鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

平成最後の最強台風21号 最大瞬間風速60メートル

25年ぶりか・・・

今の俺のところではものすごい暴風となっている

雨戸は閉めてあるため外の様子は確認できない

俺のベランダも万全の対策を行ったとはいえ結構心配である

またオリーブの枝が折れちゃうかもしれないな

あと2時間ほどピークは続く

今日は仕事を休みにしてよかった

さすがにこの状態では車のドアを開けた瞬間に荷物が飛ばされるレベル

今日届く配送にも「無理して持ってこなくていい」と言っておいたが

彼らは台風の中やってくるだろう

平成最後の台風21号

25年ぶりに「非常に強い」まま日本に上陸との噂

実際にどれだけの勢力で上陸したのかは知らない

朝から俺は本を読んでいたからだ

25年前か

俺の髪の毛もふさふさで俺がまだイケメンだった頃

すれ違う女性のほとんどは俺を見るために振り返る

そんな時代だったな

時とは残酷なもの

俺から大事なものを奪い必要のないものを身につけた

ありとあらゆる場所の肉はたるみしわを刻む

気がつくと親父そっくりの顔に変わった

改めて遺伝子はすごいなと思う

それが25年である

そういえば昔ベランダで飛ばされたことがある俺である

あの時は街中の電柱が折れて電車の遮断機も壊れて信号も消えた

仕事先の伊勢から慌てて高速を飛ばしてた

周りのトラックはゆらゆら今にも倒れそうな感じ

車のハンドルは斜めにしてようやくまっすぐ走れる感じか

ギリギリで通行止になる前に高速を降りて帰宅できた

一般道でも看板やゴミ箱などいろんなものが飛んできた

あの時以来なのかな?

あれが何年前のことだったのかは思い出せないが

 

外からはミシミシ音がする

ベランダの目隠しの杉板だろう

壊れるのは構わないが破片が近所に飛んでいくと厄介だ

瞬間的に吹く風がかなり強烈だ

さすがにこの風ではミニスカートの女性も歩いていない

テレビのリポーターも珍しく室内からリポートしていた

いつもと何かが違う

今はただ無事に通り過ぎるのを待つだけである

朝は神棚と仏壇に「被害がないように」お願いしておいた

祈るだけ祈るだけ

仕事の倉庫の方も心配だが、今は動けない

Zガンダムのオープニング曲が頭に浮かぶ

Z・刻を超えて

 

今日は朝から麻婆豆腐を作った

理由はいろいろある

今日で木綿豆腐の賞味期限が切れること

丼タイプのランチジャーをアマゾンのタイムセールで購入したこと

これにより俺は実験的に麻婆丼を作ることにしたのだ

そのために朝から麻婆豆腐を作るという暴挙に出た

麻婆豆腐と言ってもリケンの安い麻婆の素を使って作るだけ

到底料理と言えるものではない

今回は白麻婆

病み付き塩味だ

 

 冷蔵庫から取り出した激安木綿豆腐を2重にしたキッチンペーパーでぐるぐる巻きにして電子レンジへ放り込む

500ワットで3分

豆腐を取り出すかなり熱々だ

水をたっぷり吸い込んだキッチンペーパーをゴミ箱へ

孫六の包丁で豆腐を滅多切りにする

高杉一刀流

豆腐ごとき一太刀で仕留められるが

あえてさいの目に切り刻んだ

たまらず豆腐の中から流れ落ちる水

俺は一つ一つ丁寧に箸でつまんでは皿に移した

移された豆腐からは水は滴り落ちない

これで水切り完了だな

俺はフライパンを熱して麻婆の素と豆腐をぶち込んだ

そしてなんとなく中火で炒めた

時間にして3分と言ったところか

中華なので強火がいいのか?とも思ったが説明書きを読むのさえ面倒だったのだ

無事に塩麻婆は完成した

2〜3人前だということもあり量が多い

俺は半分だけ食べることにした

超熟の全粉粒食パンを京都の辻和金網の焼き網で焼いた

試しに麻婆をパンで挟んでみた

不味くはない

俺はおそらく世界初であろう塩麻婆サンドを食べた

さすがに汁気たっぷりのサンドイッチを作るバカはいないだろう

余った麻婆はジップロックの容器に入れた

これは夜の晩酌のお供である

それにしても風がより一層凄い

先ほどまでは本気ではなかったということか

何箇所か雨漏りも確認した

まじでヤバイな

そういえば市の防災無線が何か喋っていたが相変わらず何を言っているのか聞き取れない

防災無線の前にスマホがピロピロなったが俺のアイフォンXは俺のハゲ頭を見た瞬間にロックを解除した

なんの通知でピロピロ鳴ったのかわからなかった

俺はどうせ避難のことだろうと思いヤフーの天気サイトを見た

案の定避難準備が出ていた

しかし俺はブログを書かなければならない

避難指示は黄色で示されている

赤い避難勧告の方が上だ

どうせ避難所に行ったところで誰もいない

俺は留まることにした

「動かないのもこれまた避難」

などと間違った標語まで自作した

避難しないと決まった以上はのんびりと過ごす

既に腹をくくった俺

どんな場合でも家とともに西方浄土へと旅立つ覚悟である

俺はシロカのコーヒーメーカーにマグカップ2杯分の水をセットした

冷蔵庫から成城石井スペシャブレンドの豆を取り出した

カリタのスプーンで豆をすくい

ニトリの電子スケールで計りコーヒーメーカーに24グラム分の豆を投入した

豆モード3にセット

スタートボタンを押した

ガリガリガリガリガリ

爆音で豆を挽くコーヒーメーカー

安いやつなのでプロペラ式

決して均一には挽けない

しかしそれほどのコーヒーマニアではない俺にはこれで十分なのだ

どうせ豆はどこで買おうがスペシャブレンド

豆は自動で中挽きにされる

万能な挽き具合だ

そして抽出

一旦蒸らし工程を入れて

再び抽出

しばし待つ

俺はおもむろに新アイパッドで音楽をかける

JBLブルートゥーススピーカーから流れるのは

大橋トリオのバラードベスト

 

 雨の日に聞くには最高な一枚だ

とは言っても今日は暴風雨だが

コーヒーメーカーからはコーヒーのいい香りが漂ってくる

この時ばかりはダイソンの空気清浄機もおやすみだ

「ちょっと静かにしてろや」

俺は新iPadのダイソンアプリからダイソンの空気清浄機を停止させた

そして抽出完了

定価2000円の織部焼のマグカップ

600円のバーゲン最終価格でゲットしたやつだ

この織部焼にコーヒを注ぐ

表面にはちゃんと油も浮いている

さすがメッシュフィルターだな

俺は香りを楽しんだ後で一口飲んだ

「うまい!」

なんでスタバやドトールはこの機械より高価なマシーンで煎れてるのにコーヒーがまずいのだろうか?

豆だって200グラム500円程度の豆しか使っていないのにな

俺は突然「かもめ食堂」が読みたくなった

本棚からガサゴソと取り出し読書を開始した

 

そして今

暴風雨の真っ只中である

時折瞬間的な超暴風が俺の部屋の窓を叩きつける

「おいこらハゲ、おいこらハゲ、いてまうど!」

俺は正座した

心を落ち着かせ

そして静かに般若心経を唱えた

 

今は動けない

それが運命だけど

 

全ては空(くう)

 

 

もう3時か

コーヒータイムだな