鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

園芸日記23

今年に入りインスタを始めた影響で植物どもの写真はインスタにあげることが多くなった俺である

そのためにすっかりブログにて植物の話を書くのを忘れていた

いや正確には忘れていたというより見て見ぬ振りをしてきた

正直写真を撮るのがめんどくさい

写真を撮った後で老化して動作の遅くなった俺の母艦iMacに取り込んで加工するのがめんどくさかったのだ

そしてついこの間まで仕事も忙しかった

ジロも開催中だった

半分、青い。も見なければならない

そんな間に春満開だった俺のベランダはすっかり春の花たちが生涯を終えようとしている。基本多年草の奴らはきちんとしかるべき場所にて管理してやれば年を超すだろうがさすがに俺は園芸屋ではない

残酷かもしれないが山野草たちにはこの夏で命を終えてもらうしかないのだ

去年から引き続き花を咲かせた奴は「なでしこ」と「金魚草」

こいつらは何となく水を与えていたら今年もまた花を咲かせた

あとはフランネルフラワーだな

こいつだけはキチンと世話をしてやったのだ

ただ今年はこいつらの全力での生き様を俺は見届けてやることができなかった

仕事が忙しかったなんて言い訳にならないことは重々承知である

そして気がつけば梅雨なのだ

冷蔵庫には数ヶ月前に購入しためんつゆが静かに眠っている

濃縮タイプではあるが一度封印を解いたこいつは今でも元気でいてくれるのだろうか?

それともすでに安らかな死を迎え腐敗が始まっているのか?俺には判断ができない

見た感じ真っ黒でその表情からは一切体調が読み取れないのだ

俺は蕎麦が食べたい

果たしてこのめんつゆを使用しても大丈夫なのか?

未だに俺は迷っている

春を終えて部屋の中の観葉植物も幾つか体調を崩し始めた奴らがいる

名前は忘れたがひょろ長く小さな葉っぱな植物は瀕死状態

おそらくステージ4

もう助からないだろう

これは地元にあるおしゃれ系植物屋で購入しただけに少々値が張ったのだが

やはりお高くとまってるモデル系は軟弱だ

一切冷暖房を入れない生活を選択した俺の部屋に耐えられなかったようだ

俺は朝の慌しい中でいつもこいつに朝のシャワーを浴びせてやった

その時のBGMは当然BOOWYのNO.NEWYORK

しかしこいつは今静かに阿弥陀様の来迎を待ち続けている

人が死んだ時には9種類のお迎えがある

それは故人の生きた人生によってグレードが変わるのだが

果たして植物の死にもお迎えは来るのだろうか?

600円で購入したシェフレラも次から次へと葉を落としている

多分また俺の過保護な水やりのせいだ

「今日は暑くなるから、まだ土が湿ってるけど水を飲ませてやるからな」

なんて言いながらついつい水をやりすぎたせいだろう

二週間に一回の水やり制限でも元気なのはボトルツリーとホヤ

オリヅルランは少しづつ葉を落としているが小さな葉も出てきている

果たしてこの水やりで正しいのか?

ネットの情報や本の通りに水をやると確実に奴らは死ぬのだ

やはり通常の環境とは違うからだろうな

里芋系は相変わらず元気である

去年瀕死状態だったクワズイモもほとんどの部分を切除するという大手術にも関わらず今では大きな葉を3枚も広げて精一杯太陽の光を浴びようとしている

「生きたい」という気持ちが奴からはビンビン伝わってくる

ちなみに俺の高校の時の英語の先生は教師びんびん物語田原俊彦に憧れて先生になったそうだ

その先生は俺たちに授業そっちのけで金髪の姉ちゃんの口説き方を教えてくれた

今でもはっきりと覚えてる

「おやすみ」は「Good night」でなく「have a nise dream」と言いなさいと

「いい夢見ろよ!」

まるで柳沢慎吾だな

実際に使う機会は全くないのだが

そんな俺の部屋で体調を崩した植物の中にアラレアがいる

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これがアラレア

ノコギリ状の葉をワサワサ生やしている植物だ

行きつけのホムセンで一目惚れした奴

1000円オーバーだったために一旦購入を見送ったが帰宅途中の車内でどうしてもこいつのことが忘れられずに引き返してまで購入した植物である

ある時ふとこいつの葉に小さな白い綿みたいなものがくっ付いてるのを発見した

俺は直ぐにそれを取り除いたのだが

よく見るとあっちもこっちも

葉の裏にまで白い綿が付いている

この時にちゃんと調べれば良かったのだが、直感でこれは「あかん奴」と判断した俺はそれ以降こまめにアラレアに付いた白い奴を取り除いていたのだ

最初は良かった

葉っぱの数も少なかったからだ

一枚一枚丁寧に表裏に葉水を施し優しく拭き取ってやった

それでもしばらくするとまた白い奴がくっ付いている

俺は薄々これが虫だと言うことには気がついていた

しかしこまめに取り除いてやれば大丈夫だろうと安易な気持ちでいたのも事実である

やがて仕事が忙しくなり、ジロが始まった

毎日毎日慌ただしくベランダと室内の観葉植物に水をやる日々が続いた

ろくに奴らの健康診断もしない

ある時アラレアのそばに置いてある机の天板がネバネバになっていた

「これはなんだろう?樹液なのか」「俺のは流石にここまで飛ばないし」

疑問に思いつつもその時はティッシュで拭き取っただけであった

それから数日後

俺はアラレアの葉がネバネバになっていることに気がついた

例の白い奴もあちらこちらに出現している

白い奴と言っても連邦の白い奴ではない

俺の中で「多分虫」と考えてる奴らだ

俺はジロ観戦をしながらもチマチマと白い奴を取り除いた

そしてシュコシュコと霧吹きでシャワーを浴びせては葉っぱのネバネバを拭き取ろうとした

しかし俺が少しでも触れるとネバネバの葉はあっけなくアラレアから離脱していく

一枚また一枚と俺の部屋の床に抜け落ちていくのだ

まるで俺の頭髪を見ているかのようで俺は慄いた

一旦抜け落ちた葉は俺の頭髪と同じでもう2度と元には戻らない

俺はついに決心して新iPadで検索した

「アラレア ネバネバ 白い奴」

直ぐに答えは出てきた

流石新iPadである

なんでも知ってる賢い奴だ

まず目に付いたのが「カイガラムシ」と言う文字

俺はドキドキしながら画像を見た

「ダメだ・・・こんな奴らに俺の部屋を徘徊されたら俺はもう部屋に戻れなくなる」

そして例のネバネバはカイガラムシの排泄物だと言うではないか

「俺は今まで白い奴のうんこ掃除をしていたのか・・・」

どうやらカイガラムシは大人になると自らの体を余分な栄養分や自らのうんこでコーティングするそうだ。そうすることで殺虫剤から身を守るというのだ

つまり倒すなら今しかない

サナギマンの間に倒してしまえってことだな

「ん?死んだカイガラムシが身ごもってた子供は死なないで幼虫になるとか書いてあるぞ」、なんて生命力だ

だから取っても取っても白いのが付いてるんだな

正直アラレアのような細い葉を一枚一枚優しく拭き取るのには相当な労力が必要だ

少し力を入れすぎるだけでアラレアの葉は落ちてしまう

俺は途方にくれた


そして僕は、途方に暮れる / 大沢誉志幸

 

竹串、綿棒、使い古した歯ブラシ、そして自らの指・・・

俺はこの世のありとあらゆる物を使い白い奴を退治した

それでも次から次へと奴らは湧いてくる

まるで城東工業

数が多いだけのチンピラの集まり

しかし油断してると奴らは大群で押し寄せてボンタンを奪ってしまう

そうなる前になんとかしなくては

俺はオルトランが効くというネットの情報からとりあえずオルトランを撒いた

これでダメならスミソンを使用するつもりだ

スミチオンとマラソンを混合した奴

しかし説明書きにカイガラムシとは書いていない

やはり専用品を購入するべきか?

でもそれではメーカーの戦略に乗せられた人ではないか

ヤフー知恵袋で俺と同じことを質問している人がいた

まず専用スプレーはあまり効かない

そして親は死なないので子を狙え

あとは購入時にハンコがいる劇薬なら効果あるかも

と言うことだった

とりあえず子供を全滅させてからチマチマと親を取り除くしか無いってことみたいだな

やるなら今しかねぇ

やるなら今しかねぇ

俺は決心したのだった

きっと俺が白い奴を全滅してやるからな

 

ちなみに白い奴はコナカイガラムシと言うそうだ

そして他の植物にも伝染するそうだ

俺も変な奴に目をつけられたもんだな

とにかくやるなら今しかねえってことだ