鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

大名古屋「浪花ろばた八角」鯖の塩焼き定食950円

今日は暑くなるな

天気予報をチェックした俺は春夏用のズボンを引っ張り出してきた

今日の最高気温は19度だの20度だの言ってる

本当に天気は気まぐれだ

この時期一体何を着ればいいのか?

とても悩む

すでにバーゲンで購入した冬服を着るチャンスはなさそうだ

部屋の整理をしていた時に出てきた冬服

自分でもいつ買ったのか?持っていたことすら忘れていたアウターたちもまた封印しなければならないな

そう思いながら俺はベランダに出て植物共に水を与えた

明日は雨だ

でも今日は暑くなる

乾燥気味を好む奴らに水を与えるかどうか判断がつかない

しかしいつものように過保護な俺は水を与えてしまう

ベランダの奴らは丈夫だし大丈夫だろう

朝の6時半から老人たちが散歩をしている

彼らはお互いに耳が遠いのでかなりの大声で会話をする

今日も変わらない日常の風景だ

俺は出かける準備をした

服は迷ったが最高気温20度を想定して薄着で行くことにした

朝のうちはちょっと寒いが

カバンの中にメモ帳とボールペンを放り込む

本は何しようか?

出かけるときは短編かエッセイを持ち歩く俺

今日はチャペックの「園芸家12カ月」だな

毎年この時期になると読む本である

と言うか1年に2〜3回読み返す本である

「植物の世話がめんどくさいな」と感じた時に読む本である

読んだ途端に植物の世話をしたくなるからだ

そして改めて思うのだ

「われわれ園芸家は未来に生きているのだと」

駅では朝からやたらと人が多い

しかも見渡す限り高齢者ばかり

みんなリュックサックを背負っている

彼らにはバックパックという言葉は似合わない

あくまでリュックサックなのである

アナウンスでハイキングのお知らせ案内をしている

どうやらみんなでどこかにハイキングに行くみたいである

「今日は暑くなるから熱中症に気をつけなさいよ」と俺は心の中でアドバイスしておいた。彼らは暑さに鈍感である

俺は電車に揺られながら園芸家12カ月を読んだ

やはり面白い

何回読んでも面白い

そして無性に土いじりがしたくなってくる

新しい花が欲しいな

あそこにも植物おきたいな

今の時期はまだいい

あまりに植物を増やしすぎると夏が大変なのだ

我慢我慢

本に夢中になってしまった俺は危うく乗り過ごすところであった

今日は体のメンテナンス日

血液検査前の追い込みで少々酷使したので全身がカチカチである

正直カチカチになるのは体のある一部でいいのだ

しかしカチカチになって欲しい場所は年齢を重ねるにつけてカチカチにはならなくなるという矛盾

人間の体はなかなかうまくはいかない

全身をほぐして貰った俺はまるで鮭フレークになったような気分で再び電車に飛び乗った。そして再び園芸家12カ月を読みふけった

やがて電車は名駅に到着

「さて飯だな」

今日の朝はバナナを3本だけ食べてきた俺

部屋で一人ゴリラのモノマネをしながら食べた

誰にも見られていないとはいえ少し恥ずかしくなり赤面した

なので今日もカロリー不足気味である

しかし俺の体は病魔に蝕まれている

「とりあえず痩せなさい」医者の口癖である

制限なしになんでも食べられる人が羨ましい

さてどうするかな?

12時近いしゲートタワーは無理だな

すでに大行列だろう

お隣のタワーズのレストラン街は改装に入るって言ってたしな

やはりこんな時は大名古屋だな

俺はいつものように大名古屋ビルヂングの3階へと登った

正直俺は迷っていた

最初イメージしていた通り気温が上がっていないからだ

そのために食べる予定だったものに対する興味が急激に失っていったのだ

当初は「たんぱく質まつり」を開催する予定であった

植物性のたんぱく質を中心にサイドメニュー追加で動物性たんぱく質も摂取しようという目論見であった

たんぱく質は筋肉になる

そのために太りにくい体を作ることができるのだ

しかし俺には迷いが出た

「また今度にするかな?」「もしかしたら木曜日にまた出てくることになるかもしれないしな」

俺は即座にプランBを発動させた

「セレン」「DHA」「EPA」「ビタミンB12」を摂取するのだ

俺の脳が命令を下した

俺は脳の命令のままにいつもの店へ

「浪花ろばた八角」である

相変わらず今日もガラガラだ

俺はいつものようにカウンターの一番端っこへと案内された

すでに俺の指定席である

今日こそは食べてやる

念願の鯖の塩焼き定食を

いつも期間限定メニューに惑わされてきた俺だがついに鯖の塩焼き定食を注文したのだ

この店の定食メニューはサイドメニューが選択制になっている

「あなたが食べたいのは刺身ですか?それとも唐揚げですか?」

非常に難しい選択を強いられるのだ

正直どっちも食べたい

しかしどちらか一つを選ばなければならないのだ

俺は悩んだ

しかし案外簡単に答えは出た

今日の俺は冴えているのだ

「魚まつり」で行こう

俺は刺身を選択した

俺  「刺身でお願いします」

店員 「ファイナルアンサー?」

俺  「ファイナルアンサー」

俺  「あっ、あと生ビールも」

こうして俺の注文は確定されたのだ

俺は迷わなかった

俺の中で何かが変わった気がした

俺はここでも園芸家12カ月を取り出して読みふけった

俺の前では炉端で鯖が焼かれ始めた

だめだ集中できない

俺の心はすでに鯖へと奪われていた

するとそこに生ビールが運ばれてきた

f:id:sababou:20180304154836j:plain

一番搾り

いつもの味でとても心が安らぐ

俺は幸せをかみしめながら生ビールをちびちび飲んだ

今に時期は一気飲みしたくならないので生ビールを飲むにはちょうどいい時期だ

恐れていた花粉の飛散も少なく体のコンディションもいい

俺はワクワクしながら鯖が焼かれるのを待ったのであった

すると「お待たせしました」との声とともにやってきた

待望の鯖の塩焼き定食が俺の眼の前に置かれたのである

f:id:sababou:20180304155308j:plain

俺はアイフォンXに自らの顔を晒した

瞬時に認証してロックを外したアイフォンX

俺はカシャカシャとシャッターを切った

食べ放題の漬物を取り皿に入れて気がついた

「刺身の醤油皿が無い!」

俺は漬物を鯖の皿に移して取り皿に歯舞昆布醤油を投入した

「これで準備万端だ」

「さて祭りの開始だな」

俺の頭の中でサブちゃんが歌いだす

「まぁぁつりだぁ、まつりだぁまつりだぁ」

これが大名古屋の魚まつりである

f:id:sababou:20180304160115j:plain

俺は刺身から食べることにした

ミニ3種盛り

この店の刺身は名古屋にしてはそこそこうまい

そもそもおまけ的な一品だしな

予想通りの味に俺は満足して生ビールを飲んだ

最高とは言わないが今日は魚まつり

さっきからサブちゃんも熱唱しているしな

さてお次は鯖である

本日の魚まつりの主役である

鬼平犯科帳なら長谷川平蔵の登場と行ったところだな

「貴様が鬼平か」

俺は鯖と対峙した

f:id:sababou:20180304160657j:plain

まずは冷静にレモンを満遍なく鯖全体に絞った

皿には変化をもたらす醤油と大根おろし

脇を固めるのがひじきの煮物にきゅうりの漬物と赤だし

俺は一太刀鯖に浴びせた

「鬼の平蔵とやらもたいしたこと無いのう」

俺は鯖を口の中に入れた

「うわぁ、なんだこれは・・・」

「鯖のとても上質な程よい脂の旨みが俺の中にじわじわ染み込んでいく」

「嗚呼、これはセレンだ」

「強力な抗酸化作用アンチエイジング

「高杉一刀流・・・鬼平めこれほどとは・・・」

炉端で焼かれた鯖はとてもジューシーで美味しかった

DHAが俺の悪玉コレステロールを取り去ってくれるだろう

さらに善玉コレステロールを増加させていく

ストレスも吹っ飛んでいくような気がする

次にEPAも体内に入りこんでくる

奴らも俺の体の中性脂肪を減らしてくれる

そして俺の血管を広げやがる

これでドロドロになった俺の血液も多少は流れやすくなるであろう

いつでもかかってこいガン細胞

なんて素晴らしいんだ鯖という魚は

ビタミンB12のおかげで貧血ともおさらばだ

まぁ俺は貧血とは無縁だがな

ビタミンDにカルシウム

神経伝達や筋肉の収縮がスムーズになるという

俺は鯖に歯舞昆布醤油を少しだけつけてみた

さらに大根おろしをからめると・・・

今度は滝口丈助!

だめだ完敗だ

俺は鯖の塩焼きを前に完全にひれ伏した

ほうほうの体でひじきに手をつけた

左馬之介・・・

そして漬物にも

今度は井関録之助か・・・

最後は赤だしだ

「ん?お主は高杉一刀流では無いな」

「そうかお前があの小野派一刀流免許皆伝の沢田小平次・・・」

 

 

こうして俺の魚まつりは終わった

正直予想以上であった

950円という値段

非常に満足している

ただ一つだけ注文をつけるとするならご飯が木村忠吾だったことだろうか

これが佐島忠介になれば平蔵の不在時でも指令系統に置いて安定感が出て立派な火付盗賊改方になるであろう

 

 

俺はそのあとでドイツ製の鉛筆削りを30パーオフで購入

俺の鉛筆削りはこれで3個になった

そしてゲートタワーに向かった

本屋を冷やかして安い雑貨屋で木箱を購入

さっきから俺と同年代のおばさんが俺をちらちら見ている

多分俺のことを斎藤工と間違えてるんだろうな

あいにく俺は昼顔になる気は無い

 

俺は一人帰路に着いた