見れば想像が膨らむ

やはり奈良観光も京都観光も想像力が大事である

俺は頭の中に叩き込んだ地図の記憶を頼りに町をさまよった

「確かこの辺りだと思うが・・・」

看板があるかと思ったが出ていない

俺はなんとなく気配を感じながら歩いた

するとタクシーが一台通り過ぎて停車

十輪院の駐車場の看板が出ている

「あった」

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とうちゃこ

十輪院

いつでも初めてのお寺はワクワクする

見所は石仏だそうだ

そして俺の大好きなあのお方が

とりあえず拝観だ

ちなみに本堂は国宝である

鎌倉前期

低い天井に蔀戸

当時の雰囲気抜群だ

奈良は国宝が多すぎるのかみんなアピールしないんだよな

もっとアピールするべきなのに

この本堂は石仏を拝むために作られた礼拝堂

あくまで主役は本堂裏の石仏巖なのだ

 

先ほどのタクシーのお客さんが本堂の中へと案内された

俺は拝観料を払おうと受付に行くが誰もいない

どうやら今案内してる人だけみたいである

俺はチリンチリンと呼び鈴をならしお堂へと案内された

先ほどのお客さんへの説明途中

例の石仏の説明だ

しかし途中からの説明でもだいたい理解できる

まずは本堂でご本尊でもある石仏の地蔵菩薩に参拝

それから近くによって説明を聞くシステム

もうそばに寄っただけで感動する

石仏がすごいと思ったのはここが初めてである

石で囲まれた巨大な厨子の中央に地蔵菩薩が立っておられる

よく見かける錫杖を持ったスタイルでなくだらりと右手を下げられた旧スタイルなお地蔵さんだ

全て花崗岩

ブラタモリでお馴染みだな

中央がお地蔵さんで向かって左が釈迦如来、右が弥勒菩薩である

仏像好きならこの時点で現在過去未来〜とメロディが流れ出す

渡辺真知子 迷い道


迷い道

 

迷った時はお地蔵様に救済してもらおう

つまり中央のお地蔵様が現在でお釈迦様が過去、そして弥勒菩薩が未来なのだ

56億7000万年後の未来に弥勒菩薩は現れる

それまではお地蔵さんがこの世界を守ってくださるのだ

しかも地獄道・餓鬼道・畜生道修羅道・人道・天道の六道全てを救済するのだ

もう大活躍だな

おそらく休む暇などないだろう

お賽銭もそれほどもらえないだろう

ブラック企業とか恵まれてる方だと思うよ

お地蔵さんの仕事に比べたらさ

地獄の弁護士資格も持ってるしな

俺はお地蔵さんを見かけると必ず頭下げてるからな

その際はよろしくお願いしますと

確か高野山では弥勒菩薩の出現とともに弘法大師も完全復活して弥勒さんのガイドを務めることになっているのだ

かなり先の話ではあるが

石仏はもともとお地蔵さんだけだったそうだ

後から壁やら柱やら屋根を追加

そのために閻魔様率いる10人の裁判菅の皆様

いわゆる十王の皆様だとか

様々な仏様が石には刻まれているのだ

北極星とか金星も梵字として表されている

妙見菩薩も絡んでるのかな

金星は虚空蔵菩薩

空海さんが室戸岬での修行中に口の中に飛び込んできたんだよな

説明聞いてると全部入りなんだよな

仁王像に四天王、聖観音不動明王、十王

本当にここの石仏は面白い

ちゃんと昔の彩色も一部残ってるし

見事だ

これはマジで感動したな

 

そして本堂内の展示スペースにあるのは小さな小さな仏様たち

どうやら元興寺時代の物らしい

サイズは小さいがどれも精巧でフィギュア感満載

これマジで欲しい

特にものすごく小さい愛染と不動が合体したやつ

あんなに小さくても見分けつくもんな

あとは白鳳時代の釈迦の誕生仏

手首から先が失われてるのがまたいい

そして俺が一番見たかった物

例のあのお方だ

五劫思惟阿弥陀如来

HPには江戸となってるが現地では室町となっていた

五劫思惟

その特徴的な髪型はまるでアフロヘアー

五劫と言うとてつもなく長い年月の間、理想の極楽浄土を作るにはどうすればいいのか考えて考えて考え抜いた

その間に阿弥陀様の螺髪は伸び放題

そのためにアフロヘアーになられたのだ

とても慈悲深いお姿な五劫思惟

そして実際にそのお姿を拝見して俺は驚愕した

「こ、これは俺がスマホの待ち受けにしてる写真・・・」

そうなのだ俺は自らが所有する五劫思惟阿弥陀如来のフィギュアの写真を撮影して待ち受けにしているのだ

いつどこでも阿弥陀様を拝めるように

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その写真がこれである

まさにこのお姿でガラスケースの中に収まっていたのだ

どうやら十輪院さんの五劫思惟さんがモデルとなっていたみたいである

知らなかった・・・

これも何かの縁だな

この世は全て縁で結ばれている

俺が十輪院に惹かれたのもこのためだったんだな

俺は思わず真言を唱えた

「おん あみりた ていせい からうん」

なんかもうすごく嬉しくなって俺は十輪院を後にした

 

まさかこんな出会いがあるとはな

 

 

また来よう

五劫思惟阿弥陀如来様に会いに来よう

 

 

俺はそのあとで公開されてる町家を見て回った

にぎわいの家

なんかもう贅沢な家だし

こんなとこに住みたいな

そして俺はまたしても写真を撮るのを忘れて家を見入ってしまったのであった

詳しくはネットで検索

「奈良町にぎわいの家」で検索

 

 

04に続く