鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

2018年ツール・ド・フランス 第1ステージ

今年も早いもので気がついたらツール開幕

しかも例年より一週間遅い

これはW杯の影響によるものだが

そのために今年は仕事のピークと重なりW杯と重なり

一体俺はいつ寝ればいいのか?

フランス人、ベルギー人、イングランド人同様困っている

もう何もかも投げ出してフランスへ飛んで行きたい気分である

幸いにも今年は去年のような全試合スタートからの生中継はやらないみたいだ

これだけでもかなり助かる

なんとかブログを書ける時間もあるかも知れないな

今年でツールも第105回

今年はほぼフランス国内でのレース

そしてグランデパール、スタート地点はヴァンデ県

新城選手のフランスでの地元でもある

それだけに今回のメンバー漏れは残念だ

コンディションさえよければいい仕事できるんだが

大西洋に浮かぶノワールムティエ島をスタートする

とても景色が綺麗だ

この景色を見てるだけで楽しい

日本は全国的に大荒れの天気なのにフランスは快晴である

W杯のために一週間遅れて干拓地のコースは除外されたがそれでも広大な風景は見る者を和ませてくれる

とりあえず今日は平坦なコース

のんびりと行きたいところ

スタート直後からワイルドカード枠のチームからそれぞれ3人が逃げる

途中にある4級山岳をトップ通過すればこの日の山岳賞が確定する美味しい第一ステージだが逃げは3人であっさり容認された

ジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー

ケヴィン・ルダノワ(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)

ヨアン・オフルド(フランス、ワンティ・グループゴベール)

みんな格下のプロコンチネンタルチーム所属

とにかく逃げて目立って全世界にスポンサーをアピールしたい

俺なんかHTCコロンビア好きだったために未だにコロンビアの服を愛用してるしな

多少は効果があるのだろう

逃げが決まればゴール前までは大きな展開は起きない

そしてこの日は様子されていた横風もない

しかし近年のレースの同様逃げとの差を最大でも4分程度で抑えての追走劇

常にお釈迦様の手の中かのようなプロトンにコントロールされてレースは進んでいく

逃げも逃げきれるとは思ってないだろう

とりあえずの目標は山岳賞だ

メイン集団はこの日のステージ優勝を取りたいスプリンターチームがコントロールする

お互いに利害が一致してるチームが先頭付近に集まり風を受けながらも仲良く先頭を引いていく

途中には中間スプリントポイントが設定されている

マイヨヴェール目指して各チームのスプリンターのエースたちが軽く足慣らし

獲得できるポイントは僅かだが1円を笑うものは1円に泣くのだ

かつて西川きよしも言っていた

「小さなことからコツコツと」

人生においてレースにおいて大事なことである

沿道にはたくさんの応援の観客がそれぞれの自作の応援グッズで選手たちを迎える

今年もツールが始まったんだなと改めて思う光景だ

メイン集団はそこそこのスピードでサイクリング

おやつを食べてはドリンクで口を潤す

かつてのチームメイトのところに行ったりしてしばし談笑する

逃げとのタイム差は徐々にちぢまり始める

しかしこの日唯一の4級山岳ポイントまでは安泰だ

先の中間スプリントポイントは地元でもあるクザンが逃げのメンバー内での談合で難なく取らせてもらった

しかし今度の山岳ポイントはそうはいかない

みんなこのために逃げてきたと言っても過言ではない

みんな明日赤の水玉ジャージを着たいのだ

1日でも着れば孫の代まで自慢できるしな

クザンがあからさまに駆け引きをし出す

このため3人の和が乱れ始める

抜け駆けは許さない

山岳ポイントはコーナーを曲がったところだ

事前にJスポーツの番組で見てるだけにわかりやすい

結局山岳ポイントはルダノワがGET

チームの監督でもあるお父さんもほっと胸を撫で下ろしたことだろう

これで今日の目標は達成だ

ルダノワはペースを落としメイン集団へと吸収された

残された逃げは二人

迫り来るメイン集団

逃げ切りは120パーセント無理

あとは敢闘賞争いだが

あからさまな駆け引きをしたクザンは誰が見ても感じ悪い人となっている

もはや勝負アリか

メイン集団からはナーセンがアタックするも中途半端

残り10キロ地点で先頭のオフルドとクザンはメイン集団に吸収された

これでレースは降り出し

あとはゴールスプリント目指して各チーム体制を整えていく

一気にレースが動き出した

集団のペースも上がり落車発生

 なんとこの日の優勝候補のフランス期待のデマールが落車

怪我は大したことないもののこの落車でデマールは勝負から外れた

そしてスカイは期待の若手ベルナルも落車する

すると今度は突然フルーム落車との情報が

映像で確認してみると前転しながら草むらに突っ込んでいる

「大丈夫か?」と思われたがこちらも怪我は無いみたいだ

ただ先頭からは遅れることとなる

幸いにもライバルであるリッチーポートも同じく落車にま決まれている

遅れたのは誰だ?先頭に残ってるのは誰だ?

それぞれこの日のステージを取りに行くスプリンターと総合エースの位置が気になる

先頭はクイックステップが人数を揃えてコントロール

やはりトレインを組ませたらクイックステップは強い

すると今度はキンタナがバイクトラブルで止まっている

しかも残り3キロやや手前

チームカーはこない

キンタナはオフィシャルからタイヤを貸してもらい再スタートしたがフルーム達より遅れることなった

残り1キロ

フラムルージュ通過

先頭はクイックステップがトレインを形成

ガビリアが万全の体制でスプリント開始

後方から怒涛の勢いでキッテルが追い上げるも

見事にガビリアがやや上り勾配のスプリントを制してマイヨジョーヌ獲得

コロンビア人として15年ぶりのマイヨジョーヌとなった

2位にはサガン

3位には怒涛の伸びでクリストフを交わしキッテルが入った

どうやら優勝したガビリアの最高速が61・9キロと1番遅く

2位のサガンが63・5キロで3位のキッテルが65・2キロ

ガビリアに力が無いわけでは無いがそれだけ最後の最後までアシストに守られ余裕でのスプリント勝負だったということだろう

エース同士でガチンコ勝負したら多分キッテルが最強だろう

しかしそれだけでは勝負が決まらないのがロードレースの面白さ

最後の勝負をするまでに彼らは200キロの道のりを走ってくるのだ

たった数百メートルのスプリント勝負に参加するために

そしてチームメイトのアシスト達はエースを最高の形でスプリントさせるために全力を尽くす

今回の勝負は半分以上はクイックステップのチームとしての勝利

しかしアシストの仕事は記録には残らない

ただ我々観客の記憶の中にしか残らないのである

チーム競技でありながら勝者は個人である

エースを勝たせるためにアシストは犠牲となる

この構図がサイクルロードレースの人間臭さを生み出し

様々なドラマを生み出すのだ

 

 

落車で遅れたフルームはリッチー・ポート、アダム・イェーツなどのライバル勢と同タイムでゴール

51秒遅れとなった

キンタナはさらにその後ろで1分15秒遅れ

総合系ではフグルサング、マイカなどが落車を回避してフルーム達から1分弱の差をつけた

まさかの第一ステージからの大波乱

優勝候補達に怪我がなかったことだけが幸いか

フルームにとってはちょうどいいハンデかもしれ無いな

今後のレースが面白くなる

キンタナはTTが弱いだけに今後厳しいか

同じチームのランダへエースを譲る時がくるかもしれないな

ニバリは前の方でゴールしたのかな?

とにかく今年のツールは石畳ありショートコースありで予測がつかない

特にショートコースでは総合成績の上位選手からスタートする

まるでプリュドムさん弱虫ペダルを見てたのでは?と思わせるような試みだな

先頭の選手は後から来るアシストを待つのか?

それとも最初から全開で60キロを走り抜けるのか?

いろいろと楽しみだな

 

 

さて今日の予想

第1ステージは見事的中

最初から運を使い果たした俺である

たいてい毎年1つか2つぐらいしか当たらない

今日も平坦コースで最後は若干登りのスプリント

しかもその手前で下からのロータリー

ここで落車が起きなければいいが

今日もチームワークの勝利になるかな

クイックステップでガビリアで

 

 

昨日は大雨

フルーム落車のところでBSは映らなくなった

俺は慌ててオンデマンドを繋ぐ

無事ゴールシーンが見れた

レースが終わり眠りにつくと今度はスマホがピロピロなりまくり

近隣の町で避難勧告ラッシュ

スピーカーから流れる市の放送でも何か喋ってるが突然起こされた俺の頭は何を言っているのか認識しない

スマホの緊急速報を見ても内容が頭に入らない

「まぁいいか」

「寝てる間に死ねたらそれはそれで本望だ」

俺は再び眠りについたのであった