王将のことは俺はあまりよく知らない
二つの王将が存在していて餃子が名代だと言うことぐらいか
実は30年ほど前に一度だけ王将で食べたことがあるが多分大阪王将ではない
街の中華料理屋さんが満席だったのでその隣にあった王将で食べたのだ
正直なところその時の味がアレだったのでそれ以降俺が王将を訪れたことは無い
そしてあの時の王将がどっちの王将だったのかも定かではない
で、今回のお話は大阪王将の方
餃子の王将の創業者の親戚が餃子の王将から暖簾分けされたのが初めである
店の前を車ではよく通るのだがあいにく普段の俺の昼飯代は一食あたり平均150円
とてもじゃないが外食は無理なのだ
仕事の時はギリギリまでケチって月に数回1000円程度のランチで散財するのが俺流ランチなのだ
そして俺は車での移動時は外食はしない
それは酒が飲めないからだ
そして俺が公共交通機関で行く場所に大阪王将が無いというのも俺が大阪王将で食べたことが無い一つの理由でもあると思う
そんな大阪王将がどうやら中華鍋の使用を取りやめるというのだ
ついに「チャーハン専用マシーン」の導入を決めたという
その理由として深刻な人手不足をあげている
ただ俺は思うのだ
俺の働いてる業界もそうだが確かに人手不足は人手不足かもしれないが正確には「技術のある人が不足している」と言った方が確かかも知れない
「何年働けば一人前になれるのか?」
そんなくだらないことを聞いてくる人がたまにいるが
そんなものは人によって様々だ
数年である程度できるようになる人もいれば
50年働いても一人前になれない人もいる
今の時代は機械の進化により素人に毛が生えた程度の人材でもそこそこの仕事ができる時代である
客も価格重視で昔のような高度な仕事は求めていない
そして技術不足を機械で補ってきた代償が今の「技術のある人材不足」なのだ
過酷な価格競争でギリギリまでコストを削るため既に技術を伝承できる環境でも無くなってきているのである
それは料理の世界も同じこと
日本どこへ行っても同じ店ばかり
セントラルキッチンという工場でバイトやパートの人たちが機械の補助をしながら製造した料理を店頭で最後の仕上げをして客に提供するだけである
昔のように下働から修行するなんて行為は無くなってきている
いきなり店長候補だってことも十分ありえるだろう
もはや料理は機械が作るもの
人間は機械の補助をしてやればいいのだ
大阪王将もあの重たい中華鍋を振れる人材の確保に苦労していたようで
今回導入するチャーハン専用マシーンがあれば力の無い女性や老人も働きやすくなるという
そして機械が作ることで味のばらつきも無くなりどの店でも同じ味を提供できるのだ
とびっきり美味くは無いがそこそこの味を全ての店で提供する
これはあのコメダのコーヒーと同じである
コメダのコーヒーも工場で作られたものを各店舗で温めるだけである
コメダの社長がインタビューで答えていたが多少の味の良さは犠牲にしてでも各店舗の味のバラツキを無くしたかったみたいである
そしてその味で満足してしまうお客も増えたのも成功の理由だろう
確かに中華系チェーン店でも店によりバラツキはある
特にチャーハン系など全く別物なことも多々ある
やはりそこは料理人の腕の見せ所
でっかい中華鍋を振り回すところを眺めながらビールを飲みつつチャーハンの完成を待つのもまた良い時間であった
そんな店はもはや絶滅危惧種なんだろうな
街の中華屋さんは高齢化、後継者不足でどんどん減少していく
ラーメン屋はスクラップアンドビルド
そしてチャーハンすらメニューに無い店ばかりである
俺はチャーハンが好きだ
チャーハンが食べたくて自分で作るとご飯がべちゃべちゃで最悪なものが出来上がる
しかし幸いなことに最近の冷凍チャーハンはそこそこのレベルである
俺の行きつけのドラッグストアでは常に半額で売っている
もはや店で機械化されたチャーハンを食べる必要すら無いのかもしれない
大阪王将か
果たしてどんなチャーハンなのか
既に野菜すら店で切っていないという
カット野菜の導入で包丁レスに仕込みレス
もはや料理人ですら無いのだな
大工がカンナやノミを持たなくなったようにこれからの料理人は包丁すらいらないのだな
そしてチャーハン専用マシーンに炒め用オーブン
これにより1店舗あたりの人数を3人程度から1〜2人まで減らせるという
素人でも働けるシステムでどんどん増える外人スタッフ
結局はカット野菜を使用する分のコストアップは機械導入による人件費の削減で賄えてしまうらしい。その割合6〜8パー削減できるという
調理を機械化することで人件費を減らして10パーセント弱のコスト削減
そして技術のある人材もいらない
そして人材を育てる必要も無いということか
どうせ券売機も設置してあるんだろうし
人はただ機械を操作するだけなのか
こうやって人間の技術は失われていくのだろうな
家庭料理にしても今では冷凍やレトルトが母の味になるつつあるしな
そのうちロボット板前割烹とかできるのかな
板場に立つ大将ロボット相手に飲んで食べるんだろうな
「オキャクサンキョウハトテモヨイワカサグジガハイリマシタ」とか言われながら
ベルトコンベアに乗せられた甘鯛がステンレス製の箱の中を通り抜けると調理された状態で出てくるんだろうな
店内は常にロボット掃除機が徘徊して仲居ロボットが料理を運ぶ
女将さんロボットはオリエント工業製で潤んだ瞳でこちらを見つめる
これで人手不足も解消だな
もう料理人なんかいらない
もこみち氏でさえ将来的には機械化されてしまうかもしれない
そんな素晴らしい未来が我々を待っているのだ