鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

名古屋ゲートタワー「銀座イタリー亭」でナポリタンを

まだまだ寒い今日この頃

俺はいつものように大事な用事を済ませて

中央線へ飛び乗った

いつものことながら朝は食べていない

午前中の待ち時間の間、寒かったのでドトールWi-Fiを拝借しがてらブレンドコーヒーSを飲んだだけである

「さて何を食べるかな?」

「温かいものがいいかな?」

俺はこの日もとりあえずゲートタワーへと向かった

まだこの時間帯なら空いてると踏んだからだ

俺はエスカレーターに乗りいつものように上へ上へと向かった

前の女子がスマホを見ている

失礼と思いつつも画面を覗いてみる

チョコを検索している

もうそんな時期なんだな

俺には一切関係のないイベントだが

この時期はチョコレートが買いにくくなるので不便だ

そして2月14日当日はコンビニで買い物すると店長のおっさんが気まずそうに

「あの・・・男性の方には・・・みなさんお配りしてるんで・・・」と小さなチョコレートを渡してくれる

もちろん俺には男色の趣味はない

そしてあの店長も同じだと俺は思いたい

俺はビックカメラを通り過ぎてユニクロをスルーしてレストラン街へ出た

「ヤバイよヤバイよ  この間より人が多いぞ」

俺は首を左右に降りレストラン街全体の客の入りと流れをチェックした

店により随分とばらつきがある

「まだ大丈夫だな」

俺はゆっくりと候補となる店を探す事にした

基本的に和食系が食べたい

できれば魚かな

予算は1000円

何件か候補は見つけた

しかしいかんせん量が少なそうだ

朝から何も食べていない俺はがっつり行きたいところだ

午前中もそこそこカロリー消費したと自負している

俺はもう一回検討に入った

中華や洋食も加えて

するとある一件の店が俺の目に飛び込んできた

和食を探してた時には気づかなかった店だ

それもそのはず

いかにも洋食という店構え

ここがデパートの中だというのが残念でならい

路面店なら雰囲気のある店構えになることだろう

そしてその店は俺の好きな3つのキーワードを持っていた

「銀座」

「老舗」

ナポリタン」

俺はこれらの言葉に非常に弱いのだ

「銀座イタリー亭」

創業60年来、愛され続けた憧れのイタリアン

本格的でありながらも、どこか素朴

高級であっても庶民的

それが銀座イタリー亭なのだ

確かに老舗のイタリアンといった感じだ

そして本格的な料理も出すのに気軽な店構えだ

しかも行列は皆無

すぐにでも着席し食事ができるのだ

俺はランチメニューをチェックした

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スパゲティランチが1000円からある

しかもMサイズでかなりのボリュームがあるそうだ

この時点ですでに俺の心は決まっていた

本家イタリアには存在しないイタリアン

「海老と野菜のナポリタン」だ

俺はナポリタンがとても好きだ

焼きそばナポリタンには目がないのである

早速店に突入

すぐに案内されて着席した

ナポリタンMと生ビールの量の多い方で」

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赤いテーブルクロスが老舗感を演出している

隣では観光客と思われし俺と同世代の夫婦がコースを食べている

「ピザもいいな」と俺は心の中でつぶやいた

その直後に俺の眼の前に生ビールとサラダが置かれた

「お好みで粉チーズをどうぞ」

粉チーズ

俺はとても好きだ

家ではダバダバかけるがさすがに店では気まずいので常識ある範囲に押さえておく

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まずは生ビールで口を潤し

サラダを一口

シャキシャキした感触とともに野菜の甘さが口の中に広がっていく

とても新鮮で質の良い野菜だ

たかが1000円ランチのサラダと妥協していない

これはこれでちゃんと前菜になっている

やはり野菜はうまい

何よりもうまいと俺は思う

自然の恵み

命を食べてしまうという罪悪感も少なくて済む

何より低カロリーで必要な栄養素も完備している

俺はまるで草食動物かのように食べた

一つ不満があるとしたら箸が置いてないこと

俺はフォークでサラダを食べる行為に慣れていないので思わずレタスをテーブルクロスの上に落としてしまった

さすがの俺も動揺した

「落ち着け落ち着け」

俺は冷静になり何事もなかったかのように手でレタスをつまんで器に戻した

これで振り出しに戻った

「危ない危ない」

俺は慎重にサラダをフォークで食べた

シャキシャキ

とても食べ応えのあるしっかりしたサラダだ

「いいぞいいぞ」

最初によく噛んでサラダを食べることで満腹感を出し、さらに糖質の吸収を遅くしてくれる

次に来るのはパスタだ、糖質たっぷりだ

俺は途中で粉チーズの存在を思い出した

「少しパラパラしてみるかな」

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俺はサラダに粉チーズをふりかけた

まるでレミオロメンの歌が聞こえてくるかのようだ

途端にマイルドになるサラダ

乳の力、発酵パワーを得たサラダ

ダメだもう俺を止めるものはこの世に存在しない

一心不乱に俺はサラダを食べた

しかしそんな俺を静止する奴が運ばれてきたのだ

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海老と野菜のナポリタンMサイズ

「どうしてもこの俺を止めるというのか?」

俺はひとまずサラダのフォークを置き

ビールを一口飲んでナポリタンとの間合いを計った

「このままサラダに行くべきか、それとも・・・」

先に動いたほうが負ける

しかし俺は動いた

先手必勝だ

俺は素早くフォークを抜き去りナポリタンをくるくると巻きつけたのだ

ここでスプーンなど柔なものは使わない

男は黙ってフォークのみでスパゲティを食すのだ

俺は軽く混ぜ合わせたナポリタンをフォークで拘束

口の中に押し込んだ

「嗚呼、なんてアルデンテなんだ」

久しぶりだこんなちゃんとしたスパゲティは

いつ以来だろうか?

パスタなんて女子としか食べにこない

そうなると20年・・・

俺は20年間も偽のパスタしか食べてこなかったのか

そして俺は20年という時間を無駄にしてしまったんだな

よく噛みしめてみる

トマトの味がリコピンが俺の体に染み込んでいく

なんかとても健康になる気がする

俺はビールをぐびぐび飲んだ

「おいおい海老もプリっプリだぞ」

そしてこんなに小さな海老でもちゃんと海老なのだ

さらに俺を驚かせたのがナポリタンの量である

男性でもMサイズで十分な量があると書かれてはいたが

まさか・・・これほどとは・・・

さっきからクルクル巻きつけては口の中に運び噛みしめているのに全然減らないのだ

わんこそばのように後から足されてるわけでもない

1000円でちゃんとしたサラダ付きでこのボリュームである

よくありがちな気取ったイタリアンなんか目を疑うかのような少なさなことが多いが

これぞ老舗

日本で育ったイタリアンだな

朝から何も食べてなかった俺を満足させる量であった

俺は再び粉チーズに手をかけた

「嗚呼、やはりうまいな」

俺はドバドバとかけたい気持ちを抑えつつ今度は自家製のタバスコに手を伸ばした

中には唐辛子が沈められている

俺は恐る恐るナポリタンにふりかけた

「いいぞいいぞ」

辛さはそれほどでは無いがとても豊かな味のタバスコだ

「これはうまいぞ」

一皿のパスタで2度3度おいしい

俺は再びいつ終わるかも分からないフォーククルクルの旅に出たのだった

一体いつになったらこのナポリタンは無くなるのだろうか?

すでに俺の腹は8分目を超えている

俺は最後は無理やりナポリタンを腹に押し込むこととなった

 

「ごちそうさま」

 

1000円でこの量でこのレベルの味は中々お目にかかれない

俺は非常に満足した

だが一つだけ引っかかることがある

果たしてこれは俺が求めていたナポリタンなのかということだ

俺が好きなナポリタンはケチャップで味付けされたチープなナポリタン

こんな上等なトマトをふんだんに使ったリコピンまみれのナポリタンでは無い

これはこれで美味いのだが

やっぱりナポリタンは個人経営の喫茶店のナポリタンの方がいいかもしれない

銀座イタリー亭のナポリタンは本格派で上品過ぎて俺の中でのナポリタンの定義からは外れてしまうのだ

俺にとってはスーパーで2食128円で売られている茹で麺ナポリタンの方が本格ナポリタンなのだ

そして具材は魚肉ソーセージなのだ

でも銀座イタリー亭

十分に美味いので今度は違うパスタを食べてみたい

そして一山当てたら5000円ほどのコース料理も食べてみたいと俺は思ったのだった

「いかん、入り口で男性が一人待たされている」

俺は慌ててコロンビアのジャケットを羽織、カバンを手に会計を済ませた

 

 

満腹状態の俺はいつものように下へ下へと降りる

ビックカメラで途中下車

カメラコーナーを冷やかす

「どうぞレンズ交換も試してみてください」

しかし俺にはカメラなど買う気は全く無い

今のオリンパスEM-5とプロレンズで十分なのだ

これは親父が残したわずかな金額の定期を全額つぎ込んで購入した

あとはXZ-1があるしな

俺はスペック重視では無いし

今のデジカメは俺にはすでにオーバースペック

映らなくていいものまで写ってしまう

俺はビックカメラでもWi-Fiを拝借してアイフォンXを中国人観光客の真横で弄った

それにしても中国なのか台湾なのか分からないが店内をスーツケースにまたがって移動したりマナーの悪さが目立つ

 

そして俺は本屋へと移動した

ふと新潮文庫の外国人作家のコーナーで足を止めた

棚の真ん中あたりに店がピックアップした本が並べてあるのだが

そこに一冊だけ違う本が置かれている

おそらく誰かが棚から出した本を棚に戻さずにそこに置いたのだろう

俺はなんとなくその本が気になり手にとって見た

ガラスの街 ポール・オースター

読んだことは無い

しかし現代アメリカ文学の有名人みたいだ

「これも何かの縁だな」

俺は「ガラスの街」を購入した

 

ガラスの街 (新潮文庫)

ガラスの街 (新潮文庫)

 

 そしてさらに俺は下へ下へと向かった

途中にある何階だかは分からないが低価格の雑貨屋がある

100円から1000円程度のデザイン性重視の生活雑貨が売っている

店内は若い女の子から主婦で賑わっている

俺はそんな秘密の花園に単独で潜入した

そこで俺は100円のクワズイモを発見

今俺の部屋にあるクワズイモは病気になり

俺が病気の部分を切除して植え替えたものだ

そんな闘病中のクワズイモにお友達を増やしてやろうというわけなのだ

俺は100円のクワズイモを購入した

 

さらに俺は下へ下へと移動する

最後は地下にまで潜った俺

いわゆるデパ地下である

一通り試食を済ませ

今晩の酒のアテとして一品購入

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「真イワシとポテトのロースト 焦がし醤油バター風味 411円」

後で昨日録画しておいた平成細雪を見ながら食べるのだ

 

非常に楽しみである

 

今日もいい1日だったな

俺の休暇は終わった

明日からまた頑張ろう