2019年も旅をする俺である
思えば去年の後半は忙しかった
ただ値引きやサービスでの仕事が多すぎて結果的にそれほど稼げてはいない
それでも頑張ったことには違いない
達成感だけはあるので良しとする
カネカネ言ってるとカネゴンになるしな
そしてラストスパートの末訪れた年末年始の休暇
俺はできる限り引きこもった
誰にも合わないように
変なウィルスを体内に取り込まないように
年に一度の旅
万全の体調で挑みたいからだ
歯の治療は痛みがない程度に間に合った
世間では風邪やインフルエンザが流行っているという
常に葛根湯と喉スプレーを欠かさない俺
最近ロングノーズのいいスプレーを入手
これで喉仏に直撃する回数が増えたのだ
さて今回の旅は久しぶりに2泊する
予算は7万円
プラス予備で1万円
結果としてなんとか予算内に治ったのだが
一人旅なんでこの予算でもかなり豪華な旅ができる
通常は1泊で予算5万と決めている俺である
今回は2泊なんでプラス2万
しかし2泊とも奈良ホテルというわけにはいかない
さすがに奈良ホテルに宿泊しておきながらコンビニ飯は寂しい
そこで俺は考えた
一泊は民宿にしようと
民宿なら安く済む
飯の評判がいい宿ならお得感満載だ
そこで以前から気になっていた大原の宿を予約
1日目は奈良ホテル
2日目は大原の民宿
どこに行くかは深く考えないでとりあえず一ヶ月前に宿だけ押さえておいた
問題はどこに行くかだ
俺はそろそろ奈良駅周辺以外の場所へも行きたい
しかし奈良ホテルを拠点にするにはやや不便な場所
そして奈良のホテルはそこそこの値段がする
京都なら4000円で泊まれるのにな
京都はホテルラッシュで完全にだぶついた
桜や紅葉以外は競争だろう
俺がこの正月明けに旅をするのは1年で一番観光地が暇な時だからだ
そのために休んでいる飲食店も多い
それが一番の心配だが
それも含めての旅である
旅先でのハプニングも楽しみの一つなのだ
俺はいつも書いてるようにまず最初に旅のテーマを決める
旅に出る前に俺は運慶の小説を読破した
俺の頭の中はすっかり運慶
小説の中の運慶は女を抱きまくり子供をわんさかこしらえてたが
どこまで本当のことなのかは誰もわからない
2017年は運慶展が大好評
俺も東京まで見に行きたかったが暇もなく
なので奈良で見ようと
あの仏様もお帰りになってるはずだ
決定
今回の旅のテーマは
「運慶と極楽浄土の旅」
大原といえばしば漬けと極楽浄土だからな
これでテーマは決定
そして今回の旅の軸となるのが運慶展でも話題になった円成寺の大日如来なのだ
運慶のデビュー作となる国宝、大日如来
確か運慶展ではオープニングを勤めてたはずだ
これはすごい演出だよな
いきなり大日如来
運慶に取っても仏師としてのスタートだしな
思い入れもかなりのものだろう
この大日如来に会いに行くのが今回の旅の軸である
2日目の午前
これに決定
最後に十輪院と言う工程を組んだ
暇があれば国宝館
しかし暇などあるわけもなく
それでも非常に充実した初日でもあった
1月6日
世間的には大型連休最終日
誰もが家に向かう中で俺は観光地へと向かう
誰かと一緒の旅なら新幹線でいかないと文句を言われることだろう
「在来線なんて聞いてないんですけど?」などと言われることだろう
しかしそこは一人旅
早めに家を出ることで移動の遅れはカバーできる
そして交通費5000円節約できるのはかなりのメリットでもある
俺は無理して座席に座ろうとも思わない
なぜなら立ってる方がカロリー消費できるからである
それでも米原からは確実に座れる
なんせ始発だからだ
朝5時に起きてまだ暗い中、ベランダの植物共に水を飲ませる
冬だしこれで3日我慢してくれ
室内の植物共にも水を飲ませる
受け皿に貯めといてやるからな
荷物は前日にまとめてある
その間に焼き網を温める
いつものように全粒粉食パンを焼き
レタスとチーズを挟んで食べた
今日ばかりはコーヒーもシャバシャバの低脂肪乳も我慢我慢
なんせこれから奈良到着までトイレに行く暇はない
俺は電車内で用をたすのが大嫌いなのだ
なのでなるべく水分は取らないのが俺流の旅の始まりである
バスに乗り東海道線に飛び乗る
さすがに座る場所は無い
俺は米原まで車窓を眺めながら過ごした
頭の中は昼に何を食べるか?である
昼はあえて決めないことにした
高級なものは食べない
出たとこ勝負
夜は奈良ホテルで懐石
人間というものは高級料理の連続はツライ
なので昼は1000円以下で済ませる
まぁ半分決まってるのだが
ただどの店にするかは未定である
米原で乗り換える
ここからは関西圏だ
電車はすぐ向かい側に停車している
席はすでに埋まり気味
俺は格納型の座席をキープした
隣にはスマホでゲーム少年が座った
しかしよく延々とゲームなんかやってられるな
本読めばいいのに
夏目漱石を
面白いぞ
漱石は
ドロドロしてて
電車は快適に西を目指して走る
仕事でよく来たなぁ
昔ここで降りて自転車で走ったな
ここも自転車で回った
乾だな
あの無回転シュートは世界を驚かせた
草津、大津を超えて山科へ
山を越えれば京都だ
俺は京都で電車を降りた
切符は京都までしか買っていない
なので奈良行きの切符を買う
今回はJRを選択
JRで奈良を目指した
そして奈良到着
奈良に降り立つと小雨がパラパラ
奈良は曇っていた
相変わらず全身アウトドアで包み込んだ俺は少々の雨など相手では無い
全身が雨を・・弾いている・・
俺は傘もささずに歩いた
傘が無いわけじゃないけど
帰りたくない・・・
まぁ今来たばかりだ
さぁ飯だ
俺の頭の中はカレーでいっぱい
「おせちもいいけどカレーもね」
やはり正月明けはカレーに限る
俺はカレー屋を探した
カレーを出す店は全国どこへ行っても多い
それなのに何故かココイチが大繁盛
不思議である
そして奈良にもココイチはあった
しかしスルー
さすがに無理だ
奈良まで来てココイチは無理だ
俺はぐんぐん歩いた
東向き商店街に入ろうとしたところで小さな看板が目に入る
「売り切れ次第閉店」
どうやら高級ステーキ屋が経営するカレー屋みたいだ
しかし俺は諸事情から四つ足系は自ら進んで食べることはできない
そうなるとシーフードか野菜か
野菜大好きな俺であるがここはシーフード
久しくシーフードカレーを食べてないからだ
990円と予算内だしな
俺は入店した
オープン直後なのに席は2組いる
俺はカウンターへと案内されて注文した
今日はビールは飲まない
シラフの状態で仏像と対面したいからだ
俺はカバンの中から今回の旅にセレクトした本
「見仏記」を出して読みふけった
カレーが来た
「おお美味そうだぞ」
ライスで山を表現してある
もしかして須弥山?
そうなるとカレーは海だな
須弥海だったかな
須弥山には甘露の雨が降り注ぐというが
これはカレーだな
俺はカレーを注ぎスプーンで救い口の中に入れた
「な、なんだこれは」
衝撃的だった
カレーは甘口だ
かなりの甘口だ
しかしコクと旨味がすごいことになってる
ゴロゴロ転がったシーフードたちの旨味が凝縮されている
エビ、カニ、貝
鉄板焼き屋なら魚介の扱いにも慣れてるしな
お見事だ
辛くないが美味いカレーである
そこで俺は付け合せセットを思い出した
福神漬け、らっきょう、奈良漬、レーズン、激辛ペースト
俺は福神漬けとらっきょうと奈良漬をカレーに投入
レーズンか
俺はヌード写真が流出してしまった女子アナがネット上でレーズンと言われてたことを思い出した
奈良漬は奈良ならではだな
ならならややこしいが
まぁ無難だ
いいサポートしてるよみんな
そして激辛ペーストを少しぶち込んだ
途端に変わるカレーの味
本来の辛いカレーへと進化した
もしかして最初のはサナギマン?
これが完成系イナズマン
否、ここは奈良だ
甘いカレーが菩薩で悟りを開き辛いカレーに
つまり如来になったと・・
すると付け合せは天部に住む者たち
如来を守る者たち
四天王としては一人多いが
十二神将にしては人数が足らない
それでも彼らは確実に如来を守っているのだ
おそらく四天王プラスワン
誰だろう?最強帝釈天かな
四天王の親分だしな
そうなると激辛ペーストだな
さすが阿修羅を倒した帝釈天
格段にパワーアップした
しかしこれ美味いなぁ
これで990円ってコスパ抜群だぞ
これ食べた後にココイチ食べたら水みたいに感じるんじゃないかな
それぐらい旨味が凝縮されている
奈良の人は羨ましいな
俺は思いがけずにいい店を発見してウキウキしながら興福寺を目指した
何回訪れても懐かしい
小学生の修学旅行でバスから降りてお土産を買った場所
確か木刀を買ったんだよな
で、夜はチャンバラごっこ
懐かしい
しかし小学生とはいえ集団で木刀を持って新幹線って
今なら考えられないだろうな
なぜかいつも撮ってしまう
空は暗い
ここから階段を上がると見えてくる
再建された中金堂
外人ばかりだ
再建された建物には日本人はあまり興味を示さない
それでも創建当時の姿を平成も終わろうとする今見られるのは貴重な体験である
「よく作ったなぁ」
俺は以前宮大工の棟梁から聞いた話を思い出した
削るということの奥深さを
中金堂前には大きな礎石がある
ここもいずれ再建されるのかな?
ゴーリキを抱いてる人とかお金出せばいいのに
中央の扉は開かれていて金ぴかの仏様が見える
江戸時代の釈迦如来が金ぴかの姿で修復されたそうだ
釈迦の脇侍は薬王菩薩と薬上菩薩
調べてみたら兄弟みたいだ
兄が薬王で弟が薬上
そして四天王が四方を固める
これでどこから仏敵が攻めて来ようが守り通せる
彼らは国宝だしな
南円堂からお引っ越しされてきたそうだ
新築に入居か
以前は年位一度だけの公開だったが中金堂に引っ越しされてからは通年見られる
これでまた奈良に来る楽しみが増えたのだ
でかいな、立派だな
これでもまだまだ興福寺の一部だからな
当時はとんでもない権力を誇ってた
それがいいのか悪いのか
定番の五重塔も押さえておく
四天王の以前のお住まいである南円堂
今回はスルー
また今度
俺は東大寺を目指した
「鹿せんべい持ってないのかよハゲ」
特別公開の時に着たいが
仕事が忙しい時だろうな
東大寺に入る前にお土産でも買っておくか
俺はいつもの店へ入り
いつものものを購入した
隣には何故かモンベルショップがある
そして俺は用もないのにいつもモンベルショップを覗く
でも長旅の外人さんには需要があるのかもな
この一帯から抜けると南大門が見えてくる
東大寺南大門
ここから先は聖域である
そして聖域に仏敵を入らせないために門番として仁王様が護っている
阿吽の呼吸のお二人だ
これこそが運慶快慶
当然国宝である
通常の仁王門は正面に仁王様が見えるようになっている
しかし南大門は正面は壁となっている
わずかに縦格子からお姿が見える程度だ
これは創建当時から仁王様はお互いに向かい合ってたそうだ
小説では運慶が向かい合うように作り直させたようになっていたが
事実は誰も知らない
そして仁王像は運慶快慶なのだが
棟梁は運慶が務めたのは確かだ
先代の棟梁の息子だしな
兄弟子の快慶としては複雑な気持ちで望んだのかもしれない
しかしそこは職人
やはり天才運慶の実力も認めていたのかも知れない
そして早くから世襲が決まってしまった慶派
やはり複雑だろうな
これこそ地方の同族経営
ただ2代目がバカ息子ではなく父を超えた天才だった
諸説あったが
1991年の解体修理の時に阿形像の金剛杵から墨書銘が発見され
吽形は定覚と湛慶、阿形は運慶と快慶が主に担当したことが判明したそうだ
小説ではここは運慶と快慶が別グループに別れお互いにせめぎ合うシーンである
しかし事実は違った
やはり兄弟弟子通し仲良しだったのかな
近くで見てみると似てるようで違う
やはりそれぞれの特徴が出ているのだ
俺はまず始まりの阿形から鑑賞した
こちらが運慶快慶のゴールデンコンビ
網が邪魔だ
近くだとピントが来ない
まぁ網がないと煩悩だらけの俺たちは門を通してもらえないのかもしれないな
網で襲いかかる仁王様を閉じ込めているのかもしれない
足ピーンが終わりを表す吽形
運慶の息子「湛慶」と運慶の弟「定覚」である
おじさん甥っ子コンビ
兄を超えられなかった弟
親父が偉大すぎた息子
実力は十分ながらも運慶がすごすぎた
なんとか仁王様こと金剛力士像の睨みを掻い潜り南大門を抜けると現れるのが東大寺ミュージアム
今回は時間はない
なのでトイレだけ拝借
そしてこの前には大仏様の手のレプリカが置いてある
手だけで見ると想像してしまう アレを
不謹慎だな
まだまだ修行が足らない
そして大仏殿が見えてくるが今回はスルー
大仏様の正式名称は毘盧遮那仏
大乗仏教でもある日本仏教の頂点に君臨する仏様だ
大仏様は拝観料払わずとも外からお参りだけできるようになっているので
お賽銭を入れて感謝の気持ちと世界平和を願った
ほとんどの人が訪れる大仏殿をスルー
俺には時間がない
この裏にはあの不空羂索観音が待っているのだ
急がねば
正直東大寺を回るには半日はかかる
美術館まで入れると半日以上か
それだけに絞らないとダメなのだ
これが今回の東大寺セレクトの意味
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