鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

回らない、スシロー

スシロー

正直なところ俺は生まれてこのかたスシローには行ったことがない

そんな俺でもスシローの名前は知っているし常に回っているということも薄々気がついている

それがどうやらこの度「回らないスシロー」というものができたみたいなのである

スシローグローバルホールディングスというのがスシローを展開する会社名

随分と大袈裟な名前なんだな

まぁそれはいいとして

スシローグローバルなんとかって会社が横浜のとある商業施設に回転レーンの無い店を出すと発表したそうだ

俺のようなおっさん世代は寿司とは本来回らないものであった時代を知っている

そして今でも回らない寿司と回る寿司の区別はついている

しかし今の子供はどうだろう?

物心ついた時から寿司は回っていたはずである

その寿司がスシローの寿司が回らなくなるのだ

これは結構大変なことなのでは?

おそらくカウンターから出された寿司を見て子供達はこう言うだろう

「母上様、こんなこと言うのもアレなんですがこれは寿司ではありません」

「寿司とは回ってるものなのですよ」

「これは単なる寿司の形をした食べ物です」

「僕は本物の回転寿司が食べたいのです」

「Do you understand?」

 

なぜスシローがこんな暴挙に出たのか?

それには回転ずし業界の熾烈なシェア争いがあるみたいだ

先日もカッパ寿司のことがニュースになっていたが

次から次へと乱立する回転寿司

もはや回転寿司戦国時代と言っても過言では無いだろう

日本全国どこへ行っても同じ看板が目につく

大手各社郊外に店を立てまくり気がついたら

「もう店を出す土地がねえ・・・」という状況に

回転寿司の隣に回転寿司なんて光景も見かけるぐらいである

そこで考えた、スシローは考えたのだ

俺のように無い知恵を絞るのではなく

ある知恵を絞ったのだと思いたい

とにかく知恵を絞ったのだ

牛乳をこぼした時に雑巾で拭きその雑巾を絞った後でいつまでも手に残る嫌な臭い

そんな感じだろうか

そこまでして出した知恵が

「回すのやめよう!」

と言う答えだったのだ。回すことをやめれば店内は狭くてもいい

これからは大型商業施設のフードコートに参入だ

今ならまだ競合店は無いはず

多少海鮮丼と被るが見て見ぬ振りしよう

そんな紆余曲折があり20日、横浜に開業する「FOOD&TIME ISETAN」内に「スシローコノミ」を出店することと相成ったのである

屋号は「スシローコノミ」って言うんだな

昔、間下このみって子役がいたが今どうしてるのだろうか?

スシローコノミの注文方法はとてもシンプルだ

最初は回転レーンが無いだけに戸惑うことだろうが焦ることは無い

店に置いてある紙に自分が食べたいものを記入して店員さんに渡せばいい

忘れてならないのがここで先にお金を払うこと

たったそれだけのことで出来立ての回らない寿司が提供されるのだ

ここで一つだけ注意して欲しいことがある

それは決して「大将!今日のおすすめなんかある?」なんてことは言ってはいけない

そもそも大将という人が存在するかどうかもわからないからだ

あくまでバイトさんに紙を渡す

それだけである

バイトがヤギでなければ紙は食べられることなく無事厨房の中へと配達されることであろう

値段は1貫60円、100円、200円の3種類の価格帯の中から、好きな組み合わせで、6貫から12貫まで4種類の中から選択するそうだが

何回読んでも俺には理解できない

一体何が4種類なのだろうか?

おそらく最低6貫は注文しなければいけないと思うのだが

60円のもの1貫だけ頼まれて店を出て行かれては商売上がったりだ

メニューに関しては実際の店舗に行って確認ということで

ともかく購入した寿司は持ち帰って好きな場所で食べるかフードコート内で食べるシステムみたいである

今回初の試みでもあるこの店が成功すれば他店舗化も検討しちゃうよってことらしい

現在スシローは年間に30店舗郊外に出店しているそうだ

ちなみにライバルのくら寿司が20店舗である

回転ずしの市場規模は大きい

しかし出店する場所が無い

そこで今回の小型店

俺なんかこいつらどこまで守銭奴なんだよって思うが

店なんてものは自分の手が回る1店舗だけでいい

他店舗経営して質を落とすぐらいなら商売なんかやめちまえと思う

増やしたいのなら弟子を育てて暖簾分けだな

ちゃんとお客さんと向かい合って寿司を握って目の前で「美味しい」って食べてもらった方が通帳の残高見てるより嬉しいだろうに

スシローも社長自ら板場に立って握ればいいんだよ

ん?もしかして社長って寿司握れないのかな?

社長が握れないのならちゃんとした寿司職人を育成しろ

今の回転寿司は価格勝負になっている

そんな勝負では限界はすでに見えている

寿司とはネタではなく握りだ

他の店舗よりちゃんとまともに握れる職人を育成すれば経営陣も大好きなお金がバンバン儲かることだろう

そして日本の寿司文化も継承されていくのだ

 

 

スシローのHPを見てみたがシャリがやけに小さいような気がする

これはやっぱり腹を膨らませないような配慮なのか

それともあまりにも薄すぎるネタの弊害なのか

まぁネタも大きく見えるし一石二丁ってところか

でも寿司はネタとシャリのバランスだからな

どちらかが大きすぎてもダメ

この小さなシャリに合わせてネタも小さくしないと

京都にあるだろ

舞妓さんが食べられるような一口サイズの丸い寿司が

あれやっちゃいなよ

でも無理か

やっぱり行き着くところは職人の育成

これをなくして寿司屋は成り立たない

 

 

今日は寒い

そして今日は彼岸の中日

朝一番で桜餅を買ってきて仏壇に備えてから食べた

やはり春は桜餅だな

明日も雨が残るのだろうか?

でも晴れたら晴れたで花粉が一斉に飛び出すんだろうな

そういえば今日はNHK岡本太郎太陽の塔の内部公開が中継される

予約殺到でしばらく生太陽の塔の内臓は見れそうに無いしな

でも改めて見てみるとすごいよな

よく作ってくれたと感謝したい

そして我々は縄文の怪物でもある太陽の塔を見て岡本太郎氏の残したメッセージを受け取らないといけない

結局人間は未だに進歩していない

寿司もそうだ

どんどん退化している

過去を超えていかないと

先祖がしてきたことを超えていかないとダメなんだよな

いつまでたっても縄文人に完敗だ

 

 

などと言いながら森見氏のおバカな作品を読みたくなる

太陽の塔

あれを初めて読んだ時の衝撃はすごかった

文学は進歩してると思った一冊である

 

 

 

太陽の塔 (新潮文庫)

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