鯖棒亭日乗(下)

日常の記録写真と駄文  sababoutei@gmail.com

平成細雪を第2話まで見てみた

谷崎潤一郎原作の細雪NHKでドラマ化された

しかも設定を昭和から平成に変えてドラマ化だ

映像化されるのは市川崑監督の映画版以来だそうで実に35年ぶりとなるそうだ

去年が確か谷崎没後50年

著作権が切れて一気に電子書籍に安い谷崎作品が溢れ出した

細雪も500円で買える

あの大作を気軽に持ち歩けるのはありがたい

原作はかなりの長編ではあるが純文学にしてはストーリーが面白いので一気に読める作品でもある

過去に映像化は何回かされてるが

東宝が50周年記念作品として気合を入れて製作した市川崑監督の映画版の四姉妹のキャストは

岸惠子(85)

佐久間良子(78)

吉永小百合(72)

古手川祐子(58)

それぞれ35を引くと

50歳

43歳

37歳

23歳となる

吉永小百合は37歳で雪子を演じてたとは

原作の雪子は30歳からスタートしてたはずだ

雪子の設定は童顔でおっとりした性格

しかしどこか筋が一本通ってるようなところもある

道を歩けばすれ違う誰もが振り向くような美人である

しかし旧家としての蒔岡の名前が大きすぎて邪魔をする

落ちぶれた旧家とはいえ本家がプライドだけは捨てないために見合いを繰り返してもなかなか決まらないのである

一番末っ子の四女妙子は家柄にとらわれずに自由に生きる現代風の女性

幼馴染の奥畑貴金属店のバカボンを振り回す

物語はこの独身の二人の娘が中心となって進んでいく

三女雪子の見合いと四女妙子の恋の行方

そこに本家の長女鶴子が監視役となり独身の妹たちにいろいろとうるさいことを言う

次女幸子は雪子と妙子の味方であり幸子の夫の貞之助も雪子たちの良き理解者だ

この辺りの本家と分家のゴタゴタも面白い

原作においての貞之助のモデルが谷崎潤一郎であり次女の幸子のモデルが谷崎の嫁の松子である

雪子のモデルも松子の実の妹で京都は哲学の道にある法然院に墓があり

谷崎と松子、そして妹で雪子のモデルとなった人も谷崎とは別の墓石の下に眠っている

今回この四姉妹を演じたのが

中山美穂(47)

高岡早紀(44)

伊藤歩(37)

中村ゆり(35)

伊藤歩中村ゆりって結構年行ってるんだな

さすがに女優、テレビでは若く見える

そして伊藤歩吉永小百合と同じ年齢で雪子を演じてるとは

舞台は平成でバブル崩壊のあと

おそらく原作を知らない人は違和感ありまくりの映像だろう

ものすごく華やかな暮らしぶりである

専業主婦なのに本家のみならず分家にも奉公人がいる

お出かけの時は豪華な着物を着込み

話す言葉は船場言葉

大阪弁の中でも上流階級の人たちが使っていた言葉である

ドラマのなかで頻繁に出てくる

こいさん」とは一番末っ子に対する呼び方である

「いとはん」は主人の娘に対する呼び方で長女に適用される

細雪の四姉妹の場合は

次女の幸子が「なかあんちゃん」と呼ばれ

三女の雪子は「きあんちゃん」と妙子から呼ばれている

これはおそらく雪子の「き」からきているのかと思われる

「ゆきあんちゃん」が省略されて「きあんちゃん」

また第2話で長女演じる中山美穂が奉公人から「ごりょんさん」ではなく「いとはん」と呼ばれて嬉しがるシーンがあったが

ごりょんさんとは主人の奥さんのことを指す

昔の思い出話のなかで久しぶりにまだ未婚だった頃の呼び名の「いとはん」で呼ばれて嬉しかったと言うわけだ

奉公人には「どん」をつける

分家の幸子の家の奉公人は「お春どん」である

この「お春どん」の設定は、自分の着物は洗濯などしなかったり、がさつな正確ではあるが顔はわりかし綺麗と言う設定だ

平成細雪のお春どんがどこまで前面に出てくるかは不明だが、個人的には割とイメージ通りではあったかと思う

奥畑の啓ボンと写真家の板倉の配役もいい感じだ

お見合い相手の野村役の松尾スズキも良かった

原作ではこの時のセッティングは井谷でなく幸子の友人の陣場夫人だった気がするが

まぁこの辺りは予算の関係もあるのだろう

そして美容師でお見合いをセッティングする井谷のイメージはぴったりである

この時に家に招待された時に原作では野村は雪子に亡くなった元嫁の仏壇を見せるという行為をしているがドラマでは野村の机の上に置かれていた写真を偶然雪子が目撃してしまうという結果的に野村をいい人に持って行こうとする脚色がされていた

貞之助役はドラマ版だと影が薄いような気もする

やはりここは俺の中で石坂浩二のイメージが強すぎるのかもしれない

本家の養子辰雄もイメージとは違うが、コメディ風に演出されている平成細雪では逆にいい感じになっている

肝心の四姉妹に関しては

幸子役の高岡早紀と妙子役の中村ゆりは文句なしだ

中山美穂は最初貫禄不足かなと思ったが、見てるうちに「ありかな」と思えるようにもなった

どうしても俺の世代だと木村一八とのベッドシーンにおけるニップレス騒動、ビーバップハイスクールでの「ヒロシくん!トオルくん!」のイメージのままなのである

そして主役とも言える三女雪子役の伊藤歩

調べてみたら岩井俊二スワロウテイルのアゲハ

思い出したぞ

リリイシュシュにも出てたな

と言うかスワロウテイルの時って16歳

確か脱いでたような

蝶々の刺青のシーン

もしかして今だと児童ポルノに引っかかるのかな?

話を細雪に戻す

雪子役に関しては吉永小百合と同じ年齢で演じ

しかもちゃんと30歳に見える

おっとりとした少々変わり者の性格も演じきっているが

もう少し美貌が欲しかったな

俺の中の雪子のイメージとはやはり違うかな

まぁこれも今回の平成と言う舞台ならアリなんだと思えるようにはなったのだが

残りの第3話と4話が楽しみである

子爵様は「ムロツヨシ」だしな

 

谷崎潤一郎がどう思ってるかは知らないが

今回のNHKでのリメイク

平成細雪

原作と離して見てみると結構よくできていると思う

設定の無理矢理感は拭えないが

それはそれであの世間と懸け離れた暮らしの四姉妹にはあってると思う

何より井谷がいい

おせっかいぶりが抜群だな

市川崑の映画版では貞之助と怪しい関係を匂わせるようなシーンがあって

「ん?」と言った感じだった井谷

あの演出は何回見てもよくわからない

あとは啓ボンのバカっぷりもいい

とてもいい

板倉役の 柄本佑もイメージとは違ったが台風での救出シーン

あれは間違いなく惚れるな

あのシーン原作だともっとスーパーマン的な役割なんだよな

そして妙子をものにする計画性もうかがえる

本家の奉公人は結構な歳の人だった気がするが

この辺りは重要ではないのでまぁいいとして

あとはまだ登場していないがバーテンダーだろうな

もしかしてドラマでは尺がなくて出てこない?

その可能性はかなり高そうだ

板倉とのいい関係で終わらせそうな気がする

 

個人的にはドラマの最初は

こいさん、頼むわ」で始めて欲しかった

そしてラストはやはり「下痢で」お願いしたい

あれは重要だ

ここ外しちゃうと谷崎ではなくなる気がする

期待してるぞNHK